正社員
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/25 13:34 UTC 版)
名ばかり正社員
名ばかり正社員(なばかりせいしゃいん)とは、非正規雇用とあまり変わらない労働条件・環境で雇われたブラック企業の正社員の事[5]。周辺的正社員、なんちゃって正社員とも呼ばれる[6]。
一般的にイメージされる正社員とは異なり、賃金については低賃金であり[5]、定期昇給制度や賞与(ボーナス)の両方かいずれかがなく、退職金制度が無い場合もある。制度の適用基準を満たすにもかかわらず企業が届出を行わず雇用保険、健康保険、厚生年金といった法定福利にも加入していないケースもある。正社員は月給制(固定給)が一般的ではあるが、時給制(時給月給制)、日給制(日給月給制)、年俸制のいずれかの場合もある。雇用契約書を見る限りでの賃金は最低賃金水準以上であるが、サービス残業や奉仕活動などへの無償参加等を合わせると時給換算で最低賃金以下となるケースもある[注釈 2][6][注釈 3]。 しかし、法的な正社員の最低基準の定めはなく、短時間労働者であろうとも短期間の労働者であろうとも、どのような低条件の労働者であっても正社員の呼称を用いることは違法とはならない。
脚注
関連項目
外部リンク
- 雇用・労働 - 厚生労働省
- 季刊 政策・経営研究「特集:日本の働き方〜『正社員』の行方〜」(archive) 2010年 , vol.11 - 三菱UFJリサーチ&コンサルティング
- 統計局ホームページ/労働力調査特別調査
- 統計局ホームページ/労働力調査
- 図8 雇用形態別雇用者数/早わかり グラフでみる長期労働統計|労働政策研究・研修機構(JILPT)
- 図9 各年齢階級の正規、非正規別雇用者数/早わかり グラフでみる長期労働統計|労働政策研究・研修機構(JILPT)
注釈
- ^ もっとも、労働省「労働経済動向調査」等の統計によれば、配転、出向など解雇回避措置は積極的に行われたが、希望退職や解雇の手段は回避され、企業が正社員の削減には慎重な姿勢を示していたことがうかがえる。にもかかわらず「リストラ」がマスコミで大きく報道されたのは、企業において余剰人員とされた中高年ホワイトカラー層(いわば「終身雇用の申し子」)である彼らに対するこれらの措置に対して世間の非難が高まった結果である。
- ^ NPO「POSSE」の調べによると、60時間/週以上の労働時間の比率が「周辺的正社員」で38%、「中心的正社員」で26%なのに対し、月収20万円以下の比率では「周辺的正社員」で53%、「中心的正社員」で19%と、「周辺的正社員」の長時間労働、低賃金の傾向が表れている。
- ^ 調査では定期昇給やボーナスの少なくともいずれかがない正社員を「周辺的正社員」、双方がある正社員を「中心的正社員」としている。
出典
- ^ コトバンクー正社員
- ^ a b 読売新聞2020年12月20日付朝刊言論面
- ^ 奥田栄二 (2011年11月4日). “派遣という働き方から正社員を見る”. 労働政策研究・研修機構. 2012年7月10日閲覧。 “「正社員」どころか、「非正規社員」という用語も定義的に明確なものはなく、これらの用語は、統計調査上、就業形態の状況を把握するための「呼称」に過ぎない”
- ^ 「多様な正社員」について 厚生労働省
- ^ a b 小林美希 (2008年9月3日). “派遣会社の「名ばかり正社員」 悪労働環境に苦しむ特定派遣が急増中”. ダイヤモンド・オンライン. オリジナルの2008年9月3日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b 「広がる「名ばかり正社員」――都内の若者 NPOが調査」『朝日新聞』2008年9月21日付朝刊、第31版、第13面。
正社員と同じ種類の言葉
- 正社員のページへのリンク