ユニオン・ショップ制
・ユニオン・ショップ制とは、経営者が労働者を雇用する際に、労働組合員かどうかは雇用条件としないが、雇用後の一定期間内に労働者は労働組合に加入しなければならないとする協定のことをいう。
・そのため、労働者が一定期間内に企業内組合(この協定を企業と締結した組合)に加入しなかったり、組合員である資格を失ったりすれば、経営者はその労働者を解雇することになる。
・しかし、実際には「組合員資格を失った者の解雇については、労使が協議して決定する」など解雇に例外を定めるケースも多く見られる。これは、尻抜けユニオンと呼ばれている。
・このケースが多く見られる理由としては、会社側が必要とする労働者が労働組合員の資格を失うことによる解雇を防ぐためである。
・一方、労働者側もこれまで労働組合に「労働条件の改善」を求めてきたが経済成長と共に労働者の生活水準が向上したことで、必要性が薄れている。
・労働組合の組織率の低下に加え、最近上場する(した)新興企業などでは労働組合の存在自体が株価に影響を及ぼすこともあり、労働組合は、あまりみられない。
・最近では多様な雇用形態で働く労働者が増えたことで、労働組合を取り巻く環境も変化している。
・元々このユニオン・ショップ制は、大手企業(特に歴史ある製造業)で正社員を対象されているものが多く、非正社員は対象外となっていた。
・そのため、増えているパート・アルバイトといった非正社員の労働条件は改善されにくい状況であった。
・その状況を改善するために、近年では首都圏青年ユニオンやフリーター全般労働組合などフリーターやアルバイトなど非正社員によって組織された労働組合も生まれている。
ユニオン・ショップ
(ユニオン・ショップ制 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 23:58 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動ユニオン・ショップ(英: union shop)は、職場において労働者が必ず労働組合に加入しなければならないという制度。
概要
採用時までに労働組合加入が義務付けられ、採用後に加入しない、あるいは組合から脱退し、もしくは除名されたら使用者は当該労働者を解雇する義務を負う、という制度。雇い入れ時には組合員資格を問わないという点で、組合員のみの採用を義務付ける「クローズド・ショップ」とは異なる。これに対し、労働組合の加入を労働者の自由意思に任せるのが「オープン・ショップ」である。
ユニオン・ショップはその性格上、使用者と労働組合との癒着が発生しやすく、御用組合を生む原因である、といった指摘もある。
協定の有効性
ユニオン・ショップ協定は結社の自由(組合選択の自由、結社に加わらないことの自由)に照らして有効かにつき、一般には有効とされる。その理由として、労働者の団結権は積極的団結権であり、団結しない権利(消極的団結権)に比して優先されると考えられるからである。
無効な除名と解雇
組合によって除名され解雇されたが、その除名が無効な場合、その解雇は有効か。学説は3分される。
- 無効説
- 除名が無効なら解雇も当然無効である。
- 有効説
- 除名と解雇は別の問題とする。
- 中間説
- 使用者側が除名を無効と知り得るなど、一定の条件下では解雇を無効とする。
判例は学説の多数説でもある無効説である(日本食塩事件、最高裁判所昭和50年4月25日判決)。
日本
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日本におけるユニオン・ショップの法的根拠は労働組合法7条1号ただし書による。なお公務員については法律でオープン・ショップが規定され、ユニオン・ショップを適用する余地がない(国家公務員法第108条の2、地方公務員法第52条)。
日本では企業別労働組合の形態が一般的であるため、ユニオン・ショップ制も大手企業の労働組合を中心に広く用いられてきた。近年では、非正社員をユニオン・ショップ協定で労組に取り込もうとする動きが、スーパーなど一部の業界で進んでいる[1]。厚生労働省の調査によれば、労働協約を締結している企業のうち約56%がユニオン・ショップ協定を結んでいる[2]
通常はその工場事業場に雇用される労働者の過半数が組織する労働組合との労働協約で定められる。使用者と労働組合との協定をユニオン・ショップ協定と呼ぶ。中には「従業者は組合員であること」のみを定めて解雇規定のない「宣言ユニオン」、脱退者の解雇を使用者の意思に任せる「尻抜けユニオン」になっているものもある。
日本において、東芝の男性従業員が使用者側とユニオン・ショップ協定を結んでいる組合からの脱退を認めるよう求めた訴訟があり、最高裁判所第二小法廷は、2007年2月2日、「脱退の自由という重要な権利を奪い、組合の統制への永続的な服従を強いる合意は、公序良俗に反して無効」との初判断を示した[3]。この裁判は、東芝労組に脱退届けを提出して社外労組に加入した男性が一度は「東芝労組に所属し続けることを義務づける内容」で会社と合意したが、その後改めて東芝労組からの脱退を求めたもので、直接ユニオン・ショップ協定の有効性を問う判例ではないが、後述する様な、社内に他の労組がある場合でなくても、特定の組織に所属し続ける事を強制するのは「公序良俗に反する」とする判断で、今後協定自体の有効性を考える上で影響すると考えられる。
また、ユニオン・ショップ協定に伴う組合脱退者の処遇については、協定を締結していない他の労働組合員には適用されないとされる。つまりユニオン・ショップ協定を締結している組合からの脱退者が、他の労働組合に加入したり、あるいは新規に労働組合を結成した場合、これを解雇することは「民法第90条により無効であり、解雇は解雇権の濫用である。」とする最高裁判決がある[4]。
脚注
- ^ 2011年3月4日の朝日新聞朝刊7面
- ^ 平成27年 労使間の交渉等に関する実態調査 結果の概況厚生労働省。
- ^ 東芝労働組合小向支部東芝事件、民集61巻1号86頁
- ^ 最高裁第一小法廷平成元年12月14日三井倉庫港運事件、同12月21日日本鋼管鶴見製作所事件
ユニオンショップ制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 22:06 UTC 版)
「ユニオン・ショップ」も参照 使用者が労働者を雇い入れるに際しては、組合員であってもそうでなくても構わないが、労働者は入社後、組合規約で定めた期間内に組合員にならなければならないとする制度である。期間内に組合員にならなかったり、あるいは後に組合員たる資格を失った時は、使用者はその労働者を解雇しなければならない。日本の大手企業に存在する主な組合に見られる。通常は当該組合を労働者の唯一の交渉代表として承認する「唯一交渉団体条項」と一緒に締結されることが多い(これにより、当該組合は使用者によって、全労働者が当然に加入する当該企業で唯一の組合としての地位を認められる)。但し、実際はいわゆる「尻抜けユニオン」という体制が敷かれていることが多く、組合員である資格を失っても雇用については別途労使間で協議し、決定することが多い。従って、組合を脱退したからと言って必ずしも退職しなければならないことはない。 日本においては、過去の判例で、ユニオンショップ協定下において組合から脱退した場合において、労働者の組合選択の自由及び他の組合の団結権を侵害する場合には、使用者の解雇義務は公序良俗に反し無効とされ、他の組合に加入した労働者は解雇されない。また、過去に組合を辞めない旨を特に合意していた場合でも「組合員は脱退の自由を有する」とされている。したがって組合の内部抗争において執行部派が解雇をちらつかせて反執行部派を抑え込むことは、事実上できなくなっている。 アメリカ合衆国では、州によっては労働権利法(Right-to-work law)を適用し、ユニオンショップ制を禁止している。
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