賠償問題とは? わかりやすく解説

賠償問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 03:54 UTC 版)

ヴァイマル共和政のハイパーインフレーション」の記事における「賠償問題」の解説

第一次世界大戦の賠償」も参照 1918年11月11日締結されドイツ連合国休戦協定では、武器鉄道車両引き渡し義務ドイツ課しており、これは実質的に賠償性質含んでいた。また後日締結される講和条約によって賠償請求される旨の規定があった。 イギリスジョン・メイナード・ケインズは、ドイツ対す賠償要求原案戦時中から統計資料基づいて詳細に検討し1918年11月提出した報告で、請求すべき賠償額は高めに見積もって40ポンドであるが、ドイツ実際支払い能力楽観的な見込み基づいて30ポンド慎重に20ポンド程度であろうとした。しかしこれは多く政治家に受け入れられず、連合国戦費をすべてドイツ負担させるべきであるとして、ドイツ支払い能力ではなく大戦前のドイツ貯蓄基づいて240ポンドという巨大な賠償要求提示するものもあった。 パリ講和会議経て1919年6月28日締結されヴェルサイユ条約では、連合国間の合意得られなかったため、賠償額の総額確定されず、後日賠償委員会総額確定委ねることになった。しかし連合国軍人に対して支払恩給なども賠償額に含めるべきことが決められた。 パリ講和会議失望したケインズは、講和会議の不正と愚劣糾弾した平和の経済的帰結英語版)』を著したその中で賠償総額20ポンドとし、うち現物譲渡額を5億ポンドとし、残り15ポンド30年間で5000ポンドずつ支払わせることを提案した。これは連合国直接的な損害額一致するとともにドイツ正常な経済活動実現できる輸出超過額であるとした。ドイツ賠償支払うためには輸出によって貿易黒字を稼ぐことが不可欠であるが、戦前ドイツ貿易赤字だったのであり、鉄鋼機械石炭などの輸出増加しようにも、石炭鉄鉱石産地多く割譲したドイツ輸入を増やさなければ増産自体ができず、賠償充てられる有効な貿易黒字輸出額すべてではなく輸出輸入差額分のみである。このような輸出増大現実的ではなく賠償請求強行されれば貧困階級対立激化により革命危機陥ることを指摘したまた、ドイツ1世代にわたって奴隷状態に陥れて幸福を奪うような政策は、非人道的であるとも指摘したケインズ指摘にも関わらず1920年4月から1921年4月までの間に12回にわたって賠償委員会会議が行われ、最終的に1921年5月5日賠償総額を1320億金マルクとし、向こう30年毎年20金マルク輸出額の26パーセント支払うように決議し1921年中に10億金マルクを払うように要求した。これをドイツ受諾した最初賠償支払いは、支払期限となった1921年6月実施された。ドイツ在外資産などを売却して10億マルク支払ったが、資金調達負担からマルク相場下落していった。要求された総賠償額は1320億金マルクであったが、急速に価値下落していくパピエルマルクではなく交換可能通貨支払なければならないとされたため、ドイツ一度に払わなければならない額は500マルクとされた。 1921年8月から、ドイツいかなる為替レートでも外貨マルクで買い始めたが、マルク価値崩壊をさらに加速するばかりであり、賠償委員会要求され外貨調達するためにはさらなるマルク支払なければならないことを意味したドイツ政府戦争賠償支払うために用いていた戦略は、大量紙幣発行して外貨購入して賠償充てるというものであったが、これによりパピエルマルクインフレーション深刻化させた。しかし1921年分については、ドイツ政府は何とか賠償支払い完了したドイツ1922年7月12日1922年分の残り1923年1924年分の支払い猶予求めたが、フランス短期休止のみ認めてそれ以外拒否し、これを契機マルク為替相場暴落し始めた1922年12月には1米ドルが7,400マルクへと下落した生活費指数英語版)は1922年6月41であったのが12月には685となり、ほぼ17倍へと増加した1922年末には、ドイツ政府賠償履行できない判明した

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賠償問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 13:54 UTC 版)

リマ排日暴動事件」の記事における「賠償問題」の解説

淀川領事は、再三ペルー政府に対して調査委員会調査進捗状況問合せた。しかし、暴動事件後も、排日感情収まっておらず、排日的な意見を持つ者が「日本人に対して過大に被害額査定した」と非難することを恐れて故意調査遅延させているのではないか、と疑われていた。 領事館では賠償額を、400ソル見積もっていた。しかしペルー側の被害額調査は、事件1年経過した1941年5月至って全体約半分程度であった。また調査終わった部分賠償額は日本側の査定した請求額大きな開きがあり、ペルー側の調査に従って賠償額が決定すれば、移民の間から大きな不満が起こるだろうと予想された。 被害にあった日系移民には、生活に困窮するものも出てきており、外務省ペルー政府前払い暫定的に支払うように交渉するようにと、領事館に対して訓令行った。そして交渉の末、ペルー政府1941年3月賠償金10万ソル前払い同意した1941年8月一部物資払いで、総額140ソル賠償金合意となった賠償関連法案大統領署名得て官報掲載されたのは、1941年12月6日であった12月7日賠償に関する法案官報公布されたことを日系移民報告する会が、リマ日本人小学校開かれた。その席上で、太平洋戦争開戦ニュース伝えられた。 太平洋戦争開戦まもなく、日本ペルー断交となった。そのため、1962年まで賠償問題は棚上げとなった1962年太平洋戦争時ペルー政府が行った日系移民資産凍結対す解除問題解決後、暴動事件賠償金日本大使館ペルー政府の間で議論されることになった1963年三浦文夫大使ペルー外務大臣との間で、暴動事件賠償金未払額130ソル存在確認と、1964年より20ソル年賦支払い合意した。しかし、ペルー政府財政問題理由支払い実行応じず、1966年5万ソル支払い実行しただけであった

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賠償問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/26 05:34 UTC 版)

セウォル号沈没事故」の記事における「賠償問題」の解説

犠牲者遺族対す賠償金及び、船体引き揚げる費用被害者捜索かかった費用等を合算すると、おおよそ600億円に上るとみられているが、セウォル号過積載船体不正改造などの指摘もあり、さらに船員避難誘導をせずに逃げだしていることから、保険対象外となる可能性がある。このため韓国当局は、数百億円の資産持ち実質オーナー兪炳彦責任として賠償金支払わせる方針だ。しかし韓国メディアによると、兪自身名義財産無く、兪に賠償責任負わせる場合家族名義の資産対象にしなければならない一族名義財産はおよそ200億円分)。大統領談話の中で、国民の命に被害与えた企業利益没収し補償充てるなどとしており、韓国当局は、この大統領宣言基づいて事故当事者家族第三者名義隠し財産没収できる法律をつくると考えられているが、これはいわゆる事後法となり、容疑事実立証難航予想されている。法治国家例え日本場合日本国憲法第39条において、何人も実行時に適法であった行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任問われない法の不遡及定められている。韓国でもこれは法の原則だが、その一方で法の不遡及曲げた事例見られる例えば、1979年粛軍クーデター及び1980年光州事件関係者処罰した光州事件特別法朝鮮語版記事)が1995年韓国国会成立したことや、過去親日行為者その子孫財産没収及び財産没収正当化するため、2005年与野党169人の議員国会提出12月8日可決同月29日公布された、親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法通称親日法)など。韓国メディアは、それでも相当分を税金まかなう事になろうだろう指摘している。 5月28日仁川地検特別捜査チームは、兪一族2400ウォン(約239億円)相当の財産に対して起訴前の追徴保全命令裁判所請求した追徴保全額は容疑者の兪1291億ウォン長女492億ウォン長男56ウォン次男559ウォンまた、借名財産探して差し押さえるために関連営農組合法人など対す捜査にも着手した6月10日大統領は、国務会議主催したとされ、会長の兪の検挙のために検警が多く努力をしているが、捕まえられなければ話にならない考える、などとのべ、検察警察叱責した。この中では、不道徳な企業運営国民身体財産大きな被害もたらした場合企業本人財産だけでなく、第3者名義隠されている財産まで徹底的に追跡し没収する必要がある、などと述べた6月20日韓国政府セウォル号船会社である清海鎮海運実質オーナー兪炳彦らに対し、およそ4031億5000ウォン(約404億円)相当の財産差し押さえソウル中央地裁申し立てた差し押さえた財産犠牲者及び遺族への補償とされているが、韓国政府事故被害者として救助捜索作業や船の引き揚げ作業といった費用請求するとされている。 2015年4月5日海洋水産部セウォル号被害者遺族向けて被害補償申請説明会開いたその中で賠償金受けた場合以後政府異議提議しないという誓約を結ばなければならないことに、一部被害者遺族反発一部被害者は、この賠償金申請行ったが、「4・16家族協議会」は、2015年6月29日政府賠償・補償金の支払い拒否し、国を相手取って民事訴訟起こす発表した2015年6月12日海洋水産部は、セウォル号犠牲者国費慰労支援金として1人あたり5000ウォン(約550万円)を支給する発表した。これは損害賠償金とは別扱いとなる。

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