行とは?

こう【行】

[音]コウカウ)(漢) ギョウギャウ)(呉) アン(唐) [訓]いく ゆく おこなう

学習漢字2年

[一]コウ

ゆく。ゆかせる。「行軍行進移行運行逆行血行徐行進行随行直行飛行・平行・夜行・連行」

旅。「紀行壮行旅行

おこなう。おこない。「行為行使行動敢行挙行凶行決行現行施行実行遂行善行素行犯行非行品行励行

書物世に出す。「印行刊行発行

店。「銀行洋行

銀行」の略。「行員

漢詩の一体。「琵琶行(びわこう)」

[二]ギョウ

ゆく。「行幸行商遊行(ゆぎょう)」

おこなう。おこない。「行事行政興行知行奉行(ぶぎょう)・乱行

仏教勤め修練。「行者苦行勤行(ごんぎょう)・修行(しゅぎょう)・難行

人や文字並び。「行間行列改行

世界成り立たせる要素。「五行諸行

漢字書体の一。「行書

[三]アン〉ゆく。旅をする持ち歩く。「行火(あんか)・行脚(あんぎゃ)・行宮(あんぐう)・行灯(あんどん)」

名のり]あきら・たか・つら・のり・ひら・みち・もち・やす・ゆき

難読充行(あてがい)・宛行(あてがい)・行潦(にわたずみ)・流行(はやり)・三行半(みくだりはん)・行縢(むかばき)


こう〔カウ〕【行】

【一】[名]

どこかへ行くこと。旅。「行をともにする」「千里の行も一歩より起こる

人のすること。おこないふるまい行動

楽府(がふ)の一体。もとは楽曲の意。唐代以降は、長編叙事詩的なものが多い。「琵琶行

中国の隋・唐時代営業許され同種の商店集中している区域

中国で、唐・宋以後発達した業種別の商人組合西洋ギルド類似

【二】接尾旅に行くことの意を表す。「単独行」「逃避行


あん【行】

⇒こう


くだり【行】

《「下(くだ)り」と同語源》

【一】[名]

着物の縦のすじ。

「袂(たもと)の—まよひ来にけり」〈三四五三〉

上から下まで一列文章などの行(ぎょう)。

「—のほど、端ざまに筋かひて」〈源・常夏〉

【二】接尾助数詞文章の行を数えるのに用いる。「三行半


ぎょう〔ギヤウ〕【行】

【一】[名]

文字などの、縦または横の並び。くだり。「行を改める」「か行う段

仏語

㋐《(梵)saskāraの訳》十二因縁の一。過去身・口・意三業(さんごう)によってなした善悪すべての行い

㋑《(梵)sasktaの訳》因縁によって作られた、一切無常存在

㋒《(梵)carita, caryāの訳》僧や修験者修行

㋓《(梵)gamanaの訳》住・座・臥(が)とともに四儀の一。歩くこと。

哲学で、行為実践

数学で、行列または行列式で横の並び

表計算ソフトリレーショナルデータベースにおける、横一列データ単位複数データ組み合わせひとまとめしたものロー。⇔列。

行書」の略。「(かい)、行、(そう)」

律令制で、位官連ねて書く際、位階が高く官職が低いときに位官の間に置いた語。⇔守。

正三位兼—左近衛大将」〈宇津保・内侍督〉

【二】接尾助数詞文字などの縦または横の並びの数をかぞえるのに用いる。「16行目」


ぎょう【行】

⇒こう


い・きる【行・往】

〔自カ上一〕 (カ行(四)活用動詞「いく(行)」の連用形カ行上一段活用に再活用した語) =いく(行)

洒落本風流裸人形(1779か)上「ゆふべせん九へいきたか」

[語誌](1)一般四段ナ変カ変サ変動詞連用形語基として上一段に再活用させる口語動詞一つで、語基となる動詞の意味に丁寧さの加わった美化語。これは江戸前期に京大坂の遊里語として生まれ上方女性語として一般化ていった
(2)「お‐いきる(行)」のような形は連用形活用上一段動詞にかなり高い敬意の加わった尊敬語。「祇園町の方へ往(オユキ)たゆへ」〔洒落本老楼志‐上〕は「おゆきる(行)」の例。これは江戸後期文政のころ、京都遊里祇園あたりに発生した言い方か。→「ゆく(行)」の語誌


い・ける【行】

〔カ下一〕 (「いく(行)」の可能動詞

① 行くことができる。

和英語林集成初版)(1867)「コノ ミチワ ikeru(イケル)カ」

② することができる。やっていくことができる。特に、うまくできる。じょうずにやれる。→いけもしない

歌舞伎幼稚子敵討(1753)二「それ、渋と脂とに固まる。いけるものじゃない」

婦系図(1907)〈泉鏡花〉前「学位は持っちゃ居らんけれど、独逸のいけるのは僕が知ってるからね」

③ なかなかいいものである多く美しい、おいしい、すばらしいなどの意に用いる。→いけもしない

洒落本辰巳之園(1770)「『すかねヱ子だがねヱ』『まだなれねヱからさ』『いけるのじゃねヱ』」

鱧の皮(1914)〈上司小剣〉四「鱧の皮、細う切って二杯酢にして一晩ぐらゐ漬けとくと、温飯(ぬくめし)に載せて一寸いけるさかいな」

④ 酒が、相当の飲めるまた、食物が相当の食べられる。→いける口

滑稽本浮世風呂(1809‐13)三「未だ腹(おなか)が能(いい)かと思って、食て見たら、又いける」


ぎょう ギャウ 【行】

1⃣ 〔名〕

仏語

(イ) (梵 sa&msubdot;skāra訳語造作(ぞうさ)の意) 十二因縁一つで、善悪いっさい行為をいう。転じて、いっさい移り変わる存在の意にも用いる。

秘蔵宝鑰(830頃)中「煩悩因縁者謂不正思惟。以此為其因無明縁。無明行為縁。行為因識為縁」

(ロ) (梵 carita訳語行為実践の意) 悟り到達するための修行

法華義疏7C前)一「但就第四嘆徳開為四。第一正嘆徳。第二供養無量以下嘆行。第三以慈修身以下嘆体。第四名称普聞以下嘆名」

平家13C前)五「那智ごもりせんとしけるが、行の心みに、きこゆる滝にしばらくうたれてみんとて」

(ハ) (梵 gamana の訳語) 住、坐、臥と共に四威儀一つで、歩くこと。〔観経疏‐散善義〕

令制官位称する際、官職位階が相当せず、位階官職より高すぎる場合位階官職名の間に挿入する語。→守(しゅ)。

令義解718選叙「凡任内外文武官本位高下者。若事卑為行。高為守」

③ ながくつらなること。並び。列。行列

尋常小学読本(1887)〈文部省〉四「一行、田に下りんとして、にはかにおどろき、行をみだして飛び去る見たり」

文字の縦または横の並び。くだり。〔色葉字類抄(1177‐81)〕

(5) 哲学で、行為実践をいう。⇔知。

(6) 雅楽楽器、笙(しょう)の管名。また、その管の出す音名で、高いイ音。さらに、この音を根音とした五つの音で構成された一つ和音の名をもいう。

(7) 雅楽琵琶で、第三弦の放弦音楽譜では「行」の扁の略記である「ク」を書く。

(8)ぎょうしょ行書)」の略。

才葉抄(1177)「真の筆は立つべき也。行の筆はひらむべき也」

(9) 数学で、行列または行列式の横の並びをいう。

(10)行書のように柔らかみがあるところからいう) 神伝流泳法一つ

2⃣ 〔接尾文字などの縦または横の並びの数を数えるのに用いる。

夜鶴庭訓抄懐中抄)(1170頃)「歌を書く様。二行ならば五七五 一七七 一行 三行ならば五七 一行 五七 一行一行


ぎょう‐・ず ギャウ‥ 【行】

〔他サ変〕 ⇒ぎょうずる(行)


こう カウ 【行】

1⃣ 〔名〕

① 行くこと。出かけること。旅。旅ゆくみち。たびだち

曾我物語南北朝頃)四「千里のかうは、一歩よりはじまる、といふ老子のをしへも」

花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉一「暗夜途に迷て殆んど行(カウ)を失し」〔孟子公孫丑・下〕

② 昔の中国における楽曲の名称。また、その歌詞である楽府(がふ)の題名用いられ、のち詩題多く用いられた。「短歌行」「琵琶行」など。〔文体明弁楽府

つらなること。また、そのもの。特に、文字などの縦または横のならび。連(つら)。列(れつ)。くだり。〔温故知新書(1484)〕

中華若木詩抄(1520頃)中「其なりは、旅雁の飛をくれて、行をなさずして、独り雲路に迷に似たそ」〔春秋左伝隠公一一年〕

おこないふるまい行動行為

太平記14C後)三〇「元来仁者の行を借って、世の譏(そし)りを憚(はばか)る人也ければ」

(5) 中国、隋・唐時代都市内の商業区域業種ごとに集められた同業商店のならびをいう。「銀行」「行」などと使う。

(6) 中国、宋以後都市商人同業組合狭義に「牙行(がこう)」、すなわち仲買商をさすこともある。

(7) 位と官とを併せ示すとき、官名に冠して、位が高く、官の低いことを表わす。ぎょう。

読本椿説弓張月(1807‐11)残「従五位下、行(カウ)対馬嶋守」

(8)ぎんこう銀行)」の略。〔最新百科社会辞典(1932)〕

2⃣ 〔接尾

文字や列などのつらなり数えるのに用いる。ごう。

名語記(1275)四「ふみの一かう二かう如何カウは行也」

銀行の数を数えるのに用いる。

法人資本主義構造(1975)〈奥村宏〉三「短期では富士銀行第一勧銀三和銀行三行主力で」


ごう ガウ 【行】

1⃣ 〔名〕 縫い合わせ袈裟作る細長い布。

玉塵抄(1563)一六沙彌袈裟わ、がうも条もないぞ」

2⃣ 〔接尾〕 =こう(行)(二)

天草本平家(1592)一「チュウモンラウ ニ nig&ocaron;(ニガウ) ニ チャクザ セラレタ」


ゆ・ける【行】

〔カ下一〕 (「ゆく(行)」の可能動詞

① 行くことができる。また、することができる。いける。

受胎(1947)〈井上友一郎〉「『そいで、飯が食てゆけるんか』『そら、あかん。当分まだこっちゃから持ち出しや』」

② 酒が相当の飲めるまた、食べ物が相当の食べられる。いける。

歌舞伎傾城魔術冠(1766)二幕「この辛子漬では、何杯も行(ユ)ける」


くだり【下・降・行・件・条】

1⃣ 〔名〕 (動詞「くだる(下)」の連用形名詞化

[一] (下・降

① 高い所から低い所へ移動すること。また、流れかみからしもへ行くこと。

書紀720斉明四年・歌謡水門(みなと)の 潮(うしほ)の矩娜利(クダリ) 海下(うなくだ)り 後もくれに 置きて か行かむ」

浄瑠璃・本朝三国志(1719)四「片足踏みはづし、はしごをくだりにころころころ」

② (約二時間を単位とする昔の時の呼び方において) 時が移り過ぎて、ある刻限終わり近づくこと。また、その時

高倉院厳島御幸記(1180)「申のくだりに、福原に着かせ給」

③ 都から地方へ行くこと。

源氏100114頃)賢木斎宮の御くだりちかう成ゆくままに」

栄花(1028‐92頃)鶴の林「殿ばら、受領のくだり、僧達などにもわかたせ給ひて」

④ (内裏都城の北にあったところから) 京都の内で、南へ行くこと。

今昔1120頃か)一二「東の大宮を下りに遣せて行くに」

太平記14C後)一七「真如堂西へ打過て、河原を下りに押寄る」

(5)のはずれの方。また、遠く隔たった土地土地の名の下につけて用いる。くんだり

浄瑠璃心中天の網島(1720)上「桜橋から中町くだりぞめいたら」

(6) 程度が低くなること。劣ること。

新撰六帖(1244頃)六「谷さまにはへる峰への玉かつらただくだりにもなる我身かな〈藤原為家〉」

(7) 進むにつれてだんだん下がってゆく道くだりざか

*湯ケ原ゆき(1907)〈国木田独歩〉七「上(のぼり)には人が押し下(クダリ)には車が走り

(8) 鉄道路線で、各線区ごとに定められた起点から終点への方向。現在では、都市(特に東京ないしはそれに近い所を起点としていう。また、下り電車列車)を略していう。

窮死(1907)〈国木田独歩〉「疲労(くたび)れて上り下(クダ)り両線路の間に蹲(しゃが)んだ」

(9) ヒバリ鳴き声の高い方から低い方へ移り行く部分

東京風俗志(1899‐1902)〈平出鏗二郎〉下「雲雀もまた行はれて、上り中天・下(クダ)りの三声の美にして」

(10) (③から転じて) 江戸時代、特に江戸上方(かみがた)の産物をいう。「下り酒」「下り杯」「下り雪駄」など品物の名の上に付けていう場合も多い。

咄本無事志有意(1798)十軒店「『もふ十軒店に下(クダリ)めらが出ているだろふ〈略〉』と大勢づれで雛店へ行(ゆき)」

(11)くだりあめ下飴)」の略。

御湯殿上日記天文二三年(1554)正月一〇日「りしやう院より御くたり一おりまいる」

物類称呼(1775)四「又地黄煎とも書 江戸にては 下りともいふ」

(12) 巡業などで、上方から江戸来ている人。

評判記・難野郎古たたみ(1666頃)玉井浅之丞「いかにしてもしとやかななりふり〈略〉くだりのうちにはさだめて京そだちならばついぢのうちの御ながれかと」

(13) 下痢(げり)。くだりはら

咄本軽口露がはなし(1691)三「翼日(よくじつ)はらもなをりければ、女房いふは、『今朝のくだりは何と有ぞ』」

(14) 南風

風俗画報‐一五二号(1897)人事門「何月は山背(やませ)(東風)なれど何月はクダリ南風)なり」

[二] (行・件・条)

① 上から下へのならび。特に、着物の縦のすじ。

万葉(8C後)一四・三四五三「風の音(と)の遠き吾妹(わぎも)が着せし衣(きぬ)たもとの久太利(クダリ)まよひ来にけり」

仮名草子恨の介(1609‐17頃)上「御上前(うへまへ)のくだりには、恋を駿河富士の嶺を、浮雲が帯となり」

文章で述べられている一部分。章。条。段。

書紀720推古一二四月岩崎本訓)「故に初の章(クタリ)に云へらく」

当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉二〇「僅に説洩せし条(クダリ)を拾ひて」

前文にあげた事柄前に述べた箇所。前の箇条。くだん。

大和(947‐957頃)一六八「この大徳たづねいでてありつるよしを、上(かむ)のくだり啓(けい)せさせけり」

2⃣ 〔接尾文章の行(ぎょう)を数えるのに用いる。

源氏100114頃)梅枝「ただ三くだりばかりに、文字ずくなにこのましくぞ書き給へる」


おこない おこなひ 【行】

〔名〕 (動詞「おこなう(行)」の連用形名詞化

① おこなうこと。行動ふるまい

書紀720允恭八年二月歌謡我が夫子(せこ)が 来べき宵なり ささがねの 蜘蛛(くも)の於虚奈比(オコナヒ)今宵著(しるし)も」

仏道修行勤行(ごんぎょう)。

書紀720天智一〇年一〇月(北野本訓)「吉野に之(まか)りて、脩行(オコナヒ)せむ、と請したまふ」

③ 特に、年頭仏事勤行修正月)。

蜻蛉(974頃)下「などいふほどに、おこなひのほどもすぎぬ」

神事をつとめること。

讚岐典侍(1108頃)上「あしたの御おこなひ、夕の御笛の音

(5) 年頭または春先行なわれる祈祷行事近畿地方中心にいう。もと農事祈願神事であったが、仏教感化を受けて修正会(しゅしょうえ)や修二会(しゅにえ)の行法に似たものがおこなわれている。寺や堂、または村人当屋(とうや)組織でおこなう。

(6) 道徳的見地から見た人の行状身持ち品行。〔日葡辞書(1603‐04)〕

開化のはなし(1879)〈辻弘想〉上「表面(うはべ)の虚飾もなく行状(オコナヒ)正しきをこそ文明とも開化とも云へる事でござる


おこな・う おこなふ 【行】

1⃣ 〔他ワ五(ハ四)〕

順序方式にしたがって、しごとをする。挙行する。実行する。

書紀720天武一一一二月(北野本訓)「然る後其の状を斟酌(はか)りて、処分(オコナヘ)。因りて官判を承けよ」

修行する。ことに仏道修行をする。勤行(ごんぎょう)をする。

書紀720天智一〇年一〇月(北野本訓)「吉野に之(まか)りて、脩行(オコナハ)む、と請したまふ」

③ あたえる。配分する。わりあてる

土左(935頃)承平五年二月九日「このあひだにわだのとまりのあかれのところといふところあり。米(よね)、(いを)など乞(こ)へば、おこなひつ」

食事をする。食べる。

実隆公記長享二年(1488)三月二一日「早朝朝膳進発可参江州御陣之由也」

(5)理する。指図する。

宇治拾遺(1221頃)一〇「頭中将、『さりとてあるべきことならず。これ、諸司下部めして、かきいでよ』とおこなひ給」

(6) 処罰する。制裁する。助動詞「る」を伴った受身の形も多い。

説経節説経さんせう太夫佐渡太夫正本)(1656)上「此事ぢとう聞召しょせんやどかす物有ならば、となり三げん、ざいくゎにおこなふべきと有により」

(7) 女を自由にする。手ごめにする

滑稽本・続膝栗毛(1810‐22)三「ここには女房ないそうだから、きゃつめをおこなってゐるに違ひはねへ」

2⃣ 〔自ハ四〕 順序どおり進行する。

徒然草1331頃)一五五生・住・異・滅移り変る実(まこと)の大事は、たけき河のみなぎり流るるが如し、暫(しばし)も滞(とどこほ)らず、ただちにおこなひゆくものなり


いき【行】

〔名〕 (動詞「いく(行)」の連用形名詞化

① 行くこと。また、出て行く時。行く途中道。

雑俳川傍柳(1780‐83)五「いきに騒でへこたれる野かけ道」

行く先

浄瑠璃夏祭浪花鑑(1745)四「衒(かたら)れた金のいきは、詮義しぬいて御損はかけぬ」


ゆき【行・往】

〔名〕 (動詞「ゆく(行)」の連用形名詞化

① ある場所か離れるように進み動くこと。また、旅に出ること。旅行

古事記(712)下・歌謡「君が由岐(ユキ) 日(け)長くなりぬ 山たづの 迎へを行かむ 待つには待たじ」

目的地に向かって進むこと。また、その時やその途中道。いき。

たけくらべ(1895‐96)〈樋口一葉〉六「願ひ何ぞ行(ユ)きも帰りも首うなだれ畦道づたひ帰り来る」

往復切符で、往路用い乗車券。いき。

日本橋(1914)〈泉鏡花三三「あの往復切符〈略〉其の往(ユキ)か復(かへり)か」

地名のあとに付けて、そこが乗り物の進む目的地であることを示す。

おとづれ(1897)〈国木田独歩〉下「午後四時五十五分横浜行(ユキ)の列車に」


い・く【行・往】

〔自カ五(四)

[一]

① 今いる所か向こうのほうへ進み動く。

(イ) 元の場所か離れるように進み動く。でかける。立ち去る

万葉(8C後)一四・三四九六「の古婆(こば)の放髪(はなり)が思ふなむ心うつくしいで吾(あれ)は伊可(イカ)な」

源氏100114頃)夕顔「などて乗り添ひていかざりつらん」

(ロ) 目的の場所に向かって進む。おもむく

万葉(8C後)二〇・四三七四あめつちの神を祈りてさつ矢貫(ぬ)き筑紫の島をさして伊久(イク)われは」

大鏡(12C前)五「道隆豊楽院、道兼は仁寿殿塗籠道長大極殿へいけ」

(ハ) 先方到達する。遠くに届く。

人情本春色辰巳園(1833‐35)後「こりャあ此方(こっち)の文の行(イカ)ねへ中(うち)に出た文で」

② いったん近く進んで来て向こう離れ去る

(イ) 通り過ぎる。

蜻蛉(974頃)中「ゆきかふ舟ども、帆をひきあげつついく」

(ロ) ある場所を通る。

日葡辞書(1603‐04)「カチヂヲ iqu(イク)」

(ハ) (年月が)過ぎ去るまた、としがいく」「としはがいく」の形で、ある年齢達する。成長する。

浄瑠璃卯月の紅葉(1706頃)中「年はいかねど男を持て大人役

③ (「逝」とも書く) 死ぬ。逝去する。

蓼喰ふ虫(1928‐29)〈谷崎潤一郎一二「いつぽっくりと行ってしまふかも知れないのである

④ (嫁、婿、養子などになって)他家へ移る。

人情本春色梅児誉美(1832‐33)初「養子に行(イカ)しった御宅(おうち)はまあどふした訳で急に身代がたたなくなったので」

(5) 愉快になる。満足する。納得する。

土左(935頃)承平五年二月五日「ぬさには御心のいかねば、みふねもゆかぬなり」

(6) (損、得、満足、納得など)ある結果が生じる。

*虎明本狂言薬水室町末‐近世初)「そなたようがてんのいくようにおしやれ」

(7) 物事行なうまた、生活を維持する。

歌舞伎韓人漢文手管始唐人殺し)(1789)一「頭(かしら)、一つ拳(けん)いきませふか」

浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「是からはどうして往(イ)く積(つもり)だ」

(8) 物事が行なわれる。事が運ぶ

玉塵抄(1563)一七「晉の国の乱のいかうずをみて、図を以て吾がふる里え帰た心か」

坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉三「学校それでいいのだが下宿の方はさうはいかなかった」

(9) 物事を相当な程度やることができる。

和訓栞(1777‐1862)「いく〈略〉可成事をいくといひ」

(10) ある基準目標などに達する。「売り上げ目標まで行く」「視聴率が三〇パーセントいった」

(11) 性交快感絶頂達する。

[二] 補助動詞として用いられる。動詞連用形助詞「て(で)」を添えた形に付いて、動作作用継続進行表わす

浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉三「自然は己(おの)が為(す)べき事をさっさっとして行(イ)って」

[補注]和歌では「生く」を掛けて用いことがある

[語誌]「いく」「ゆく」は合わせ用いられる。「万葉集」では「いく」の仮名書き例すべてが字余り句なので、上代ではその使用何らかの音韻観念違いあったようだが、使用度については室町を過ぎる頃まで「いく」が劣勢だった。「いく」はアシユクの約言イユク中略ともいわれ〔碩鼠漫筆〕、「ゆく」より新しい俗な形であったかともいわれるが明らかではない。逆に「ゆく」の古形という説〔万葉集辞典=折口信夫〕もある。


ゆ・く【行・往・逝】

〔自カ五(四)

[一]

① 今いる所か向こうの方へ進み動く。

(イ) ある場所か離れるように進み動く。

書紀720斉明四年一〇月・歌謡水門(みなと)の 潮のくだり 海(うな)くだり 後も暗(くれ)に 置きてか庾舸(ユカ)む」

宇治拾遺(1221頃)二「希有の人かなと思て、十余町ばかり、具してゆく」

(ロ) 目的の場所に向かって進む。赴く

古事記(712)中・歌謡「摘み我が由久(ユク)道の」

伊勢物語(10C前)九「あづまの方に住むべき国もとめにとてゆきけり」

(ハ) 先方到達する。また、訪問する。

万葉(8C後)五・七九五「家に由伎(ユキ)ていかにか吾(あ)がせむ枕づく妻屋さぶしく思ほゆべしも」

大和(947‐957頃)一四一山崎に、もろともにゆきてなむ、舟にのせなどしける」

② あるところを通過して進む。

(イ) 通り過ぎる。通行する。

古事記(712)中・歌謡「海処(うみが)由気(ユケ)ば 腰泥(なづ)む 大河原の 殖(うゑ) 海処は いさよふ」

古今(905‐914)春上・二二「春日野若菜つみにやしろたへのふりはへて人のゆくらん〈紀貫之〉」

(ロ) 流れ去る。また、風が吹き通る

書紀720清寧二年・歌謡稲むしろ 川そひやなぎ 愈凱(ユケ)ば 靡き起き立ち その根は失せず

方丈記1212)「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとのにあらず」

(ハ) 年月過ぎ去るまた、年をとる。ある年齢達する。

万葉(8C後)一〇・二二四三秋山霜降り覆ひ木の葉散り年は行(ゆく)とも我れ忘れめや」

湯葉1960)〈芝木好子〉「歌のほうは歳がゆくにつれて忘れっぽくなった」

③ 道などが通じる。

万葉(8C後)二・二三四「三笠山野辺ゆ遊久(ユク)道こきだく荒れにけるかも久にあらなくに

④ (逝) 死ぬ。逝去する。

大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)九「已に遊(ユケ)る魂上帝に招かれ」

母の死と新しい母(1912)〈志賀直哉〉三「汐の干くと一緒に逝くものだと話して居た」

(5) (嫁、婿、養子などになって)他家へ移る。

大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)九「姉一人有り。羸州の張民に適(ユケ)り」

渋江抽斎(1916)〈森鴎外〉一〇七「五百(いほ)は潔く此家を去って渋江氏に適(ユ)き」

(6) (「心がゆく」の形で) 愉快になる。満足する。→ここちゆくこころゆく

万葉(8C後)三・四六六「吾が屋前(やど)に 花そ咲きたる そを見れど 情(こころ)も行(ゆか)ず」

(7) 物事進行する。行なわれる。→ことゆく

愚管抄(1220)三「万機沙汰のゆかぬやうになるとき」

当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉三「二進(にっち)も三進(さっち)も、ゆかなくなった時には

(8) (損、得、満足、納得など)ある結果や状態が生じる。

咄本昨日は今日の物語(1614‐24頃)上「色々案じても合点ゆかず」

明日への楽園1969)〈丸山健二〉四「そうはゆきません」

(9) 性交快感絶頂達する。

[二] 補助動詞として用いる。動詞連用形、または、それに助詞「て(で)」を添えた形に付いて、動作・状態の継続進行表わす

万葉(8C後)一七・四〇〇三「万代に 言ひ継ぎ由可(ユカ)む 川し絶えずは」

伊勢物語(10C前)六「やうやう夜もあけゆくに」

[語誌](1)同義語に「いく」があるが、使用頻度は、室町期を過ぎる頃まで「ゆく」が優勢であった。「ゆく」は和歌のほか文字言語、ことに訓点資料多く用いられた。音便形の「ゆいて」も、おおむね訓点資料抄物見られる
(2)慣用句は、より古い時代出来たこともあって、古雅な「ゆく」の形をとることが多い。なお、上代見られた「いゆく」の「い」は動詞に付く接頭語である。→「いく(行)」の語誌


ゆこ【行】

動詞「ゆく(行)」の連体形に当たる上代東国方言

万葉(8C後)一四・三五四一「崩岸辺(あずへ)から駒の由胡(ユコ)のす危(あや)はども人妻児ろを目(ま)ゆかせらふも」


ぎょう‐・ずる ギャウ‥ 【行】

〔他サ変〕 [文]ぎゃう・ず 〔他サ変

物事行なう。する。ふるまう。

今昔1120頃か)二九「然て媱(いん)を行じつる時に

仏道などの修行をする。

観智院三宝絵(984)中「孔雀王咒をならひ行じて」

③ 行く。歩く。

今昔1120頃か)一「四方に各七歩を行(ぎゃう)ぜさせ奉る


行列において、横の並びを行といい、上から順に第1行、第2行・・・と呼ぶ。

参考

読み方:オコナイ(okonai)

平安時代修正会修二会や、それらの影響を受けた年頭祈願行事のこと。


読み方:ギョウ(gyou)

令制の位に対して低い官を示す字。


読み方:テダテ(tedate)

手段方法


読み方:ぎょう
分類:製品

畳表縦糸方向折り目畳表の目のこと。

読み方:いく

  1. 行。性交の際快美高潮達し淫汁を洩らすこと。俗にきがいく」といふ。支那にては「〓」と書く。「あれさもう牛の角もじ曲みもじ」の句はこの「いく」を隠し詠め大破礼句なり。
  2. 射精す。支那語で「〓」と書く。
  3. 男女交接の際快感頂点に達すること。

読み方:こう

  1. 銀行略語である。〔刑事
  2. 〔隠〕銀行略語
  3. 銀行の略。
  4. 〔犯〕銀行略語
  5. 銀行省略語。〔盗〕

分類 刑事犯罪者犯罪語、盗/犯罪


読み方:ゆき

  1. 夜明ケ頃屋内侵入窃盗犯。〔第三類 犯罪行為
  2. 夜明け忍び込む賊。盗賊用ふ隠語
  3. 〔犯〕夜明け頃に忍込む賊のこと、夜が行くころにという意から出た語。

分類 犯罪者盗賊

隠語大辞典は、明治以降の隠語解説文献や辞典、関係記事などをオリジナルのまま収録しているため、不適切な項目が含れていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

読み方
ぎょう
ぎょうとく
なめかた
なめき
ゆき

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/23 08:55 UTC 版)

ゆき、いき




「行」の続きの解説一覧

出典:『Wiktionary』 (2019/07/01 14:01 UTC 版)

発音

名詞

  1. ギョウ文書等において、縦方向または横方向に連続した文字並び
  2. ギョウ)(数学行列および行列式における横方向への並び対義語
  3. ギョウ)(仏教修行
  4. ギョウ)(仏教働き一定方向作用していくこと。意志作用五蘊ごうんのひとつ。
  5. コウ)ある場所へ行くこと。
  6. くだり文書の縦の並び

接頭辞

  1. 歴史一般には「コウ」、時折ギョウ」)位階官職とを併記するとき、官職に冠して、位階が高く、官職の低いことを表わす

対義語

造語成分

  1. コウ銀行に関する語を構成

熟語



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