軍用派生型
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「スプリングフィールドM14」の記事における「軍用派生型」の解説
M14・M21には、スプリングフィールド造兵廠だけでなく、民間会社の方のスプリングフィールド・アーモリー社製の製品も存在することに留意されたい。 M15 M15は、ブローニングM1918自動小銃の代替を想定して設計された分隊支援火器モデルの1つである。重銃身および重銃床、ヒンジ付き台尻、二脚、フルオート射撃への切り替えレバーなどが追加されていた。また、負革はM1918自動小銃のものをそのまま使用した。しかし、試験の結果、ヒンジ付き台尻と二脚のみ追加したモデル(M14A1の前身)がM15とほぼ同様の性能を発揮したため、運用は短期間に留まった。 M14E1 M14E1は、折りたたみ銃床のテストバージョンで、空挺隊員や装甲車輌乗員のために開発された。制式化はされていない。 M14A1/M14E2 M14の木製銃床を直銃床・独立握把にして、折り畳み式の前方握把を追加し、フルオート射撃時の操作性と安定性を向上させようとした。主に分隊支援火器としてBARの代替を狙ったものであるが、BAR同様の欠点である予備の銃身との交換ができないことと、ベルト給弾方式ではないため連続持続射撃能力が欠如していることより、その存在価値を高くは評価されていない。加えて、全備重量がBARよりも軽量であるため、フルオート射撃時の操作安定性がBARよりも明らかに劣り、代替火器とはなり得なかった。付属品としてM2二脚架(バイポッド)がある。また、特徴的な銃床にもいくつかのバリエーションがあり、銃床内小物入れが無いものもあるので、清掃用具などを収納し別途携行するための専用アクセサリーポーチも存在する。1963年にM14E2として制式化され、1966年にM14A1として再制式化された。 M21 詳細は「M21狙撃銃」を参照 M14は、ベースとなったM1ガーランド同様に400-500m程度の中遠距離での命中精度が非常に良好な銃として知られているが、その特性を昇華した狙撃専門モデルがM21である。軍用M21の特徴としてはレザーウッドまたはレッドフィールド製3-9x ART(Automatic Ranging Telescope)スコープを装備、銃床と銃床内部の金具の加工をした上での機関部のベディング加工や、ガスブロックとフロントバンドの一体化加工により銃身を銃床からフリーフロート化するなど、各部パーツを狙撃に適した形状に加工・変更するなどの改良を施した。さらに、フロントサイトブレードを薄いものに交換し、リアピープサイトの穴径をより小さなものとし、かつ90度回転させることで微妙な修正ができるものとした上で、リアサイトの上下方向の1クリックを細かくし、リアサイトの移動量をより細かく修正できる精密照準装置などを付加し、待ち伏せ狙撃よりも、前線での野戦狙撃に適した物となっている。 米陸軍で使用されているM21と、民間会社であるスプリングフィールド・アーモリー社で現在生産・販売されているM21(民生型)は全く別物であることに注意すべきである。M21民生型は、アメリカの警察などでも運用され、広く活躍している。 民生型のM21は日本にも輸入され、その当時純然たる軍用M21と混同されて所持許可の判断に混乱が生じたこともあったが、その後、最終的に両者は正しく区別されて所持許可の交付も受けられたこともある。しかし、現在はたとえ営業戦略上の理由であってもTacticalとメーカーが謳ってしまっているため、その限りではない。 M25 M21からフロントサイトを廃し、独特のマズルブレーキを備えたモデル。ストックもマクミランM3Aストックに変更された。他のSpringfield製M1A派生モデルと同じく、M21とは大きな違いがあるわけではない。 M14 DMR 詳細は「M14 DMR」を参照 米海兵隊で採用されているモデル。DMRは Designated Marksman Rifle の略。マクミラン社製銃床・ハリス社製バイポッド・リューポルド社製スコープ(M1/M3系)・スコープマウント(ブルックフィールド社設計同等品)などの装備が写真でも確認されている。銃身は銃身基部からオペレーションロッドガイドまでが太い、いわゆるMidium Contour Barrelに交換されている。大量に保管されているM14の中から程度の良いものを抽出して、各部品を交換し組み上げられており、作業は全て海兵隊内の専門のデポで行われている。 M14 SMUD "Stand-off MUnition Disruption"の略。爆発物処理隊員により、不発弾処理に使用される。M14ナショナル・マッチ・ライフルにスコープを取り付けて制式化したもの。 M14K サンディエゴのLa France Specialities社により設計され、アリゾナのスミスエンタープライズ社で製造された。M60機関銃の部品を流用して、連射時の発射速度を可変としている。 M14SE クレイジーホース アメリカ軍特殊部隊向けにM14を改良した銃。スミスエンタープライズにて製造されている。銃身はいわゆるMidium Contour Barrelの4条ライフリングのものに交換されている。メーカーでは各部品の通販も行っており、クレイジーホース専用パーツを民間向けにも販売している。2004年にSOCOMが正式採用した。 このメーカーは着眼点が良く製作精度も高く、以前より民間市場向けにM14/M1A系のマウントベース、部品・アクセサリー類を多く製作しており、その名称に反して、奇をてらった外観はいっさいなく、従来の外観を踏襲しており、ボルトストップの大型化やサプレッサー搭載時にもバックアップ用として使用できるフロントサイト、スコープやダットサイト使用時にも頬付けしやすいように可変式チークピースを装備するなど実用的で堅実にまとめ上げられている。 Mk14 EBR / M39 EMR / M14 EBR-RI M14 EBR (英語) M39 EMR (英語) 米海軍Mk14 Enhanced Battle Rifle(EBR:強化型バトルライフル)は、7.62x51mm NATO弾を使用するマークスマンライフル。M14バトルライフルの派生型であり、元々はUS Navy SEALs、Delta ForceなどのUSSOCOM(米特殊作戦軍)向けに製作されたものである。それらのEBRは選抜マークスマン向け、近接戦闘向けに18インチ銃身を装備している(Mk14 Mod0、Mk14 Mod1)。 Mk14 EBRの試作は、よりコンパクトなM14バトルライフルの試作を求めたUS Navy SEALsの要求により、2000年に始まった。2001年にマイク・ロック・ライフル・バレルズ社は、米特殊作戦軍からの要請により、伸縮式銃床(ストック)、望遠照準用レール付きのアルミニウム製シャーシなどのSOPMOD(米特殊作戦軍のアクセサリー・キット)を使用したモデルの開発を開始した。マイク・ロックは、新ライフルを試作するに当り技術者ジム・リボーディーと協力した。テストの結果、彼らが試作したライフルは有効であるが、過度の騒音が問題として指摘された。 2003年にロン・スミスとスミス・エンタープライズ社は、M14 EBRの独自バージョン(Mk14 Mod0 type SEI)を試作した。ミディアム・ヘビー級の18.0インチ銃身を使用し、ロックとリボーディーにより試作されたライフルよりも広く好評を得た。結果として、スミス・エンタープライズ社製の試作品に基づき、スプリングフィールド・アーマリー社の協力を得てNSWC Crane部門によりMk14 Mod0が製造されることとなった。 US Navy SEALsが2004年に最初にEBRを配備した軍隊となり、その後米空軍、米沿岸警備隊(22インチ銃身)が後に続いた。 米海兵隊もEBRを検討したが、M14 DMRを更新し独自仕様のM39 EMR(Enhanced Marksman Rifle)(22インチ銃身)を開発することとした(2008年配備)。 米陸軍は、2008年にM14 EBR-RIライフルを配備。M14EBR-RIは、標準重量の22.0インチ銃身およびUSGI火炎制退器(共に元来のM14同様)を装備するなど、細部は米海軍のMk14 Mod0、Mk14 Mod1と異なる独自仕様である。2010年から銃身の異なる(銃身長は22インチのまま)モデルを追加し、アフガニスタンへ展開する歩兵小隊向けに2種類のM14 EBR-RIライフルを利用可能とした。 なお、米海軍は、2011年より22.0インチ・ヘビーバレル(銃身)を装備したMk14 Mod2を配備した(火炎制退器はMod0と同じSEI 2000V)。 Mk14 EBR / M39 EMR / M14 EBR-RIは、基本的には、セージ・インターナショナル社製の嵌め込み式シャーシ・ストック・システムへ、M14標準の機関部をネジ止め装着したもの。シャーシ・ストック・システムは、航空機用の軽量合金から構成され、可変バットストック(銃床)、ピストル形グリップ、二脚、銃身を囲む4本のピカティニー・レールなどを装備している。かなり大規模な改修が施され、元の原形はほとんど留めていないものの、中身はM14そのものである。 人間工学に基づき低反動でユーザー・フレンドリーな武器である、ユーザーの好みに応じ様々な光学オプションおよび付属品を残している、「全ての余剰なM14を現代的なバトル・ライフル」へ変更するために有効な低コストのプラットフォームである、などと賞賛されている。 M14に対する全ての不満点に相応の配慮がなされて設計されており、M14の性能と近代部品を統合した究極のバトルライフルの一つの具体例だという意見もある。同様のトレンドは現行型AR-10のSIR追加型、DSA/FALのSIR風改修型でも試行されており、相応の成果を得ている。 しかし、実戦投入の拡大につれ、過度の重量に対する苦情の声が挙がり、更新モデルが導入されつつある。 2012年より、米海兵隊はM39 EMRの更新として、M110 SASSの配備を開始した。その後更に、2018年5月に米海兵隊はM110 SASSの更新として、H&K G28から派生したM110A1 CSASSの受取を開始した。なお、M39 EMR、M110 SASS、M110A1 CSASSの3機種共に、遠距離射撃に適したM118LR弾薬を使用する。 2017年初頭、米陸軍は小隊と分隊用のマークスマンライフルの新型の検討を開始した。米陸軍は2009年からM14EBRを使用しているが、戦場から帰還した際に整備する必要があり、無装填で15 lb(6.8 kg)と重量に問題があった。 新型のマークスマンライフルは、望遠照準器ではなく簡易な光学昭準器が取り付けられ重量が約11ポンド(5.0 kg)、標準のM80A1 7.62 mm弾を使用する銃として、各戦闘部隊に装備される予定である。2018年3月、米陸軍は、H&K G28から派生したM110E1 SDMRを、標準のマークスマンライフルとして配備することを発表した。 バリエーションMk 14 Mod0Mk 14 Mod0 / Mk 14 SEIMk 14 Mod1Mk 14 Mod2M39 EMRM14 EBR-RIM14 EBR-RI NMM14 T使用機関海軍/空軍 空軍 海軍 海軍 海兵隊 陸軍 陸軍 沿岸警備隊 製造期間2004 – 2005 2004 – 2008 2006 2011 2007 2008 – 2011 2010 2005 製造NSWC Crane Smith Enterprise, Inc. NSWC Crane NSWC Crane PWS Quantico Rock Island Armory – TACOM Rock Island Armory – TACOM NSWC Crane 生産数1,000 125 500 - 250 700 6,200 N/A 500 シャーシSage M14ALCS Sage M14ALCS (Milled Rail) Sage M14ALCS/CV Sage M14ALCS/PMRI-HB Sage M14ALCS (Milled Rail) Sage M14ALCS Sage M14ALCS/PMRI Sage M14ALCS 塗装NSG NSG Tan NSG NSG Black (NSG – rare) Black NSG ピストルグリップSage 90905 Sage 90905 TangoDown BG-16 FDE Sage M14ERGO Sage 90905 Sage M14ERGO Sage M14ERGO Sage 90905 ハンドガードBlack Full Black Full Tan Short Black Full Tan Full (Black Full - rare) Black Full Black Full Black Full 垂直フォアグリップSage M14VFG (90906) Sage M14VFG (90906) TangoDown BGV-MK46 FDE - - Sage M14VFG (90906) - Sage M14VFG (90906) バットストックSage M14ALCS-BS Sage M14ALCS-BS Sage M14ALCS/CV-BS Sage M14ALCS/PMRI-BS Sage M14ALCS-BS Sage M14ALCS-BS Sage M14ALCS/PMRI-BS Sage M14ALCS-BS 拡張バットストック – - - Sage M14VABEK/PMRI Sage M14BEK (90911) - - - セレクターSwitch Switch Lock Lock Lock Lock Lock Switch 銃身SAI 18" Std. 1-11 ("Bush") SEI 18" Std./Med. 1-10 SAI 18" Std. 1-11 ("Bush") 22" Heavy 1-10 Kreiger 22" Med. 1-12 (DMR) USGI 22" Std. SEI 22" Med. 1-10 USGI 22" Std. フラッシュハイダーSEI 2000V SEI 2000V SureFire FH762KM14 SEI 2000V USGI (NM) USGI (NM) USGI (NM) SEI 2001 サプレッサーM14 Direct Connect sound suppressor M14 Direct Connect sound suppressor SureFire 762K-DE Wind Talker sound suppressor - - - - フロントサイトXS USN2 (11-2166-580-1) XS USN2 (11-2166-580-1) XS USN2 (11-2166-580-1) - USGI (NM .062) USGI (NM - rare) USGI (NM - rare) XS USN2 (11-2166-580-1) リアサイトXS Large Aperture (0.125") XS Large Aperture (0.125") XS Large Aperture (0.125") - USGI (NM - rare) USGI (NM - rare) USGI (NM - rare) XS Large Aperture (0.125") ガスロックSEI 2013 (GLFS-D-18) SEI 2013 (GLFS-D-18) SEI 2013 (GLFS-D-18) USGI USGI USGI USGI USGI ガスシステムUSGI SEI 2071, 2075, 2076 USGI SEI 2071, 2075, 2076 USGI USGI SEI 2071, 2075, 2076 USGI オペロッドスプリングガイドUSGI USGI USGI USGI (NM) USGI (NM) USGI USGI USGI ボルト ストップ/リリースSEI 2003 SEI 2003 SEI 2003 SEI 2003 USGI USGI USGI SEI 2003 オプティックLeupold Mk 4 1.5-5x (67905) Leupold Mk 4 3.5-10x (67940) Nightforce NXS 2.5-10x24mm FC-2 w/ZeroStop Nightforce NXS 3.5-15x50mm MIL-DOT w/ZeroStop S&B 3-12x50mm (M8541) Leupold Mk 4 3.5-10x (51850) Leupold Mk 4 3.5-10x (51850) S&B 1.1-4x PM ShortDot Leupold Mk 4 3.5-10x (51850) AN/PVS-27 Night Vision (MUNS) スコープリングBadger 306-29 (30mm) SEI 7008 (30mm) Nightforce A118 (30mm) Nightforce A107 (30mm) Badger 306-75 (34mm) Leupold 61049 (30mm) Leupold 61049 (30mm) LaRue LT-139 (30mm – Lever) スコープマウントSage M14SCSB SEI 2006 Larue LT-608 NSWC Crane SEI 2006 Sage M14DCSB Sage M14DCSB LaRue LT-139 (30mm – Lever) バイポッドHarris 1A2-BRM Harris 1A2-BRM Tangodown ACB-4 FDE Atlas BT10 or BT10-LW17 Harris S-BRM Harris 1A2-L Harris 1A2-L Harris S-BR or S-BRM バイポッドアダプタKAC 98060 KAC 98060 - - KAC 98060 KAC 98060 KAC 98060 LaRue LT-130 (Lever) つり帯Buffer Tech. TAS-M14 Buffer Tech. TAS-M14 Eagle Ind. FNH-ESS 1.25-DEB M60 Sling (1005-00-312-7177) Buffer Tech. TAS-M14 弾庫カウント2 2 5 6 7 運搬ケースEagle DC-M14 Pelican iM3300-X0000 and Eagle DC-M14-EBR-KH Pelican 1750-000-110 マルチツールBondhus 67255281 Bondhus 67255281 Bondhus 853485 (and 736540?) Bondhus 784285 Bondhus 13026063 Bondhus 13026063 Bondhus 67255281 その他のコンポーネントFalcon/ERGO 4373CB Falcon/ERGO 4373CB Trijicon RMR 4MOA X-Treme V2 EBR Trigger Shoe SPA Defense SIMRAD B0634 Sage M14SCSB SEI Trigger Parts Kit (2060) Wilcox Red-Dot Mount (35101P01) BFG RMFL-125 Sling Mount (2) KMW Pod-Loc (875) Falcon/ERGO 4373CB SEI Op Rod Spring Magpul CTR FDE Sage PMRI-FR Magpul PTS CTR 1.25" Riser FDE Falcon/ERGO 4373BK Tangodown BP-4 FDE (2) Caldwell Blind Bag (247261) Tangodown BP-4K 2PANEL FDE AWC G2 詳細は「AWC G2」を参照 AWC社が開発したM14ベースのブルパップ方式の狙撃銃。 57式歩槍 M14退役後に製造機材一式を購入した中華民国では、中華民国軍向けにM14の生産を行った。この中華民国製M14は1968年、すなわち民国紀元57年に採用されたことから57式歩槍という制式名を与えられた。65式歩槍などの近代的アサルトライフルの採用後も、アメリカ軍におけるM14と同等の用途に使用され続けている。米国のMIL規格にほぼ準じて製造されているため、銃自体は生産地が違うだけでM14とほぼ同じ物である。 TEI M89SR イスラエル、TEI(TCI)社が開発したM14ベースのブルパップ方式の狙撃銃。 ノリンコ製M14タイプ ノリンコの通称で知られる中国北方工業公司(NOrth INdustries COrporation, 略称:Norinco)ではM1Aのデッドコピー品をM305として販売しており、現在では米国や欧州でも広く流通している。外見や機能はオリジナルの米国製M1Aと大差なく、比較的安価である。また、フルオート射撃が可能な軍用型コピー品はM14Sとして販売されている。
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