日本における別荘とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 日本における別荘の意味・解説 

日本における別荘

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/03 22:55 UTC 版)

別荘」の記事における「日本における別荘」の解説

日本では古く別業べつぎょう)とも呼ばれ天皇貴族邸宅を都の郊外風光明媚な地に別業天皇場合離宮)を置く例があった。平安京京都)では、嵯峨白河鳥羽宇治・山周辺などが有名であった。そのほとんどは現在失われてしまったが、平等院大覚寺のように別業離宮一部由来する寺院存在している。 明治時代布教技術発展のために来日した宣教師お雇い外国人本州各地避暑地別荘地開拓その後政治家財閥華族等のエスタブリッシュメントが彼らを真似て西洋風別荘レジャーを楽しむようになり、学者文化人など西洋文化洗礼受けた層も別荘求めようになった関東地方では湘南鎌倉鎌倉山が有名)・江の島葉山大磯など、近畿地方では北摂宝塚箕面、また須磨芦屋六麓荘町が有名)など、海や山を近く臨めるような地や、郊外里山丘陵地農村などを選んで構え別荘別邸設け個人余暇のほか、接待、また隠居所などとして使用したが、これらは大半東京・大阪の都市近郊交通網発達に伴い大都市圏膨張都市化の波に飲み込まれ戦後まで大半通勤住宅地化別荘地ではなくなっている。六甲山中禅寺湖日光)・箱根軽井沢御殿場などの高原・山地帯明治時代外国人によって避暑地別荘地として開拓されたが、こちらは多く都市化の波に飲み込まれず、未だ別荘地としての命脈保っている。なかでも軽井沢は、別荘地としての開拓早ささることながら別荘地量的発展、つまり別荘戸数増加が、他に類例がないほど早く明治期時点で既に全国で最も別荘外国人別荘)の多い地域となった人気知名度その後途絶えることなく、現在でも最も有名な別荘地として知られている)。なお数奇な歴史を持つ別荘地として南禅寺界隈別荘群があり、こちらも別荘地として現在まで存続している。 大正時代には、前述軽井沢箱根などに、大手資本広大な山林原野取得し別荘地開発行いレジャー用贅沢品一種として別荘一般に販売されるようになった当初山荘別邸というより手狭簡易な山小屋程度の物が多かったが、都市部富裕層中心に人気呼んだ戦後もこの流れ続き軽井沢箱根をはじめ、蓼科野尻湖山中湖那須清里房総伊豆高原伊豆半島伊豆諸島など、大都市圏から離れた山間部海岸別荘地開発された。 バブル景気の際にはリゾートマンション相次いで建てられたり、大洋村など別荘地ではなかったところにまで開発の手伸びた。本来の利用目的ではなく投資投機目的うたって各地開発分譲が行われた例も数多いこのためバブル期開発され別荘地は元々の条件悪く利用価値の低い場所や、道路すら造成されず整備自体がろくに行われてないよう土地もあり、バブル崩壊とともに売却されたり、放置され荒地廃屋となったりしている物件見られる原野商法やそれに近い詐欺的手法辺鄙な場所の土地建物売り付けた例も少なくないバブル期以降一部別荘地はなお活況維持しているものの、ニーズ変化長期間に及ぶ個人消費落ち込みなどから日本全体においては旧来型の浮世離れした避暑別荘レジャー終息向かいつつある。バブル期みだりに開発行った新興別荘地廃れた大方の別荘値崩れしている上に売れず衰退する別荘地増えている。またレジャー多様化により別荘取り巻く環境変化しており、所有する別荘同士交換し海外の高級別荘へのロングステイを楽しむ、といったホームエクスチェンジの様な新たな別荘活用法模索する所有者増えてきている。新幹線開業自家用車普及商業施設充実などにより、一部別荘地では観光地化して別荘利用者以外の層を誘客している場所もある。 別荘地定住移住する層も現れレジャーではなく田舎暮らし向けの林間住宅地化し始めている事例や、大都市比較的近い地域では単なる郊外住宅地ベッドタウンとなっている場所も見られる一部別荘地所在自治体では別荘地定住移住する層の転入により人口増加しているほか、自治体全体では人口減少しているにもかかわらずその自治体内の別荘地リゾートマンション住民増えているという例もある。ただ別荘利用者などの定住長期滞在リタイア組が多く占めており、他地域からの転入者によって予測上の高齢化進んでいる。レジャー施設であるという別荘本質から言えば別荘地ではあり得ないはずの医療・介護などの問題起きている。低収入且つ生活力乏しく日常の移動容易ではない高齢者が、公共サービスの提供やライフライン維持管理において一般住宅地と同一ではない別荘地集住することによるスラム化の懸念など、これまでには想定されていなかった課題生じている。スラム防止健全な風俗維持良好な環境保全のため自治体休養地、学校宗教団体など公益法人厚生施設企業保養所として先に分譲し、残った小型区画個人割り当てる販売方法をとる業者や、民泊利用貸別荘営業規制掛ける方針明示した別荘地所在自治体現れている。 管理次のような問題もある。 長期間不在とするため、建物管理上の問題発生しやすい(例:風水害による窓ガラス屋根破損凍結による水道管破裂等)。 一般住宅同様、租税公課課されるほか、住民票置いていない所であっても別荘所在する市区町村から住民税均等割課税される別荘利用者自治体地元一般住民公共料金負担巡って対立するケースがある。別荘使用盛んなシーズンそうでないシーズンの間には、水道などの社会資本需要大きな格差生じるが、地元自治体必要な需要賄うべく前者あわせた規模整備を行わなければならない。だが、それは地元自治体居住している人口規模に対して過剰にならざる得ず普段そこまで需要を必要としない地元一般住民の間には負担過重訴えて過剰分を別荘利用者転嫁すべきだと言う声もある。例えば、清里のある高根町(現・北杜市)では別荘利用者に対してのみ水道料金1998年に3倍以上に引き上げている。 1960年1970年代高度経済成長期別荘ブームバブル期大掛かりな開発により、大規模販売がされたものの、分譲会社管理会社倒産破産してしまい、住民管理組合自治会設立して運営をしなくてはいけないケースも多い。また、水道私営尚且つ、無認可水道場合もある。(例・株式会社大都破産による伊豆エメラルドタウン管理組合)。 また各別荘地では所轄郵便局配達便宜上別荘別荘地内を区分し個々別荘に「ハウス番号」等と呼ばれる数字アルファベットなどを付けており、宅配業者などもこれを利用している。別荘にも住居表示のように掲げられているが、これらは住居表示に関する法律とは無関係記号であり、住民基本台帳法上の住所地番とも異なる。 別荘本質日常生活を送る住居ではなく余暇のためのレジャー施設である。税制上も「生活に通常必要でない資産」、即ちゴルフ会員権競走馬宝石貴金属骨董品等と同様の贅沢品としてとして取り扱われ、「主として趣味娯楽保養又は鑑賞目的所有する不動産」として定義されている。しかし夏や冬の間だけ過ごしたり、長期休暇中のみ使用するといった一時滞在のための施設ではなく週末郊外生活するためのものや、遠距離通勤者が職場近く身を置くための仮住まいといった、日常生活上長期間継続して反復される滞在使用される物件については「セカンドハウス」として生活必需品取り扱い受けられる場合がある。これは家族離れ離れになって暮らす単身赴任解消、二拠点居住二拠点生活デュアルライフのようなライフスタイル多様化1992年平成4年)の農林水産省による「グリーンツーリズム提唱などの諸政策を反映したのである週末生活するための住居中には単なる郊外ではなく風光明媚な地や農山漁村温泉地などで山歩き散策湯治園芸魚釣りマリンスポーツど田舎暮らしを楽しむため、つまり本質においてはレジャー施設大差ないものとしてとして使われている例もあるが、ひと月一度1泊2日以上過ごす物件についてはこれを「セカンドハウス」と認定している。地方自治体に「セカンドハウス」であると認められ住居は、不動産取得税固定資産税都市計画税軽減など税制優遇される場合がある。これは別荘地建っているか否かといった立地を問うものではなく日常用途充てられていればセカンドハウス」として扱われるが、その要件自治体定めところによる。 2019年総務省発表したデータによれば別荘所有率は普通世帯全体のわずか0.7%となっている。また2008年同じく総務省発表したデータによれば年収2000万円上のいわゆる富裕層世帯においても、別荘所有率は7.6%という割合にまっている。ただしこれらの割合は、普通世帯世帯員が現在居住している住宅又は住宅以外の建物のほかに住宅所有共有場合を含む)している場合のみを表しており、法人名義の住宅含まれていないため、実際よりも過小数値になっている可能性はある。

※この「日本における別荘」の解説は、「別荘」の解説の一部です。
「日本における別荘」を含む「別荘」の記事については、「別荘」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「日本における別荘」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「日本における別荘」の関連用語

1
2% |||||

日本における別荘のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



日本における別荘のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの別荘 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS