日本における判例の法源性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 09:19 UTC 版)
日本における判例の法源性については学説が分かれている。 裁判所法第10条第3号は「憲法その他の法令の解釈適用について、意見が前に最高裁判所のした裁判に反するとき」は大法廷で判断することが必要であると定める。すなわち、現行制度は最高裁判所の判例につきその変更は慎重な手続を設けて、容易に変更ができないようにしているのである。また、最高裁判例に反する下級審の裁判があったときには法令解釈の違背があるとして取り消すことができる。法令の安定的な解釈と事件を通しての事後的な法令解釈の統一を図るためであり、最高裁判所の判例には後の裁判所の判断に対し拘束力があるものと解釈されている。 同一事件について上級裁判所が下した判断は、当該事件限りにおいて下級裁判所を拘束する(裁判所法4条)。これは、日本法上判例または裁判例が有する法的拘束力の一例であるが、審級制が採用されている以上当然の帰結であるとされる。 ある判決が最高裁判所の判例や大日本帝国憲法下の大審院・高等裁判所の判例に反する場合、刑事訴訟で上告理由となり(刑事訴訟法405条2号3号)、民事訴訟で上告受理申立理由となり(民事訴訟法318条1項)、また許可抗告事由(民訴法337条2項)となる。 上級裁判所は、法令解釈に誤りがある場合は原裁判を破棄することができる(刑訴法第397条第1項、第2項、第400条。民訴法第325条第1項、第337条第5項)。
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