きょか‐こうこく〔‐カウコク〕【許可抗告】
許可抗告
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/10 15:07 UTC 版)
許可抗告(きょかこうこく)とは、民事訴訟における高等裁判所の決定及び命令に対する抗告のうち、法令の解釈に関する重要な事項を含むとして高等裁判所に対して抗告の許可を求めて行うものをいう(民事訴訟法337条)。許可基準は上告受理申立てと同一であるが、受理に相当する判断は最高裁判所ではなく、原審である高等裁判所が行い、高等裁判所が抗告を許可した事件に対しては最高裁判所は判断を示さなければならない。 民事手続法の分野では決定・命令手続で行われるものでも重要なものが数多く存在する。民事訴訟で決定・命令手続で行われるものとしては訴状却下、移送、文書提出命令が挙げられる。民事執行、民事保全、破産、民事再生などでは判決手続によるものは稀でほとんどが決定により裁判所の判断が示される。それにもかかわらず旧民事訴訟法下では許可抗告に相当する制度がなかったため、裁判所によって法令の解釈が分かれたままになってしまうことがあった。現行民事訴訟法はこのような弊害を解消し、最高裁判所による法令の解釈の統一を図ることを可能とするため、許可抗告制度を創設した。 なお、少年法においては、抗告受理の申立の制度があり、検察官が関与する少年審判において、事件の非行事実の認定に際し、決定に影響を及ぼす法令の違反または重大な事実誤認があることを理由として検察官が高等裁判所に抗告受理の申立をすることができ、この場合は高等裁判所が受理するかどうかを決定する。現在までのところ、検察官より抗告受理申立てがされた事件については全て高等裁判所において受理決定がなされている。
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