新民事訴訟法下
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 04:44 UTC 版)
原告側はこれを不服として特別抗告を申立てたが、旧民訴法第419条の2の定める抗告理由に当たらない、として最高裁はこれを退けた。しかし、翌1998年には改正民訴法が施行され、「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」を例外として、文書提出義務が一般化されるようになった。そこで原告側は、1999年3月22日に再度文書提出命令を申立てたが、やはり東京高裁の塩崎勤裁判長は8月2日にこれを却下した。 さらに原告側は、新たに設けられた許可抗告制度を利用し、再び最高裁の判断を仰いだ。しかし、2001年7月13日に最高裁は、3対2の僅差で申立てを却下した。3名による多数意見は従来通り、捜査書類は法律関係文書に該当しないというものであったが、河合伸一・梶谷玄両裁判官は、捜査書類についても提出義務を認めるべきとする少数意見を展開している。 両裁判官の反対意見によれば、本件各文書は 刑訴法などによって規律された被疑者=検察官間の法律関係に際して作成されている 民事上の実質的対等確保に必要とされる 警察・検察・裁判所への提出が予定されており、裁判官も刑事手続上参照する 犯罪捜査規範により作成が義務付けられている などの理由から内部文書に該当せず、提出義務が課されるとされた。また民事法学者である町村泰貴も、公益の代表者たる検察官および国には、冤罪発生原因に少しでも関連する捜査資料を開示する責任があると指摘する。そして、冤罪事件の国賠訴訟においては、捜査資料も法律関係文書に含まれると定型的に解釈すべきである、と最高裁決定を批判している。
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