日本における初日カバー
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「初日カバー」の記事における「日本における初日カバー」の解説
日本で最初に記念切手の発行と同時に記念印(特殊通信日付印)が作られたのは、1906年4月29日に発行された日露戦争凱旋観兵式記念切手(明治三十七八年戦役陸軍凱旋観兵式紀念郵便切手)の時である。この時には官製絵葉書も同時に発行されており、この絵葉書に切手を貼り付け初日印を押印したものが多数作られている。このような官製絵葉書に記念切手を貼り記念印を押印した郵趣品は、日本では数多く作られており、同様なものは日本の影響下にあった満州国などでも製作された。この頃は官製の絵葉書に切手を貼り初日印を押印する、現在のマキシマムカードに近い郵趣品が一般的であった。 その後日本でも封筒に切手を貼り付けて初日印を押印した初日カバーが作られるようになった。日本では初日カバーの業者(版元)が多数存在している。そのうち著名なものに渡辺木版美術画舗による「渡辺版」、松屋による「松屋版」と呼ばれる木版印刷で作製したものや、日本郵趣協会による「JPS版」などが有名である。 そのうち木版印刷によるものは、絵柄の美しさや人気、または現存数によっては、未使用切手よりも高額で取引されることもある。たとえば、「渡辺版」の版元である渡辺木版美術画舗は銀座の一流店であるが、この渡辺版は会員制で製作数が多くなく、昔から人気があった。その渡辺版のカシェ作者の一人に著名な版画家川瀬巴水(1883年 - 1957年)がいた。彼の作品を元にした初日カバーは1948年から1956年にかけて製作されたが、彼の手によるものは特に人気が高く、他の版元で製作された初日カバーよりも美術品的価値が高い為、状態が悪いものでも高価である。 現在でも新切手が発行されるたびに初日印が押印された初日カバーが製作されるが、近年では切手収集家の減少に加え郵政民営化前後から切手が濫発されるようになったため、人気は以前よりも低下している。初日印には汎用のいわゆるハト印や、新切手のために特別にデザインされた絵入りの消印(特印または絵入りハト印)が使用される。普通切手やふるさと切手には絵入りの消印が用意されないため、ハト印や普通通信日付印、風景印などが用いられる。収集家は新切手に縁のある地方の郵便局で押印された初日カバーを珍重することが多い。
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