マーリン スピットファイアとは? わかりやすく解説

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マーリン スピットファイア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 23:53 UTC 版)

スーパーマリン スピットファイア」の記事における「マーリン スピットファイア」の解説

Mk.I / Iaタイプ300将来改良備えて広いスペース確保されているこの新型戦闘機は、イギリス空軍においてハリケーン代わる戦闘機となるものであったヴィッカーズ社は、この戦闘機長期にわたる生産想定したため、既にあったウールストン工場生産ライン加えて新たにスピットファイア製造するための巨大な工場をキャッスルブロミッチに建設した1938年予想どおり空軍Mk.Iを1,000追加発注した。さらに1939年には200機、その数ヶ月後には450機を発注しMk.I発注全部で2,160機に達した1938年中頃から、生産されMk.I引き渡し始まり1938年8月4日に第19飛行隊英語版)が初めてこれを受領運用したMk.I動力は、1,030馬力マーリンMk. IIワッツ社製2翅木製固定ピッチプロペラだった。このタイプ77製造された。間もなくデ・ハビランド社製の3翅金属製選択ピッチプロペラ離陸時・戦闘時の低ピッチと、巡航時のピッチ選べた)に換えられ、性能格段に向上した。またこれと前後して可動風防を上や左右に膨らませたもの(マルコムキャノピーと呼ばれる)が用いられるようになったMk. Ibタイプ3001939年9月第二次世界大戦開戦時において、スピットファイアはまだ少数しか配備されておらず、ヨーロッパ本土フランス)では、空軍司令官ヒュー・ダウディング意向もあり、ハリケーンドイツと戦うしかなかった。1940年7月バトル・オブ・ブリテン開始時には19飛行隊スピットファイア装備しており、27飛行隊ハリケーン構成されるところまで改善されていた。バトル・オブ・ブリテン終結する10月までに、565機のハリケーン352機のスピットファイア失われたが、この時点では工場フル稼働しており、その損失簡単に回復することができた。また、スピットファイア生産数ハリケーン生産数上回った。 この戦闘中に、19飛行隊20mm 機関砲2門と7.7mm機関銃4丁を装備したMk.Ib配備された(これにより、それ以前の、7.7mm機銃を8丁装備するタイプはMk.Iaとされた)。機関砲地上部隊に対して効果的であったが、旋回中の射撃による弾詰まり等の故障深刻な問題となっていた。それでも、改良されMk.Ibは第92飛行隊配備された。発注された2,160機のMk.Iの内、1,583機はMk.II改良される前に配備された。 High Speed Spitfire 1937年夏のメッサーシュミットBf109速度記録対抗するため、武装外したMk. I改造特別仕様スピットファイア1938年11月11日にジョセフ・マット・サマーズによって初飛行した。エンジンロールス・ロイス特製マーリンIIスペシャル(1,710hp/3,000rpm、後に2,122hp/3,200rpm)を搭載、450mph(724km/h)を目標としていたが、1939年3月30日He100本機能力越えた463mph(745km/h)を記録したため速度記録中止された。 Mk.IIタイプ329) 本モデル製造できるように、Mk.I生産ライン変更加えられた。100オクタン燃料使用前提とした、より強力なマーリン XII 6気筒(1,175馬力エンジン搭載したことで、最大速度が約28km/h増し上昇率いくぶん向上したが、パイロット保護する装甲板追加によって重量が約33kg増加した。 8丁の機銃を持つMk.IIa機関砲を持つMk.IIbの2タイプ生産された。本機Mk.Iに代わって急速に部隊配備進みMk.I引き下げられ訓練部隊使われるようになった1940年8月から配備開始され1941年4月には、一線部隊Mk.IIのみで構成されるようになったMk.II全部で920機が生産された。そのうち170機は、Mk.IIbであったASR Mk.IIタイプ375Mk.IIaエンジンマーリンXX換装し、救難機材を搭載した海難救助型。主翼中央部パイロン増設しNo.1 発煙爆弾Smoke Float No.1)2発を搭載し操縦席後部胴体内に膨張救命筏内装式収納部2筒を増設している。スピットファイア高速活かして真っ先遭難者発見、安全を確保の上位置マーキングし、連携する飛行艇連絡して救助向かわせるという方法取られた。 Mk.IIc仮名称で開発され52機がMk.IIより改造されて、救助専門飛行隊である第276飛行隊英語版)および第278飛行隊英語版)に配備され使用された。 救難機型はMk. V改造機としても製造された。 Mk.IIIタイプ330/348)、 Mk.IVタイプ337Mk.IIドイツ空軍戦闘機十分に戦えることを証明したが、イギリス空軍基本設計における意欲的な改良求めたその結果Mk.III設計全体見直され尾輪引き込めるようにした他、機体スペース遮蔽物囲ったまとめたりして、強度を向上させた。エンジン改良されマーリンXX搭載し、これにより640km/h以上で飛行することが可能になった。 Mk. IVはそれをさらに進化させたもので、機体Mk.III似ていたが、エンジンは1,500馬力超える新しロールス・ロイス グリフォン積んでいた。 しかしながら両者とも改修部分多かったために不具合多く量産には至らなかった。 Mk.Vタイプ331/349/352) 1940年後半Mk.II新たな敵戦闘機遭遇し始めたバトル・オブ・ブリテンスピットファイアハリケーン撃退したBf 109Eをより洗練させたF型多くの点でMk.IIよりも優位にあった。速度上昇率勝っていただけでなく、高度5,500 m上でスピットファイアよりも高い機動性示した。 この時点では、Bf 109F戦え性能達していたMk.IV準備整っていなかった。グリフォンエンジンの生産重大な問題発生し解決のめどが立たなかったからである。早急に性能ギャップ埋めなくてはならなかったが、その対抗策Mk.Vであったエンジン新しマーリン45シリーズ換え高速度域での補助翼効き良くするため、羽布張りから金属製改めただけで、他はMk.IIと変わらなかった。離陸出力は1,440HPとわずかに増加したけだったが、スタンリー・フッカーStanley Hooker)の設計による改良型1段1速式スーパーチャージャー得て高高度での出力大幅に増加した。そのため、Mk.V唯一Bf 109Fと同じ高度で戦うことができた。 1940年の冬にかけて、Bf 109F尾翼構造大きな問題のあることが発覚し生産が完全にストップした改修春先でかかり生産再開時にはMk.V配備始まっていた。 グリフォンエンジンの問題予想よりも深刻であることが判明し解決までにさらに2年間かかると見積もられた。その間に、非常に使い勝手良いMk. Vは、7.7 mm 機銃を8挺搭載するMk. Va94機、20 mm 機関砲2挺と7.7 mm 機銃4挺搭載のMk. Vbが3,923機、20 mm 機関砲2丁の他、7.7 mm 機関銃4挺か20 mm 機関砲を更に2挺を選択装備可能なユニバーサルタイプのMk. Vcが2,447機と、さまざまなバージョン機体数多く生産された。北アフリカ戦線でも使用されその際には現地砂塵防護のアブキール・フィルターが取り付けられた。総生産数は6,595機。 Mk. HF VIタイプ 350Mk. V高高度飛行用に改造したタイプ翼端延長した尖頭翼と、与圧コクピット高高度用にチューンされたマーリン47装備するドイツ空軍高高度爆撃機Ju86開発中との情報元に対抗策として100機がMk. Vbから改造された。 Mk. F/HF VIIタイプ 351Mk. VIより更に本格的な高高度型として、マーリン71装備し機体にも大幅な改造加えた型。この型より、2段2速過給器を持つマーリン60系装備の、(グリフォンに対しての)通称マーリン後期型」となるが、登場はMk. IXが最も早い97機が生産された。 Mk. F/HF VIII(タイプ 359/360/368/376) Mk. VII同じくマーリン60系エンジン装備するが、より汎用性高めMk. Vに続く主力戦闘機目指した型。過給器設定により、HF高高度用)、F(中高度用)、LF(低高度型)の3タイプ用意された。機体にも多く改良施されMk. Vとの主な相違点は、主翼左下ラジエーター大型化され、左右対称になった点である。また、主翼内に燃料タンク増設され、尾輪引き込み式になり、機体補強施された(この変更点は、Mk. VIIおよび、Mk. XIVにも共通する)。武装は、全てMk. Vcと同じユニバーサルタイプである。しかし、改良点多かったことが災いし生産化に手間取っている間に、フォッケウルフ Fw 190Aへの対抗策として応急的開発されたMk. IX先に生産された。Mk. VIII1942年11月から生産されいたものの、生産軌道に乗り始めるのは1943年までずれ込んだその結果主力戦闘機の座はMk. IX奪われたが、在マルタ島、在イタリア部隊インド空軍オーストラリア空軍などへMk. VIII送られた。合計で1658機が生産され終戦まで運用された。 Mk. VIII航続距離は、クリーン状態で1060kmと、スピットファイア戦闘機型で最も長い日本戦闘機例えれば雷電各型クリーン状態に匹敵する)ものであったが、このタイプ登場後もMk. IX生産され続けたという事実は、イギリス空軍長距離侵攻出来戦闘機持っていなかったのではなく単座戦闘機長距離侵攻使用する意図端からなかったことを意味する。 F/LF/HF Mk. IXタイプ 361/378) Fw 190出現により、早急にマーリン60系エンジン搭載したスピットファイアが必要となったイギリス空軍既存Mk. Vマーリン60系エンジン換装したMk. IX1942年部隊配備した。この機体卓越した性能発揮したため、大量生産決定された。当初Mk.Vからの改造機をMk.IXA、元からMk.IXとして生産され機体をMk.IXBと呼んで区別していたこともあった。高性能化貢献したのは、2段2速過給機付きマーリン60シリーズエンジンと4翅式ロートル・ジャブロ・プロペラの組み合わせよるものだった。エンジンの種類によって、F、LFHF各機種があり、また、翼も従来Bタイプ20 mm イスパノ・スイザ機関砲2門に加え7.7 mm ブローニング機関銃4挺もしくは更に20 mm 機関砲2門を搭載可能なCタイプ(ユニバーサル・ウイング)の他に20 mm 機関砲2門と12.7 mm ブローニング機関銃2挺を搭載したEタイプ使用された。 1943年機体改修が行われた。この後期型では尾翼大型化ジャイロ照準機装備後部胴体への燃料タンク増設バブル・キャノピー採用された。生産数は5,663機(ヴィッカースで5,117機、その他557機)といわれている。しかしながら別のリストによれば5,440機(378機がスーパーマリンCastle Bromwichで5,062機)となっている。 航続距離については、シリアルML186を用いてジェフリークゥイルが45英ガロンドロップ・タンク使用した飛行で、1,000ft以下を5時間飛行Salisbury Plain - Moray Firth間)しており、護衛戦闘機としての使用にも耐えうることを証明している。 極少数のMk.IXでは、速度向上させるために、塗装はがして機体平滑化した機体用意された。これらの機体には、特別に150オクタン燃料使用されブースト圧を25lb/sq.inまで上げることができた(しかし、150オクタン燃料使用整備間隔短縮しなければならなかった)。これは、コードネームバスタBasta)」と呼ばれ1944年夏のV-1迎撃活躍した水上機型(タイプ 342/344/355/385) 1943年12月29日LF IXb(シリアルMJ892、マーリン66搭載)が改造のためロートル・ワークス(Staverton/Gloucestershire)に到着した対日戦線への投入用としてフォーランド・エアクラフト製フロート取り付けられたMJ892は1944年6月6日スーパーマリンテスト・パイロットFrank C Furlongによって飛行した水上機スピットファイア本機以降開発されることはなかった。 PR Mk. X スピットファイアMk. VIIを基に製作され写真偵察機 (Photo Reconnaissance) 型である。呼称方法戦闘機型重複しないようにとの配慮から既に振られていたMk. IX次のナンバーであるMk. Xが振られた。高々度写真偵察考慮されていたため、Mk. VII譲り与圧装置付いている。最初機体ベンソン基地配備されたのが1944年4月4日であったが、この時既にベンソン基地には独自に改造したPR Mk. XIがあった。結局与圧装置必要性薄れたために僅か16機が生産されたのみである。 PR Mk. XI ベンソン基地改造されPR Mk. XIタイプ374)の他に、ヘストン航空機がMk. IX改造したPR MkXI(タイプ 365)を生産スーパーマリン社でも引き込み式尾輪大型尾翼PR Mk. XI生産された。 Mk. XVI マーリン60系エンジン供給に不安を感じたため、米国パッカード社で生産されていたパッカード・マーリン 266エンジンマーリン 66ライセンス生産)を搭載した機体である。英国と米国との製図法の違いなどから、本エンジン搭載した機体には、新たにMk. XVI番号振られている。性能的にはMk.IXと同等であるが、マーリン266マーリン66細部異なるため、エンジン・カウルの張り出しやフィルターキャップの位置異なるなどの変更なされている。しかしながら、本エンジン供給遅れたために生産1944年までずれ込んだ

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