あぐりの家族
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 03:17 UTC 版)
(川村 → )望月( → 林) あぐり(もちづき あぐり) 演 - 秋定里穂(少女時代)→田中美里 川村家の三女として誕生。「最後の女の子であってほしい」という願いから「あぐり」と名付けられる。幼い頃から木登りが得意。好物は饅頭。勉強嫌いで男子顔負けのお転婆さを発揮し、美佐に謝罪させてばかりいた。成長後はうっかり寝ている描写が多い。色黒だったことに悩んでおり、これがのちの仕事に繋がる。 姉2人を相次いでスペイン風邪で亡くしたあと、一念発起して受験勉強に励み、見事岡山高等女学校に合格。 女学校在学中に今度は父をスペイン風邪で亡くし、一家は経済的に困窮する。 望月家の健太郎・光代夫妻に望まれ、「女学校には卒業するまで通う」という条件つきで15歳の時に望月家へ嫁ぐ。実は結婚前に絵を描いていたエイスケと出会っているが、その際に彼の絵を「闇夜のカラス」と酷評し、結婚式で初めて顔を合わせると「あの時の闇夜のカラスちゃん」と言われ、第一印象は最悪であった。退学騒動の際にエイスケから庇われて「最愛の妻」「僕が守る」と言われたことで彼の優しさに気が付く。淳之介を妊娠して女学校は自主退学した。 エイスケを追って上京。チェリーと出会ったことで弟子になり、美容師への道を歩み、「あぐり美容院」を開店。 戦時中に建物疎開で店を壊され、空襲で家も全焼したため山梨に疎開。美容師をあきらめ、ブドウ畑を手伝っていた。 戦後、チェリーと沢田がはじめた戦争未亡人のための美容師教習所の教員となるが、美容師に復帰することを決意し店を再開する。新聞記者の林と出会い紆余曲折の末再婚。美容院の全国チェーン「ビューティーサロン光美堂」の経営者となる。 望月 エイスケ(もちづき エイスケ) 演 - 野村萬斎 あぐりの夫。本名は望月栄助。 望月家長男だが家業があわないと出奔し、作家を目指す。飄々とした性格で、平気で他の女性とデートを重ねる奔放な生活ぶりを見せるが、あぐりの良き理解者である(あぐりが女学校を退学になりそうになった際に学校へ抗議に行く、あぐりの美容師活動も応援する、など)。子煩悩で淳之介に木馬を作ったり、和子を風呂に入れるため毎日帰宅したりしている。 人気作家となるが、作家仲間が特高に追われて姿を消していくことに内心ショックを受け、断筆する。その後、株式投資で成功し、高級自動車や別荘を購入するなど羽振りがよくなるが、実は愛人の緑川に多額の借金をしていた。 昭和15年7月9日、伊豆の伊東の病院に入院していた和子を見舞ったあと、狭心症のため急死。 モデルは吉行エイスケ。 望月 淳之介(もちづき じゅんのすけ) 演 - 鎌田佳祐→柴田卓也→生田斗真→大根田良樹→山田純大 あぐりとエイスケの長男。はじめ、エイスケは「淳」と命名したが、後継者としては弱々しい印象があるので「陽之介」に変えたいという健太郎の意向を汲んで、改めてエイスケが「淳之介」と命名した経緯がある。父は17歳、母は16歳のときの子であった。子どもの頃のあだ名は「ジュンノーちゃん」。ただし命名の経緯から、あぐりやエイスケからは「淳」と呼ばれていた。 中学卒業後、静岡の高等学校に進学。小説家を志し退学しようとするが、燐太郎の説得で思いとどまる。岡山で召集されて甲種合格、出征するが持病の喘息のために即日帰郷となる。空襲で焼け出されたあとも東京に留まり、尚久の下宿から帝国大学英文科に通う。終戦後、闇市で三角くじ(宝くじ)で一等二千円を当てて、尚久と南を連れて温泉旅行に行き、疎開していたあぐりたちに食料を届けた。美容院跡地にバラック小屋を建てて東京に戻ったあぐりたちを迎える。大学を休学して逗子の女学校教員となるが、女性問題に巻き込まれ退職した。世津子のもとで「婦人現代」を再刊。編集者を務めながら小説家となる。 父とは違って堅い性格である。林に対する思いは複雑で、あぐりが林と同居するようになると家を出て下宿し、結婚式を執り行わない代わりに行った家族写真の撮影も欠席しようとした(燐太郎の説得により思い留まった)。 仕事中に結核に侵されていて入院し、医師から大変危険な状態と言われるほど意識不明の重体に陥ったが、数日後峠を越えた。そのとき既に二度目の芥川賞候補だった小説(『驟雨』がモデル)が芥川賞に選ばれた。 モデルは吉行淳之介。 望月( → 林) 和子(もちづき かずこ) 演 - 新穂えりか→楯真由子→浜丘麻矢→馬渕英里何 あぐりとエイスケの長女。幼いころは喘息のため、家を離れて伊豆の病院に転地療養していた。エイスケの死後、望月家に戻る。林には複雑な思いを抱き、なかなか父親として認めようとはしなかった。彼女の誕生日の日、森と一緒にチェーホフの芝居を観に行って夜遅くなったことを本気で叱られたこと・彼が誕生パーティーの準備をしていたことを知って和解する。これがきっかけで女優を志すようになり、高校卒業後に劇団へ入る。 モデルは吉行和子。 望月( → 林) 理恵(もちづき りえ) 演 - 碇由貴子→前田未来→藤原まゆか あぐりとエイスケの次女。エイスケの記憶がほとんどないため、林には父の面影をダブらせ、再婚には好意的だった。 自分で趣味として詩を書くのが得意。 モデルは吉行理恵。 望月 健太郎(もちづき けんたろう) 演 - 里見浩太朗 エイスケの父。岡山で建築業「望月組」を営む。通称「望月のおじ様」、従業員からは「御大」と呼ばれる。元は親戚のところへ富美子が嫁ぐ予定だったため、川村家とは顔見知りであった。若い頃、世津子とは「付き合い」があったらしい。 大らかで茶目っ気がある。息子のことも理解はしているが、エイスケが「小説家になること」に反対し家業を継ぐことを強いたり、あぐりが「奉公に出る(美容師になるために内弟子修業する)こと」にも大反対だったが、彼なりの愛情の表れで、それ故、「望月組」のために自分の夢を捨てた勇造には複雑な思いを抱いている。 その後はあぐりにも理解を示し、美容院建設の土地と資金を提供したり、光代と片桐の交際にも寛容な態度を示す。 戦後、光代と死に別れてからは俳句に凝っていたが、別の季語を二つ入れるなどあまり上手くない。あぐりの美容院チェーンの土地買収を手伝おうと東京に出たが、だまされかけて自分の老いを自覚し、岡山に戻った。 「林と再婚するつもりなら望月の家から送り出したい」と電話であぐりへ伝えようとした最中に狭心症の発作が起き、エイスケと光代の後を追うように死去。「春の日にカラスが食べる梅桃(ゆすらうめ)」が遺作となり、その死には世津子も涙した。 モデルは吉行エイスケの父である吉行澤太郎。土木請負業(吉行組)を代々営んでいた。 望月 光代(もちづき みつよ) 演 - 星由里子 エイスケの母。あぐりを娘同様にかわいがるも、嫁としての躾には手を抜かない。地獄耳。 「エイスケを勘当する」と言い出した健太郎と言い争いになると東京へ淳之介を連れて押しかける。エイスケとあぐりを全面的に後押しする。 アキの登場により一度は岡山へ戻るが、勇造の妻(あぐりの女学校繋がりの後輩)が出来が良すぎたために居場所がなくなり、また東京へ戻る。 片桐からバイオリンを習ったことで舞い上がってしまい、交際にまで発展していた。片桐の死後はショックで放心状態になり、口がきけなくなってしまった。だが疎開先を訪ねてきた健太郎から、片桐が岡山に送ったレコードを見せてもらい励まされたことで、再び元気を取り戻した。 戦時中はあぐりと山梨へ疎開する。終戦後、肝臓癌を患い床に臥せるようになり、健太郎に引き取られ、岡山で亡くなる。 モデルは吉行エイスケの母(吉行澤太郎の妻)である、吉行盛代。 望月 勇造(もちづき ゆうぞう) 演 - 若林久弥 エイスケの弟。兄と正反対の真面目な性格で「東京で自動車を作る」という夢を持っている。自由奔放な兄と悩む父親を見かねて夢をあきらめ、「望月組」を継ぐ。 「望月組」を継いでからもあぐり一家との交流は続いており、岡山にきたあぐりを狭心症で急死した健太郎と対面させたり、結核で入院した淳之介のためにお守りを持ってきたりした。 吉行淳之介の随筆によると、モデルとなった「岡山のおじさん」はかなり豪快な人物であった。代替わりしてからはその豪快さが少し描かれている。 佐伯 苳子(さえき ふきこ) 演 - 磯野貴理子 エイスケの姉。岡山市内に嫁いでいるが、子どもができないことで嫁ぎ先とは折り合いが悪く、暇を持て余してちょくちょく実家に帰ってくる。 あぐりに嫉妬して嫌味を言ったり意地悪をすることが多いが、「どうやったらしょっちゅう実家に帰れるのか」と切り返されると慌てていた。 妊娠してからは姑との仲も改善し、一転して穏やかな性格になり、実家にも顔を出さなくなる。 淳之介の岡山出征の見送り時に久々に登場する。 川村 晃(かわむら あきら) 演 - 田村亮 あぐりの父。職業は弁護士。「女性も学問が大切になる」「男と女と分け隔てるのは好まない」と教える開明な思想の持ち主。お転婆なあぐりを叱りつけるのではなく、諭して言い聞かせる。 あぐりが女学校へ入学後、スペイン風邪がぶりかえし、授業で遠足へ行っている間に他界。亡くなる前、あぐりには「まっすぐに突き進むのが良いところ」と言っていた。 あぐりが生死を彷徨った際の夢や、最終週では美佐と夢に登場した。 川村 美佐(かわむら みさ) 演 - 松原智恵子 あぐりの母。裕福な家庭の出身で経済観念に疎い。幼少期にお転婆なあぐりに手を焼いていた。夫の死後、知人の岩見に勧められた土地投機で遺産を騙し取られてしまい、一家が困窮する主因を作ってしまう。 おっとりとしていてプラス思考。見栄っ張りで負け嫌いな面があり、でまかせや盛った話をすることがしばしば(これによって幾度か周囲の危機を救っている)。洋楽好きで機嫌が良いと口ずさんでいる。 あぐりが望月家へ嫁いでいくと、光代との関係の修復に一役買ったり東京行きを応援するなどした。 あぐりが独立すると上京して美容院を訪問し、突然、プレゼントに蓄音機を贈ったり「自分の力で生きていくように」と言い出す(この頃、喉にガンを発症して先が長くない状態だった)。岡山へ帰ったあと、しばらく容態は安定していたものの、五喜が結婚する時期に急に容体が悪化。肺炎を併発したために話すことが困難であった。岡山の病院であぐりに看取られ、昭和9年の暮れに静かにこの世を去った。 川村 紀美子(かわむら きみこ) 演 - 白鳥夕香 あぐりの長姉。神戸の繊維問屋に嫁ぐも、程なくしてスペイン風邪に感染し、1920年の正月松の内に急逝。 父同様、富美子とあぐりの夢にも登場。 川村 富美子(かわむら とみこ) 演 - 山崎宏美 あぐりの次姉。あぐりと異なり、色白。色黒を気にするあぐりに美白化粧品を分けてくれた。 望月家の親戚と婚約中だったが、姉の死から20日後、奇しくも同じ病で亡くなる。今際の際に「アイスクリームを食べたい」と言い、あぐりが閉店後の洋食店に頼み込んで手に入れたアイスクリームを母に食べさせてもらいながら亡くなった。 紀美子同様、あぐりの夢にも登場した。 川村 五喜(かわむら いつき) 演 - 倉沢桃子→井原由希 あぐりの妹。和歌の才能があったらしく、女学校時代には表彰されるほどの出来で、山神教諭からも絶賛されていた。 あぐりが第一子を妊娠し退学せざるを得ない旨を聞かされると美佐に伝えたため、退学を免れた。 あぐりが独立すると母の美佐と祝いに駆け付けるが、母が癌を患って苦悩していることを告白する。 母が岩見に騙されたことで他人を信用できなくなっており、長らく独身を貫いていたが、美佐が亡くなる頃に結婚した。 川村 正彦(かわむら まさひこ) 演 - 小此木優也→高村祐毅 あぐりの弟。末っ子。 しばらく本編に登場しなかったが、美佐が亡くなる頃には京都の大学に通っていることが描かれる。 林 晃(はやし あきら) 演 - 高嶋政伸 新聞記者(文芸部→社会部)で元は民子の知り合い。エイスケを誹謗する記事を書いて淳之介たちを怒らせるが、実はエイスケのファンであり、あぐりからも理解される。 火事で焼け出されたことがきっかけで息子とともにあぐり一家と同居。紆余曲折の末、再婚。元々は画家志望でその腕で描いた似顔絵は放火犯を逮捕に繋がる事もあったが、それが元で妻の命を縮めたと悔やんで筆を折った過去があるが、あぐりの勧めで再び絵を描き始める。 第25週で新聞記者を辞め、主夫としてあぐりを支えながら挿絵画家の仕事をしていたが、最終話では再び絵の勉強をするためにパリへ旅立って行った。吉行あぐりが再婚した辻復がモデル。 林 洋介(はやし ようすけ) 演 - 後藤拓也 晃の息子。理恵とは歳が同じで小学校も同じだった。自身が一歳の頃に母を亡くし、晃によって男手一人で育てられてきた。実の母との思い出があまりないことから、あぐりとの再婚を歓迎していた。
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