「不死鳥狩り」の登場人物
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「機動戦士ガンダムUC」の記事における「「不死鳥狩り」の登場人物」の解説
以下は中編小説「不死鳥狩り」における設定。後に同作を元にした2018年のアニメ映画『機動戦士ガンダムNT』にも登場するが、細部の設定や末路などが変更されている。『NT』での設定については『機動戦士ガンダムNT#登場人物』を参照。 ヨナ・バシュタ 不死鳥狩りの主人公。連邦軍の少数精鋭部隊「猟人(シェザール)隊」所属、コールサインはC(シェザール)006。階級は中尉。年齢は25歳で、シェザール隊では最年少。戦場では、部隊共通仕様の海ヘビを装備したスタークジェガンに搭乗する。原隊ではジェガンD型に搭乗、選り抜きのパイロットの集まりであるシェザール隊の面々に比べて自分の技量が見劣りする事を自覚しており、早くスタークジェガンを物にするよう努める。 一年戦争時、8歳の時にオーストラリアでジオン公国軍によるコロニー落としで被災し、3歳だった妹、父、母、祖父、祖母などの家族を失った。13歳の頃はニューフロリダのセント・ファーガス孤児院で育つ。リタはその頃の旧友で彼女が孤児院を去る日に翼を広げた海鳥を象ったブローチをプレゼントしようとしたが、勇気が出せず結局渡しそびれてしまった。リタが孤児院から引き取られた後、ヨナは14歳で養父母に引き取られ、18歳で士官学校に入学。成績、賞罰、どれも特記事項なし、平凡を絵に描いたような連邦士官である。 ユニコーンガンダム3号機「フェネクス」が襲った母艦エシャロットの生き残りの乗員の中に同じ施設で育った艦載機の整備士がいて、彼からフェネクスのパイロットはリタである事を知らされたヨナはそれ以来既に解散した施設の職員の元を尋ね歩きリタの足跡を辿った。そしてヨナは、リタが施設から連れ去られたのと同時期に戸籍謄本、住民票に至るまで必要な書類を偽造して、一つの施設から一人ずつ怪しまれないよう心がけながらESPテストを受けさせられた素養のある戦災孤児が何人もニュータイプ研究所に送り込まれていたという事実を知った。 事前に下調べをしていたヨナは、リタを連れ去った張本人であるエスコラ准将の邸宅に侵入。ティターンズに所属していた彼の過去を取引材料に消息を絶った三号機の捜索のメンバーに自分を加えるよう提案し、これを承諾させた。 シェザール隊に編入後は、隊の面々も参謀本部もフェネクスを生きて捕獲することには拘っていないので、リタに会うことを目的としているヨナは彼らに先んじてフェネクスを捕獲する事に集中する。 フェネクスとの二度目の遭遇では、海ヘビをフェネクスに引っ掛けることに成功するが、段違いの推力で振り回されシェザール隊から引き離されてしまう。暗礁宙域で袖付きのムサカ級軽巡洋艦と接敵したヨナは、フェネクスから聞こえるリタの指示通りこれを倒す。この時点からヨナは、他人の既知が自分のそれになってゆく感覚を感じ始めている。ビームサーベルを抜き破壊されたムサカの中から現れ、ハルユニットと合体しようとするヤクト・ドーガを倒そうとするが、状況を掴めていないイアゴに阻止されてしまう。 ムサカの行き先がインダストリアル7で、積載物がフル・フロンタルへ届ける物であるなど自分でも知らない既知に翻弄されるヨナ。しかし戦闘が進むに連れ頭の奥の既知が既知になって全身に伝播し、ネオ・ジオングに機体制御を乗っ取られていたスタークジェガンイアゴ機のコックピットを突き刺すと、彼を呪縛から解放した。ネオ・ジオングが放った四方からのビームの弾道と砲塔自体の移動軌道を既知のこととして視えるようになり、反応速度が上がったわけでもないのに自分の手足になったように片腕になったスタークジェガンの質量バランス、イアゴ機のスナイパーライフルの重みが生じさせる負荷など、全てをこの身の事として知覚し、機体の制御系がカバーするより早く、知覚が機体を最適なバランスで駆動させた。 ビーム・サーベルを引き抜き、ネオ・ジオングの正面に躍り出たヨナのスタークジェガンだったが、四基のアームユニットで機体を抑え込まれる。脱出ポッドの射出装置も作動せず、コックピットがひしゃげ始めこの時のヨナは死の先にあるものを既知として捉えていたが まだ役目を果たしていない彼は隊長のようにそれを受け入れることは出来なかった。強制解放レバーをつかみ引き上げ、爆砕ボルトが作動、コックピットのハッチが外に向かって弾け飛びヨナは真空に吸い出された。 フェネクスに乗り込んだヨナは、機体の真の力を解放しネオ・ジオングを追い詰めていくが、ネオ・ジオングの発動させたサイコシャードにより、アームド・アーマーDE、ビーム・サーベル、頭部バルカン砲などの全武装を爆発させられ一転窮地に陥った。ヨナの感応波はフェネクスの五体の隅々にまで行き渡っていた為、機体のダメージがヨナの肉体にフィードバックしてしまった。 本来リタとヨナが会うことはなかったが、既知の中で結び合わされた二人の手の中で鳥のブローチが温かな光を発し、その光は二人を包み込んで、ヨナとリタ二人の魂が作り出した場(サイコ・フィールド)をまばゆく満たしていった。そしてフェネクスは、ネオ・ジオングをフィールドで呑み込み内側から自壊させた。 高次元に移行している全体は、フェネクスという依り代があってもこちらの世界には干渉できない。ヨナは選ばれたのではなく、リタの呼びかけに応えたのがたまたまヨナだったから今回の騒動に巻き込まれだけだった。ヨナには向こう側と繋がれる資質つまりはニュータイプの素養があったから、リタの声を聞き取れることが出来たから、リタのことを思い出し彼女の事を悔いる心が回線を開いたが為に、リタという形を通してヨナは全体と繋がれたのである。 リタと別れた後のヨナは、自機を失い虚空に投げ出され身一つで漂流者となっていたが、アマージャ、デラオに発見してもらい救出された。 リタ・ベルナル さまざまな人種の混合を想像させる肌理の細かい肌と真っ黒な瞳をした少女。 母親はコロニー生まれ。ヨナの予想ではひいおばあちゃんも半ば強制移住させられた初期のスペースノイドだったが、母が父親と結婚し家族ごと地球に戻ってきたことで一年戦争時にコロニー落としに被災してしまった。被災後はヨナと同じ孤児院で育つが、ヨナが13歳の頃にティターンズ軍人だったエスコラに引き取られ、それ以来ヨナとは会っていない。ヨナとは異なり魂の存在を信じており、生まれ変わったら鳥になりたいと言っていた。 エスコラに引き取られた後のリタは、ニタ研に送られ、ネオ・ジオングのパイロットと同様にマシーンに繋がる為、頭の一部を空白にさせられていた。ヨナがリタの記憶を含む既知にアクセスし、彼の頭がこしらえた幻では、リタは髪が綺麗に剃られ、その小さな禿頭に手術用のマーキングが無造作に記されていた。 絶望と薬物でリタの瞳は濁っており、その後手術を受けヨナとの思い出も含むマシーンとの連動に不必要な記憶はことごとく消去された。 「不死鳥狩り」から半年前、フェネクスのパイロットになっていたリタはデストロイモードの限界時間が到達する前にライフサインが途絶、機体諸共行方不明となっていた。リタは肉体を失い意識だけがフェネクスに宿った状態となって、約半年もの間宇宙を漂っていた(リタの肉体がどうなったのかは不明。ヨナがフェネクスのコックピットを開けた際には中は無人であった)。 戦いが終わった後、向こう側の世界では、ヨナのイメージで浜辺が形作られていた。向こう側では、ひとりという存在の捉え方が現実とは異なり、リタの存在はヨナが思い出してくれたから再開する事が出来た。リタが昔のままの姿なのはヨナの思いで彼女をその形に留めていたからだったが、既知の中でヨナが冷たいベッドに横たわるリタの姿を見てしまった為、顔がはっきりと見えなくなっていた。 リタもその一部となっている全体は、もしネオ・ジオングがフロンタルの下に渡っていたら時空をも操る力を発揮し世界の界面に大穴を開ける可能性があり、それを防ぐために呼びかけを行った。体の代わりとなるサイコフレームで作られたフェネクスには宿ることは出来ても働きかけることは出来ず、ヨナの手助けが必要だった。 最後は、ヨナに見送られながらリタの魂をのせた鳥が飛んでいった。 イアゴ・ハーカナ シェザール隊隊長。地球連邦軍少佐で、一年戦争以来のベテラン。戦場では、大型のスナイパーライフルを装備したスタークジェガンを操縦する。 フェネクス捕獲の為、同型のRX-0二号機の使用を具申したが、参謀本部からはRX-01号機と共に別の任務で出払っているとの解答が返ってきた。 10年以上も昔、護衛任務として知らない者同士で隊を組まされサイド1の30バンチで外周警備をさせられていた。それはティターンズによる毒ガスでコロニー住民を虐殺した悪名高い30バンチ事件であり、イアゴはティターンズの一員でもないのに見張り役を押し付けられこの事件に加担してしまった事がトラウマとなっていた。 30バンチ事件のトラウマもあって、不死鳥狩りの任務内容がターゲットの情報も非開示、背後関係もまるで分からないほど軍がなにか隠していることから、この任務を気に入っていなかった。また、部隊のリストに最初名前が無く、参謀本部直々に一週間前に急遽メンバーに加えられたヨナの事を不審に思っていた。 フェネクスを追いかけて行方が見えなくなったヨナを発見した際には、当初状況が掴めず、ヨナの行動を妨害し結果的にヤクト・ドーガとハルユニットの合体を成功させてしまった。そして誕生したネオ・ジオングにファンネルを機体に打ち込まれ、機体の制御系を乗っ取られてしまう。 ヨナからは脱出を促されるが、脱出ポッドが作動せずコクピットハッチも動かないのでヨナには自分を撃つように指示した。 まるで迎えに来たかのようにイアゴのスタークジェガンの頭上を旋回するフェネクス、その頃イアゴの心は既に全体の一部であることを受け入れ始めていた。実はイアゴはもう10年以上も前からそちら側に引っ張られており、最期はヨナにコックピットをビーム・サーベルで貫通され血も骨も蒸発してイアゴは死亡した。 死亡し全体の一部となったイアゴは、爆発で出来たネオ・ジオングのIフィールドの死角へ回り込んで攻撃するようヨナへアドバイスを与えた。 アマージャ 地球連邦軍大尉。戦場では、部隊共通仕様の海ヘビを装備したスタークジェガンに搭乗する。 隊長に次ぐ年嵩。 全ての戦いが終わった後、デラオと共に宇宙空間を漂流していたヨナを発見する。 デラオ 地球連邦軍大尉。戦場では、部隊共通仕様の海ヘビを装備したスタークジェガンに搭乗する。 バンカラ気質の男。 全ての戦いが終わった後、アマージャと共に宇宙空間を漂流していたヨナを発見する。 フランソン 地球連邦軍大尉。戦場では、部隊共通仕様の海ヘビを装備したスタークジェガンに搭乗する。 普段は物静かな性格。 タマン 地球連邦軍中尉。戦場では、部隊共通仕様の海ヘビを装備したスタークジェガンに搭乗する。 シェザール隊の中ではヨナと年齢が近い、若手の隊員である。 エスコラ・ゲッダ 地球連邦軍准将、参謀本部所属。元ティターンズの幹部で、グリプス戦役が終わり同組織の将校が全員処分される中、エスコラはその過去を隠すことで今の地位まで成り上がった。 家族は妻、大学生くらいの息子、娘がいる。 12年前、軍の命令でニタ研の被験者を集める仕事をしていたが、本人が言うにはニタ研が何をしているかは知らなかった。ヨナとリタの育ったセント・ファーガス孤児院を訪れたのもその仕事の一貫であり、当時のエスコラはヨナの見立てでは40代頭、そばに30代半ばの女を引き連れ夫婦を装い、リタを引き取りに現れていた。ただし、12年前当時の連邦軍では同時にいくつものチームが動き、組織立った誘拐が行われていて、それは軍が策定した作戦行動であり、エスコラは命令に従っただけであるとヨナは推測していた。 自身の過去を知るヨナに取引を持ちかけられ、エスコラの過去を誰にも話さない、二度とヨナが眼の前に姿を現さないという条件と引き換えにヨナをシェザール隊へと加えさせた。
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