地蔵
「地蔵」とは、仏教における信仰対象である地蔵菩薩を意味する表現。
「地蔵」の基本的な意味
「地蔵」は、仏教の信仰対象である菩薩のひとつで「地蔵菩薩」を意味する。日本では、寺院の本尊として祀られているほか、道祖神信仰と結びつき道端などに石像として祀られていることが多い。「地蔵菩薩」は、釈迦が入滅してから56億7,000万年後に弥勒菩薩が成仏するまでの無仏の時代に、人々を導き救済する役割を委ねられたとされている。サンスクリット語では、「クシティガルバ」といい、大地を意味するクシティと胎内や子宮を意味するガルバから、「地蔵」と意訳された。地蔵菩薩は、苦難を身代わりになって引き受ける「身代わり地蔵」や安産を守護する「子安地蔵」など、状況によって姿を変え六道を巡りながら人々の苦しみを大慈悲の心で包み込んで救うといわれている。また、仏教では生前中の行いを裁く十王と浄土へ導く本地仏があるが、十王のひとりである閻魔大王の本地仏は地蔵菩薩であり、閻魔大王は地蔵菩薩の化身ともいわれている。
日本では、道祖神信仰と結びつくとともに子供の守り神として民間で広まり道端などにも石像が祀られている。赤い帽子やよだれかけを付けた地蔵が多いのは、赤色には魔よけの意味があり子供の成長を祈って奉納されたものと言われている。
地蔵菩薩の真言は、「オン カカカ ビサンマエイ ソワカ」といい、地蔵菩薩への賛嘆の気持ちを表している。
「地蔵」の語源・由来
インドのバラモン教の神話の中に登場する地母神プリティヴィーと言われている。「広き者」という意味をもつプリティヴィーは、大地を守護し財を蓄えるなどの利益信仰があり、後に仏教に取り入れられて「地天」とされ地蔵の起源になったと言われている。「地蔵」と「地蔵尊」の違い
地蔵尊とは、地蔵菩薩の敬称。一方、地蔵は日本における民間信仰で道祖神としての性格を持ち神仏習合したものである。「地蔵」の類語
「地蔵」の類語には、地蔵菩薩のような柔和な顔という意味の「地蔵顔」、地蔵尊の縁日である「地蔵会」や「地蔵盆」、家の中ではいばっているが外では大人しいという意味の「内弁慶の外地蔵」などがある。「地蔵院(寺院)」とは
地蔵院は、京都市西京区山田北ノ町にある寺院である。南北朝時代の1367年(貞治6年)に室町幕府の菅領であった細川頼之が寄進したことで創建された。山号は、この場所が衣笠内大臣と号された歌人藤原家良の山荘があったことから「衣笠山」という。夢窓疎石を勧請開山とし、最澄作とされる延命安産の地蔵菩薩が本尊である。トンチで有名な一休禅師が6歳で出家するまで過ごした寺でもある。境内は広く竹林に囲まれ「竹の寺」とも呼ばれ、境内一円は京都市の文化財環境保全地区に指定されている。元々は臨済宗の寺院であったが、1968年(昭和43年)に独立し単立寺院となり現在に至る。「地蔵盆(伝統行事)」とは
地蔵盆(じぞうぼん)は、地蔵菩薩の縁日に関連する行事のことである。旧暦7月24日に行われていた行事だが、現在では8月23日・24日に行われるのが一般的である。地蔵菩薩の縁日といっても、寺院に祀られている地蔵尊ではなく、道祖神信仰と結びついた地蔵が対象となっている。地蔵盆は地蔵会とも呼ばれ、子どもたちが中心となって催される。花やお菓子などを供えるほか、地蔵を洗い清めて化粧を施したり提灯で飾り付けたりするなど、行事の内容は地域によって異なる。京都を中心とする近畿地方では古くから親しまれている行事で北陸地方の一部などでも行われているが、地蔵信仰の歴史の違いなどの理由で他の地域では定着していない。「地蔵」を含むその他の用語の解説
地蔵峠(長野県にある峠)とは
地蔵峠(じぞうとうげ)とは、国道152号線の一部、長野県下伊那郡南部に位置する大鹿村と飯田市(旧上村)の間にある標高1,314メートルの峠である。南アルプスの尾高山山麓と伊那山地の鬼面山の山麓を通る峠で、中央構造線が貫いている。峠の北には青木川、南側には上村川と天竜川水系の川が流れている。峠には鬼面山へと向かう登山道があり、10メートルほど入った所にある地蔵堂が地名の由来となっている。
地蔵岳(群馬県の山)とは
群馬にある赤城山は1,200メートル~1,800 メートル級の峰からなる複成火山であるが、地蔵岳はその中央火口丘である。標高は1,674メートル。山頂には無線塔が林立し、一等三角点が設置されている。山頂には赤城山の最高峰である標高1,828メートルの黒檜山に向かって地蔵が立ち並んでいる。
「地蔵」の使い方・例文
・お地蔵さんの顔を見ていると心が休まる・母の帰りを地蔵のように、じっと待っていた。
・地蔵にまつわる昔話が多いのは、地蔵が多くの人々の信仰の対象になっていたからだ。
・街のはずれにあるお地蔵様で友達と待ち合わせをして遊んだ思い出がある。
・地蔵盆は子どもたちの夏の楽しみなイベントのひとつになっている。
じぞう〔ヂザウ〕【地蔵】
読み方:じぞう
「地蔵菩薩(ぼさつ)」の略。
地蔵
地蔵
地蔵
地蔵
地蔵
姓 | 読み方 |
---|---|
地蔵 | じぞう |
地蔵 | ちぞう |
地蔵 | ぢぞう |
地蔵菩薩
( 地蔵 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/29 13:38 UTC 版)
地蔵菩薩(じぞうぼさつ)は、仏教の信仰対象である菩薩の一尊。釈尊が入滅してから弥勒菩薩が成仏するまでの無仏時代の衆生を救済することを釈迦から委ねられたとされる[1]。
注釈
出典
- ^ a b c 鏡花の女人救済の原型(諸岡哲也)仏教大学大学院紀要文学研究科篇第47号(二〇一九2019年3月)
- ^ 大江吉秀『日本のほとけさまに甘える』2016年、東邦出版、27頁。
- ^ 大江吉秀『日本のほとけさまに甘える』2016年、東邦出版、28頁。
- ^ 「ろくどう‐のうげ」 - デジタル大辞泉
- ^ 『地蔵菩薩本願経』「若未來世有善男子善女人見地藏形像及聞此經乃至……得二十八種利益」
- ^ 『地蔵菩薩本願経』「若現在未來天龍鬼神聞地藏名禮地藏形或……得七種利益」
- ^ 『印と真言の本』108頁
- ^ 高田 1959, p. 47.
- ^ 「勝軍地蔵」 - 精選版 日本国語大辞典、小学館。
- ^ a b 「勝軍地蔵」 - デジタル大辞泉、小学館。
- ^ 高田みのり (2020年10月30日). “鬼門地蔵謎の密集”. 中日新聞朝刊県内版: p. 20
- ^ 伝通院 公式サイト http://www.denzuin.or.jp/ の「法蔵地蔵尊」の説明 閲覧日2023年8月14日
- ^ 境内「法蔵地蔵尊」 - 伝通院、2023年8月16日閲覧
- ^ 「地蔵」 - 世界大百科事典 第2版
地蔵(じぞう)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 04:45 UTC 版)
湯畑から少し入った場所にある。古くから眼病に効くという言い伝えがあり、源泉の脇には名前の通り地蔵堂(目洗い地蔵と呼ばれる)がある。2006年(平成18年)4月に建て替えられた。
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地蔵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/24 02:06 UTC 版)
みちびき地蔵は宮城県気仙沼市大島に実在し、1770年代に祀られたとの記録がある。この名称になった時期は不明である。場所は田中浜で丘の上にあり、地蔵は木製の3体で、地蔵堂は昭和時代に建て替えられた。地蔵は死者の霊を極楽浄土に導くと言い伝えられ、大島住民の信仰を集めていた。 この地蔵を題材にした民話・昔話も気仙沼市大島に存在する(後述)。 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)による津波では、地蔵堂が全壊し、地蔵が流失した。気仙沼大島観光協会は有志が寄せた寄付金などで地蔵堂を再建することを決め、その資金に充てるために民話の絵本出版を企画した。地蔵菩薩の制作は東北生活文化大学で彫刻を学ぶ大島出身の男子学生に同観光協会が依頼し、2012年2月に完成した。地蔵堂の工事については、2012年2月の時点では、他の復興物件が多数存在し大工や職人が不足状態で着工予定の見通しが立っておらず、既に完成した地蔵は民家に仮安置して、再建後に移動する予定となっていた。しかし、その後地蔵堂は再建され、新たに作られた木製のみちびき地蔵3体と石仏6体が納められた。2013年7月になって、地蔵堂の近くに積まれた瓦礫の中から、流失した石仏のうちの3体が発見された。2014年5月現在地蔵堂には、3体のみちびき地蔵と、発見されたものを含めて9体の石仏が祀られており、地元住民や観光客がしばしば手を合わせているという。
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地蔵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 21:58 UTC 版)
銭10と引き替えに徳(得点)を500得る。地蔵は触れても無くならない。
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地蔵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/06 15:31 UTC 版)
「地蔵」は村や都の中、フィールド上など様々な場所におり、周辺に現れる敵の情報や攻略に必要な段の目安などを桃太郎に語りかける。また、『新桃太郎伝説』に登場する「地蔵菩薩」は、話し掛けるとセーブができるほか、次の段まで必要な心の数を教えてくれる。北の雪原地帯にいる「並び地蔵」は最も偉いとされる。
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地蔵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 07:49 UTC 版)
「ゲゲゲの鬼太郎2 妖怪軍団の挑戦」の記事における「地蔵」の解説
各エリアにいて、信心を示すとエリアごとに対応した褒美をくれる。但しそのアイテムを既に持っていると「早々に立ち去れ」と怒られて追い返されてしまう。また、調べるを選択した場合は罰当たりだと怒ってアイテムを没収する。
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地蔵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 15:38 UTC 版)
両島原に出現する、首の無い地蔵の姿の妖怪。ならず者によって首を切り落とされた地蔵に妖気が宿って生まれ、自分の首を探すため夜な夜な歩き回るという。天邪鬼がベースになっている。
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地蔵
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「テーブルトークRPGのプレイスタイル」の記事における「地蔵」の解説
何もしゃべらないプレイヤーのこと。初心者が何をしていいかわからないという状況でしゃべらないということもあるのだが、RPGを何度も経験しているにも関わらず、何もしゃべらないプレイヤーも存在する。
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地蔵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/08 05:42 UTC 版)
世界中のいたるところに安置されている像。話しかけると、冒険に役立つ助言をくれたり、無意味なことを語ったりと、様々な反応を示す。
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地蔵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 21:02 UTC 版)
通学路にある3つの地蔵。ある日つる公が通りかかった時は小雨が降っており、なぜか虎と槍もあった。『笠地蔵』の如く傘を貸したつる公に恩返ししたが、ゲーム目当てで恩返ししたノキオには食べかけのあんパンを、同じくボルトには彼が着せたダウンジャケットを返品した。
※この「地蔵」の解説は、「あはれ!名作くん」の解説の一部です。
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地蔵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 06:41 UTC 版)
直立不動にて動かず熱い視線を送る行為。もっともシンプルであるが、静と動の関係から目立つ。
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