い‐たん【異端】
いたん 【異端】
異端
異端
異端
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/29 08:56 UTC 版)
異端(いたん、英: heresy)とは、正統との対比で生ずる概念である。
注釈
- ^ 注. これを現代的な用語では「近接作用論」と言う。デカルトの渦動論も近接作用論である。これに対してアイザック・ニュートンが唱えた万有引力は現代的な用語では「遠隔作用論」に分類される。
- ^ フランス(つまり大陸側)の人間であるヴォルテールが、イギリスに滞在した折、重力について(宇宙について)大陸側とイギリス側で全然異なった説明が行われていることを見出して、その感想を語った書簡が残されている。
- ^ 18世紀の半ばすぎでも、学問のほとんどは、「philosophy of ...」のように、あくまでフィロソフィアを冠して呼ばれていた。
- ^ このような科学者の社会的地位の状況の変遷などに関する歴史的事実は、村上陽一郎の一連の著作で解説されている。
- ^ 端的には、フランソワ・マジャンディーの1833年の文献などが指摘されている。それ以前にも若干あった、との指摘もある。
- ^ 注 - こうしたことに関する指摘は数々の科学者によって記述されている。例えば日本の一例を挙げると、大槻義彦などが、科学の世界での異端排斥の空気を自著で語っている。大槻はオカルト批判者としてしばしば知られている学者ではあるが、彼自身が自著で語るところによると、本当は少年時からあくまで火の玉に興味があってそれの研究をしたくて物理学を専攻として選ぶことになったが、本当に興味のあることを正直に明かすと科学の世界で生きてゆくこともできそうもなかったので、本当の目的は伏せて仮面をかぶって過ごし、週末に独りで毎週のように火の玉研究のために出けたが、そうした活動をしていることを同窓生・教師などに少しでも知られてしまうとあまりに危険なので、学内のどんなに親しい友人にも一切知らせなかったという。また研究者となっても「オカルト」などのレッテルを貼られてしまうと、猛烈なバッシングにあい、公的な研究助成金も止められ科学者生命が絶たれてしまうことを、その実例なども見て知っており、自分の研究のテーマは(表向き)科学界に受け入れられるものを選ぶなど、苦労に苦労を重ねてアカデミーの世界でなんとか今日まで生き延びてきた、という。(大槻義彦『江原スピリチュアルの大嘘を暴く』鉄人社 2008、後半の章に生々しく語られている)。
- ^ 著書『「心理テスト」はウソでした。受けたみんなが馬鹿を見た』で知られる村上宣寛なども、もともとロールシャハテストなどの心理テストに関する(肯定的な)研究などを行っていたが、ある時学会で他の学者から、研究内容を「疑似科学」と非難されるという、学者生命が絶たれそうな危機的な出来事があり、心理テストの間違いなどを指摘するようになった、と著作などに書いている。村上宣寛の場合は、自説をすばやく放棄し、自身の過去の研究の間違いを正しただけでなく、他の学者の説を疑似科学的な要素の排斥を行う書物をさかんに書くようになったことで生き残りを果たしたが、通常は村上のようにはうまく立ち回れず、自己弁護や論争をしているうちに学会で葬り去られてしまうパターンが多い。
出典
- ^ a b c 広辞苑 第五版 p.152【異端】
- ^ a b デジタル大辞泉
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 東京大学出版会『宗教学辞典』pp.26-27【異端】
- ^ a b c d 東京大学出版会『宗教学辞典』pp.485-486【正統と異端】
- ^ a b c d e f g h i j k l 『岩波 哲学思想事典』 pp.921-922【正統と異端】
- ^ 「正統は原初のものを「正しく受け継ぐ系統」を意味する[要出典]。 [誰?]「異端の指摘をされる場合は、受け継がれる系統接続に齟齬があったり原初の解釈に主観的な差が生じたりなどで、客観性が保てなくなった主張が複数ある状態だ[要出典]」[いつ?] 武芸や学問においては、それぞれの主義や主張を排他的に捉えないことが多く、流派、学派などと呼ばれる。[要出典] 「人を律するための法律や法典、特に成文法では、文字化により明確にすることで本来疑義は生じず異端が生まれる余地はない[要出典]。」 文字に表されたものはどのようなものであれ、初学者には極めて明瞭なもののように思えても、千変万化の具体的事象に適用するに当たっては、すべて不可避的に解釈という問題を生む(→「解釈」を参照)。経典類の解釈も同様である。
- ^ 注. 決して「異端が全て宗教改革になる」という意味ではない。宗教改革にならない異端もある。あくまで、「宗教改革を行う人はしばしば当初は異端と見なされる」という意味。 「宗教改革に寄与したのは異端の存在ではなく、異端とされた主張が支持を得て、ある程度の客観性[要出典]を得たからだ。[要検証 ]」
- ^ 『フランス・プロテスタント-苦難と栄光の歩み』
- ^ 島薗進『何のための「宗教」か?―現代宗教の抑圧と自由』青弓社 1994年
- ^ 井門富二夫『カルトの諸相 キリスト教の場合』岩波書店1997年
- ^ a b 「三大異端」に言及。- 八木谷涼子『なんでもわかるキリスト教大事典』p184,朝日新聞出版,2012年
- ^ 白取春彦『この一冊で「キリスト教」がわかる!―誕生・発展の歴史から世界に与えた影響まで』 三笠書房、1999年
- ^ 「三大異端」に言及。- 伊藤正孝、市雄貴『血を拒む「エホバの証人」--異端の輝きと悲惨』朝日ジャーナル:第27巻第27号(1985),p22.朝日新聞社
- ^ 新カトリック大事典編纂委員会編『新カトリック大事典』1996年
- ^ 小野静雄『日本プロテスタント教会史』下 聖恵授産所 p.243
- ^ 尾山令仁『聖書の教理』羊群社。
- ^ 岡田稔『岡田稔著作集』いのちのことば社
- ^ 宇田進『福音主義キリスト教と福音派』
- ^ 中村敏『日本キリスト教宣教史』
- ^ 小野静雄『日本プロテスタント教会史』上
- ^ クラス・ルーニア『現代の宗教改革』小峯書店
- ^ 尾山令仁『聖書の教理』羊群社
- ^ マーティン・ロイドジョンズ『教会とは何か』いのちのことば社
- ^ 岡田稔『キリストの教会』「異端排撃論」p.47-65 小峯書店
- ^ 日本伝道会議『京都宣言-解説と注解-』いのちのことば社
- ^ 水草修治『ニューエイジの罠』CLC出版
- ^ ジョン・ストット『ローザンヌ誓約-解説と注釈』
- ^ 『キリストの教会』p.51
- ^ ジョン・グレッサム・メイチェン『キリスト教とは何か-リベラリズムとの対決』いのちのことば社。
- ^ Witnesses of Hope in an Ecumenical and Inter-religious Surrounding- ローマ教皇庁による2008年4月の公式見解。エホバの証人をプロテスタントのセクト(異端)としている。
- ^ ローマ教皇庁教理省 (Congregation for the Doctrine of the Faith)による2001年6月5日の公式見解-全世界のカトリック教会を統率する組織であるローマ教皇庁の教理省は、モルモン教のバプテスマについて、キリストが制定したバプテスマではないことを表明している。
- ^ 『JMR調査レポート(2017年4月)』-東京基督教大学 国際宣教センター・日本宣教リサーチの『JMR調査レポート(2017年4月)』では「教義上あるいは信仰の実践上、キリスト教もしくはプロテスタントの一派と見なすことが困難とされるグループや教会」を挙げている。
- ^ 『海外の宗教事情に関する調査報告書』p125,平成24年3月,文化庁 -同報告書で、ロシア正教会主教会議による「偽キリスト教セクト、新異教主義、オカルティズムについて」(1994年12月)において取り上げた新宗教について報告している。
- ^ The Orthodox Christian and the Heretic- アメリカ正教会「正教会のキリスト教徒と異端者」
- ^ 『The Heresy of JEHOVAH'S WITNESSES』H.H. POPE SHENOUDA III, Baramous.Monastery Press, 1993.-シェヌーダ3世 (コプト正教会アレクサンドリア総主教)は「異端・エホバの証人」という書籍を著している。
- ^ a b 『岩波 哲学思想事典』 pp.921-922【正統と異端】【イスラーム】 中村廣治郎 執筆
- ^ 翻訳本:エルンスト・マッハ『マッハ力学―力学の批判的発展史』講談社 1969 ISBN 4061236512
- ^ 『改定版 物理学辞典』 培風館【力】ISBN 456302094X
- ^ a b 『ボルツマンの原子―理論物理学の夜明け』青土社、2003、ISBN 4791760166
- ^ a b c 出典:平凡社『世界大百科事典』【科学者】村上陽一郎 執筆。また村上陽一郎の一連の著作などで、そのあたりの事実は記述されている。
異端
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 03:54 UTC 版)
「ヨーロッパにおける政教分離の歴史」の記事における「異端」の解説
クルト・ルドルフ 著、大貫隆 ほか訳『グノーシス 古代末期の一宗教の歴史と本質』岩波書店、2001年。 甚野尚 著『世界史リブレット20 中世の異端者たち』山川出版社、1996年。 D・クリスティ・マレイ 著、野村美紀子 訳『異端の歴史』教文館、1997年。 ルネ・ネッリ 著、柴田和雄 訳『異端カタリ派の哲学』法政大学出版局、1996年。 原田武 著『異端カタリ派と転生』人文書院、1991年。 西川杉子 著『ヴァルド派の谷へ』山川出版社、2003年。
※この「異端」の解説は、「ヨーロッパにおける政教分離の歴史」の解説の一部です。
「異端」を含む「ヨーロッパにおける政教分離の歴史」の記事については、「ヨーロッパにおける政教分離の歴史」の概要を参照ください。
異端
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/15 06:19 UTC 版)
ある宗教の教えに反する信仰を異端の教義として識別するミーム。この異端識別ミームは、異端の教えを排除しようとする。信者達がそれぞれ違った教義を好き勝手に信仰してしまえば、やがてその宗教は消滅してしまう。
※この「異端」の解説は、「ミーム」の解説の一部です。
「異端」を含む「ミーム」の記事については、「ミーム」の概要を参照ください。
異端
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 20:20 UTC 版)
上述の特徴から、「幕屋」は異端であると見なされている。フリーライターの島崎愛が書いた小文によれば、「幕屋」が、他のキリスト教教団の説かない「原始福音」なる概念を重要視すること、新約聖書よりも旧約聖書を重視する傾向があること、ユダヤ教の教義に寛容であること、きわめて政治的に右派的な主張を展開することから、一般的なキリスト教からは異端とされている。一方、組織神学のキリスト論である「キリストとは誰か」の問いに答えれば旧新約聖書を土台にしており正統である。[要出典] 初期の幕屋はまだカリスマ運動のはじめであり、内村鑑三の後継者たち(矢内原忠雄、高橋三郎ら)からは「幕屋」は異端と言われていた。現在、カリスマ運動を否定するキリスト教会は少ない。[要出典] 上杉聰は、キリストの幕屋について宗教右派に属するとしている。
※この「異端」の解説は、「キリストの幕屋」の解説の一部です。
「異端」を含む「キリストの幕屋」の記事については、「キリストの幕屋」の概要を参照ください。
異端(ヒアティ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 03:16 UTC 版)
〈潜有者〉が〈悪夢の泡〉がもたらす悲劇、異常現象などによって、自我が保てなくなり発狂した状態。正気を失った〈潜有者〉は無尽蔵に〈泡禍〉を撒き散らす門と化し、また正気に立ち返った前例が絶無のため、〈異端〉化した〈潜有者〉に対しては殺害の措置しか選択されない。
※この「異端(ヒアティ)」の解説は、「断章のグリム」の解説の一部です。
「異端(ヒアティ)」を含む「断章のグリム」の記事については、「断章のグリム」の概要を参照ください。
異端
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/15 19:47 UTC 版)
しかしこの教会会議には、ペラギウス主義を正統からはずれた教義解釈と認定するだけの権威がなかった[要出典]。そこでアウグスティヌスと司教たちは、ペラギウスとケレスティウスの出席なしにペラギウス主義を再び弾劾、インノケンティウス1世 (ローマ教皇) に文書を送り、彼の教義解釈を異端とするよう上申し、それに成功する。 それでもペラギウス自身の行動は間違った信仰による罪とは定められなかった。ペラギウスは教皇ゾシムスに書を送り、自分がまったき正統な信仰を持っていると主張、さらに自分の主張は以前から矛盾したものではないとはっきり態度を明らかにした。教皇はペラギウスの書に感銘を受け彼を無罪とした。 いまだもってペラギウス主義が異端とされないことにアウグスティヌスは驚くが、418年のカルタゴ会議でははっきりとペラギウス主義は否定される。すなわち原罪、幼児洗礼、そして神の恩寵についての教義が明確に定義され、これが教会全体の基準として確立した。これによりペラギウス主義はイタリアから消えることとなった。[要出典]
※この「異端」の解説は、「ペラギウス」の解説の一部です。
「異端」を含む「ペラギウス」の記事については、「ペラギウス」の概要を参照ください。
「異端」の例文・使い方・用例・文例
- 異端児
- 異端という非難に関しては、ここでの証拠ははるかに弱いものである。
- 異端を唱える
- 異端者
- 誤った、または異端の信念を持つ
- 異端の抑圧
- 異端者の焼殺(スペインの異端審問の時期などに)
- 異端審問の間、拷問者は、犠牲者を拷問にかけるだろう
- スペインでの異端審問の間、人々は絞首刑に処せられた
- 子に対して父の絶対的な優越性を宣言したアリウスによって教えられた異端主義
- イエスは人体を持たなかった、そして十字架の上での苦しみや死は不正な彼の苦しみと死は事実ではなく仮現であると唱える異端の教義(グノーシス派と関係している)
- 父と息子と聖霊が3人の別々の神だという異端の信念
- ズルバーンが宇宙の最終的な源であり、アフラマズダとアフリマンがズルバーンの子供たちであったと考えている異端的なゾロアスターの教義
- 1179年のラテラノ聖堂会議で、アルビ派とワルドー派の異端を非難した
- ガリレオを告発するのは、ローマ異端審問であった
- カリスマ的指導者の指導に従い、通常因習社会の外で暮らしている異端のカルトのメンバー
- 異端審問の法定の高官(特にスペインとポルトガルにおいて)
- 異端審問の教会の法廷の役人
- ギリシア人で、アレキサンドリアでの活発なキリスト教徒の神学者であり、神に関する彼の主義のため異端者であると宣言された(アリウス主義として知られるようになった)(256?年−336年)
- >> 「異端」を含む用語の索引
- 異端のページへのリンク