チャールヴァーカとは? わかりやすく解説

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順世派

(チャールヴァーカ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/14 15:01 UTC 版)

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パーリ経典に登場する沙門[1] (六師外道)
(沙門果経より[2])
沙門[1] 論(思想)[2]
プーラナ・カッサパ 無道徳論、道徳否定論: 善行も悪行もなく、善悪いずれの報いも存在しない。
マッカリ・ゴーサーラ
(アージーヴィカ教)
運命決定論 (宿命論): 自己の意志による行いはなく、一切はあらかじめ決定されており、定められた期間流転する定めである。
アジタ・ケーサカンバリン(順世派) 唯物論感覚論快楽主義: 人は四大からなり、死ぬと散じ何も残らない。善悪いずれの行いの報いもないとし、現世の快楽・享楽のみを説く。
パクダ・カッチャーヤナ 要素集合説:人は地・水・火・風の四元素と、苦・楽および命(霊魂)の七つの要素の集合にで構成され、それらは不変不動で相互の影響はない。
マハーヴィーラ
(ジャイナ教)
相対主義、苦行主義、要素実在説: 霊魂は永遠不滅の実体であり、乞食・苦行生活で業の汚れを落とし涅槃を目指す。
サンジャヤ・ベーラッティプッタ
不可知論懐疑論: 真理をあるがままに認識し説明することは不可能であるとする。判断の留保。

順世派(じゅんせいは)またはローカーヤタサンスクリット語:Lokāyata)は、釈迦と同時代のインドの自由思想家アジタ・ケーサカンバリンが説いた唯物論および快楽至上主義の説を奉じる哲学上の学派。漢訳仏典では外道のひとつとして「順世外道」と訳している。後世にはチャールヴァーカ(Cārvāka)と称される。

思想

アジタ・ケーサカンバリンはの四元素説を唱えた。これは4要素の離合集散で世界を説明し、霊魂の存在を完全に否定するものであり、ヴェーダに示される正統バラモン教におけるアートマン(ātman、我、真我)をも否定するものであった。当時、汎インド的に最も重要視された(karma、カルマ)の報いについても、霊魂の行くべき道を示した業のはたらきや善悪行為の報いを完全に否定し、来世を認めず、道徳宗教も不必要なものであると断じて無神論の立場に立ち、人間には生得的な目的が備わっていたり、守らなくてはならない規範があるという従来の伝統的な共同体倫理を否定した。

マウリヤ朝チャンドラグプタの側近にして冷徹な思想家でもあったカウティリヤの著書と伝承される『実利論』第1巻第2章に「哲学はサーンキヤヨーガと順世派(ローカーヤタ)とである」[3]との一文がある。

精神の物質起源論

順世派は非精神的な物質である諸元素(bhūta)が有機的な肉体の形になると精神現象を生ずると考えていた。このような思想をBhūtacaitanyavāda(元素が精神的なものになるという論)という。[4]

脚注

  1. ^ a b 水野弘元『増補改訂パーリ語辞典』春秋社、2013年3月、増補改訂版第4刷、p.334
  2. ^ a b DN 2 (Thanissaro, 1997; Walshe, 1995, pp. 91-109).
  3. ^ 上村勝彦『実利論』岩波文庫, 1984, 上巻, 28頁
  4. ^ 佐々木幸貴「ジャヤンタ著Nyāyamañjarīにおける「自己」論の研究」、東北大学、博士 (文学)、甲第5449号、1996年03月、pp.4-5

関連項目

参考文献


チャールヴァーカ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 15:01 UTC 版)

古代哲学」の記事における「チャールヴァーカ」の解説

チャールヴァーカ (梵: चार्वाक)またはローカーヤタ漢語では順世派と言いヒンドゥー哲学の一学派である。様々な形哲学的懐疑主義宗教的関心を当然視する。ローカーヤタ著者であるこの派の創設者の名をとってチャールヴァーカと呼ばれるようになったヒンドゥー哲学概要で、チャールヴァーカは「信義のない」(ナースティカな)思想であると分類される仏教及びジャイナ教ナースティカとされる。チャールヴァーカは唯物論的無神論学派であると特徴づけられる。インド哲学においてこの学派正統派である六派哲学数えられていないが、ヒンドゥー教において唯物論的運動があった証拠として注目に値する。チャールヴァーカ派は様々な無神論的・唯物論的自然主義[要曖昧さ回避]的信念持っていた。チャールヴァーカでは死後の世界死後の生などないと信じられていた。 「要素それ自体から前方飛び出す しっかりした知識破壊される 知識破壊されると— 死後いかなる知性残らない。」 自然主義チャールヴァーカではある種自然主義信じられていて、あらゆる物事ひとりでに起こり、(神や超越的存在によってではなく)ひとりでに生まれてくるとされた。 「火は暑くは冷たい、 清々しくひんやりとした朝の涼風 何によってこうした個性生じるのか? 彼らはそれ自体本性に従ってそうなのだ。」

※この「チャールヴァーカ」の解説は、「古代哲学」の解説の一部です。
「チャールヴァーカ」を含む「古代哲学」の記事については、「古代哲学」の概要を参照ください。

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