財産 西洋の宗教哲学的な視点

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財産

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/17 02:19 UTC 版)

西洋の宗教哲学的な視点

宗教指導者が「財産を沢山保有しなさい」と信者に向けて説くことは滅多に無い。むしろ逆で、私財を蓄えることは宗教的解脱の妨げになると古代から考えられてきた。例えば新約聖書には次のように書かれている。

イエスは弟子たちに言われた、「よく聞きなさい。富んでいる者が天国に入るのは、むずかしいものである。また、あなたがたに言うが、富んでいる者が神の国にはいるよりは、らくだが針の穴を通る方が、もっとやさしい」
イエスは目をあげ、弟子たちを見て言われた、「あなたがた貧しい人たちは、さいわいだ。神の国はあなたがたのものである」

特に宗教権威ローマ教皇の影響が歴史的に大きい西洋では、この禁欲的なキリスト教思想を踏まえた哲学的観点からしばしば財産が論じられてきた。なお、資本主義成立以前の中世およびルネッサンス期あたりまでは「財産(property)」という語が本質的に土地を指していた。

古代哲学

シュメールの王ウルイニムギナは、土地(property)の強制売却を禁じる最初の法律を制定した[41]

旧約聖書のレビ記19:11および同19:13には「あなたがたは盗んではならない」と書かれている。

アリストテレスは『政治学』において「私有財産」という概念を提唱している[42]。彼は自己利益が共同体の無視につながるとして「誰もが自分自身のことを第一に考え、共同体の利益は殆ど考えない」[43]と論じた。さらに、財産が共同の場合は労働の違いから生じる先天的な問題がある、と次のように述べている。

「もし人々が平等に苦楽を共有しないなら、多く働いて稼ぎの少ない人々は殆ど働かずに沢山貰ったり沢山消費する人達に必然的に不平を言うだろう。しかし実際のところ、複数の人達で一緒に生活してその全員と共同の関係になること、特に共同の財産を持つことは常に困難である。
アリストテレス、『政治学』1261b[44]

キケロは、自然法のもとに私有財産は存在せず人定法のもとでのみ存在すると考えた[45]小セネカは、人間が強欲になって初めて必要になるものを財産と考えた[46]。後にアンブロジウスがこの見解を採用し、ヒッポのアウグスティヌスでさえ異教徒が労働したことによる財産を唯一皇帝が没収できないことに不平を漏らした[47]

中世哲学

欧州全体にキリスト教が伝播し、教皇領が形成されて教会権力が絶大となる中世の半ばまで、私有財産に否定的な初期キリスト教思想は引き続き大きな影響力を持っていた。一方で、キリスト教権威と土地の封建支配をする諸国王権との権力争いも目立ち始め、中世後期には従来のキリスト教思想を一部修正する哲学者が現れるようになる。

トマス・アクィナス (13世紀)

グラティアヌス教令集という12世紀のカノン法は、人定法が財産を創造しているに過ぎないと主張し、ヒッポのアウグスティヌスによって使われたフレーズを繰り返した[48]トマス・アクィナスは財産の個人消費に関して同意したが、財産の私的所有が必要だと見いだす際に(初期キリスト教の)教父学的な理論を修正した[49]。トマス・アクィナスは特定の詳細規定があれば、以下の事を結論付けている[50]

  • 外的な事物を所有するのは人間にとって自然である
  • 自分のものとして物を所有することは人間にとって合法である
  • 窃盗の本質は、他人の物を密かに取ることである
  • 窃盗と強盗は別種の罪であり、強盗は窃盗よりも重大な罪である
  • 窃盗は罪であり、また大罪でもある
  • しかし、必要性の圧迫を介して盗む(収用する)ことは合法である:「必要な場合、全ての物が共同体[注釈 13] の財産である」

近代哲学

西欧諸国が17世紀にアフリカほか新大陸への植民を次々と果たすと、貿易(商業)を重視して輸出超過の差額によって相手国の金銀を流入させ、自国の富を積み上げようとする重商主義が形成された。初期資本主義にあたる重商主義は、経済現象をいたずらに宗教的・倫理的に価値づけたりせず、それを客観的に因果論的に観察した。また、中世までキリスト教権威によって卑しいものだと非難されていた金儲けや商業を、経済の中心に引き上げ振興させていくことになった[51]

資本主義の台頭に伴って法人・個人による財産所有の意義が増してくると、中世までの批判的観点ではなく、キリスト教の再解釈から財産の妥当性を説明しようとする試みが見られるのも、近代西洋哲学の特徴である。例えばジョン・ロックが所有権を考察した『統治二論』では、第一論の大半がアダムの主権・アダムの君主権考察に割かれている[52]。 

トマス・ホッブズ (17世紀)

トマス・ホッブズの主な著作は1640年から1651年にかけて、清教徒革命の時期と重なって執筆された。彼自身の言葉によると、ホッブズの省察はキケロの著作から引用したフレーズ「万人に自分の所有物を与える」という思想から始まった。ところで彼は、どうやって万人が何らかの対象物をその人の所有物と呼びうるのか?に疑問を呈することで、以下の結論に至った。自分の所有物とは、領域内に明白な最強権力が1つ存在している場合にのみ、本当に自身の所有物になる事が可能で、(最強の)権力がそれを私の所有物として扱い、その地位を保護している[53]

ジェームズ・ハリントン (17世紀)

ホッブズと同時代のジェームズ・ハリントンは同じ問いに別の見解で反応し、彼は財産を自然だが避けられないと考えていた。『オセアナ』の著者である彼は、政治権力が財産分配の結果だ(原因ではない)と主張した最初の政治理論家だった可能性がある。彼は、起こりうる最悪の状況とは平民達が国家財産の半分を持っていて王室と貴族が残りの半分を握っている時で、不安定さと暴力に満ちた状況だと述べた。彼は、財産の大部分を平民が所有すれば遥かに良い状況(安定した共和国)が出現するだろうと示唆した。

ロバート・フィルマー (17世紀)

上述の2人と同世代のロバート・フィルマーは、聖書釈義を通じてホッブズとよく似た結論に達した。フィルマーは、王権制度が(キリスト教の説く)父性に似ていると述べた。すると人民は従順だろうと素行が悪かろうと未だに子であり、財産権とは父が子たちに分け与えたりする家財のようなもので、父のものは(子に分け与えた後でも)父の希望に応じて取り戻したり処分できたりする、と述べた。

ジョン・ロック (17世紀)

フィルマーの見解は17世紀当時の常識からも外れていて支持できないと、著書『統治二論』前半でアダムの君主権を考察しつつフィルマーに反論した次世代の哲学者がジョン・ロックである。

ロックが同書の第二論で提唱した財産権の自然権という定義は、西洋で恐らく最も普及した理論の一つとされている。彼は、創世記で神が自然の支配権をアダムを介して人間に与えた、というキリスト教的自然観[注釈 14]を発展させた。これによりロックは、人の労働と自然とが混ざる時に所有や財産価値という概念が起こることを、水や大地を例に挙げて説明している。

「泉の中を流れる水は万人のものであろうが、瓶の中の水がそれを汲出した人のものであることを一体誰が疑うだろうか? 自然の手許にあってはそれは共有物であり、すべての自然の子等に平等に属していたが、彼の労働がそこから取出したことによって、それは彼自身のものとなったのである。」 「土地に煙草や砂糖が植えられたり、小麦や大麦が蒔かれている時と、同じ一エーカーの土地が何も耕作が施されずに共有地としておかれてある時の相違を考えてみれば、労働による改良がその土地の価値の大過半を形成することが分るだろう。」[55]

また彼は、人々が社会契約を結ぶことになる以前の社会を想定して「こういう状態の下に彼の私有財産を享受することは非常に危険であり、不安なので」あり、したがって「人々が結合して国家を組織し、政府の支配を受けようとする際の主要な大目的は、彼等の私有財産の保存にある」とした[56]。人々は、ロックも是認していた君主制を創設することになるが、その任務は選挙によって選ばれた立法府の意志を実行することであり、「人々が自然の状態の下に所有した権力を、自分達の加わる社会に譲渡するのはこの目的のためである。また共同社会が適当と思う人の手に立法権を委ねる時には、彼等は自分達が公布された法律に支配されるべきであって、さもなければ自分達の平和、安定、私有財産は自然の状態の下において経験した同じ不安の状態に相変らずとどまることになるだろうという信頼感を抱いている」[57]と彼は述べている。

デイヴィッド・ヒューム (18世紀)

これまで述べた者達とは対照的に、デイヴィッド・ヒュームは比較的安定した社会構造の中で比較的平穏な暮らしをしていた。ところが、宗教に関する彼の論争的な著作と経験主義に駆り立てられた懐疑論的な認識論のため、人々は法と財産に関するヒュームの見解を非常に保守的だと見なすことがあった。

ヒュームの見解は、社会的慣習に支持された既存の法律が保護しているため、その範囲で財産権が存在するというものだった[58]。しかし、彼は貪欲さを「産業の拍車」と言及するなど一般的な主題に幾つかの実用的な助言を提供し、「絶望を生むことで産業を破壊してしまう」過度な課税に懸念を表明した。

アダム・スミス (18世紀)

「市民政府は、財産保全のために制定される限り、実際のところは富裕層を貧困層から守るため、あるいは財産を持っている者達を全く持っていない者達から守るために制定されたものである。
「誰もが自分の労働で持つ財産は、他のあらゆる財産の起源的な基盤なので、それは最も神聖かつ不可侵である。貧しい人の相続財産は彼の両手の強さと器用さにあり、隣人を傷つけることなく彼がこの強さと器用さを彼が適切だと思う方法で使うのを妨げることは、この最も神聖な財産の明白な違反である。
アダム・スミス『国富論』

19世紀半ばまでに、産業革命はイギリスとアメリカを変革した。その結果、財産に関わる従来の概念が土地だけでなく貴重品を含むものへと拡張された。フランスでは1790年代の革命によって教会と国王が従来所有していた土地が大規模に没収された。君主制の復活(王政復古)は、以前の土地を返還することで所有を喪失した者達からの不満をもたらした。

カール・マルクス (19世紀)

マルクスの著書『資本論』の第7篇「資本の本源的蓄積」にはリベラル(自由主義)な財産権理論の批判が含まれる。封建法の下では、貴族がその領主にあったように、農民は自分の土地に法的権利が与えられたとマルクスは指摘する。マルクスは、多数の農民が自分達の土地から排除されて、次に貴族によって収用された幾つかの歴史的事例を挙げている。この収用された土地はその後、商業事業(羊飼い)に使われた。マルクスはこの「本源的蓄積」をイギリス資本主義の創造に不可欠なものと見なしている。この出来事は、生きていくのに賃金のために働かざるを得なくなった土地のない階級をかなりの規模で生み出すことになった。マルクスは、財産の自由主義理論は暴力的な歴史的過程を隠す「牧歌的な」おとぎ話だと主張している。

シャルル・コンテ: 合法的な財産の起源

弁護士のシャルル・コンテは1834年の著書『Traité de la propriété(財産の協定)』にて、フランス復古王政に反応して私有財産の合法性を正当化しようとした。ダヴィド・ハルトによれば、コンテには要点が3つあった。「第一に、何世紀にも及ぶ国家による財産所有への干渉は、正義と経済的生産性に悲惨な結果をもたらしてきた。第二に、その財産は誰にも害を及ぼさないような方法で出現する場合は合法である。第三に、歴史的には全てではないが進化した幾つかの財産は合法的であり、現在の財産分配は合法的および非合法的な所有権が複雑に絡んだものである」[59]

コンテは古代の狩猟採集社会における土地のような、希少でない物品からなる共同の「国家的」財産に肯定的だった。農業は狩猟採集よりもはるかに効率的だったので、誰かが耕作向けに割り当てた私有財産(土地)は残りの狩猟採集民に一人当たりの土地をより多く残しており、それゆえ彼らに害を及ぼさなかった。したがって、この種の土地収用はロックの但し書き (Lockean provisoに反しておらず「まだ十分に、良いものが残っていた」との主張である。後年の理論家は、コンテの分析を財産の社会主義的批判に対して使用している。

ピエール=ジョゼフ・プルードン: 財産は窃盗

1840年の論文『財産とは何か?』の中で、ピエール・ジョゼフ・プルードンは「財産は窃盗だ!」と答えている。天然資源において、彼は「法律上の」財産と「事実上の」財産の2種類を判定し、前者は違法だと論じている。プルードンの結論は「財産は公正たるべきあり可能ならその状態に対して必然的に平等でなければならない」である。

天然資源における労働の産物を財産(用益権)としたプルードンの分析はより微妙なものである。彼は、土地自体は財産たり得ず人類の管財者として個々の所有者によって維持されるべきであり、労働の産物が生産者の財産たるべきだと主張している。プルードンは、労働なしに得られた富は何であれその富を生み出すのに労働した人々から盗まれたもの、という道理を説いた。プルードンによれば、労働の産物を雇用主に引き渡す(それで雇用主が賃金を払う)という自発的な契約でさえ盗難であった。

プルードンの財産論は世に出始めた社会主義運動に多大な影響を与え、プルードンの思想を修正したミハイル・バクーニンのような無政府主義の理論家に啓蒙を与えた。

フレデリック・バスティア: 財産は価値

フレデリック・バスティアの財産に関する主な論文は、1850年の著書『経済調和論』の第8章に見られる[60]。伝統的な財産理論から根本的な見直しを行い、彼は財産を物理的対象ではなく、むしろ物事に関連している人々の関係だと定義した。したがって、コップ一杯の水を所有しているという発言は「私はこの水を正当に他人に贈与したり交換したりできる」の短縮形にすぎないという。本質的に、人が所有するものは対象物ではなく対象物の価値である。「価値」についてバスティアは「市場価値」を意味するとして、これは実用性とは全く異なるものだと次のように強調している「相互関係において、我々は物事の実用性の所有者ではなく価値の所有者であり、そして価値とは相互的な役務から生み出された評価である」。

バスティアは、技術進歩と分業の結果として共同体の富の在庫は時間経過と共に増加すると理論づけた。未熟練の労働者が例えば小麦100リットルを買うために費やす労働時間は、歳月が経つほど(熟練度向上により)減少し、したがって「無償」の満足感に至る[61]。かくして、私有財産は絶え間なく自らを破壊し、共同体の富に変わっていく。 私有財産に対する共同体の富の割合の増加は、人類の平等に向かう傾向を生むという。

このように私有財産が共同体領域に変化したからといって、私有財産が完全に消滅するわけではないとバスティアは指摘する。それどころか、このことは人間が進歩するにつれて新たにより洗練された要望と欲求を継続的に生み出す理由であると述べている。

ローマ教皇レオ13世

レオ13世 (ローマ教皇)は、1891年に発表したレールム・ノヴァールムにて「人が賃金労働に従事する時、人を仕事へ駆り立てる理由や動機は財産を得ること、その後それを自分の所有物として保持することであるのは確かに否定できない」と記した。

アンドリュー・J・ガランボス: 財産の精緻な定義

天体物理学者で哲学者のアンドリュー・J・ガランボス(1924-1997)は、財産を人の生命とその人生における非生殖的な全ての派生物と定義した。

ガランボスは、財産が非強制的な社会構造に不可欠だと説いた。彼は自由を「あらゆる個人が自分の財産を完全に(100%)支配しているときに存在する社会的条件である」と定義した。ガランボスは、財産を次の要素を持つものと定義している[62]

  • 原始財産、これは個人の生命である。
  • 一次財産、これには観念や思考や行動が含まれる。
  • 二次財産には、個人の一次財産の派生物である全ての有形および無形の所有物が含まれる。

財産とは、個人の人生における非生殖的なあらゆる派生物であり、これは子供が両親の財産ではないことを意味する[63]。上の定義に従えば、子供の生命は本人の「原始財産」であり、親や保護者が所有する財産ではない。

ガランボスは、実際のところ行政府は財産を保護するために存在しており、国家が財産を攻撃すると繰り返し強調した。例えば、国家は人々がそのようなサービスを望むか否かにかかわらず、税金の形でそのサービスへの支払いを要求する[注釈 15]。個人のお金は当人の財産なので、税金という形でのお金の没収は財産に対する攻撃である。徴兵制も同様に、人の原始財産に対する攻撃である。

現代的見解

自然人が財産を所有し契約を結ぶ権利を享受していると考えている現代の政治思想家は、ジョン・ロックについて2つの見方がある。一方はロック礼賛派で、ウィリアム・H・ハット(1956年)のように、ロックが「個人主義の本質」の土台を作ったことを称賛した。一方、リチャード・パイプスほかの人達はロックの議論を弱いと見なし、それへの過度な依存が近年の個人主義の理念を弱めていると考えている。パイプスは、ロックの著作がハリントンの社会学的枠組ではなく「自然法の概念に依拠していたため後戻りが特徴である」と書いている[要出典]

エルナンド・デ・ソト (経済学者)は、資本主義市場経済の本質的な特徴が所有権と取引を記録する正式な財産体系における財産権の国家保護機能だと論じている。これら財産権と財産の法体系全体は、以下のことを可能にしている。

  • 資産を保護する地域社会の協定からの個人の独立増大
  • 明確で、証明可能で、保護可能な所有権
  • 一国全体での財産規則と財産情報の標準化および統合
  • 経済取引での不正行為に対する処罰の確実性向上に由来する信頼性増加
  • 各企業の共有リスクと所有権および同リスクに対する保険でのより直接的な想定を可能にする、より公的で複雑な書面による所有権声明
  • より多くの物が融資の担保として機能できるため、新規事業向け融資の活用性向上
  • 信用履歴や資産価値等に関する情報への容易なアクセスと信頼性向上
  • 財産の所有権を文書化する声明の代替可能性、標準化、移動可能性の向上(これによって、各企業にとっての国内市場や、個人ほかの主体による複雑なネットワークを介した財産の容易な移動などの構造に関する道が開かれる)。
  • 焼畑農業慣行の最小化による生物多様性の保護強化

デ・ソトによると、上記のすべてが経済成長を促進する[64]。学識者達は、財産または土地に金銭的価値を割り当てることによりコモディティ化することが伝統的な文化遺産を(特に先住民族から)奪ってしまう事を指摘して、財産が考慮される資本主義の枠組みを批判している[65][66]。これらの学者達は、財産の個人的な性質と現代西洋社会が支持する富の創造との相容れないアイデンティティの関連を指摘している[65]


注釈

  1. ^ 特に日本では、このうち国が所有するものを国有財産、地方自治体が所有するものを公有財産と区別している(前者は国有財産法で、後者は地方自治法238条で規定されている)。
  2. ^ 組合制度による特殊な共有制度(合有と呼ばれる)で、日本では民法668条などで規定されている[3]
  3. ^ 他人の土地を一定の目的のために使用収益する権利で、民法上は地上権永小作権地役権入会権の4種が規定されている[8]
  4. ^ 海外で散見される偽ブランドのコピー商品や、著作権を無視した海賊版などが顕著な違法事案例。後者については、動画共有サイトへの違法アップロードも後を絶たない。
  5. ^ 日本国内でも、三菱地所プロパティマネジメントやプロパティエージェントなど不動産関連の企業名でしばしば使われている。
  6. ^ 具体的には、奴隷制徴兵制、成年以下の子どもの権利結婚中絶売春麻薬安楽死臓器提供に関連した諸問題がある。
  7. ^ ここでは土地と労働と資本を指す。詳細は生産要素を参照。
  8. ^ 破産手続きにおいて裁判所が保全管理命令を出した際に、裁判所から選任されて債務者の財産を管理する者。彼らは破産管財人と違い、当該財産を処分して債権者に弁済配当する権限を持たない[17]
  9. ^ 自分の身体が貴重であることは言うまでもない(義肢人工臓器などを除いて基本的に代えはない)。また、人体の機能を長年維持するには健康管理等の労力も必要となる。
  10. ^ ただしこの用語は、特定集団によって所有管理される組合財産、日本でいう入会(いりあい)を指すことも多い。
  11. ^ 711年の蓄銭叙位令で、一定量の銭を蓄えた者には位階が与えられる仕組みがあり、高位階を目的に蓄財する豪族がいた。
  12. ^ 寛永の大飢饉で困窮した農民が田畑を売って没落する事態が相次いだため、江戸幕府が1643年に田畑永代売買禁止令を打ち出して農民の土地を売買できないようにした。これは年貢から収入を得る大名や幕府の財政を安定させることに繋がったため[32]、江戸時代を通じて同政策が継続されていた。
  13. ^ 教父学理論の修正というアクィナスの文脈において、この共同体とはキリスト者共同体を指す。
  14. ^ 神が人間を創造して「これに海の魚と、空の鳥と、家畜と他のすべての獣と、地のすべての這うものを治めさせ」ることにしたという聖書内容から生じた、人間が自然の支配者という人間中心的な自然観[54]
  15. ^ ただし公的サービスを実施するのも行政府なので、国家と行政府を分けて論じることが妥当ではないという問題がある(端的に矛盾を突くなら、税金を実際に徴収することも行政府の仕事である)。ガランボスの理論は、あくまで19世紀の「西洋哲学的考察」から導かれた言説である。

出典

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  54. ^ EICネット「キリスト教的自然観」2009年10月14日
  55. ^ ジョン・ロック「所有権(私有財産)について」松浦嘉一訳『統治二論』後編第五章29、40
  56. ^ ジョン・ロック「政治社会と政府の諸目的について」『統治二論』松浦嘉一訳、後編第九章123-124
  57. ^ ジョン・ロック「立法権の範囲について」松浦嘉一訳『統治二論』第十一章136
  58. ^ This view is reflected in the opinion of the United States Supreme Court in "United States v. Willow River Power Co.".
  59. ^ The Radical Liberalism of Charles Comte and Charles Dunoyer Archived 2006-01-30 at the Wayback Machine.
  60. ^ Bastiat: Economic Harmonies 
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  63. ^ Galambos, Andrew (1999). Sic Itur Ad Astra. San Diego, California: The Universal Scientific Publications Company, Inc. p. 23. ISBN 0-88078-004-5.
  64. ^ Finance & Development, March 2001 - The Mystery of Capital”. Finance, and Development - F&D. 2015年5月14日閲覧。
  65. ^ a b Kristen A. Carpenter, Sonia Katyal, and Angela Riley, 'In Defense of Property' [2009] 118 Yale L J 101, 101-117, 124-138
  66. ^ Margaret Jane Radin, Property and Personhood, 34 STAN. L. REV. 957, 1013-15 (1982)


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