しつ‐りょう〔‐リヤウ〕【質量】
質量
質量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/15 10:19 UTC 版)
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質量 mass |
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量記号 | m |
次元 | M |
種類 | スカラー |
SI単位 | キログラム (kg) |
CGS単位 | グラム (g) |
MTS単位 | トン (t) |
FPS単位 | ポンド (lb) |
MKS重力単位 | メトリックスラグ |
FPS重力単位 | スラグ |
プランク単位 | プランク質量 |
原子単位 | 電子の静止質量 (me) |
質量(しつりょう、羅: massa、希: μᾶζα、独: Masse、英: mass)とは、物体を構成する不変な物質の量を指す語で、物体の動かしにくさの度合いであり、重力源でもある。
概説
質量という概念は、動力学や力学の発達と伴って変化している[1]。
物理学的にはかつて、動かし難さを指す慣性質量 (inertial mass)[2]と、万有引力による重さの度合いを指す重力質量 (gravitational mass)[3]の二通りの定義が存在したが、現在の物理学では等価とされている(等価原理)[注 1]。
慣性質量と重力質量の等価性は、重力加速度を定めることで説明できる。物体に働く「重力は”重力質量”と重力加速度の積」であり、また、「重力と”慣性質量”の比」が重力加速度となる。
質量の発生原理としてヒッグス機構が有力視されているが完全には分かっていない。
質量は、日常的には重さとして捉えやすく混同されがちである。物体の重さとは、その物体が受ける「重力の大きさ」である。よって、重力場の異なる場所(例えば月と地球とで地表の重力加速度は異なる)では、同一質量の物体を用意したとしても、その重さは異なる。
以上は物体の固有な量としての質量についてであるが、金属などの結晶中を運動する電子など、特殊な状況において質量に相当するような量を考える場合があり、通常の質量と区別して有効質量 (effective mass) などと呼ばれる。
質量と重量との区別
計量の分野において、質量は長さ、時間と共に極めて重要な「物象の状態の量」[4](物理量をいう計量用語)とされる。日本の計量法第2条第1号の72個の物象の状態の量の列挙では、質量は時間の次の第2番目に掲げられている[5]。
しかし日常的には「重量」または「重さ」の語が伝統的に用いられてきており、計量分野や理科教育分野では、この重量(重さ)と質量の違いを峻別することが求められる[6]。
重量の2つの意味
重量は質量を示す場合と周囲に及ぼす荷重を示す場合とがある、日常的には区別する必要のない場面も多い。
- 質量を意味する場合:この場合は、単に質量の語に置き換えることができる。「物象の状態の量」としては「質量」であり、そのSI単位は、キログラム(kg)である(他にグラム、トンなどがある)。
- 周囲に及ぼす荷重を意味する場合:この場合の「物象の状態」は力であり、そのSI単位はニュートン(N)である他にkg重など。
法令中の用例
以上の2つの意味があることによって、次の例に見るように日本の法令上の扱いもまちまちである。食品表示基準のように一法令の中に「質量」と(質量の意の)「重量」が混在している場合もある。
- 自動車の規格を規制している道路運送車両法においては、「車両総重量」の語を自動車の総質量の意味で用いている(車両総重量#定義)。しかしISOとJISの自動車用語の規格においては、「自動車総質量」の語を用いている。
- 不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)に基づく「家庭電気製品製造業における表示に関する公正競争規約」は電化製品のカタログや取扱説明書の記載方法を規制しているが、テレビ・冷蔵庫などの諸元を表示する場合は、例えば「テレビジョン受信機本体の大略質量を「kg又はキログラム」で表示すること。」と規定しており、重量の語を全く用いていない[7]。
- 食品表示法に基づく食品表示基準では、その別表第9の炭水化物と糖質の測定方法では「質量」の語を用いている[8]。しかし、その他の約400箇所においては「重量」の語を用いている[9]。これらは「重量(g)」の語などが示すとおり、その意味は質量である。
- 日本食品標準成分表の2015年版(七訂版)までは、食品の質量として「重量」の語を用いていたが、教育面での配慮から2020年版(八訂版)では、正しく「質量」の語を用いている。ただし、調理前後の質量の増減を示す数値のみは、2015年版と同様に「重量変化率」としている[10]。
質量の概念
より正確な記述は後述することにして、「質量の概念」や「質量・重量(重さ)の違い」について概略を述べる。
バケツやコップに水を注ぐと、注いだ分だけバケツやコップの重さが増す。このことは、容器を変えても同様であり、水の量(体積)に応じて水の重さが変わることが分かる。また、同じ容器に水ではなく水銀などを入れると、同じ大きさの容器かつ同じ体積であるにもかかわらず、入れた物質によって「重さ」が異なることが分かる。このように、物の重さはその物の種類と量によって異なり、逆に同じ重さであっても異なる種類と量の物を用意することができる。このことから、様々な物体に共通する、物体の重さを支配する量が存在すると期待できる。後述するように、このような役割を果たす物体固有の量が、質量である。
物を支える際に感じる「重さ」以外にも、物を動かしたときにもその物体の「重さ」を感じることができる。台車に荷物を載せて運ぶ際、台車を動かし始めるときや動いている台車を止めるとき、たとえ同じ速さで台車が動いていたとしても(あるいは動いていなかったとしても)、台車に載せた積荷の量によって感じる手応えは異なる。このように、物体の動かし難さとしての「重さ」が存在し、それは物体の種類と量によって異なるため、先ほどの場合と同様に物体がある種の「質量」を持っていると考えられる。
物体を支える際に感じる「重さ」は、その物体を支えるものがなければ物体は落ちていってしまうので、物の落下する性質に関係する。物体が落下しようとする力を重力と呼び、これに関係する質量を重力質量と呼ぶ。重力質量の大きさは天秤を用いて測ることができる。同じ重力質量を持つ物体同士は重さも等しいので、天秤に載せると互いに釣り合う。基準となる物体を用意することで、基準に対する比として重力質量が定まる。
物体を動かす際に感じる「重さ」は、静止している物体は静止し続け、ある速さで運動する物体は同じ速さで運動し続けようとする性質、すなわち物体の慣性に関係する。これに関連する質量を慣性質量と呼ぶ。慣性質量は、たとえばハンマー投げのように物体を円運動させたときに感じる手応えによって知ることができる。慣性質量の異なる物体を同じように円運動させたとき、慣性質量が大きいほど円運動を維持するのに必要な力は大きくなる。
経験的に、慣性質量の大きな物体は重力質量が大きい、つまり「地球の重力で引っ張られて重い」(持ち上げにくい)と感じられる物ほど、「無重力状態でも動かしにくい」ことが知られている。この事実から、慣性質量と重力質量の違いに因われることなく、物体の重さを感じることができる。この慣性質量と重力質量の関係性を直接的に示すものが落体の法則である。落体の法則によれば、自由落下する物体の運動は、物体の重力質量に依らず同じであり、このことから重力質量と慣性質量が等価であることが導かれる。重力質量と慣性質量の等価性から、両者を区別することなく、単に質量と呼ぶことができる。この現象は、基本的には一般相対性理論の等価原理によって説明される。
二つの質量
質量の定義説明には慣性質量と重力質量の 2 通りある。
慣性質量
慣性質量(inertial mass)mI はニュートンの運動方程式において導入される量である。 物体に作用する力 F と物体の加速度 a の比例係数として次の様に表される。
外部リンク
質量(衡)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/08 17:14 UTC 版)
質量(度量衡の「衡」)は、現代では貫を基本の単位とする。これは明治24年(1891年)公布の度量衡法において、貫は国際キログラム原器の4分の15の質量(すなわち15/4 kg = 3.75 kg)と定められ、旧計量法施行法(昭和26年法律第208号)においても踏襲された。 江戸時代以前は「両」を基本の単位としていた。両替商で用いられた分銅は両が基本単位であり、匁は補助的な単位となっている。この分銅は江戸時代を通じて後藤四郎兵衛家のみ製作が許され、それ以外のものの製作および使用は禁止された。しかしながら、丁銀および豆板銀の通貨単位は量目(質量)の実測値であり、小判の通貨としての単位である「両」と区別する意味で「匁」が用いられることになり、一般的に質量の単位としては匁が広く普及した。 匁は、元々中国で用いられた名称は「銭」であり、銭貨(日本では一文銭)一枚の質量を単位としたものであった。一文銭1000枚分の質量として定められたのが貫である。貫は通貨の単位(1000文。江戸時代には一般的に省陌法と称して960文。明治時代には10銭)としても用いられたので、区別のために質量の方は貫目、通貨の方は貫文と呼んだ。 1貫 = 6.25斤 = 100両 = 1000匁 = 3.75 kg 1斤 = 16両 = 160匁 = 600 g 1両 = 10匁 = 37.5 g 1匁 = 3.75 g キログラムへの換算は計量法施行法(昭和26年法律第208号)に基づく、貫の換算係数に基づくもので、江戸時代はこれよりやや小さい。なお、「両」は、計量法施行法(昭和26年法律第208号)においては定義されていない 斤基準の質量の分量単位として、体積の単位を流用した合(斤の1⁄10、60 g)、勺(合の1⁄10、6 g)が用いられることもあった。 度量衡法における元々の質量の単位の基準は、黍の質量であった。 『漢書律暦志』に「権者銖・両・斤・鈞・石也。所以称物平施知軽重也。本起於黄鍾之重。一龠容千二百黍重十二銖。両之為両。二十四銖為両。十六両為斤。三十金為鈞。四鈞為石」との記述があり、これは黍1200粒を12銖(後に「朱」と略記された)とし、これが2つで1両とするものである。「両」には「二つ」という意味がある。これから24銖が1両、16両が1斤、30斤が1鈞、4鈞が1石となる。 漢の度量衡では嘉量の質量が『漢書律暦志』に「重二鈞」と記載されており、これに基づくと1両は3.8銭(匁)程度であったが、隋代にこれの約3倍の大両と呼ばれる制度ができ、唐代になるとその質量が11 %ほど縮小している。中国の学者が算出した嘉量による単位と、呉承洛の『中国度量衡史』による隋代および唐代の単位をグラムに換算したものを以下に示す。 単位(g)一石一鈞一斤一両一銖嘉量27200 6800.1 226.67 14.167 0.59029 隋代80183 20046 668.19 41.762 1.7401 唐代71618 17905 596.82 37.301 1.5542 質量の単位の銭(匁)は、この系統とは独立して発生したものである。すなわち開元通寳は10枚で24銖すなわち1両をいう基準でつくられた。この一枚の質量は1/10両で、これを1銭(匁)とした。ただし鋳造貨幣というものは質量を均一に作成することは困難で、質量の1銭(匁)の基準が開元通寳というわけではない。 金貨・銀貨は鎌倉時代以前の発足時はその質量によって価値が定められ、当初は一両の質量の砂金が金一両であったが、次第に質量と額面が乖離するようになり、室町時代には既に京目金一両は4.5匁となり、安土桃山時代は京目金一両は4.4匁、田舎目金一両は4匁前後へと変化した。江戸時代初期の慶長小判は京目一両を基準として量目が定められたが、後の貨幣改鋳により含有率や質量の劣る小判が発行されるようになり、質量単位と通貨単位との乖離はさらに拡大した。 ちなみに、一番新しい五円硬貨は3.75g(一匁)である。
※この「質量(衡)」の解説は、「尺貫法」の解説の一部です。
「質量(衡)」を含む「尺貫法」の記事については、「尺貫法」の概要を参照ください。
質量
出典:『Wiktionary』 (2021/06/12 12:39 UTC 版)
名詞
発音(?)
- し↗つ↘りょー
- (語義3はまた)し↗つりょ↘ー
用法
語義3は、「質量」+「ともに」という表現で用いられることが多い。
関連語
語義1および2
翻訳
語義1および2
- アフリカーンス語: massa
- アラビア語: كتلة
- アストゥリアス語: masa
- ボスニア語: masa
- ブルガリア語: маса
- カタルーニャ語: massa
- チェコ語: hmotnost
- デンマーク語: masse
- ドイツ語: Masse f
- ギリシア語: μάζα
- 英語: mass
- エスペラント: maso
- バスク語: masa
- フィンランド語: massa
- フランス語: masse
- ガリシア語: masa
- グジャラート語: દળ
- ヘブライ語: מסה
- クロアチア語: masa
- ハンガリー語: tömeg
- インターリングア: massa
- インドネシア語: massa
- イド語: maso
- イタリア語: massa
- グルジア語: მასა
- ラテン語: massa
- ラトヴィア語: masa
- リンガラ語: libóndó
- リトアニア語: masė
- ルクセンブルク語: mass
- マレー語: jisim
- マケドニア語: маса
- 低地ドイツ語: masse
- オランダ語: massa
- ノルウェー語(ニーノシュク): masse
- ノルウェー語: masse
- ポーランド語: masa
- ポルトガル語: massa
- ケチュア語: wisnu
- ルーマニア語: masă
- ロシア語: масса
- スロヴァキア語: hmotnosť
- スロヴェニア語: masa
- スペイン語: masa
- セルビア語: маса
- スウェーデン語: massa
- タイ語: มวล
- トルコ語: kütle
- ウクライナ語: маса
- ベトナム語: khối lượng
- イディッシュ語: מאסע
「質量」の例文・使い方・用例・文例
- 無質量電子
- 質量が小さい。
- 質量中心.
- 質量保存.
- 質量不変の定律
- 小さな荷電粒子の質量を決定する分光学の使用
- 特性または現象が特に連鎖反応を継続するのに十分な質量がある突然の変化で苦しむ点で、または、それの
- 限界質量
- 大きな質量と重量と扱いにくさを持つさま
- 平均的原子質量または重さよりも大きな同位体を含むまたはそれ自体になる
- 質量名詞と共に使用でき、『the』によって先行されている『much(多く)』の最上級
- 質量名詞と共に使用でき、通常、『the』によって先行されている『little』の最上級
- 質量分光を関するものであるか、含むさま
- 質量分析計に関する、または、質量分析計にかかわる
- 質量スペクトルを画像で表現する質量分析計
- 物質の主な質量
- 連鎖反応を継続することができる核分裂性物質の最小限の質量
- 本体がその本体の本質的特性である観察者に比較して静止しているときに測られる本体の質量
- 観察者に対して相対的に運動している物体の質量:1より大きく、速度が速くなるにつれて大きくなる因子でかけた静止質量に等しい
- 大きな質量のある特性
質量と同じ種類の言葉
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