観山家
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 05:38 UTC 版)
日本に5つしかないシテ方の流派のひとつを担う一族。 観山寿三郎(みやま じゅさぶろう)〈72〉 演 - 西田敏行 寿一の父。二十七世観山流宗家。能楽の人間国宝。 2年前、脳梗塞で倒れ下半身に麻痺が残り、その後危篤状態に陥るが奇跡的に復活し、さくらとの結婚と全資産の彼女への譲渡を宣言する。自宅で介護を受けるにあたり受診したテストで認知症の傾向が確認されたことから要介護1の判定が下され、認知症が進行しだしたため数分前のことを忘れてしまうようになる。さくらから「じゅじゅ」と呼ばれている。 女癖が悪く、かつて観山家の女中だった栄枝に手を付け寿限無を身籠らせたり、能の公演で地方に行くと女性を口説き、脳梗塞で倒れる直前は仲良くなった女性にLINEで能の動画を送るなどしてドン引きされることもあったが、中には意気投合する女性や、結婚を約束した女性までもいた。 認知症ではあるが、さくらが自分に恋愛感情がない認識があり、家族に格好がつかないからと、家族の前では婚約者を演じてほしいとお願いしている。 寿一が企画した家族旅行に「スパリゾートハワイアンズならいい」と参加する意思を告げ、参加するために糖質制限とウォーキングで血圧、体重、血糖値を落として、主治医が旅行を許可した数値まで絞り込むが、いざ家族旅行に行けるとなると福島に結婚を申し込んだ元看護師のまゆみという女性がいて、人間国宝に認定されてしまい彼女を遠ざけ疎遠となったので、謝罪に行きたいのでさくらを旅行に同行させることに難色を示す。しかし、その会話を聞いていたさくらから、元彼女に会いに行ってらっしゃいと送り出され、旅行には参加しないと言われたことから、ハワイアンズ旅行に出かけることになる。そして、旅行の道中にこれまで浮名を流した複数の女性たちに会う謝罪行脚をし、これまでの心残りを清算する。旅行先のスパリゾートハワイアンズではイベントステージで十八番の「マイ・ウェイ」を熱唱し、カッコイイ父親を子供たちに見せ感動させたことで、これまで介護や隠し子問題などで生じていた親子関係のわだかまりを解消し、親子揃って家族写真を撮影する。 家族旅行の後はデイサービスの利用も受け入れ、仕事が忙しくなった踊介・舞とはリモートで介護のやり取りを始める。しかし認知症テストの結果、旅行前は「要支援2」まで改善していた状態が「要介護2」へと悪化した上に記憶・認知能力が弱まりつつあり、更に症状が進行して「要介護3」と判定された場合、介護施設への入居を検討しなければならないことが判明する。 これまで物忘れが激しくなっても決して忘れることのなかった能楽の謡を思い出せなくなりショックを受け行方不明になり、謡を思い出せるのではないかと忘れてしまった演目の「隅田川」を訪れていたが、家族に介護を放棄され、寿一がさくらとの交際を宣言したこともあり、専門家のケアを受けるために認知症専門のグループホーム「照る照るハウス」に入居することを受け入れる。 入居してグループホームでの生活をそれなりに楽しんでいたかのように思われたが、分家の万寿から寿一が宗家を継承することに横槍を入れられた日の晩、徘徊して屋敷に戻ってきて「入居者たちは孫と薬の話しかしないのでホントにつまんねえ」と愚痴を言いだし、そのうちに呂律が回らなくなり脳梗塞を発症してしまう。主治医の大迫が駆けつけ投薬で血栓を溶かす処置が間に合い、最悪の事態は回避したが危篤状態に陥り、いよいよ危ないという状況に陥り、一族や門弟たちが別れの挨拶に集まったところにスーパー世阿弥マシンとして現れた寿一からさんたまプロレスの「肝っ玉・シコタマ・さんたま」のコールアンドレスポンスを呼びかけられ、その呼びかけに応えたことで、奇跡的に危篤状態を乗り越えた。 寿一がリング禍で亡くなったがそのことを受け入れられず、寿一の葬儀でも亡くなったことに気付かず、まるで寿一が生きてそこにいるかのように振舞っており、家族からは痴呆症の症状でそのように振舞っていると思われ誰からも止められることがなかったが、3年ぶりに参加する新春能楽会で大州やさくらから寿一が亡くなったことを教えられる。「隅田川」の演目中に寿一の幻影と対面し会話したことで寿一の死を徐々に理解し、寿一の幻影に向かって家族を奮い立たせ笑顔にし、レスラーとして奮闘し人間国宝には成れなかったが、観山家の人間家宝には成れたと初めて寿一のことを褒め、これまで褒めなかったのは褒めた瞬間にそこで成長が終わってしまうためだということを寿一に明かした。 その後、週末はグループホームに戻り要介護2と3を行ったり来たりしていたものの、死ぬギリギリまで地謡として能の舞台に立ち続け、天寿を全うした。 観山踊介(みやま ようすけ)〈34〉 演 - 永山絢斗(幼少期:原田幸明) 寿一の弟。弁護士。 能は好きで現在でも稽古を続けているが、自分には才能がないことを悟っている。自由奔放な兄を反面教師として堅実に生きることを決意し、弁護士になっている。 能だけでなく踊りや運動そのものが苦手らしく、舞曰く「小学生の頃にフォークダンスを踊れずに不登校になった」。また、料理も不得意のようで手作りのローストビーフを食べた寿一から内心で酷評された。 「後妻業の女」の疑惑のあるさくらを調べるうち、彼女を信頼しないと言いつつ恋愛感情を抱くようになる。そのため、家族旅行に行った際、さくらに気持ちを告白することを考えていたが、さくらが不参加となったため拗ね旅行に行かないと言いだしたが、渋々同行する。道中何度もLINEを送るがまとめて「既読」という返信しか送られてこなかった。 これまで芸養子ということで年上の寿限無を呼び捨てにしていたが、宗家の継承順位が寿限無より低く、腹違いの弟と判明したので、寿限無からさん付けするかお兄さんと呼ぶように注意される。 家族旅行の後にさくらにプロポーズをしようと考えていたが、寿一がさくらと勘違いして踊介にLINEスタンプを送信し続けた事と、似たイラストのスタンプをさくらが愛用している事から寿一とさくらが付き合っているのではないかと感づき、寿一にそのことを問い詰めるがその場にさくらが現れ、寿一からのプロポーズを受けたことを打ち明けられる。そして寿一からプロポーズされたことを「きちんと話さなければと思っていたが、踊介の『勘違い』がエスカレートして話しづらくなった」と告げられたことで自暴自棄になり、説得を試みるさくらが近づくことすら拒絶し捨て台詞を残してその場を去り、終いには寿三郎の介護をも放棄して実家に寄り付かなくなってしまう。 実家には寄り付くことはなくなってしまったが、土日にはグループホームを訪れ寿三郎に面会しており、その際に最期は家族に囲まれて家で死を迎えたいという寿三郎の要望をサブ・エンディングノートに書き留めていた。寿三郎が危篤になった際には、「もっと厳しく接してほしかった」と本音を吐露した。 寿一が亡くなってから1年後、なぜかさくらと結婚している。 長田舞(おさだ まい)〈40〉 演 - 江口のりこ(幼少期:前田織音、中学時代:和根崎颯美) 観山家の長女。寿一の妹。踊介の姉。進学塾「蒲田ゼミナール」の講師。 女性というだけで宗家を継げないことから寿一や踊介に劣等感を抱いているが、今も能の稽古は続けている。息子の大州が宗家を継ぐことを密かに願っている。寿限無曰く「親バカのステージママ」。 気が強く思った事をはっきりと言うため観山家においてはツッコミ役を担うこともある。寿三郎の入浴介助を手伝うために堂々と大浴場の男湯に入るなど、肝が据わっている。寿三郎の女癖が原因で母が苦悩していた姿を子供の頃に見ており、そのため寿三郎に対しては「諦めただけで許していないし、多分一生許さない」としている。大州とは彼本人が反抗期に突入したことから一時は険悪な関係となっていたが、寿三郎の介護や家族旅行などを通して徐々に改善していく。 旦那のO.S.Dが「HEY麺」新大久保店のホール係・背脂と不倫していたことが発端となり、男社会の身勝手さにこれまで人生を振り回されてきた怒りが頂点に達し、女癖の悪い寿三郎のせいで母親が泣いていたことや、自分の初恋相手が寿限無で、寿三郎のせいで初恋もダメにされていた怒りも加算され、寿三郎の介護を放棄して実家に寄り付かなくなってしまう。 実家には寄り付かなくなったが、寿三郎に言いすぎてしまったと感じている。息子の大州をグループホームに訪問させることで直接対面することを避け、O.S.Dの協力の下、ホットミールとして糖質オフのラーメンをグループホームの入居者たちに振る舞うなどして罪滅ぼしをしていた。 寿三郎が危篤に陥った際には、母を悲しませてきたことへの割り切れなさから過去の所業を指して「地獄確定」と断じるも、それが嫌なら目を覚ますよう涙ながらに訴えた。 寿一の死後は甥の秀生のために学習支援サポーターの資格を取得し、公立中学に進学した秀生のサポートを行ったおかげで、彼がどうにか授業についていける助けとなっている。 観山寿限無(みやま じゅげむ)〈40〉 演 - 桐谷健太(幼少期:嶺岸煌桜、青年期:林卓) 寿三郎の能楽の一番弟子。 小学1年生の頃に寿三郎に弟子入りし幼い頃は寿一の遊び友達であったが、寿一が家出したこともあり後に寿三郎の芸養子となる。本来は寿三郎の後継者であるが、寿一が宗家を継ぐべきと考えており、観山流宗家を影で支えようとする。 寿三郎が倒れてからは彼の代打で地方巡業に出演していたが寿三郎よりギャラが安く、ワキ方や囃子方などに回せるだけの収入がないために彼らへのギャラはこれまでの貯金から持出で支払いを行っており、寿三郎が倒れたこととさくらとの婚約で門弟たちが8割離脱して月謝の収入も激減したことから、寿三郎に内緒でフードデリバリーのアルバイトを始め、観山流の資金の足しにしている。 これまで本人や寿一たちには伏せられてきたが、実は自身が寿三郎が観山家の女中・栄枝に産ませた寿三郎の実子であり、寿一たちと腹違いの兄弟であったことを寿三郎本人から告げられ、一度は「承知しました」と事実を飲み込んだものの、献身的に支えてきた寿三郎に対し反抗的な言動を取るように豹変し、40歳にして遅めの反抗期を迎える。 家族旅行への参加を寿一から尋ねられた際、卑屈になって留守番をすると言いだしたため寿一にさんたまプロレスに連れ出され、気に入らないなら気が済むまで殴れと言われたため寿一の顔を殴り、これまで血縁でないため宗家を継ぐことを遠慮していたのに、この年になって急に息子と言われ自分が継いでもよかったのにと、寿三郎から早く言ってもらえなかったことに対する怒りをぶちまけ、寿一に宗家継承の勝負を呼びかける。 反抗期で卑屈になっていたため不参加と思われたが観山家の家族旅行に参加し、寿三郎が露天風呂に入浴する際には介助してあげ、寿三郎にこれからは甘えてタメ口を聞いてもいいかと尋ねて了承をもらい、寿三郎と和解する。 しかし和解したのも束の間、アキレス腱を負傷した寿一の代わりに寿三郎の入浴の介助を買って出たが、寿一と違って何か嫌だと寿三郎が文句を言っているのを聞いてしまい、相変わらず自分の気持ちを考えてくれない寿三郎に嫌気がさして観山家を離れ、寿三郎の介護を放棄してしまう。 観山家を去り介護士の資格を取ろうとしたが挫折してしまい、16歳で養子に入り観山の家から社会に出たことがなく、世間からは40代のフリーターとしてしか見られていないことを痛感し、自分には能しかないと考え直し半年後に観山家に戻る。寿一からプロレスを未だに続けていること、スーパー世阿弥マシンの正体が自分であることを明かし、寿一に誘われて寿三郎が入居している「照る照るハウス」に寄りスーパー世阿弥マシンの登場に喜ぶ寿三郎の姿を泣き笑いしながら見た。 寿三郎が危篤に陥った際には、短い間でも親子でいられたことや「落とし前」をつけてくれたことに感謝の言葉で呼びかけた。 亡くなった寿一によると、将来寿三郎の死後、二十八世宗家を継承し、45歳の時に芸術祭優秀賞を受賞する模様。
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