観察者効果との混同
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/07 08:14 UTC 版)
歴史的に、不確定性原理は観察者効果と呼ばれる物理学におけるいくらか似た効果と混同されてきた。観察者効果とは、系を測定する行為それ自身が系に影響を与えてしまうというものである。 量子力学が成立するミクロな世界が測定による観測者効果で「揺動」してしまうという説明は、ハイゼンベルク自身が当初不確定性原理に対して与えたものであり、今日において(専門向きな教科書にはともかくとしても、素人向けの啓蒙書等では)繰り返し出てくるものの、根本的に誤解を招く恐れのあることが現在は知られている。 「不確定性原理は実際には量子系の基本的特性を述べており、現代のテクノロジーにおける測定精度の到達点について述べたものではない」。不確定性原理は全ての波のような系にもともと備わっている特性であること、不確定性は単純に全ての量子物体の物質波の性質によって現われることが今日の量子力学ではわかっている。 以上のように不確定性原理は量子状態そのものが持っている不確定性であり、測定器の誤差と測定による反作用との不確定性とは区別して考えなければならない。量子論での時間発展や測定についての基本的要請をすべてを使って展開できる量子測定理論を用いて、ハイゼンベルクの考察した「測定精度と反作用に関する不確定性原理」ははじめて導けるが、その結果得られる不等式の下限はケースバイケースで変わることが判っている。後述する小澤の不等式などがその1つである。
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