海上特攻の準備とは? わかりやすく解説

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海上特攻の準備

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 22:10 UTC 版)

大和 (戦艦)」の記事における「海上特攻の準備」の解説

4月2日第二水雷戦隊旗艦軽巡洋艦矢矧での第二艦隊幕僚会議では、次の3案が検討された。 1. 航空作戦地上作戦成否如何にかかわらず突入戦を強行水上部隊最後海戦実施する。2. 好機到来まで、極力日本海朝鮮南部方面避退する。 3. 揚陸可能の兵器弾薬人員揚陸して陸上防衛兵力とし、残り浮き砲台とする。 この3案に対し少将山本祐二大佐伊藤中将幕僚は3.の案にまとまっていた。伊藤中将山本大佐を呉に送り連合艦隊意見具申すると述べた4月3日には、少尉候補生乗艦て候補生教育始まっていた。 一方連合艦隊では、連合艦隊参謀神重徳大佐大和による海上特攻主張した連合艦隊草鹿龍之介参謀長はそれをなだめた神大佐は「大和特攻的に使用した度」と軍港係留されるはずの大和第二艦隊編入させた。司令部では構想として海上特攻検討はされたが、沖縄突入という具体案草鹿参謀長鹿屋に出かけている間に神大佐計画した神大佐は「航空総攻撃を行う奏上の際、陛下から『航空部隊だけの攻撃か』と下問があったではないか」と強調していた。神大佐草鹿参謀長通さず豊田副武連合艦隊司令長官直接決裁もらってから「参謀長意見どうですか?」と話した豊田司令長官は「大和有効に使う方法として計画した50%成功率はなく、上手く行った奇跡だった。しかしまだ働けるものを使わねば、多少成功の算あればと決めたと言う一方草鹿参謀長も「決まってからどうですかもないと腹を立てた」という。淵田美津雄参謀は「神が発意直接長官採決得たもの。連合艦隊参謀長不同意で、第五航空艦隊も非常に迷惑だった」という。 神は軍令部との交渉入ったが、作戦課長富岡定俊少将反対であった富岡は「この案を持ってきたとき私は横槍を入れた大和九州方面陽動させて敵の機動部隊釣り上げ基地航空部隊でこれを叩くというなら賛成だが、沖縄突入させることは反対だ第一燃料がない。本土決戦望むところではないが、もしもやらなければいけない情勢立ち至った場合艦艇燃料として若干残しておかなければならない。ところが私の知らないところで小沢治三郎軍令部次長のところで承知したらしい」と話している。神の提案軍令部総長及川古志郎大将黙って聞いていたが、軍令部次長小沢治三郎中将は「連合艦隊長官そうしたいという決意ならよかろう」と直接許可与えた戦後小沢は「全般空気よりして、その当時今日も当然と思う。多少成算はあった。次長たりし僕に一番の責任あり」という。第五航空艦隊長官宇垣中将戦時日誌に、及川軍令部総長が「菊水一号作戦」を昭和天皇上奏したとき、「航空部隊丈の総攻撃なるや」との下問があり、天皇から『飛行機だけか?海軍にはもう船はないのか?沖縄救えないのか?』と質問をされ「水上部隊含めた海軍兵力総攻撃を行う」と奉答してしまったため、第二艦隊海上特攻実施されることになったとして及川軍令部総長の対応を批判している。 4月5日、神参謀草鹿参謀長大和説得に行くように要請し草鹿大和第二艦隊司令部訪れ長官伊藤整一中将作戦命令伝達説得行った。なかなか納得しない伊藤に「一億特攻の魁となって頂きたいと言うと伊藤中将は「そうか、それならわかった」と即座に納得した連合艦隊作戦参謀三上作夫中佐によれば自身作戦疑問持っていた草鹿参謀長黙り込んでしまうと、たまりかね三上が「要するに、一億特攻さきがけになって頂きたい、これが本作戦の眼目であります」と説明したという。草鹿参謀長は「いずれその最後覚悟しても、悔なき死所を得させ、少しでも意義ある所にと思って熟慮続けていた」と回想している。この特攻隊連合艦隊長官豊田副武大将によって「海上特攻隊」と命名された。 大和では命令受領後4月5日15時乗組員甲板集められ、「本作戦は特攻作戦である」と初め伝えられた。大和高角砲であった坪井平次によれば、しばらくの沈黙のあと彼らは動揺することなく、「よしやってやろう」「武蔵の仇を討とう」と逆に士気高めたが、戦局逼迫により、次の出撃事実上特攻作戦になることは誰もが出航前に熟知していたという。4月6日午前2時、少尉候補生傷病兵が退艦。夕刻君が代斉唱万歳三唱行いそれぞれの故郷帽子振った4月5日連合艦隊より沖縄海上特攻命令受領。 「【電令作603号】(発信時刻1359分) 8日黎明目途として、急速出撃準備完成せよ。部隊行動掃海面の対潜掃蕩実施させよ。31戦隊駆逐艦九州南方海面まで対潜対空警戒に当たらせよ。海上護衛隊長官部下航空機九州南方南東海面索敵対潜警戒を展開せよ。」「【電令作611号】(発信時刻15時海軍部隊及び六航軍は沖縄周辺艦船攻撃行え陸軍もこれに呼応し攻撃実施す。7日黎明豊後水道出撃8日黎明沖縄西方海面突入せよ。」 4月6日、 「【電令作611号改】(時刻7時51分)沖縄突入大和二水戦、矢矧+駆逐艦8隻に改める。出撃時機第一遊撃部隊指揮官所定了解。」として、豊後水道出撃時間第二艦隊一任された。第二艦隊同日夕刻天一号作戦菊水作戦)により山口県徳山湾沖から沖縄向けて出撃する。この作戦は「光輝有ル帝国海軍海上部隊伝統発揚スルト共ニ、其ノ栄光後昆ニ伝ヘ」 を掲げた大和菊水作戦沖縄までの片道分の燃料しか積まず出撃たとする主張存在したが、記録証言から約4,000満載6,500トン重油積んでいたことが判明している。戦闘詳報でも大和出撃時の燃料搭載量は4000tと表記されており、生存者三笠逸男は出撃前に燃料担当同僚会い周囲タンクなどからかき集めて合わせて4000t程大和搭載する事を聞いている。 第二艦隊大和以下、第二水雷戦隊司令官古村啓蔵少将旗艦軽巡洋艦矢矧第四十一駆逐隊防空駆逐艦冬月涼月))、第十七駆逐隊磯風浜風雪風)、第二十一駆逐隊朝霜初霜)で編成されていた。先導した対潜掃討隊の第三十一戦隊花月)の3隻は練度未熟とみて、豊後水道で呉に引き返させた。 アメリカ軍偵察機F-13『スーパーフォートレス』(B-29偵察機型) により上空から撮影され出撃直後大和写真2006年7月アメリカにて発見された。当時大和兵装状態は未だ確定的な証拠のある資料はなく、この写真大和最終時兵装状態の確定に繋がると期待されている。 詳細は「菊水作戦」および「坊ノ岬沖海戦」を参照 天一号作戦概要アメリカ軍上陸された沖縄防衛支援、つまりその航程で主にアメリカ海軍邀撃戦闘機大和攻撃随伴振り向けさせ、日本特攻機への邀撃緩和させることである。さらに立案者神重徳参謀構想では、もし沖縄にたどり着ければ、自力座礁し浮き砲台として陸上戦支援し乗員陸戦隊として敵陣突入させることも描いていたとされる神大佐は、以前にも戦艦山城突入させ浮き砲台としサイパン奪還する具申して、中沢佑軍令部作戦部長に「砲を撃つには電気系統生きてなければならない」と却下されことがある)。沖縄日本陸軍第三十二軍は、連合艦隊要請に応じて4月7日予定して攻勢をかけることになっていた。なお、大和座礁させて陸上砲台にするには、(1)座礁時の船位がほぼ平であること、(2)主砲発射するためには、機関および水圧系と電路生きており、射撃管制機能全滅していないこと、の2点が必要であり、既に実行不可能とされていた。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}実際レイテ沖海戦座礁陸上砲台の案が検討されたが[要出典]、上記理由却下されている。また、現実見ればアメリカ軍制海権制空権下を突破して沖縄到達するのは不可能に近く作戦主意は、攻撃主役である菊水作戦による航空特攻支援するための陽動作戦であった戦争末期には日本海軍暗号アメリカ軍にほとんど解読されており、出撃通信諜報からも確認され豊後水道付近ではアメリカスレッドフィンハックルバックの2隻の潜水艦行動察知された。4月6日21時20分ハックルバック浮上して大和確認ハックルバック艦長のフレッド・ジャニー中佐は特に暗号組まれずに「ヤマト」と名指し連絡した。この電報大和矢矧勤務していた英語堪能日系2世通信士官に傍受され翻訳されて全艦に連絡された。 当初第5艦隊司令長官レイモンド・スプルーアンス大将戦艦による迎撃考えていた。しかし大和西進し続けたため日本海側退避する公算があること、大和撃沈することが目的であり、そのために手段は選ぶべきではないと考えマーク・ミッチャー中将指揮する機動部隊航空攻撃命じたという。しかし実際には、スプルーアンス大将戦艦による砲撃戦挑もうとしていたところをミッチャー中将先に攻撃部隊送り込んでしまった。武蔵潜水艦雷撃沈んだという噂があり、ミッチャー中将何としても大和航空攻撃のみで撃沈したかったのだという。またミッチャー中将は、各部隊報告から大和沖縄突入する確信しスプルーアンス知らせないまま攻撃部隊の編成始めた。なお、スプルーアンス大将アメリカ留学中伊藤中将親交結んだであった

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