月光の関係者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 03:35 UTC 版)
岩崎 徳三(いわさき とくぞう) / オヤジさん 「ラーメンいわさき」の店主で、月光の養祖父。常に自店のTシャツ(「麺 on the silver mountain」のロゴ付き)を着ている。彼が作るラーメンの味は珍味らしく、雑誌でも褒めているのか貶しているのか微妙な評価されている。借金があるほどの貧乏生活を送っているにも関わらず、客にツケで食べさせるなど金銭に無頓着。 17年前の12月、妻との間に子供ができなかったため、里親の相談をしていたところ、神社の御神木のウロに捨てられていた赤ん坊の月光を見つけた。現在の月光の性格を形成した張本人であり、言い訳などの後ろめたい言葉を口にする月光には徹底的に厳しい。しかし当の月光が、不器用ながらも養祖父の事を慕っているのは、小さい頃に養祖母(ばあさん)が亡くなってから男手一つで熱心に育て上げてくれたからである模様。かつて徳三の母親は、戦争の焼け野原で、焼け焦げた一冊の絵本を見つけて涙が止まらくなり、「人間は夢がないと生きていけない」と学んだという。徳三もまたそのことを月光に語り継ぎ、月の客の到来を前にした彼を心の底から励ました。ちなみに、月光がケンカをしても警察沙汰になっていない事が自慢らしい(実際は署長の手回しにより無い事になっている)。 「ラーメンいわさき」には、第一話から常連客として、漫画家フヂタカヅヒロが来店している。 高木 天道(たかぎ てんどう) 月光の宿命のライバルにして「悪友」。暴走族の間では「走り屋天道」として恐れられている。演劇部にとっては元カレの一人に過ぎないが、天道は演劇部に未練たっぷり。月光とは死ぬほど仲が悪くしょっちゅう殴り合いをするが、途中からぐだぐだになり決着がつかない。月光との最大の違いは「タイミングが悪い」こと。月光に貸しを作る最大のチャンスに両足を骨折していたり、演劇部を誘おうとしたときに月光が通りかかるなど散々。 幼い頃は自衛隊の曹長だった父親から鍛えられていた。その父親の死後、実母に「再婚するための障害」として邪魔者にされた挙句捨てられ、自動車などの修理を行っている叔父の所に引き取られて、やがてメーカーとして発展して社長になった叔父の養子になった。 見た目に反して正義感が強く、チンピラに脅されている老婆を助けたり、演劇部にプレゼントを渡そうとするなど、意外な一面も持つ。その人柄のためか、不良仲間や実家の会社に勤める社員達に慕われている。その一方で「己の幸せ」を優先した実母に捨てられた経験から、幸福になることについてはシビアな考え方を持っており、シンデレラの本音に戸惑う一寸法師に「他人を気にしていては幸せになれない」と語ったりしている。 月打されたシンデレラに巻き込まれた事で、月光達に協力するようになった。月打時の記憶を持ち合わせるため、月光らの戦闘の援助を行っている。 月光をライバル視している同士だからか、一寸法師とは仲がよく、比較的一緒にいるシーンが多い。 署長 / ショチョーさん 月光たちの住む町の警察署の署長。本名は不明。オヤジさんとは「トクちゃん」と呼ぶほどの友人。オヤジさんのラーメンも気に入っている。月光のケンカに関する警察沙汰は、オヤジさんの耳に入らぬよう、彼が手回しをしている。 本庁の方から、月光条例およびツクヨミに関する知らせは聞いていたが、演劇部の話やイデヤの姿を見るまでは信じていなかった。警察官であるため、彼の所属する署も、ツクヨミの協力をすることになっている。 藤木 裕美(ふじき ゆみ) / ホウソウブ 実家は花屋「花の藤木」。近所に住む工藤の中学時代までの同級生で幼馴染。現在はミッション系の高校に通っている。普段は物静かだが、月光との恋愛を妄想するなど不純な一面もある。 ある日、月打された「きき耳ずきん」の主人公の若者に、「お前は長者どんの娘でオラの嫁だ」と言われ、執拗に狙われていた。動物園でとうとう捕まり絶望に瀕していたが、タイミングよく駆けつけた月光(と鉢かづき姫)に助けられる。若者が元に戻った事で一連の出来事はほとんど忘れてしまったが、月光の事だけはおぼろげに覚えていて、彼のタイミングの良さから好意を持ったようである。 一話限りのゲストキャラクターから準レギュラーに昇格した事情は6巻巻末を参照。 一緒に海水浴に行くつもりがアラビアンナイトの世界にまで同行することになった。工藤と同様に頭の回転が速く、人の心を理解するのが得意であり、花の知識にも詳しい。「みにくいアヒルの子」に乗ってチルチル一行から逃げている間に、平賀指令がうちでの小槌を送ってきた理由を見事に推測する。なぞかけでセクハラの限りを尽くした精霊・ウッディータを懲らしめるため、その自信を逆手にとったなぞかけで撃沈した。 アラビアンナイトの世界から戻り、七夕を終え、エンゲキブから今度の終業式に転校することを告げられる。その際、月光へ告白することを勧められるが、どうせ月光が自分を好きになることはないからと自虐するエンゲキブに対して憤り、好きな者に対して相手の気持ちを先回りして決めつけるべきではなく、言うべき言葉はあるはずだと訴え、そのやりとりを月光にも伝えることとなった。 センセイ / 宮沢 賢治(みやざわ けんじ) 黒い丸帽に背広姿、黒い外套、仏のように柔和な顔が特徴の人物。初登場は桃太郎の回想。 東北の田舎で教師をする傍ら文筆活動に励む。肺病を病んでからは教職を辞し晴耕雨読の生活を送る。左耳の後ろに極印を持つ〈執行者〉で、鉢かづき姫のパートナーだった。 実家は裕福な実業家だが長男でありながら家業を継ぐことを拒否し、父親からは勘当同然の扱いを受け「デクノボー」(役立たず)と罵られる。性格は温和ではあるが自虐的で悲観的。自分の命数が少ないことを意識しつつ毎日を過ごす。真面目で面倒見が良いため教え子や自宅周辺の農家からは慕われる。ただ、高瀬露に対してだけは異様なほどに冷たく突き放す。 月夜の線路で運命的な出会いを果たし、行き場がなく迷い込んできたチルチルを保護。「チル=散る」にちなみ「散吉」と名付け、共同生活を送る。 月との対話により物語を紡ぎ出す。また、過去・現在・未来に関する出来事も知っており、チルチルの辿ってきた過酷な運命についても知っている。その上で、何者にも惑わされず他人を救うために自分を平然と犠牲に出来る散吉に愛情と強烈な嫉妬を抱き、彼に新たな人生を歩ませることを心から願う。また、この世にただ一つの心残りである愛娘・露の秘密を話し、その後も孤独な運命を辿る彼女のことを託した。 自らが理想とする「幸福の王子」への執行を果たしたことで〈執行者〉としての役割を終えた後、病が悪化して帰らぬ人となる。その死の直後に散吉も転生するが、彼の存在や想いは様々な形で影響を与える。 高勢 露(たかせ つゆ) / かぐや姫 散吉が出会った運命的な少女でセンセイの養女。田舎の学校の教員で、おとぎ話にも詳しい。和装にブーツ、長身で黒髪の綺麗な美人だが、絶望に縁取られた異様な目つきをしている。嫉妬深く、センセイの世話を焼く散吉に対し、露骨に敵意を剥き出しにする。右手に極印を持ち、執行者代理を名乗って鉢かづき姫と共に戦う。誰かの役に立つことでしか自分の居場所を見つけられないという強迫観念にとらわれているせいで、自分の身を危うくする戦い方をしてしまう。「孤独」「絶望」「無力感」といった同じ辛さを味わってきたせいでどこか自分と似ている散吉に対し辛く当たる。 センセイが語ったその正体は「おとぎ話」ではなく実話としての「竹取物語」に登場する「かぐや姫」その人であり天女。誰かに拾われては先立たれる孤独と地獄を味わい続けたせいで人への愛情に飢えている。センセイに出会えたことで、ようやく理解者に巡り会えたと思っていたが、田舎ゆえの世間体と自らの寿命が少ないことを理由に遠ざけられてしまう。 センセイの死に続いて、散吉とも別れてしまうが別れに際し「ケンカ相手でも一緒にいたい」と願う。 作中の描写からも工藤が高勢のように思えたが、実際はエンゲキブの真の正体であった。 かぐや姫 「竹取物語」に登場する天女で、エンゲキブ、高勢露の正体。姓名はカグヤ・スズアカ・アナニエ。月の向こうの世界で図書寮の役人を務める父シカリオと、その妻ヤササメのもとに生まれ、平民出身ながら光の受け手として優れていたため、次王オオイミの許嫁に選ばれる。 月の王国では、嘘によって争いが続いた過去を改めるために、「正しい真実」が絶対という道徳が敷かれている。あらゆる嘘、物語を創作する行為は厳罰にあたり、かつて両親を安心させるためについた小さな嘘がもとで、カグヤは「穢き地上」に堕とされる。刑期は一千年に渡り、何度も転生を繰り返しながら、幾世代もの人間と死別しなくてはならない孤独を浴びせられ続ける。彼女が高勢露やエンゲキブとして、センセイ、散吉、月光に出会ったのも、その途上における出来事であった。 しかしカグヤが地上に堕とされた真の目的とは、オオイミ王が別な王妃を即位させるための口実づくりであるとともに、月の世界のエネルギー源として、電池として使い棄てるためであるという。千年間、太陽の光を浴びることで不死身となり、力の増殖炉・蜍威(ジョイ)として、月世界のエネルギー不足(青い太陽の力が弱まる)を解決するという。 刑期を終えた彼女を連れ戻そうとする月の客から逃れるため、工藤らの計らいで米軍の潜水艦に隠されていたが、月光を助けたいと決心し、工藤、天道とともに北極へと向かう。武器は千年分の太陽の力が蓄積された領巾(ひれ)である。その力を開放すると一人で月の艦隊を圧倒するほどの戦闘力を発揮することができ、おとぎ話のキャラクターたちが月の客との抗戦に出向くまでの時間を稼いだ後、月光がオオイミ王との対決に専念できるように導くなどの活躍を見せる。
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