さと‐おや【里親】
里親
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里親(さとおや、foster care)とは、児童福祉法に基づき通常の親権を有さずに児童を養育する者のこと。2020年度末で、1万4401世帯が登録し、ファミリーホームは427か所あり、里親とファミリーホームで暮らす子は7707人いる[1]。厚生労働省「新しい社会的養育ビジョン」において、今後「里親」の名称を変更することとなっている[2]。
注釈
- ^ 施設等の種別ごとの児童一人当たりの年間予算については、グループホームの経費や養育家庭を支援する職員を配置する経費を児童養護施設の予算に計上しているため、算出することは困難。仮に、児童福祉法による児童入所施設措置費等の平成27年度予算額を単純に予算規模で除算した額を児童一人当たりの予算額とした(東京都福祉保健局)。東京都議会平成27年第二回定例会上田令子文書質問主意書からの抜粋。
出典
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里親
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/10 16:48 UTC 版)
日本における里親制度は、養育里親、専門里親、養子縁組を希望する里親、親族里親に大別される。 里親は、要保護児童(保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童)の養育を委託する制度であり、その推進を図るため、次のような変遷をたどった。平成14年度に親族里親、専門里親を創設、平成20年の児童福祉法改正で、「養育里親」を「養子縁組を希望する里親」等と法律上区分、平成21年度から、養育里親と専門里親について、里親研修の充実を図った。 2010年前後の国際比較では、制度の違いがあるが、里親委託率の上位ではオーストラリア93.5%、アメリカ77%、イギリス71.7%で、低率なイタリアでの49.5%に対し、日本では12%となっている。日本の社会的養護は、施設が9割で里親は1割であり、欧米諸国と比べて、施設養護に偏っている。 里親へは、次の手当が支給される。月額で養育里親72,000円(2人目以降36,000円加算)専門里親123,000円(2人目以降87,000円加算)となっている。一般生活費乳児56,830円、乳児以外49,290円(食費、被服費等。1人月額)(平成27年度)その他(幼稚園費、教育費、入進学支度金、就職、大学進学等支度費、医療費等)となっている)。 「いまは引き取れないが、いつでも会いに行けるように、まだ施設で預かっていてほしい」「自分で育てるのは無理だが、手放すのは嫌だ」などの親の意向から、里親や養子縁組が進まないことがある。一方で、「4年も一緒にいたのに、突然連れて行かれて会えなくなってしまった。荷物も置きっぱなしで、さよならも言えなかった」と急な措置解除を不服として、里親が訴訟に至る行政と里親間のトラブルもある。里子だった側からは、「どのような養護を望むか、子どもにも選択肢を与えてほしい」「里親は事前に里子の情報を聞いていても、里子には情報がほとんどない」などの声や、措置解除で他の里親に委託されたことに傷ついた経験を語るものもいる。マニュアルの運転免許を取得するためにアルバイトに明け暮れた男性は、「学校を犠牲にしないでも、社会に出るために必要な資格を取るなどの支援があればいいと思います」と語っている。なお、埼玉県では養護施設退所後に就職で免許が必要な人(平成28年3月卒業見込み者から対象)に費用として、18万5000円の補助を開始。国、県の補助に県指定自動車教習所協会の支援が加われば、自己負担なく運転免許を取得することもできる事業が始まる。 平成25年の厚生労働省「児童養護施設入所児童等調査」によると、里親委託児童数は4,534人(前回3,611人)、児童養護施設入所児童数は29,979人(同31,593人)であり、このうち虐待を受けた経験のある児童の割合はそれぞれ31.1%(同31.5%)、59.5%(同53.4%)だった。今後の見通しでは、「保護者のもとへ復帰」見通しの児童は里親委託児約1割、養護施設児約3割となっている。また調査日(平成25 年2 月1 日)現在で、現に委託されている里親家庭の総数は3,481 世帯となっており、前回調査の2,626 世帯より855 世帯(32.6%)増加している。里親申込みの動機別をみると「児童福祉への理解から」が43.5%(前回37.1%)、「子どもを育てたいから」が30.7%(前回31.4%)、「養子を得たいため」が12.5%(前回21.8%)となっている。前回調査と比較すると、「養子を得たいため」の割合が下がり、「児童福祉への理解から」の割合が上がっている。 上記調査によると養護問題発生理由の主なものは、里親委託児の場合には「養育拒否」16.5%(前回16.0%)、「父又は母の死亡」11.4%(前回6.6%)であり、養護施設児の場合には「父又は母の虐待・酷使」18.1%(前回14.4%)、「父又は母の放任・怠だ」14.7%(前回13.8%)、乳児院の場合には「父又は母の精神疾患等」22.2%(前回19.1%)、「父又は母の放任・怠だ」11.1%(前回8.8%)となっている。 里親等委託率には自治体間で大きな差があり、全国:16.5%,最小:6.1% (秋田県)最大:41.4% (新潟県)。新潟県など、里親委託率が3割を超えている県もあり、過去10年間で、福岡市が6.9%から32.4%へ増加するなど、大幅に伸ばした県・市もある。これらの自治体では、児童相談所への専任の里親担当職員の設置、里親支援機関の充実、体験発表会、市町村と連携した広報、NPOや市民活動を通じた口コミなど、様々な努力をしている。 昭和30年には登録里親数が16,200人、委託里親数が8283人、委託児童数が9111人だったのに対して、平成25年には登録里親数が9441人、委託里親数が3560人、委託児童数が4636人となっている。 里親制度の普及啓発や調査研究を行っている公益財団法人「全国里親会」(東京都港区)が、2012年度以降の決算書を適正に作成していないとして、内閣府が修正を求めていることが分かった。監査報告書の一部では担当した税理士の署名が別人の筆跡とみられるケースもあり、内閣府は決算書作成の経緯を調べる方針と報道されている。全国里親会は1971年3月の設立で、2011年12月に公益法人に認定された。各地の里親らが入会する都道府県・政令指定都市単位の地方里親会の代表者らが役員を務め、運営費は地方里親会などからの会費や民間団体からの助成金などで賄われている。2015年度の収入総額は予算ベースで約8600万円となっている。 平成22年8月、杉並区内の養育家庭に委託していた児童が死亡し翌年、当該養育家庭の里母が、傷害致死容疑で逮捕される事件を始め、里親からの傷害、施設入所児童ホームステイ事業(以下「ホームステイ事業」という。)で里親宅に滞在していた際の里父からの性被害といった事件が起こっている。 日本では諸外国に比較し委託期間が長いケースが多く、3分の1が5年以上である。その背景には、実親への支援が不十分であると指摘されている。また、里親の一方的な都合で児童を児童相談所に返却する「里親不調」も4分の1の確率で発生している。そのため、児童相談所は、里親委託は慎重になる傾向がみられる。 2016年改正児童福祉法は、親と一緒に暮らせない子は、乳児院や児童養護施設に預けられることが大半だったが、これからは里親などへの委託を優先する。とくに就学前の場合は原則として「家庭養育」にすると明記された。 里親としての実体験を描いたノンフィクションに「うちの子になりなよ (ある漫画家の里親入門) 」漫画家・古泉智浩 作がある。
※この「里親」の解説は、「社会的養護」の解説の一部です。
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