成実宗とは? わかりやすく解説

じょうじつ‐しゅう〔ジヤウジツ‐〕【成実宗】

読み方:じょうじつしゅう

成実論」に基づく仏教一派412年鳩摩羅什(くまらじゅう)が成実論漢訳後流布して研究され(りょう)代に隆盛となった。のち、日本伝えられ南都六宗の一とされたが、のち三論宗の付宗とされ、独立した一宗とはならなかった。


成実宗

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/14 01:28 UTC 版)

成実宗(じょうじつしゅう)は、仏教宗派の1つで、『成実論』を研究する論宗(を所依とせず、を所依とする宗派)である。

中国十三宗日本仏教南都六宗の1つで[1]三論宗に附属する宗派。

概要

中国でこの宗が成立するのは、鳩摩羅什成実論を漢訳した412年に始まる。最初は北朝で継承されたが、鳩摩羅什の弟子・僧導が、大陸南部の寿春建康で講説し南方にも広まった。僧導の弟子・道猛(413年 - 475年)が勅を奉じて建康の興皇寺に住して、また成実を講説した。

隆盛の時期は、南朝代(502年 - 556年)である。当時の仏教界の大立者であった「三大法師」が成実の論師で、すなわち、光宅寺の法雲開善寺智蔵荘厳寺僧旻の三大師である。

その後成実論は、代に、天台宗祖の智顗三論宗祖の吉蔵によって、小乗の論とされたこともあり、衰退に向かう。吉蔵は『三論玄義』で、四種に分類し、大乗の空と成実の空との相違点を論じている。初には既に宗派としての形跡を失っていたが、律宗祖の道宣は、大乗にも通ずる分通大乗の論であると評価している。

鎌倉時代後期の学僧凝然による『三国仏法伝通縁起』で「聖徳太子三経疏を作り、成実論をもって法相の門となし、光宅の義によりもって義門を立つ。光宅法師はこれ成実の師なり」と記されており、独立の宗派とはならずも、日本仏教の形成に大きな役割を果たした。

日本への伝来は、百済の道蔵が伝えた。延暦25年(806年)の太政官符によれば、三論業3名のうち、1名には成実論を読ませた、とある。

俗諦と真諦とを対立させ、俗諦の存在を認めるが、真実界に立ってみればそれは空であると説く。

刊行

大蔵出版平井俊榮・荒井裕明・池田道浩校注

脚注

注釈

出典

  1. ^ 南都六宗(なんとろくしゅう)とは - コトバンク”. 朝日新聞社. 2017年8月3日閲覧。

関連項目


成実宗

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/23 14:58 UTC 版)

多聞部」の記事における「成実宗」の解説

多聞部の『成実論』は中国仏教高い人気獲得し中国の仏教において独自の宗派成実宗(拼音: Chéngshí-zōng)が412年生み出されることにもなった。南懐瑾(英語版)が以下のように概説している: 中観派三つの論に基づく宗派、『倶舎論』に基づく宗派、『成実論』に基づく宗派といった様々な宗派生まれてきた。これらは皆互いに優劣競い多くすばらし副産物生み出しそれぞれ独自の理論体系生み出した。 成実宗は『成実論』の教えに基づき悟りを開くための二十段階発展説く。成実宗は訶梨跋摩インドにおける自派創設者とみなし、鳩摩羅什中国における自派創設者みなした。成実宗は唐代仏教十派一つ数えられる中国から日本へは625年に成実宗が伝わり日本では成実宗(じょうじつしゅう)として知られた。日本の成実宗は奈良時代(710年-794年)の南都六宗一つとして知られる

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「成実宗」を含む「多聞部」の記事については、「多聞部」の概要を参照ください。

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