奈落の尖兵ダークレイス
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「ユグドラシル宇宙」の記事における「奈落の尖兵ダークレイス」の解説
奈落を肯定し、自らの身に受け入れて超常的な力を手に入れたものたちは「奈落の尖兵」「奈落の落とし子」などと呼ばれている。『アルシャード・セイヴァーRPG』ではこれら奈落の尖兵たちを「ダークレイス」という用語で総称している。この節ではその用語を使用する。 ダークレイスは『アルシャード』シリーズでは原則的には敵役として扱われている。 ダークレイスとなったものたちは心身ともに変容を重ね、多様な性質を持つが、その強さや特性、属する派閥などから以下で記されているようなある程度のカテゴリには分けられる。 ダークレイスたちは属する派閥、もしくは個人毎に行動目的が異なり、ダークレイス同士で対立することもままある。しかし、どのような目的をもっていても、彼らが奈落の力を行使するたびに、結果的に世界が奈落に汚染されることは変わらない。 奈落神 神が奈落の影響を受けて変質したもの。ダークレイスの中でもトップクラスである。著名な奈落神にはタルタロスに封印されたティターン十二神がいる。ティタノマキアに敗れたティターン神族の多くは奈落そのものであるタルタロスに放逐されてその中で奈落に飲み込まれてしまった。しかし十二神をはじめとした強力な存在は、奈落と同一化しつつもその自我や本質を失わずに、むしろその奈落を糧として存在しつづけている。 奈落が広がればそれだけ自分の力が増すため、自らは奈落の奥底で動かずに部下である奈落の使徒(アポスル)を使って奈落拡大をもくろむ。また、自らの勢力下にない奈落の尖兵の活動も放置してあまり干渉しない。これはどんな場合であっても奈落が活性化すればそれでよしと考えているからである。なお、奈落神がタルタロスから自ら動こうとしないのはタルタロスと外世界をつなぐ入り口の多くが封じられており、小さな奈落の尖兵は封印の隙をつけて脱出できたとても奈落神のような強大な存在はタルタロスから出られないからでもある。ただし、大ラグナロク発生後はタルタロスと冥府ハデスをつなぐ青銅門の封印が弱まったため、そこからタルタロスを脱出して他の世界へ直接干渉を行う奈落神も出てきている。なお、奈落神の中でもティターン十二神に限れば、母なるガイアを自らと同じ奈落に染めることを第一目的としており、彼らの派閥のもの(ティターン神族)が他の世界を奈落に沈めようとするのは、タルタロスとブルースフィアをつなぐ「奈落の道」を作るためでもある。 奈落の使徒(アポスル) 心身が奈落と完全に同化し、奈落を世界に広げること自体を目的に暗躍している者たちのこと。奈落の使徒が何故奈落を広めるのかには個々によって理由が異なる。奈落を心地よく感じるから、奈落を広げることで自身がより強力になることができるから、より上位の存在(奈落神など)から命じられているから…などである。しかし根源的には、彼らは奈落を広げることによって起こる利害的なものには囚われない。彼らは奈落を広げるために存在していると自覚しており、奈落を広めることにより自らが消滅につながることになったとしても、彼らは奈落を広げるという行為を止めることはない。上述したような「奈落を広げる個人的な動機」をもたずに、ただ奈落を広げたいから広げているような使徒も幾人も存在する。 奈落の使途が世界に誕生するプロセスは二通りあり、まず一つ目はより上位の存在(多くは奈落神)がタルタロスなどの奈落の塊から使徒を創造するというもの。奈落に溶け込んだティターン神族がその奈落から再創造されて復活することもある。もう一つは、元々はただの人間だったものが奈落に飲まれても消滅を免れて意識と形を保った場合である。 奈落の使徒が奈落を広げる方法論は様々なものがあるが、もっとも知られていることに後述するスペクターを作り出すというものがある。奈落の上級使徒(グレーターアポスル) 奈落の使徒の中でもより強力な存在は上級使徒と呼ばれる。上級使途は自分たちの領分を定めており、そのなかにいる使徒を統率する立場にある。 上級使徒は特別なことをしなくてもただそこにいるだけで周囲にものを発狂させたり、奈落による変質を与えたりすることもできる。そうやって上級使途は新たな奈落の使徒を生み出すのである。 奈落の王(アビスロード) 奈落の使徒の中で最上級と呼べる存在が奈落の王である。ひとつの世界の奈落の尖兵たちをまとめあげれるまでの実力者である。いわばその世界における奈落勢力のボスがアビスロードであると言える。 奈落の王は奈落神の側近であることも多いが、奈落神とが別の思惑で動くものや、奈落神と全く関りなく実力で奈落の王までなりあがった者もいる。 奈落の騎士 奈落の騎士はダークレイスの中でも戦闘力に優れたもののことである。奈落の騎士は再生前の宇宙と再生後の宇宙では若干設定が異なる。 再生前の宇宙においては、奈落そのものが実体化した武具に身を包んだ戦士のことである、彼らは自我も意識も失い、ただただ世界に破壊をもたらす。彼らの破壊はただそれだけで世界に奈落を広げてしまう。奈落の騎士に壊されたものや場所は奈落に汚されるのである。奈落の騎士により殺されたものは新たな奈落の落とし子となり蘇るのである。奈落の騎士の本体は彼らがまとう武具そのものである。生者や死者に奈落がとりつき支配したとき、奈落の騎士は誕生する。奈落の支配力はスペクターよりも強いため、元の姿に戻して救うことは困難であるとされる。スペクターが奈落に飲まれた結果、奈落の騎士となることもある。 再生後の宇宙における奈落の騎士は、上述のような意志なき破壊の使徒ではなく、奈落と同化することで、奈落の力を自在に使いこなせるようになった元人間(や異種族)のことを言う。奈落の使徒との違いは奈落を広めることを目的としているのではなく、自分の欲望のままに暴れることを目的としていることにある。行動原理的にはスペクターとほぼ変わらず、実際、スペクターから進化して奈落の騎士になるものが多い。 スペクター(奈落人) 心の隙に奈落が入り込み、超人的な力を得たものたち。奈落はマナの真空地帯に生まれるが、マナはあらゆる事象の根源であるため、人の心のスキマもまた「マナの真空地帯」なのである。 スペクターは奈落の使徒がアビスシードと呼ばれる奈落の種を人間に与えることによって誕生する。奈落の種は持ち主に寄生し、その人間が持つ悩みやコンプレックス、苦しみなどの負の感情を増大させ心のスキマを増幅させそこに奈落を満たす。しかし同時にその人間に超人的な力を与えるため、スペクターたちはほぼ例外なくその力に酔いしれてしまう。彼らはその力を使って悩みやコンプレックス、苦しみを克服することを望むが、彼らが奈落の力を使えば使うほど心のスキマは広がり苦しみが増すのである。そうなったスペクターは心のスキマを埋めるために奈落の力を使う。彼らがそうやって奈落の力を使うことにより周囲のマナはどんどん消滅していく。こうやって世界を少しずつ傷つけていくのである。そして最終的にスペクターは増大した心の奈落に肉体と魂が飲み込まれ、その場所に奈落そのものを顕現させるのである。 アビスシードは奈落としてはごく小さなものであり、奈落を止めようとする者たちにもなかなか感知できない。奈落の使徒はそれを利用し、アビスシードを大量にばらまき、悩める人間に対して埋め込んでいく。アビスシードが十分に育ち、スペクターが世界を傷つけるだけの力を持つようになって初めて事態が発覚することになる。なお、再生前の宇宙ではスペクター作成はブルースフィアの奈落の使徒が主に使うものだったが、再生後の宇宙ではミッドガルドの使徒もスペクター作成を基本戦略として積極的に行っている 上述したとおりアビスシードは時間とともに成長する奈落であるため、スペクターは発見され次第、早急に始末しなくてはならない。しかし、シャードを持つクエスターだけはスペクターになってしまった者たちからアビスシードを取り出し、浄化することによって元に戻すことができる。 また、ごく少数ではあるが心の奈落が極限まで成長してもそれに飲み込まれずに逆に奈落を自らの心身としてしまい生まれ変わるものもいる。そのようなものたちが奈落の騎士や奈落の使徒となる。ダークレジェンド 再生後の宇宙におけるブルースフィアにおいてのみ見られる特殊なスペクター。母神ガイアのアバターが奈落と干渉することで生まれた存在「シャドウガイアのアバター」が作り出すスペクターである。シャドウガイアのアバターは自らの欠片である「シャドウガイアの瞳」と呼ばれるアビスシードを人々に埋め込むことでダークレジェンドを作り出す。ダークレジェンドはスペクターであるにも関わらずアビスシードを作り出すことができ、いわば即席で作り出せる奈落の使徒である。ダークレジェンドはシャドウガイアのアバターから、《シャドウガイア》という加護を受けることができる。これは《ガイア》と同じく奇跡を起こす加護なのだが、《ガイア》が認めないこと(愛に根付かないことなど)さえも起こしうる危険な加護である。ただし、この加護の使用には代償として膨大な奈落を捧げなくてはならず、その代償の支払いのためにダークレジェンドは使徒のように奈落を広げることを強いられる。 ダークワン 奈落の落とし子たちの中には同じ変容を遂げたものが寄り集まって一個の「種族」を成しているものもいる。そのような「群れ」の概念を持つ奈落の落とし子をダークワンと呼ぶ。アンデッド、オーク、ガイスト、ターマイト、ヴァンパイア、フォモールなどといったいくつかの奈落クリーチャーがここに属する。 ダークワンが他の奈落クリーチャーと異なるのは群れへの帰属意識である。自己よりも集団を維持することを重要視する本能があり、中にはターマイトのように社会性昆虫のような生態を持つものもいる。 そして彼らは自らの群れの拡大を望む。本能的に仲間を増やそうとするのである。人間や様々な生物を奈落に染めて自らと同じ種族にし群れに引き入れる。それがダークワンの本質である。 なお、ダークワンの個体にシャードの声が囁かれることもあり、その場合はダークワンはクエスターとして覚醒する。そうなたダークワンは「先祖帰り」のようにその種族が奈落の影響を受ける前の姿に戻り、群れへの帰属本能から解放される。ダンピール 奈落による変容を起こしながらも、幸運にも心身の歪みが軽微ですんだために生物として元の姿をギリギリ保っている者たちをダンピールと呼ぶ。彼らの血管には血とともに抑え切れない奈落の衝動が流れており、それと戦いながら日常生活を送っている。そのような出自のため奈落を憎悪する者も多い。しかし、奈落の誘惑に負け完全なダークワンと化してしまう者もまたいる。 デーモン 魔界ヘルヘイムに住まう奈落生物のこと。人間以前に存在した半神半人とも言うべき知的種族「銀の種族」が奈落の影響を受けて種族単位で肉体や精神を歪められてしまいデーモンが誕生したと言われている。また、一般のダークワンが成長することでデーモンとして進化する場合もある。 デーモンたちは旺盛な支配欲を本能的にもっており、他のデーモンたちとヘルヘイムで激しい国取り合戦を繰り広げている。デーモンたちは奈落に満たされた空間に入り込み、別の場所にある奈落に満たされた空間から出てくることができる特性をもっている。つまり奈落を通じた次元移動が可能なのであり、ある程度奈落が侵食している場所ならいかなるところにも現れることができる。ミッドガルドのように奈落の亀裂が大量に存在する世界は特に要注意である。デーモンはこの次元移動の能力でヘルヘイムの外の世界で欲望のままに邪悪な所業を行うことがある。デーモンも一部のスペクターのように人間の負の感情を糧にできるので、デーモンは大抵の場合は世界の敵として扱われる。また、ヘルヘイムの権力闘争の末に自らの支配領域を増すことを目的に新天地たる外世界を侵略するデーモンも多い。このため、その世界で活動する他の奈落勢力と敵対する可能性もはらんでいる。 デーモンは奈落に浸っていることに至福を感じ、そうでないことに不快を感じるため、ヘルヘイムは彼らにとっては住みよい世界である。そして外世界を荒らしに出たときもヘルヘイムに比べて不快だからという単純な理由だけでその世界を奈落に染めようとする。デーモンロード デーモンたちの中でも強力な存在をデーモンロードと呼ぶ。デーモンロードはヘルヘイム内での領土戦争や外世界での侵略活動は部下にまかせ、自身はヘルヘイムの奥底から指示のみ送っているものが多い。彼らの中にはアビスロードや奈落神に匹敵するものもいる。 奈落天使 再生前の宇宙での「大ラグナロク」勃発後に新たに現れた奈落の勢力。マナと奈落の双方の力を身に宿す稀有な存在である。 元々は機械神デウス・エクス・マキナの使徒として神代に活躍したヴァルキリー(機械生命体)の一種で、人世の時代に機械神が姿を消した後におきざりにされた種族である。奈落に堕ちる前は、真帝国が世界を支配すれば機械神が再び降臨するという予言を信じて人類の歴史に影から干渉を続けていた。 機械神の降臨が為されないまま大ラグナロクが勃発したことに絶望した天使たちのもとに現れた"天使王"メタトロンが、現在の機械神に代わって自らが新しい機械神になることを天使たちに宣言。存在目的を見失いかけていた天使軍の多くがメタトロンを新しき主と担ぎ上げた。 メタトロンの目的は、奈落の力をもってユグドラシル宇宙の全てを虚無に返し、自らが新しい「原初存在」として唯一の神として君臨し、機械神が望んでいたはずの理想の世界をゼロから作り上げることであった。そのために、自らと仲間の天使たちに奈落を受け入れさせ、その力でユグドラシル宇宙の様々な世界を虚無に沈めるべく破壊活動を続けている。メタトロンは古き世界を滅ぼす奈落の力と、新しき世界の源となるマナの存在力を矛盾せずに身に宿す特性を持っており、仲間の天使たちもその特性を与えられた。 また、天使たちは現世界のあらゆるものは新世界に引き継いではならないと考えているため、アスガルドと全てのイデアを消滅させるべく暗躍した。 ワームスカル 再生後の宇宙のミッドガルドに確認された存在。竜の骸骨を模した鎧を着込んだヒューマノイド型の種族で、地底から現れる。高度な技術力をもち、様々な未知の機械を使いこなす。自我や知性はあるが個という概念が薄い種族で、徹底した全体主義。「ワームスカル」は彼らの鎧の外観から名づけられたミッドガルド側の通称で、彼ら自体が自称する名前は不明。なお、厳密にはこの鎧の方がワームスカルの本体であり、それを着込んでいるヒューマノイドはミッドガルドの住人とのコミュニケーションを行うための生体端末に過ぎない。この生体端末は彼らの技術で創造することもできるようだが、ミッドガルドでは現地人の肉体を乗っ取って使うケースも多く見られる。 彼らは10年前にユグドラシル宇宙の「外」からやってきたと推測されており、その後に地底にいくつもの拠点をつくりあげたらしい。ワームスカルの本隊というべきものたちは世界の外側に待機しており、現在ミッドガルドで活動しているのは先遣隊である。 ワームスカルの目的はミッドガルドの侵略である。彼らは通常の生物と同様に、マナによってその存在を確立させているにも関わらず、奈落に汚された環境でも適応して生存できるという非常に特殊な生態系を持つ。ワームスカル先遣隊は、自分たちの生存に必要なマナを収奪しつつ、世界を奈落で汚し、マナの流れを減退させようと目論んでいる。ミッドガルドのマナの循環が減退すれば、世界の防御力そのものが弱体化し「外」からの本隊が入り込みやすくなるのである。 ワームスカルが世界の環境を変化させるための方法論のひとつに、マナの地脈の流れが濃い土地の地上もしくは地中にプラントを設置し、自らの生存に必要なマナを収奪しつつ、奈落ウイルスと呼ばれる微小兵器を地脈に注入するというものが知られている。そうすることでその周囲環境のマナが弱体化していくのである。奈落ウイルスがばらまかれた周囲環境においては、そこに住む生物のマナも当然ながら減退化し、衰弱していく。ミッドガルドでは生物がこのような状況に陥ることを「奈落病」と呼んでいる。 地上の現地人たちから目立たないように行動することが多いが、直接的な戦闘力も相当高く、兵器に使われる技術力は真帝国さえ圧倒する。彼らが着込む鎧や、彼らが繰り出す無数の機動兵器(これを竜の骸骨のような外観をしている)には、赤い結晶体が埋め込まれており、これが無限の動力を生み出している。ここから引き出される力はシャードの加護と奈落の力を組み合わされた非常に特殊なもので、ゲーム的には「奈落加護」というカテゴリで区別される。近年の真帝国銀十字軍はこの結晶体をリアクターに組み込む研究を続けている。 ワームスカルの目的はあくまでミッドガルドの侵略であり、奈落を利用するのは手段にすぎない。そのため、奈落をよりどころにする他のダークレイスとは異なる位置づけにいるとも言える。
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