真帝国
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/07 00:43 UTC 版)
ミッドガルドを席巻する強大な軍事国家。『アルシャード』(ルール第一版)、『アルシャードff』における代表的な敵役の一つであるが、絶対悪というわけではない。PCが帝国側のキャラクターになってプレイするためのデータも用意されている。 軍部が強い力を持つが、同時に機械の神デウス・エクス・マキナを奉ずる政教一致の宗教国家でもあり、軍と教会の間で対立が起こることもしばしばある。ミッドガルドの創世神話によると、人類は神々の下僕となるべくアルフに作られたとされているが、神代の末期にこの運命に逆らった北方のユグノス王の下に現れたのが機械神であるとされる。機械神は他のあらゆる神々の手から王国を守護することを約束し、ユグノスの王国は機械神を奉ずるようになった。これが後の真帝国の原型となる。そしてその契約どおりに、機械神は小ラグナロクで他の多くの古き神々を滅ぼしたのである。しかしその後、機械神は姿を隠し、現在までその姿を臣民の前には現していない。 国教である真帝国教会による教えでは、ミッドガルド大陸全土に機械神の教えが広まったとき、機械神が再臨し、この世界に楽土たる千年王国が誕生すると言われている。真帝国はこの伝説を旗頭に大陸統一を目指して何百年もの間戦争を続けてきた結果、大陸の約七割をも支配するに至った。しかし現在は戦線は膠着状態なうえに、国力を超えた領土拡張政策による国内のひずみも問題視されつつある。国土の広さゆえに統治がままならない地域も数多く存在している。 真帝国教会の教えでは、機械神デウス・エクス・マキナは神々の最終戦争ラグナロクの最後の勝利者であるため、敗北した神々の残滓であるシャードは機械神が受け取るべき戦利品であるとしている。そして、地上に存在するシャードを管理するのは機械神の代理人である皇帝および国体でなくてはならないと主張している。その考えのもとに、真帝国はクエスターを見つけ次第「保護」しシャードを徴収している。徴収されたシャードは後述するリアクターのエネルギー源として利用されている。「保護」されたクエスターがどうなるかについては様々な黒い噂がある。殺されるといった物騒な噂があるのは当然だが、真帝国内にはクエスターを秘密裏に子飼いにしている組織や個人がいて、様々な秘密任務に投入されている話もまことしやかに語られている。 真帝国は、魔力の源である「マナ」を周囲から集めることでエネルギーを無尽蔵に抽出する永久機関「リアクター」の技術を独占している国家である。このリアクターによって動く機械群「カバラ」が軍事技術として普及しており、現代的な戦車や銃器が実用化している。非真帝国領域のほとんどは産業革命以前の文明レベルであるため、このカバラ兵器が真帝国の強さを支えているといって差し支えはない。リアクターは周囲のマナを集積するためのコアとしてクリスタル状の結晶体を利用しているが、これはシャードを模倣して造られたものである。リアクターに本物のシャードを入れた場合、通常のリアクターとは比較にならない桁違いのエネルギーを得られるため、真帝国はシャードを躍起になって回収している。 シャードリアクターの強力さを象徴するのが真帝国領内の様々な場所に建築された巨大な塔である。これは「積層都市」と呼ばれているアーコロジーであり、積層都市の下部には必ずシャードリアクターが設置されており、この密閉された巨大な塔の内部全てにエネルギーフィールドが充満させている。それにより、あらゆるカバラ機器がリアクターを積まなくても動くようになっている。真帝国臣民の生活スタイルは積層都市とそれ以外では全く異なる。積層都市の内部ではカバラによるインフラが充実しており、一般生活に使われる道具も機械化されていて近代的な生活が送れるようになっている。一方、積層都市以外の場所でカバラ製品を使うにはその製品自体にリアクターが搭載されていなくてはならない。リアクターのほとんどは軍用にしか支給されていないため、積層都市以外の街では一般生活面でのカバラの恩恵はほとんど得られておらず、非真帝国領域とあまり変わらない生活スタイルが送られている。積層都市は広大な真帝国の領土でも建築されている数はそう多くはない。ただし全部で13ある州都は全て積層都市である。 なお、リアクターは世界からマナを奪うことで結果的に奈落を生み出しているのではないかという説があり、一部の知識人からは危険視されている。しかしこれはあくまで仮説であり、アカデミーなどの中立的で権威ある学会では公式ではノーコメントという立場をとっている。真帝国はこの説を悪質なデマゴギーだと公式に否定している。一方、反真帝国勢力はこの仮説を支持しており、真帝国の政体の愚劣さを示すものとして政治的に利用している。 再生前の宇宙における今上帝であったグスタフ・ヨーゼフ2世の治世は400年余りに及んだ。しかも彼は自身を機械化させて延命させていった事で本当に必要最低限の僅かな手振りで返答するほどの恐るべき無口と化し、言葉を一つ発しただけでも国を揺るがす重大事になるほどだった。だが皇帝は継嗣を公に残さないまま、『アルシャードff』リプレイ「天使がくれた世界滅亡」及びシナリオ集『パラダイスロスト』にて崩御した。皇嗣の不在(もしくは未確定)は『アルシャード』公式リプレイにおける伏線となっている。皇帝崩御と、それと時を同じくして発生した軍内のクーデターにより、真帝国中央権力は混乱状態に陥った。 再生後の宇宙ではグスタフ・ヨーゼフ2世は崩御前に禅譲を行っており、今上帝はレオポルト2世と呼ばれる17歳の少女である。ただし、この皇帝が女帝であることは秘中の秘であり、世間一般には男帝として通っている。禅譲の経緯は不明だが、政治など携わったことがない凡人であるため、政治的な掌握能力は弱くお飾りに過ぎない。上級官僚たちによる駆け引きで帝国の中枢が動いている非常に不安定な状況である。レオポルト2世は帝都の塔に閉じこもりっきりで、周囲からは帝国の光の部分のみを見せられており、帝国を素晴らしい国であると信じきっている。暗愚ではないが極めて悪い意味で無垢。 真帝国はそれ自体で三つのイデアを持つ文化圏である。帝国のイデアのうち一つは【無垢なる者】と呼ばれる童子であり、一つは機械神デウス・エクス・マキナのアバターである。
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