笑い 新生児と笑い

笑い

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/12 08:05 UTC 版)

新生児と笑い

微笑新生児においても観察され、覚醒時のみならず、睡眠中にも規則的な周期を伴って生起する。これは新生児微笑と呼ばれるもので、養育者の注意を引き関心を維持させる機能を担った生得的行動と推測されている。実際、新生児微笑に対して養育者は高い確率でポジティブな応答を返すことが知られている。このような相互作用の結果、乳児は生後2~3か月の頃から社会的交渉を持つために周囲の者に対して自発的に微笑を向けるようになる(社会的微笑)。

発声を伴う哄笑は生後3.5~4か月で起こるようになる。何らかの外的刺激への反応として生じるもので、社会的微笑から派生したものと考えられている。しかし、笑いを喚起する刺激には驚きや恐怖をもたらす要素が含まれることから、発達的に先行する泣きから派生したものと見る説もある。

笑いの研究

  • 古代
    • 既に古代ギリシアプラトンには笑いについての考察がある。アリストテレスは『詩学』の中で喜劇も考察対象にすると書いたが、これは実現しなかったと見られている。
    • 古代ギリシャでは悲劇と喜劇が一作ずつ上演されるのが常であった。
    • 日本の文献で最も古い笑いの記録は岩戸隠れに於いてアメノウズメノミコトが神懸かったり踊っているのを見た神々が笑ったというくだりであろう。古代社会において笑いを含む芸能が、神や支配者を楽しませるもの、奉納するものとしての要素があったことを示している。
    • 考古学的な資料(出土遺物)として、古墳時代の人物埴輪の中に笑った表情の埴輪が見られる。
  • 18世紀
  • 19世紀
  • 20世紀
    • オーストリアの精神科医ジークムント・フロイトは「ユーモアは自我の不可侵性の貫徹から来る」と説いた。
    • フランスの哲学者アンリ・ベルクソンは自身の研究『笑い』において、ボードヴィル演劇を素材として笑いの原因を考察した。ここでは「笑いは、生命ある人間に機械的なこわばりが生じた結果である。」としている。
    • 日本でも、落語家の桂枝雀が、笑いは緊張の緩和によって起こるという「緊緩理論」を立てている。
    • 笑いには、免疫系のNK細胞(ナチュラルキラー細胞)の活性を高めるなどの健康増進作用があると言われている。
    • オランダ霊長類学者ヤン・ファンフーフは、笑いの起源と進化についての仮説を提唱した。笑いは微笑み(スマイル)と声の伴う笑い(ラフ)の二つに大きく分類でき、スマイルはサルの仲間が自分より強いサルに対してみせる「歯をむき出しにする表情(グリマス)」から、ラフはサルの仲間が遊びにおいてみせる「口をまるくあける表情(プレイ・フェイス)とそれに付随するあえぎ声(プレイ・パント/笑い声)」からそれぞれ進化したという(プレイ・フェイスは霊長類に広く見られるが、笑い声を発する種は限られる)。
  • 21世紀
    • 欲求神経学研究センターの小林亮は、脳神経科学の視点から「複数のシナプスタグ開放による記憶の連合と、それに伴う副交感神経系優位」により笑いが生じるとする『記憶の連合理論』を提唱している。この理論は「緊緩理論」と「構図のずれ」を統合する内容であり、知的好奇心を構成する脳のシステムと同一だと考えられるという。[6]
くすぐったいと笑うのは皆同じ

人間以外の霊長類の笑い声

チンパンジーや、ゴリラボノボ(ピグミーチンパンジー)、オランウータンなどは、取っ組み合いや追いかけっこ、くすぐりあいなどの遊びにおいて、人間の笑い声に似た声をあげる。また、この種のチンパンジーの行動は、野生状態でも飼育下でも記録されている[9]。くすぐられる、追いかけられるといった受身の側のチンパンジーが笑うことが多い。人間とチンパンジーは、腋の下など、くすぐられた際に笑いが生じやすい体の領域(くすぐったい領域)が共通している。プレイ・フェイスは遊びを誘う時や一人遊びでもよく見られるが、笑い声が起こるのは他者との遊びが始まってからである。チンパンジーは大人になってからも笑う(遊ぶことが減るので頻度は下がる)。人間との相違点として、人間は笑い声が伝染して多数が一斉に笑うことがあるがチンパンジーにはそのようなことが無いということや、野生のチンパンジーには言語によるユーモアや、嘲笑、他者を笑わせる「おどけ」が見られないことなどが指摘されている[10]。また、チンパンジーの笑い声は呼気と吸気が交互に繰り返されることが多い点と、しゃがれ声であるという点で人間の笑い声と音響的に異なる。


  1. ^ a b c d 河合隼雄『対話する生と死』(大和文庫 2006年2月15日発行)
  2. ^ 5 ways to de-stress and help your heart” (英語). Harvard Health (2015年8月25日). 2022年7月29日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 柴原直樹「笑いの発生メカニズム」『近畿福祉大学紀要』第7巻第1号、2006年、 1-11頁、 NAID 1100064287842022年3月30日閲覧。
  4. ^ 宮澤康人「笑う・教育学 : 微笑・哄笑・苦笑・憫笑・嘲笑するという関わり方とヒトの成熟」『研究室紀要』第44巻、東京大学大学院教育学研究科基礎教育学研究室、2018年、 1-12頁、 doi:10.15083/000749332022年3月30日閲覧。
  5. ^ “笑わない人は死亡率2倍 山形大調査”. 日本経済新聞. 日本経済新聞社. (2019年6月25日) 
  6. ^ a b 小林亮『科学で読み解く笑いの方程式 上巻』(2018年1月1日発行)
  7. ^ 伊藤理絵, 本多薫, 渡邊洋一「攻撃的ユーモアを笑う」『山形大学人文学部研究年報』第8巻、山形大学人文学部、2011年、 215-227頁、 NAID 110008151125
  8. ^ 伊藤理絵, 内藤俊史, 本多薫「幼児に見られる攻撃的笑いについて : 観察記録からの検討」『笑い学研究』第16巻、日本笑い学会、2009年、 114-118頁、 doi:10.18991/warai.16.0_114ISSN 2189-4132NAID 110007359788
  9. ^ チンパンジー笑い声のサンプル グドール(1968)とパール(2005)
  10. ^ 松阪崇久「笑いの起源と進化」『心理学評論』第51巻第3号、心理学評論刊行会、2008年、 431-446頁、 doi:10.24602/sjpr.51.3_431ISSN 0386-1058NAID 130007631607



(笑)

(笑い から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/14 01:21 UTC 版)

(笑)(わらい、しょう、わら、かっこ わらい、かっこ しょう、かっこ わら)は、 発言記録などにおいて、発言者や聴衆が笑ったことを描写する記号表現技法。発言記録以外の文章で、その文章の筆者が笑っていることを示す際にも用いられる。相手からは不快と思われることもある。


注釈

  1. ^ 帝国議会議事録上でのかっこ書きの「拍手」「笑聲」:第二次世界大戦戦後間もなくの例だが、 1945年(昭和20年)11月28日11月30日などの帝国議会会議録に記載がある。
    帝国議会会議録検索システム→検索→発言者検索 開会日付:昭和20年11月28日→衆議院本会議→[037]三田村武夫
    帝国議会会議録検索システム→検索→発言者検索 開会日付:昭和20年11月30日→衆議院本会議→[005]北昤吉 など
  2. ^ 山崎春美1970年代後半から1980年代前半にかけて『Jam』『HEAVEN』『フォトジェニカ』『宝島』『月刊OUT』『』『Billy』『ウイークエンドスーパー』『FOOL'S MATE』『ロック・マガジン』などの雑誌やロックバンドガセネタ」「TACO」で活動したライターミュージシャンである。山崎は「(笑)」の使用に関して自著の解題において以下の寄稿文を寄せている。
    さらに余談をもうひとつ。今、書いてるような(つまり貴方が主語なら、いまお読みになってるような)この文章みたいに、それが評論でも記事でも何でもいいんだけど、一人称で書かれた地の文の中に、対談や座談会の表記で使う「(笑)」を入れて使ったのは、歴史上ボクが最初だと自負している。根拠は単純で、思いついて使った時、ほかに使ってるのなんかお目にかかったことがないからだ。その後、この使用例に出遭ったのはずいぶん経ってからだ。まあボクは(パロディか揶揄でもなければ)もう使わないだろうし、今やあまりいいイメージがないか、逆に定着してしまったかは知らない。いわゆる「ワラ」の原型である。 — 山崎春美「ヤマザキハルミの懺悔! ザンゲ! ゲゲゲのThank Gay!(ざんげ!)」『天國のをりものが 山崎春美著作集1976-2013』河出書房新社2013年、330頁。
  3. ^ 『三省堂国語辞典』第七版、項目「ダブリュー」
  4. ^ 2000年代には、発音からくる「藁」や、wの見た目からくる「」という表記も見られた。

出典

  1. ^ Sakai, N. (2015). A Study of Translating Extra-Textual Expressions from a Non-English Language into English: A Case of Contemporary Japanese Computer-Mediated Communication. http://booksandjournals.brillonline.com/content/books/b9789004299245s015
  2. ^ 赵刚. “网络中经常出现的"233"是什么意思”. 电脑报. 2020-011-17閲覧。
  3. ^ ガジェット通信
  4. ^ 「(笑)」とか「www」って、何使う?女子が「古い」「引く」と思ってるのは、アレです、アレ。”. CanCam.jp (2017年3月16日). 2018年6月24日閲覧。


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