文芸雑誌とは? わかりやすく解説

文芸雑誌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/07 02:45 UTC 版)

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文芸雑誌(ぶんげいざっし)とは、雑誌の一種で、書評や評論、小説・詩歌・随筆などの短い作品を中心に掲載するもので、同人の間で刊行されてきたものや、個人や出版社などが発行人となり、原稿を文芸家に依頼したり、一般から募集するものなどがある。内容はいわゆる「文学」だけでなく、美術・音楽・漫画・旅行・料理・哲学・思想などにおよぶものもある。また企画を組み、テーマに合わせた文章や関連事項などを扱い、研究などの発表にも多く利用される。

欧米の19世紀初頭の、出版やジャーナリズムの昂揚に伴って文芸雑誌が誕生した。特にイギリス、ロシア、アメリカ合衆国において盛んであった。初期のものは評論雑誌から発達したもので、必ずしも文芸に特化したものではなく、また発行も長く続かなかった。しかし、19世紀末年ごろになると、文芸雑誌は世界的に大変な活況を見せ、作家の拠点とされるようになる。

日本の文芸雑誌

日本における文芸誌の最初期のものには、尾崎紅葉山田美妙らが1885年に始めた『我楽多文庫』、女流作家を輩出した『女学雑誌』(1885年)『以良都女』(1887年)、評論誌ながら文芸作品も多く文壇の登竜門とも言われた『国民之友』(1887年)、大手出版の金港堂が有名作家を揃えて始めた『都の花』(1888年)、春陽堂書店の発行する『新小説』(1889年)などがある[1]

日本の文芸雑誌として、商業的に安定的に発行されたのは、20世紀はじめ創刊の『新潮』(1904年)を本格的なものとして考えることができる。これによって、それ以前は新聞を主な発表媒体としてきた日本の文学が、雑誌中心になっていくことになった。ただし、戦前には、『中央公論』『改造』などの総合雑誌が権威ある発表舞台として定着しており、『新潮』『文藝』などの文芸雑誌は、その次の存在としてみられていた。しかし、1970年代から、総合雑誌が文芸作品をエンターテインメント系にシフトしてからは、文芸雑誌の比重がましている。

日本の文学の特徴として、準商業的な文芸雑誌の力がおおきいことがあげられる。『早稲田文学』『三田文学』のような大学と関係した雑誌、『戦旗』『新日本文学』『民主文学』のような文学運動の雑誌、『白樺』『新思潮』『近代文学』のような半同人誌が、商業文芸誌に劣らぬすぐれた作品をうみだしてきている。

なお、狭義の〈文芸雑誌〉には、『オール讀物』のような小説雑誌、『新青年』などの推理、SF誌などは含まれないのが普通である。また、詩・短歌・俳句の雑誌も含まないのが通例である。

近年日本の文芸雑誌の売り上げは、純文学雑誌だけでなく中間・大衆小説誌も赤字になってきており、これを単行本の売り上げで回収している現状である。

主な文芸雑誌

過去の文芸雑誌に関しては、Category:文芸雑誌を参照のこと。

アメリカ合衆国

  • Southern Review
  • Russell's Magazine
  • North American Review

現在の日本

脚注

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  1. ^ 明治時代文学雑誌解題『明治文学雑記』蛯原八郎,学而書院, 1935, p97-120

関連項目

外部リンク


文芸雑誌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/28 13:43 UTC 版)

アレクサンドル・アレクセイエフ」の記事における「文芸雑誌」の解説

また、海軍兵学校でアレクセイエフは文芸雑誌を制作発行した雑誌には学生作品含まれており、友人たちは真剣に受け止めていなかったが、アレクセイエフは学校に対して製作資金請願することが可能となった。また非常に貴重な図書館へのアクセス権も得ることができた。

※この「文芸雑誌」の解説は、「アレクサンドル・アレクセイエフ」の解説の一部です。
「文芸雑誌」を含む「アレクサンドル・アレクセイエフ」の記事については、「アレクサンドル・アレクセイエフ」の概要を参照ください。

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