啓蒙
英語:enlightenment
啓蒙の意味、啓蒙とは
啓蒙とは、知らない人を教え導くという意味。啓は教え導くという意味の漢字で、蒙は道理にくらい人、道理を分かっていない人という意味の漢字である。古くは後進的な知識しか持たない人々に先進的な知識を教え広めるという意味に使用された。啓蒙の語は例えば、迷信を信じている人々に科学的な知識を教えて広めるといった意味、文明人が非文明人に物の道理を教えるといった意味に使った。一般大衆を特権階層の人が指導するといった色合いを込めて使われた時代もあった。啓蒙の語は現代では、ある分野において余り知識のない人に対して、その分野の専門家が画期的な方法を指導するといった意味で使用することが多い。公衆衛生や教育などの社会活動、工場や現場の管理方法などの産業活動などあらゆる面に使用される。啓蒙をする活動のことを啓蒙活動という。医師組織の病気に関する正しい知識を普及する活動や臓器移植のドナー登録に関する知識を拡げようとする活動などがこれに当たる。
啓蒙思想
啓蒙思想は、啓蒙主義思想とも呼ばれる歴史的な思潮のことである。17世紀末ごろから18世紀にヨーロッパ全域で広がりを見せた。それまでの価値観は聖書や神学によって築かれたものであり、教会や絶対君主が政治的にも経済的にも権威を握っていた。現代的な感覚からみれば非常に理不尽な政治も行われ、法的な裏付けや人権意識もないまま一般市民が圧政に耐えることも少なくなかった。啓蒙思想はこのような宗教的かつ封建的な考え方から離れて、理性や科学によって理論的に物事を考えて社会を構築しようという考え方である。啓蒙思想の例として、スコットランドのジョン・ロックによる「市民政府二論」が挙げられる。市民政府二論は、民主政治の在り方を示したもので、この考え方はフランスにも伝搬しモンテスキューやルソーに引き継がれた。モンテスキューは、著書「法の精神」で三権分立を説いた。また、ルソーは「社会契約論」で国の主権は人民にあるべきだと主張した。これらの考え方が、市民にも広く賛同されることとなり、やがてはイギリスにおいては名誉革命、フランスにおいてはフランス革命へとつながっていった。
経済論において啓蒙思想の影響を受け、なおかつ画期的な論理を展開したのは「国富論」を記したアダム・スミスである。「国富論」は近代経済学の最も最初に論じられた論文であり、自由主義経済学の始まりになったものである。啓蒙主義は芸術にも影響を与えている。音楽家で啓蒙主義の影響を受けたのがラモーやバッハ、メンデルスゾーンなどである。
啓蒙専制君主
啓蒙専制君主とは、啓蒙主義の影響を受けた君主のことである。元は封建主義的な絶対君主であったものが啓蒙思想の影響を受けて人権意識や科学的な思想、法律の整備などをして開放的な政治を行った。啓蒙専制君主は君主も国の一機関であり、国の治世は法律に基づくものであると規定する。一方で君主の権力はあくまでも絶対的なものであり最終的な政治決断は君主にゆだねられるものとするなど、大きな矛盾をはらんだ政治制度であった。また、人権意識も未熟なもので民衆の権利は君子から与えられたものであるとした。そのため公平性に大きな問題を残していた。このような政権を布いた国王としてはプロイセンのフリードリヒ2世、オーストリアのヨーゼフ2世などが知られている。これらの啓蒙専制君主が啓蒙思想に傾倒した要因の一つが科学的な進歩による経済発展である。専制君主たちは専制的な体質と啓蒙思想を折衷した政治論理を作ることで国を経済的に豊かにしようと考えたのである。日本の啓蒙思想家
日本における啓蒙思想家としては、明治時代の福沢諭吉や西周、加藤弘之がいる。福沢諭吉は思想家であり教育者で、西周もまた哲学者であり教育者である。加藤弘之は政治学者であり、同じく政治学者では天皇機関説で有名な美濃部達吉がいる。けい‐もう【啓×蒙】
啓蒙思想
(啓蒙 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/25 09:12 UTC 版)
啓蒙思想(けいもうしそう、英: Enlightenment、仏: Lumières、独: Aufklärung)とは、理性による思考の普遍性と不変性を主張する思想。その主義性を強調して啓蒙主義(けいもうしゅぎ)ともいう[1]。ヨーロッパ各国語の「啓蒙」にあたる単語を見て分かるように、原義は「光」あるいは「光で照らすこと」である[2]。自然の光(ラテン語: lumen naturale)としての理性を自ら用いて超自然的な偏見を取り払い、人間本来の理性の自立を促すという意味である。
啓蒙
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/23 02:16 UTC 版)
交通安全運動や衛生週間など、地域や学校、職場などで標語を記載したものが掲出される。そのようなテーマを決めたポスターの募集が小学校、中学校などで行われることも多い。官公庁が作成する啓蒙ポスターには、多くの場合、その時代において人気がある、若い女性アイドルが起用される。
※この「啓蒙」の解説は、「ポスター」の解説の一部です。
「啓蒙」を含む「ポスター」の記事については、「ポスター」の概要を参照ください。
啓蒙
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 07:20 UTC 版)
「Bloodborne」の記事における「啓蒙」の解説
本来の「蒙(未熟な者)を啓く」=「人に正しい知識を与えて導く」という意味とは異なる概念。本作では、触れてはならない知識と説明されている。
※この「啓蒙」の解説は、「Bloodborne」の解説の一部です。
「啓蒙」を含む「Bloodborne」の記事については、「Bloodborne」の概要を参照ください。
啓蒙
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/30 22:38 UTC 版)
1月23日は「一無、二少、三多の日」として日本記念日協会の認定記念日として制定。また、毎年2月は全国生活習慣病予防月間であり、一無、二少、三多の6つの健康習慣の中から1つを年次テーマとして全国的に様々なイベントが開催されている。健康増進や健康啓発のスローガンとしても大阪府医師会など全国の自治体や団体で使用されている。
※この「啓蒙」の解説は、「一無、二少、三多」の解説の一部です。
「啓蒙」を含む「一無、二少、三多」の記事については、「一無、二少、三多」の概要を参照ください。
啓蒙
出典:『Wiktionary』 (2021/10/29 22:16 UTC 版)
名詞
類義語
複合語
翻訳
動詞
活用
サ行変格活用 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
語幹 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 |
啓蒙 | し せ さ | し | する | する | すれ | せよ しろ |
意味 | 語形 | 結合 |
---|---|---|
否定 | 啓蒙しない | 未然形 + ない |
否定 | 啓蒙せず | 未然形 + ず |
自発・受身 可能・尊敬 | 啓蒙される | 未然形 + れる |
丁寧 | 啓蒙します | 連用形 + ます |
過去・完了・状態 | 啓蒙した | 連用形 + た |
言い切り | 啓蒙する | 終止形のみ |
名詞化 | 啓蒙すること | 連体形 + こと |
仮定条件 | 啓蒙すれば | 仮定形 + ば |
命令 | 啓蒙せよ 啓蒙しろ | 命令形のみ |
翻訳
- 英語:enlighten
「啓蒙」の例文・使い方・用例・文例
- 無知な人々を啓蒙する
- 彼は啓蒙思想を研究する中世研究家だ。
- この本は学術的反啓蒙主義の典型例だ。
- 歴史の反啓蒙主義的解釈
- 彼は反動的な反啓蒙主義者だ。
- 彼らに啓蒙活動をしている。
- 無知な人たちを啓蒙する.
- 啓蒙的な言葉.
- そのちょっとしたヒントは私にとって非常に啓蒙的だった.
- 精神の啓蒙.
- 啓蒙的な、または驚くべき公開
- 突然の精神的な啓蒙のありさま
- 青少年向けの本に求められる啓蒙主義
- フランスの啓蒙思想の重鎮であったフランス人哲学者
- ドイツの劇作家で啓蒙運動の指導者(1729年−1781年)
- フランス人の作家で、18世紀の啓蒙主義を体現した(1694年−1778年)
- 神の啓蒙に従う
- 近代ヨーロッパにおいて,進歩的改革を行った啓蒙専制君主という地位にある人
- 啓蒙専制主義という18世紀ヨーロッパに起こった主義
- 初心者用の啓蒙書
品詞の分類
名詞およびサ変動詞(教育) | 訓蒙 諭旨 啓蒙 啓発 啓廸 |
名詞およびサ変動詞(知らせる・広める) | 披瀝 入電 啓蒙 弥漫 滲透 |
- >> 「啓蒙」を含む用語の索引
- 啓蒙のページへのリンク