九七式中戦車 チハとは? わかりやすく解説

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九七式中戦車

(九七式中戦車 チハ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/07 22:02 UTC 版)

九七式中戦車 チハ(きゅうななしきちゅうせんしゃ チハ)は、1930年代中後期に開発・採用された大日本帝国陸軍の主力中戦車である。


注釈

  1. ^ 資料ごとにばらつきがあり『陸戦兵器要目表』(p.61)では全備重量15.3t、『新中戦車設計条件 昭和14年3月6日 機械課委員』(p.40)では全備重量15.6tとなっている。
  2. ^ このほか、在来の57mm砲搭載型と特に区別せずまとめて単に九七式中戦車と呼ばれていたともされる。
  3. ^ M3軽戦車に対しては、射距離が800mと1,000mの射撃試験でそれぞれ9発中6発と6発中3発貫通の成績を残した。
  4. ^ 一式機動四十七粍砲もしくは一式四十七粍戦車砲、どちらの射撃によるものなのかは出典には記載されず不明。
  5. ^ アメリカの.30-06弾など当時の7.7mm級小銃弾の威力は、M2重機関銃の12.7mm×99弾と比較した場合、ジュール換算で約20~30%前後の銃口威力しかない。
  6. ^ スイストゥールガウ州アルボンに1982年まで存在した、トラック、バス、トラクター、軍用車両などの車両製造会社。なお、ドイツの銃器メーカーであるザウエル(ザウアー、Sauer)社とは別会社。
  7. ^ これは現在の汎用ディーゼルエンジンでは重量500kg前後・4~6気筒・排気量6~8L程度のものに相当する出力である。九七式および一式中戦車はいずれも12気筒・排気量21.6Lであった。
  8. ^ 統制型ディーゼルエンジン制定以前には、各社で多種多様な燃料噴射装置(燃料噴射ポンプ)が使用されており、共通化や調達の問題、さらには性能・品質面でも問題があった。燃料噴射装置の問題に関しては、1939年(昭和14年)にヂーゼル機器(現ボッシュ株式会社)が設立され、同社でライセンス生産された独ボッシュの燃料噴射装置が各社のディーゼルエンジンの多くに採用されるようになった。
  9. ^ 米陸軍第192戦車大隊54両、米陸軍第194戦車大隊53両。英陸軍第7機甲旅団約115両、文献によっては約150両。
  10. ^ 車体下部の貫通弾が操向装置に命中するも自走可能、乗員死傷者なし。
  11. ^ 戦車連隊の第5中隊(砲戦車中隊)は本来対戦車戦闘の主力となるべき砲戦車が配備されるべきところ、砲戦車類の生産と配備の遅れから対戦車能力が欠如した57mm砲搭載型チハ11輌とハ号1輌に自動貨車若干で編成されていた。
  12. ^ その形状から、皿に盛ったチョコレート・ドロップに見えることから、アメリカ兵にチョコレート・ドロップ山と名付けられた。
  13. ^ 撮影地は不明ながらも、第4海兵師団撮影のため硫黄島の戦いの可能性が高い。
  14. ^ 戦争遺構は北マリアナ諸島自治連邦区の国有財産となっており、移動などは禁じられている。
  15. ^ ただし、21世紀に入り、占守島から回収した遺棄車両を新造に近い状態で再生した実働車両がロシアに存在している。
    世界で唯一走行可能なチハ!ロシアの九七式中戦車(新砲塔チハ)
  16. ^ 正確には外観と性能が偶然酷似しているだけの別モノである。

出典

  1. ^ 『機甲入門』p569
  2. ^ 昭和11年6月 陸軍技術本部「新様式中戦車研究方針」JACAR、Ref. C12121824300による
  3. ^ 当時の各種資材は車両の全備重量12t程度を想定して整備されている、という趣旨の発言がなされている。「陸軍軍需審議会に於いて審議の件」参照。
  4. ^ 『機甲入門』p170。またp167には原乙未生陸軍中将の回想録として「(九七式中戦車の)砲塔中径を大きくし、将来威力が大きい砲に換装することができるよう設計した」とある。
  5. ^ なお、陸軍省は一貫して軽量戦車の開発を要望している。現在の各種資材が12トンを上限としているから、という理由であった。「陸軍軍需審議会に於いて審議の件」参照。
  6. ^ 石田鎌蔵「『三式チヌ』誕生への道程」。「丸」2012年12月号掲載
  7. ^ 振動・騒音減殺の試作車・三菱が製造『中外商業新報』昭和10年3月7日(『昭和ニュース事典第5巻 昭和10年-昭和11年』本編p417 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年)
  8. ^ 原典:原乙未生、栄森伝治 共著『日本の戦車 下』出版共同社 1961年 28ページ。『日本陸軍の戦車』ストライクアンドタクティカルマガジン2010年11月号別冊 2010年10月13日第7巻第9号(通算48号) 株式会社カマド 36ページ
  9. ^ 佐山二郎『日本陸軍の火砲 歩兵砲 対戦車砲 他』272-273頁。
  10. ^ 「九七式5糎戦車砲仮制式制定の件」
  11. ^ 昭和11年6月27日の第14回陸軍軍需審議会委員会において、25mm厚装甲の対戦車砲に対しての防禦能力について問われた陸軍技術本部第一部長林少将(当時)は、37mm級対戦車砲に対し「200の距離から射ったのは皆跳ね返します」と答弁している。ただしその後に「200米以上の距離から軽装薬で射ったものは皆跳ね返します」とも答え直している。「陸軍軍需審議会に於いて審議の件」14頁。
  12. ^ JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C14010847000、戦車装備に関する綴 昭14(防衛省防衛研究所)
  13. ^ 古峰文三・他『MILITARY CLASSICS Vol.66』イカロス出版、38ページ。
  14. ^ 佐山二郎『機甲入門』光人社NF文庫、179頁。
  15. ^ 佐山二郎『日本陸軍の火砲 歩兵砲 対戦車砲 他』光人社NF文庫、277頁。原文では一式中戦車のモノであるとしているが、前面装甲の厚さが九七式中戦車と同じ25㎜となっているため誤記の可能性もある。
  16. ^ 佐山二郎『機甲入門』90頁。
  17. ^ a b 学習研究社『帝国陸軍戦車と砲戦車』107-108頁。
  18. ^ 原乙未生『機械化兵器開発史』P54
  19. ^ 佐山二郎「日本陸軍の火砲 歩兵砲 対戦車砲 他」p347によれば、この57mm砲は砲身長49口径、初速830m/sであった。
  20. ^ 『機甲入門』p551、p552。1941年7月に陸軍技術本部が調整した「試作兵器発注現況調書」によれば、試作兵器として、九七式中戦車の砲塔改修および「57mm砲中」を搭載する改修を行う記述がある。この改修車両の希望完成年月は1941年7月となっている。
  21. ^ a b 潮書房光人社『丸』2012年12月号、82頁。
  22. ^ 『機甲入門』p551、p552。
  23. ^ 『機甲入門』p179、p182。
  24. ^ グランドパワー1月号別冊『帝国陸海軍の戦闘用車輌 改定版』
  25. ^ Ropkey Armor Museum公式サイトギャラリー http://www.ropkeyarmormuseum.com/gallery052005_1.htm
  26. ^ 「九七式5糎戦車砲仮制式制定の件」6頁
  27. ^ 古峰文三・他『MILITARY CLASSICS Vol.66』イカロス出版、30ページ
  28. ^ 「九〇式5糎戦車砲仮制式制定の件」。
    爾後改善されたという報告も見当たらない。また1945年に編纂された「陸戦兵器要目表」では両者は完全に同一のものとして扱われており、各種砲弾の初速についても旧来のままとなっている。以上のように今のところ公開された一次資料中では初速420m/sという数字は発見できない。ただし制式後に、抗堪性が向上した九七式戦車砲では使用できるが九〇式戦車砲では使用できない新型徹甲弾等の採用で(その弾を使用するかぎりにおいては)初速が向上した可能性はあり、新資料の公開が待たれる。
  29. ^ 佐山二郎「機甲入門」p529
  30. ^ 「試製1式37粍砲、試製1式37粍戦車砲、試製37粍戦車砲、97式5糎7戦車砲機能抗堪弾道性試験要報」
  31. ^ 同条件で第二種に対しては侵徹長が伸びていることや同時期の別資料(下記)では同一距離で72mm貫通となっており元資料の誤記の可能性もある
  32. ^ 「試製一式機動四十七粍砲研究報告」アジア歴史資料センター A03032093000による
  33. ^ a b 「第1回陸軍技術研究会、兵器分科講演記録(第1巻)」24頁。
  34. ^ 「第1回陸軍技術研究会、兵器分科講演記録(第1巻)」 附図第七の貫通曲線図より。
  35. ^ 「第1回陸軍技術研究会、兵器分科講演記録(第1巻)」22頁。
  36. ^ a b "The Most Effective Jap Tank" from Intelligence Bulletin, July 1945 - Lone Sentry.
  37. ^ "Japanese Tank and AntiTank Warfare"[リンク切れ]
  38. ^ "Japanese Tank and AntiTank Warfare"の記載諸元より
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  41. ^ 白井明雄 『日本陸軍「戦訓」の研究』 94頁、107頁
  42. ^ 陸戦学会 「近代戦争史概説 資料集」 p93。 徹甲弾の弾種は記載されず不明。射撃対象の防弾鋼板は、陸軍の他の対戦車火砲の試験資料の表記に従えば、「1種」は第一種防弾鋼板、「2種」は第二種防弾鋼板のことを指すと思われる。また、「近代戦争史概説 資料集」 p92の別資料の記述から、「1種」は弾頭に被帽のある試製APCであり、「2種」は通常弾頭のAPであるとして、「1種・2種」は徹甲弾の弾種を指す、とする推測もある。
  43. ^ a b 佐山二郎「日本陸軍の火砲 歩兵砲 対戦車砲 他」169頁。
  44. ^ 佐山二郎「日本陸軍の火砲 歩兵砲 対戦車砲 他」169頁。ニッケルクローム鋼製の弾丸を特乙と呼称する旨は記載されているが、特甲が製造配備されたと述べられているのに対して、特乙について製造されたかどうかの言及はない。
  45. ^ 『日本陸軍の戦車』ストライクアンドタクティカルマガジン2010年11月号別冊 2010年10月13日第7巻第9号(通算48号) 156ページ、株式会社カマド
  46. ^ 古峰文三・他『MILITARY CLASSICS Vol.66』イカロス出版、25ページ。
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  48. ^ 『機甲入門』p551、p552
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  102. ^ なぜレオパレス21の問題は、旧陸軍の戦車とそっくりなのか ITmedia ビジネスオンライン
  103. ^ “戦友が見た「戦車兵・司馬遼太郎」 苦難の中でも冗談や笑み「軍人らしくなかった”. 産経新聞. (2015年8月8日). https://www.sankei.com/article/20150808-PAZBPVF3SFMILPJGWWU6FRBOM4/2/ 2022年5月29日閲覧。 
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  109. ^ この遊就館の車両が日本に還送されるまでの経緯については、下田四郎著『慟哭のキャタピラ』に詳しい。
  110. ^ "チハたん万歳! WoT日本戦車14両の基礎知識その1"
  111. ^ "馬鹿がフォークリフトでやって来る!?"



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