つち‐はんみょう〔‐ハンメウ〕【土斑▽猫/地=胆】
ツチハンミョウ
|
特徴
ツチハンミョウ類はコウチュウ目、ツチハンミョウ科に属する昆虫で、日本には15種類が分布しています。 いずれの種類も体長1~3cm、藍色で腹部が非常に大きく、飛ぶことはできません。幼虫はハナバチの巣に寄生し、成虫は林床や草地を徘徊します。 カミキリモドキより多量の猛毒カンタリジンを体液に含んでいますが、飛翔できないので、これまでカミキリモドキ類ほど問題になっていませんでした。しかし近年、多数のヒメツチハンミョウが新築の建物に誘引されて歩行侵入した事例が知られています。 ツチハンミョウ類に不用意に触れると水泡性皮膚炎になるので注意が必要です。
防除
ツチハンミョウは独特の色と形態をしていますから、特徴をよく覚えておき、注意して接触を避けることが大切です。野外で見かけてもむやみに殺す必要はありません。 しかし屋内で侵入した場合には、直接、素手で触らないように注意して屋外に摘み出すか、不快害虫用エアゾールを噴霧して速やかに殺虫します。虫の死骸や分泌物にも有毒成分が含まれていますので、死虫を扱う時にも素手で触らないように注意して処分します。玄関やドアの近くにゴキブリ用の粘着トラップを設置すると捕獲されます。 よく侵入する建物では、昼には周囲の石の下などに潜んでいることが多いので、そのような場所を探して不快害虫用エアゾールを噴霧して殺虫します。 もし、虫体に触れたり、体液が皮膚に付いた場合には、すぐに水でよく洗浄します。皮膚に水ぶくれができてしまったら、やけどと同じ様な処置をとります。 |
ツチハンミョウ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/21 15:15 UTC 版)
![]() |
この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2013年6月)
|
ツチハンミョウ科 Meloidae | ||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
![]()
オオツチハンミョウ Meloe proscarabaeus
![]()
オオツチハンミョウ Meloe proscarabaeus
|
||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||
Blister beetle |
ツチハンミョウ(土斑猫)は、コウチュウ目(鞘翅目)・ツチハンミョウ科(Meloidae)に属する昆虫の総称である。有毒昆虫として、またハナバチ類の巣に寄生する特異な習性をもつ昆虫として知られている。
「ハンミョウ」と名がついているが、ハンミョウとは別の科に属する。しかし、ハンミョウの方が派手で目立つこと、名前が似ていることから、混同される場合がある。
生態

成虫の出現時期は種類にもよるが、春に山野に出現するマルクビツチハンミョウ Meloe corvinusなどが知られる。全身は紺色の金属光沢があり、腹部は大きくてやわらかく前翅からはみ出す。動きが鈍く、地面を歩き回る。
触ると死んだ振り(擬死)をして、この時に脚の関節から黄色い液体を分泌する。
ツチハンミョウ科のヒメツチハンミョウやマメハンミョウなどの分泌物にはカンタリジンが含まれており接触すると水疱性皮膚炎(水膨れ)を引き起こすことがある[1][2]。一方で、微量を漢方薬としても用い、イボ取り・膿出しなどの外用薬や、利尿剤などの内服薬とされた[3]。その他戦国時代忍者が生物兵器として利用していたこともある。
成長と過変態
マルクビツチハンミョウなどは、単独生活するハナバチ類の巣に寄生して成長する。
雌は地中に数千個の卵を産むが、これは昆虫にしては非常に多い産卵数である。孵化した一齢幼虫は細長い体によく発達した脚を持ち、草によじ登って花の中に潜り込む。花に何らかの昆虫が訪れるとその体に乗り移るが、それがハナバチの雌であれば、ハチが巣作りをし、蜜と花粉を集め、産卵する時に巣への侵入を果たすことができる。
また、花から乗り移った昆虫が雄のハナバチだった場合は雌と交尾するときに乗り移れるが、雌に乗り移れなかったものやハナバチ以外の昆虫に乗り移ったものは死ぬしかない。成虫がたくさんの卵を産むのは、1齢幼虫が生き残れるかどうかがこのような運任せの生態に対応しているためだと考えられる。
ハナバチの巣に辿りついた1齢幼虫は、脱皮するとジムシのような形態となる。ハナバチの卵や蜜、花粉を食べて成長するが、成長の途中で一時的に蛹のように変化し、動かない時期がある。この時期は擬蛹(ぎよう)と呼ばれる。擬蛹は一旦ジムシ型の幼虫に戻ったあと、本当に蛹になる。
甲虫類の幼虫の多くは、蛹になるまで外見が大きく変わることはないが、ツチハンミョウでは同じ幼虫でも成長につれて外見が変化する。通常の完全変態よりも多くの段階を経るという意味で「過変態」と呼ばれる。このような特異な生活史はファーブルの「昆虫記」にも紹介されている。
ヒラズゲンセイ

ヒラズゲンセイはツチハンミョウ科ゲンセイ亜科に属し、学名は Synhoria maxillosa (Fabricius, 1801)(ウィキスピーシーズ)[4][5]。大きさは約30ミリメートルで、南方系の種類だが分布を拡げ、高知県から関西方面に分布域を広げている[6][4]。幼虫は、クマバチの巣に寄生して育つ。
体液にはカンタリジンが含まれ、指などで直接触れると、かぶれや水ぶくれの原因になる[7]。真っ赤な体とクワガタのような大あごが特徴で、6、7月に成虫になり、子どもが新種の「赤いクワガタ」であると興味を持ち触らないよう、注意が呼びかけられている[8]。
脚注
- ^ 夏秋優『Dr.夏秋の臨床図鑑 虫と皮膚炎』学研プラス、2013年、15頁。
- ^ kimo-ota (ikimono-otaku) (2020年12月5日). “ツチハンミョウが作る毒とそれを利用する生き物たち”. 株式会社バイオーム. 2025年2月18日閲覧。
- ^ “『本草綱目』第40巻 「蟲之二(卵生類下二十二種)」 斑蝥”. インターネット資料収集保存事業. 国立国会図書館. 2012年1月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年6月7日閲覧。
- ^ a b ヒラズゲンセイ 昆虫エクスプローラー
- ^ 槐真史 編著、伊丹市昆虫館・丸山隆 ほか監修『ポケット図鑑 新日本の昆虫1900 ②トンボ・コウチュウ・ハチ』文一総合出版、2024年、187頁。ISBN 978-4-8299-8313-3
- ^ ヒラズゲンセイの分布域 大阪市立自然史博物館
- ^ ヒラズゲンセイ しやけのドイツ箱(大阪市立自然史博物館)
- ^ “危険生物「赤いクワガタ」要注意 生息域が拡大、体液でかぶれ”. 京都新聞 (2019年7月11日). 2019年7月11日閲覧。
関連項目
外部リンク
ツチハンミョウ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/16 05:20 UTC 版)
「害虫女子コスモポリタン」の記事における「ツチハンミョウ」の解説
触っただけで危険な女子。劇薬「斑猫の粉」は彼女の体液「カンタリジン」から作られるが、この成分は育毛にも効果があり、セクハラオヤジの美意識に貢献してしまっている。
※この「ツチハンミョウ」の解説は、「害虫女子コスモポリタン」の解説の一部です。
「ツチハンミョウ」を含む「害虫女子コスモポリタン」の記事については、「害虫女子コスモポリタン」の概要を参照ください。
「ツチハンミョウ」の例文・使い方・用例・文例
- ツチハンミョウ
固有名詞の分類
- ツチハンミョウのページへのリンク