ケブカスズメバチとは? わかりやすく解説

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キイロスズメバチ(=ケブカスズメバチ)

和名:キイロスズメバチ(=ケブカスズメバチ)
学名Vespa simillima Smith,1868
    ハチ目スズメバチ科
分布北海道本州四国九州佐渡対馬屋久島
 
写真(上):左から女王働きバチオス
写真(下):内部の巣盤の一つ(左),引越巣(右)
説明
女王体長25〜28mm。働きバチ体長18-24mm。日本で最も普通なスズメバチ類のひとつ。近年都市部での営巣注目されるが,本来は里山疎林林縁部などに生息日本産スズメバチ属で最大営巣規模を誇る。成熟巣の平均育室数は北海道平均2000本州西南部で約6000攻撃性はかなり強い。閉鎖空間巣箱壁の間など)になされることが多いが,巣が収まりきらなくなると近くの広い空間軒先樹枝など)に引っ越して新しい巣を作ることが多い。こうした開放空間で見つかる巣は,ほとんどが7月以降新設され引越巣である。引越ミツバチ分封とは異なり女王を含むすべての個体新しい巣に移動し,旧巣は空になる
北海道産亜種simillima Smith本州以南産は亜種xanthoptera Cameronとして扱われることがある
左から女王,働きバチ,オス

巣内部の巣盤の一つ(左),引越巣(右)


ケブカスズメバチ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/23 02:22 UTC 版)

ケブカスズメバチ Vespa simillima
亜種キイロスズメバチ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: ハチ目(膜翅目) Hymenoptera
亜目 : スズメバチ亜目 Apocrita
上科 : スズメバチ上科 Vespoidea
: スズメバチ科 Vespidae
亜科 : スズメバチ亜科 Vespinae
: スズメバチ属 Vespa
: ケブカスズメバチ V. simillima
英名
Japanese hornet, Japanese yellow hornet
亜種
  • ケブカスズメバチ V. s. simillima (基亜種)
  • キイロスズメバチ V. s. xanthoptera

ケブカスズメバチ(毛深雀蜂、Vespa simillima)はハチ目スズメバチ科スズメバチ亜科スズメバチ属の昆虫の一種。本州以南に生息する亜種V. s. xanthopteraキイロスズメバチ(黄色雀蜂)と呼ばれる。

形態

日本に生息するスズメバチ属では本種が最も小型であり、体長は女王バチが25 - 28ミリメートル、働きバチが18 - 24ミリメートルである。頭部は黄色、胸部は黒色で肩板などが黄色、腹部は濃褐色と黄色の縞模様で、全体的に黄褐色の毛で覆われている。基亜種ケブカスズメバチは、亜種キイロスズメバチよりも黄色の部分が少なく、巣の規模もやや小さい。

亜種

  • Vespa simillima simillima - 基亜種ケブカスズメバチ
  • Vespa simillima xanthoptera - 亜種キイロスズメバチ

分布

日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮半島、サハリン、東シベリア、千島列島に分布する。

  • Vespa simillima simillima: 北海道、サハリン、朝鮮半島, 東シベリア、千島列島
  • Vespa simillima xanthoptera:本州、九州、四国、朝鮮半島(済州島)

生態

軒下に作られたキイロスズメバチの巣。直径は20cm程度。
アブラゼミの死骸を噛み取るキイロスズメバチ(2005年7月 横浜)。セミの腹部にはミヤマキンバエもいる

他のスズメバチ類と比較しても攻撃性が非常に高く、巣から10m以上離れていても威嚇行動を取ることがあり、そもそも威嚇なしにいきなり集団で攻撃をしてくる事も多い。また、一旦刺激を受けた巣では攻撃性が持続し、僅かな刺激でも集団で攻撃してくる恐れがあり、更に危険な状態となる。

営巣初期は樹洞などの閉鎖空間に巣を作るが、巣が大きくなると樹木の枝などの解放空間に引越巣を作成する。市街地に最もよく適応し、家屋の軒下などに営巣する例が多く見られる。巣は日本に生息するスズメバチの中では最大規模で、直径は30-80cmで時に1m、育房数6,000 - 8,000で、時に1万以上。働き蜂・雄蜂とも数百から千匹以上、新女王は200 - 800匹。活動期間は5 - 11月、個体数は9 - 10月に最大となり、人の刺傷例も秋に最も多い。そのため、スズメバチ属による刺傷事故は本種(とキイロスズメバチ)によるものが最も多いとされる。

食性は幅広く、幼虫の餌として各種の昆虫・クモ類を狩るほか、カエルヘビの死体までほとんど何でも利用する。クヌギコナラなどの樹液、ブドウやカキなどの熟果、清涼飲料水の飲み残しなどにも飛来する。またミツバチ類、アシナガバチ類、クロスズメバチ類などの巣口付近でそれらの働き蜂も狩るが、狩りは常に単独で行われ、オオスズメバチのような集団での襲撃はみられない。

ニホンミツバチを狩る場合、主に帰巣する個体や集団から偶然離れた個体を狙って巣の周囲を滞空飛行していることが多い。このような巣では、ニホンミツバチが巣口周辺に多数集まって警戒態勢をとり、キイロスズメバチがおよそ15cm以内に近づくと、最も近くの個体を始点として、腹部をそり上げながら翅を震わすウェーブが起こり、集団全体が「ブーン、ブーン」という断続的な羽音をたてる。このような大集団のすぐ近くでの狩りは、キイロスズメバチにとっても大変危険なものであるため、必要以上に集団に近づかないよう非常に注意深く行動するのが観察される[要出典]。首尾よく働き蜂を捕獲できると、次の瞬間には獲物を抱えたまま非常な速さでその場を飛び去り、高い木の枝など、集団から十分に離れた場所まで運んでから改めて噛み砕く。逆に、ほんのわずかでも捕獲に手間取った場合には、それに気付いたニホンミツバチの集団に一斉に襲いかかられ、蜂球の内部で蒸し殺されてしまうことも多い。

その他

蜂蜜を生産している養蜂家の間では、副産物として「スズメバチの蜂蜜漬け」を作っている。大部分はオオスズメバチを原料としているが、キイロスズメバチを原料としている養蜂家もある[1]

関連項目

参考文献・脚注




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