主な三只眼と无
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 02:09 UTC 版)
パールバティー四世(幼名パイ) 声 - 林原めぐみ 本作のヒロイン。三只眼の生き残り。母はパールバティー三世、父は不明。10代の少女に見えるが、年齢は300歳を超える。2つの人格を持ち、八雲たちからは人格交代と連動している第3の眼の閉眼時を「パイ」、開眼時を「三只眼」と呼ばれている。 300年前、三只眼達が鬼眼王に対し反乱を起こす。シヴァへの思慕と恐怖から戦いに参加していなかった「三只眼」は仲間の三只眼が皆殺しにされるところを見てしまう。「三只眼」も鬼眼王に殺されかけるが、シヴァの自制に助けられる。シヴァから逃げるように指示されるが、「三只眼」は恐怖から鬼眼王を聖魔石に封印してしまう。シヴァを裏切った悔恨と孤独に打ち震えたことから、「パイ」というもう一つの人格を作成し自ら二重人格となる。その後チベット山中に移り住み、探索中に遭難した八雲の父親で民俗学教授の藤井一を助ける。人間の持つ「聖なる力」に魅かれて人間になることを願っていたパイは、一と人間にしてもらう約束をし、一が遺志を託した八雲を訪ねる。後に人化の法で人間になり、人格的にはパイが残るが、サンハーラの力で鬼眼王に吸収されていた「三只眼」と再融合し、さらに他の三只眼(ウシャス、パールバティー三世等)とも融合する。なお、パールバティー(Pārvatī)はヒンドゥー教におけるシヴァの2番目の妻である。 パイの人格状態の時は「三只眼」の記憶は欠落しているのに対して、「三只眼」の時はパイの記憶は欠落しておらず、人格ごとに独立した記憶を持っている訳ではないので、医学的には二重人格とは言えない。少なくともパイと「三只眼」を同列に扱うことは出来ないが、ここでは便宜的に2つの人格が成立しているとして、各人格について個別に説明する。パイ 第3の眼が閉じている時の人格。鬼眼王を聖魔石に封印する以前の記憶を意図的に欠落させた人格。チベットの奥地で300年間一人で暮らしていたが、遭難した八雲の父親を助け、人間になるために日本に行き八雲に出会う。タクヒに襲われて死んだ八雲を无とする。 性格は純真無垢で能天気。たとえ敵でも命を助けようとする優しさを持つ。また大食漢で「妖怪食っちゃ寝」と八雲に呼ばれている。酒には弱い。一人称は「パイ」で、「〜だもん」など幼児のような言葉遣いをする。自己犠牲心が強く、しばしば軽率で危険を顧みない行動に出る。 当初より八雲には好意を持っていたが、「恋人」という言葉の意味を知らなかったため、「ダチンコ」(パイの感覚で「大事な人」と言う意味)と思っていた。 パイの状態の時は霊力は低く、召喚以外の術は使えないが、「シヴァの爪」を用いる事で一部強力な光術を使う事が出来る。 無邪気かつ優しすぎる面を持つために、シヴァを唯一の同胞として彼の真意を理解しようと行動し、結果八雲を窮地に追い込む場面もあった。ただ君枝曰く、その能天気さ、無邪気さ、優しさが、両親に捨てられた過去で傷つく八雲を癒すには必要だとのこと。 アニメやゲームなどでは、片言やたどたどしい口調で喋るという特徴があるが、これは声優を担当した林原が「原作序盤ではパイの台詞がカタカナで記されていたことと、日本語に慣れないパイが一生懸命喋っている様子を表現するため」と語っている。 名前は作者の友人の猫の名前から。 後日談の「ユグドラシルのヤドリギ」では「藤井パイ」を名乗る。 「三只眼」 第3の眼が開いた時の基本人格。「パールバティー」とも呼ばれる。鬼眼王封印後、心の傷を癒やす為、聖地を離れ別人格の「パイ」を作り出した。種族としての三只眼と区別するため括弧付きで表記される。 プライドが高く傲慢で尊大。当初は八雲を奴隷と断言し「愚か者」と罵っていたが、やがて八雲を認めるようになる。大酒飲みだが酒のせいで失敗することもある。一人称は「儂」で、「〜じゃ」など老人のような言葉遣いをする。高慢な性格を逆手にとられて罠に陥ることも多い。 八雲に対してはいつもきつい態度で接していたが、内心は彼に好意を抱くようになり、たまに照れながら彼の身を心配する発言を行う。終盤では鬼眼王との決戦を前に自らの心の弱さを認めて、八雲に一夜の契りを求めた。 「三只眼」の状態の時は霊力が高く、強力な光術の他、様々な秘術を使いこなす。敵と判断した者に対しては冷酷に振る舞い、殺害することも躊躇わない。序盤では最期の決着をつけるのは彼女の役目だったが、ベナレス復活後は戦いのメインが八雲に移行した為、彼女自身が戦うシーンは激減している。また強大な力を持つため、眠っていることや、敵に眠らされたり封じられたりすることが多い。 幼い頃はシヴァに育てられたため、シヴァを慕う気持ちが強かった。また幼少期の性格はパイそのものだった。精神世界での経験によりシヴァへの恋心に決着をつけ、精神的にも肉体的にも成長する八雲を深く信頼する様になる。悲壮な覚悟を決めて人化の法に臨み、パイと八雲を人間にし、仮死状態のまま鬼眼王の一部となって完全復活後の鬼眼王を昏睡させた。サンハーラ発動後にパイの求めで再び融合を果たし八雲を再び无とする。最後は聖地でパイと共に八雲の帰りを待っていた。 『鬼籍の闇の契約者』で、サンハーラの影響で別種の鬼眼王となりつつあることが発覚。東京の綾小路家で喜一を止めようとした際には、鬼眼王に取り込まれた三只眼達が精神内で暴れたため、意識が混濁、連れ去られる原因となってしまった。 藤井 八雲 声 - 辻谷耕史 主人公。糸目が特徴の少年。昭和46年3月27日生まれ(免許証より)。物語当初の年齢は16歳で高校二年生。第二部では20歳だが、16歳で不老不死になってから外見の変化は一切ない。父親は「妖怪狂い」(八雲談)の民俗学教授「藤井一」。母親は父の教え子。普通の人間として高校生活を送っていたが、パイと出会い、不老不死の術で「三只眼」を守護する无となり、パイと共に人間になる旅に出る。 明るくて誰にでも優しい性格だが、幼年時代は両親に児童虐待(ネグレクト)を受けるなど家族愛には恵まれず、長じてからも近しい者に見捨てられる不安に苛まれ続けていた。このため「三只眼」やパイが八雲を置き去りにしたことに苦悩した。1人暮らしをし、生活のためにゲイバーでバイトしたりしているが、本人いわくオカマではない。 戦いを好まない性格で、たとえ敵でも命を奪う事は好まず、自らの危険も省みず助けてしまう事がある。特に女性型の魔物に対しては手加減が目立ち、裏切られて窮地に陥ることが多かった。D・Dやタリスマンは容赦なく殺したにもかかわらず、舞鬼は助けている。 料理が得意で、一時期帰還したパイと一緒に店を開くつもりで専門学校に通ってもいた。 偶然により不死身の肉体を得た事で様々な闇の者に狙われる事になる。当初は全く術を使えず不死力のみに頼った特攻戦法が主体であったが、第二部以降は体術や獣魔術を身に付け、敵と対等に戦えるようになった。しかしそれでも術者としては脆弱な方であり、ベナレスを始めとする一線級の魔物には歯が立たないことが多かったが、鬼眼五将の行やベム・マドゥライの指導と能力を受け継ぎ、リトル・アマラを取り込んだことで力を増していった。数多くの戦いを経ることで著しい成長を遂げ、最終的にはベナレスや鬼眼王に唯一対抗できる存在になる。ただ、無鉄砲で考えなし、優柔不断で流されやすい性格は相変わらずであり、中盤以降でも何度も失敗している。中盤以降はマドゥライの力を失ったり、アマラのせいでリトル・アマラの能力ばかりか獣魔術さえ失い、終盤では无の能力すら失ってしまう。獣魔術を失ってもスペルキューブを駆使するなど戦いのセンスで乗り切るが、ただの人間となってからは死の恐怖に直面し戦意を消失するなど、心の脆さも露呈した。 パイに惚れており、一度彼女を守れなかったことを悔やんでいる。また、当初は傲慢な「三只眼」を邪険にしていたが、やがてパイと「三只眼」両方に心惹かれるようになる。異人格とはいえ二人同時に惹かれていることについて密かに悩んでいたが、パイの「全部の自分を愛してくれて嬉しい」との発言で解消された。女性にはモテており、パイと「三只眼」をはじめ、幼馴染みの浅井夏子、パイの影武者だった綾小路ぱいこと化蛇、美星、舞鬼、ラートリー、フィズといった女性キャラクターから好意を寄せられる。 「勘弁してよ」「ヤクイ」が口癖。高所恐怖症の気がある。また中国語は苦手。 作者によれば、「第1話で主人公が一度死に、不死身のヒーローになって復活する」という設定はウルトラマンに由来し、初期のモデルは藤井フミヤと作者の大学時代の後輩を足して2で割った人物であると言う。 サンハーラから4年後にネパールにてハーン、綾小路と再会、その後はパイや妖撃社の面々とともに化物退治のため世界中を飛び回っているが、力の一部を失い以前より弱体化していた。その原因はサンハーラから人々の魂を元の肉体に戻した際に甲子美智瑠の魂と融合していた欠片をノルマルテにより美智瑠の心臓に合成されたためで、彼女たちが合成を破棄したことで再び力を取り戻した。 鬼眼王(シヴァ、幼名ルドラ、愛称ルド) 三只眼を統率した最後の王。母親はウシャス、父親は先代の鬼眼王。2000年前にベナレスの封印を解き无にした。 元来は優しい心の持ち主であり、種の限界を迎え退廃がひどくなる三只眼達の中でも特異な存在として敬われていた。鬼眼王となる前は鬼眼王の妻パールバティーの養育役であり、代々のパールバティーを育ててきた。 300年前、先代鬼眼王の不興を買い、パールバティー三世と共に人化の法に選ばれる。その人化の法の最中、事故により先代鬼眼王から全ての人格と力を取り込んでしまい、新たな鬼眼王になった。これにより鬼眼王としての残忍な人格に支配され、同族の三只眼達を皆殺しにするが、幼いパールバティー4世を前にしてシヴァ本来の人格が表出、鬼眼王を抑え込んでいる間に聖魔石に封印された。シヴァの人格はその後も時折パイや八雲を救うために苦痛をおして登場している。 復活後は全ての人間を1つの光に帰すことを目指し「破滅の法」を使って人間の意思の「光」を集めていた。 最終決戦では光と化した八雲に敗れるが、カーリーと融合し人間を見守る立場になる。 シヴァ(Śiva)はヒンドゥー教における破壊神で第3の目を持つ。 ベナレス(キンカラ、龍皇) 声 - 大塚明夫、一条和矢(3×3EYES 〜三只眼變成〜) 鬼眼王の无。不死身でなおかつ強大な実力を持ち、鬼眼王復活のために闇の者を支配していた。屈強な肉体の大男の容姿、縦長の瞳の顔相を持つ。 獣魔術の開発者でもあり、百の獣魔を操る最強の无。闇の者の頂点に立つだけあって、その実力は非常に高く、並の魔物では扱いきれない程の精を使いこなす。プライドが高く、他の者に守られる事を嫌う。戦いが生き甲斐であり、強敵と戦う事に楽しみを感じている。 失態を犯した部下は容赦なく処刑するが、逆に自分に対して公然と反旗を翻した化蛇やコネリーなどは命を奪わず放って置くなど寛大とも取れる一面がある。のちに本人が語った所によると「心根(しんごん)」を重視しており、事の正否以上に自身の納得のいく結果かどうかが重要とのこと。鬼眼王に対する忠誠心は非常に高い。 第一部、第二部では「三只眼」の霊力には勝てなかったが、第三部の終わりでは新たに開発した獣魔の力で「三只眼」の力を防ぎ、名実共に八雲達にとって最強最大の敵となる。 その正体は数千年前に聖地を破滅の危機に追い込んだ巨大な龍神であり、三只眼を食らい続けて人の姿になった。支配者である三只眼を食らう救世主として、聖地の弱妖たちに崇められるが、その強大過ぎる力を恐れた直弟子のベム=マドゥライによって封印される。その2000年後にシヴァによって封印を解かれ无となる。 300年に渡って封印され続けた鬼眼王の衰弱が激しく、その影響で自身も体の崩壊が始まっていたが、大量に集めた大地の精でそれを補っていた。月面の戦いでは既に消耗激しく、強力な獣魔を従えているにもかかわらず、実力的には足許にも及ばない八雲に苦戦する。しかし八雲の魔現封神により龍神の本性を発現し破壊の限りを尽くす。 自身の衰えが目立つため、ガルガや八雲、パイや化蛇を様々な秘術で支配し操る。 鬼眼王の完全復活後は強大な力を取り戻し、最終決戦では半ば龍神化した龍人のような姿で八雲と対峙した。「光」と化した八雲によって倒されるが、鬼眼王が生き延びた事により彼もまた生き延びる。 その後は陰ながらカーリーを守護していたが、八雲とゲゲネイスとの戦いの最中にカーリーが危機に陥ったことで再び八雲と対峙。八雲の成長を見届けたあと、ゲゲネイスを新たな九頭龍将にし、八雲を九頭龍将の長に迎えたいと言い、自身の元で修行をするよう提案した。 作中の説明によれば、キンカラ(Kiṅkara)は矜羯羅童子(こんがらどうじ)のサンスクリット名。
※この「主な三只眼と无」の解説は、「3×3 EYES」の解説の一部です。
「主な三只眼と无」を含む「3×3 EYES」の記事については、「3×3 EYES」の概要を参照ください。
- 主な三只眼と无のページへのリンク