ハーンとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 文化 > 文芸 > 小泉八雲 > ハーンの意味・解説 

ハーン【Lafcadio Hearn】

読み方:はーん

小泉八雲(こいずみやくも)


ハーン【Otto Hahn】

読み方:はーん

[1879~1968ドイツ化学者放射性トリウム・アクチニウムなどを発見し1938年、F=シュトラスマンと中性子によるウラン核分裂発見1944年ノーベル化学賞受賞


ハーン

名前 Haan; Han; Hearne; Herne; Ḵān; Khān; HahnHearnKhan; Hahne; Hamm; Harn; Harne; Hern; Ḵan; Ḵānr

ハーン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/04/27 15:12 UTC 版)

ハーン(汗、可汗、合罕、干、qaġan/qaγan、khaan)は、北アジア中央アジア西アジア南アジアにおいて、主に東北に住む騎馬民族君主や有力者が名乗る称号。古い時代の遊牧民の君主が名乗った称号カガン古テュルク語: - qaġan/qaγan)はその古形である[1]

カン(ハン)とカアン(ハーン)は異なる

12世紀モンゴル高原では、「カン(Qan)」はモンゴルケレイトナイマンなど部族の長が名乗る称号(君主号)であり、モンゴル帝国を築いたチンギス・ハーンも、彼の在世当時はチンギス・カン(Čingγis Qan/Činggiz Qan)と称していた[2]。しかし、チンギス・カンを継いでモンゴル帝国第2代君主となったオゴデイは、モンゴル帝国の最高君主が他のカンたちとは格の異なった存在であることを示すために、古の「カガン」を復活させた「カアン(qa'an, qaγan)」という称号を採用し、のちにモンゴル帝国の最高君主が建てた王朝も「カアン」の称号を受け継いだ[3][2]。帝国西部に位置するテュルク系国家や西遼などの旧領では、最高指導者を「カーン(khaqan、qa'an)」と呼ぶ慣習があったため、貨幣発行などの事例により、1220年代頃から「カン」と「カーン」の使い分けが次第にみられ、帝国東部でも1254年と1257年に印された『少林寺蒙漢合璧聖旨碑』のウイグル文字モンゴル語文/漢文が、それぞれ「カン/罕」から「カーン/合罕」へ切り替わっている事から、正式に大モンゴル国の最高指導者の呼称を「カアン」と定めたのは1250年代と考えられている[2]

これに対して、モンゴル帝国西部のチャガタイ・ウルス(チャガタイ汗国)、ジョチ・ウルス(キプチャク汗国)、フレグ・ウルス(イルハン朝)系の地方の諸王には「カン(ハン)」号が使用された[4][5]。やがてこうしたモンゴル帝国の諸王国(汗国)の「カン(ハン)」号がペルシア語では「ハーン خان khān」(ペルシア語では長母音となる)と表記・発音されたため、アラビア文字使用圏では「ハーン(khān)」と「ハン(χan)」という2通りの表記が生まれ、現代の書籍においてもモンゴル帝国中央の「ハーン」と他地方の「ハン/ハーン」の混同がみられることがある[6]

なお、ペルシア語では、モンゴル帝国皇帝の称号である「カアン」を、「カーアーン( قاآن qā'ān)」あるいは「カーン( قآن qān/qa'ān)」と表記しており、モンゴル語の「カン(qan)」に由来する「ハーン( خان khān)」の表記とははっきり区別されていた[7]ティムール朝の史料では例外として「ハーカーン」という名称をチャガタイ・ウルスなどのチンギス家の君主たち、あるいはティムール朝の君主の雅称として形容的に使われるが、オゴデイ以下のモンゴル皇帝たるカアンに対しては、もちろん「カーアーン」という語を使用している[2][7]。例外を除き、ジョチ・ウルス系の君主を始め、西方のテュルク語・ペルシア語圏の君主に対しては「カーアーン」は使われていない[2][7]

モンゴル帝国皇帝(カアン)としてのハーン

モンゴル帝国の皇帝号は第2代オゴデイの時に「チンギス・カン Činggis Qan」に代わって「カアン Qa'an」が採用され、第3代グユクを除く、以降のモンゴル皇帝すべてが「カアン」号を使用した[4][3][8][7]。しかし、14世紀北元時代になるとモンゴル語が音声変化を起こし、「カアン」は「ハーン」のように発音されるようになり、現代に至っても「ハーン Khaan」と発音する[9][10]

カン(ハン)のペルシア語発音としてのハーン

上記のようにカアン(ハーン)はモンゴル皇帝号、カン(ハン)はジョチ・ウルス、チャガタイ・ウルス、イルハン朝等の地方君主号であるが、ペルシア語においては長母音になるため、「カアン」は「カーアーン Qā'ān」、「ハン」は「ハーン Khān」と発音する[6]。これらは通常、日本の書籍・研究書では長母音を除かれて表記するのがほとんどであるが、そうでないものもあるため注意が必要である[6]

ダライ・ラマから授与されたハーン号

上記のようにハーン号はチンギス・カン直系のモンゴル皇帝だけが使用する唯一無二の称号であったが[11][注釈 1]16世紀アルタン・ハーンゲゲーン・ハーンになって以降、モンゴル皇帝(チャハル当主)ではないハーンが登場するようになり、研究者の間でも区別できない状況が生まれた。

この時代(北元時代)においても「ハーン」はモンゴル全体を統轄する最高の支配者であるとみなされ、他方「ハン」はその下に位置するチンギス・ハーン家の有力者の称号と位置づけられていた。しかしながら時代が下がるにつれてこの区別はあいまいになり、とりわけモンゴル文文献においては「ハン」の称号は「王子」程度の意味に用いられたり、大ハーン以外の有力者が「ハーン」の称号で呼ばれることが一般的になっている。ここではいちおう原則にしたがってハーン、ハンの呼び方を区別したが、原則を破ってハーンを自称する者も多くみられ、厳密にこれを区別することは困難である。森川哲雄「明代のモンゴル」『世界歴史大系 中国史4』山川出版社、1999年,pp.292-293
17世紀以降、モンゴル王侯にとってのハーン号は ダライラマより授けられることでそれまでの、例えばチンギス直系に継承されるハーン号とはまったく異なる権威が具わっていった。(中略)アバタイにとってチベット仏教に入信することで得られる権威とは、当初はハーン号とはまったく異なる権威であったことも考えられる。それは、アルタンがダライラマより授けられた権威が、武力ではなく法輪(仏教)によって世界を統治する「転輪聖王」であって、いわゆるハーン号ではなかったからである。(中略)1586年にアバタイがダライラマ3世より授けられたハーン号は、チンギスの直系が継承していくハーン号とは異なり、チベット仏教に基づく、それまでには見られなかった形のハーン号であった。(中略)17世紀になって、ハルハの3ハーンやオイラトのハーンが、こうしたチベット仏教に基づく権威によって確立していったことを考えると、アバタイの事例はその嚆矢ともいえる。新藤篤史『アバタイの「金剛(včir)」ハーン号と16世紀末ハルハのチベット仏教』

1586年ハルハアバダイノモン・イェケ・ワチル・ハーン(nom un yeke včir qaγan)となって以降、ハルハではライフル・ハーントシェート・ハーンジャサクト・ハーンチェチェン・ハーン、オイラトではグーシ・ハーンオチルト・チェチェン・ハーンガルダン・ハーンなどがダライ・ラマによってモンゴル皇帝位とは別のハーン位を授与されるようになっていった[12]

脚注

注釈

  1. 例外として第29代エセン・ハーンオイラト出身である。

出典

  1. 杉山 2014, p. 248.
  2. 1 2 3 4 5 杉山 2014, p. 248-249.
  3. 1 2 佐口 1968, p. 67.
  4. 1 2 村上 1970, p. 7.
  5. 杉山 2016, p. 108.
  6. 1 2 3 樺山 1997, p. 88.
  7. 1 2 3 4 樺山 1997, p. 86.
  8. 杉山 1990, p. 13.
  9. 白石 2006, p. 160.
  10. 樺山 1997, p. 87.
  11. 白石 2006, p. 159.
  12. 新藤 2013, p. 154.

参考資料

書籍

  • 村上正二(訳注)『モンゴル秘史 チンギス・カン物語』 1巻、平凡社〈東洋文庫163〉、1970年5月。ISBN 978-4582801637 
  • C.M.ドーソン『モンゴル帝国史』 2巻、佐口透訳注、平凡社〈東洋文庫128〉、1968年12月。 ISBN 4582801285 
  • 宮脇淳子『モンゴルの歴史 遊牧民の誕生からモンゴル国まで』刀水書房、2002年10月。 ISBN 978-4887082441 
  • 杉山正明『大モンゴルの世界 陸と海の巨大帝国』KADOKAWA〈角川ソフィア文庫〉、2014年12月25日。 ISBN 978-4044092184 
  • 杉山正明『モンゴル帝国と長いその後』講談社〈講談社学術文庫 2352 興亡の世界史〉、2016年4月12日。 ISBN 978-4062923521 
  • 白石典之『チンギス・カン: “蒼き狼”の実像』中央公論新社〈中公新書 1828〉、2006年1月1日。 ISBN 978-4121018281 
  • 森川哲雄『中国史』 4巻、山川出版社〈世界歴史大系〉、1999年6月30日。 ISBN 978-4634461802 
  • 樺山紘一『中央ユーラシアの統合―9−16世紀』岩波書店〈岩波講座 世界歴史11〉、1997年11月10日。 ISBN 978-4000108317 

論文

  • 杉山正明「元代蒙漢合璧命令文の研究(一)」『神戸市外国語大学外国学研究』第21巻、神戸市外国語大学外国学研究所、1990年3月、1-31頁、 ISSN 0289-9256 
  • 新藤篤史「アバタイの「金剛(včir)」ハーン号と16世紀末ハルハのチベット仏教」『大正大学大学院研究論集』第37巻、大正大学、2013年、156-148頁、 CRID 1050282677933752960ISSN 0385-7816NAID 120005536281 

関連項目


ハーン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/07 02:45 UTC 版)

ドラゴンラージャの登場人物一覧」の記事における「ハーン」の解説

よく精神凍結をする魔術師

※この「ハーン」の解説は、「ドラゴンラージャの登場人物一覧」の解説の一部です。
「ハーン」を含む「ドラゴンラージャの登場人物一覧」の記事については、「ドラゴンラージャの登場人物一覧」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「ハーン」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「ハーン」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



ハーンと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳

英語⇒日本語日本語⇒英語

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ハーン」の関連用語

ハーンのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ハーンのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのハーン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのドラゴンラージャの登場人物一覧 (改訂履歴)、SAINTS 聖なる魔物 (改訂履歴)、オヤマ! 菊之助 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2026 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2026 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2026 GRAS Group, Inc.RSS