マルコシアス隊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/30 09:43 UTC 版)
「機動戦士ガンダム サイドストーリーズ」の記事における「マルコシアス隊」の解説
一年戦争開戦にあたり、広くMSパイロットの訓練を行っていたジオンだが、エリートコースに選抜されるには、家柄などのしがらみがあった。 キシリア・ザビは独自に、腕が良いが家柄や出身などでエリートコースの選抜より外された若者たちを集め、一定の戦果を上げれば後に結成するエースパイロットのみで構成するエリート部隊に転属させることを約束。こうして結成した特別競合部隊がマルコシアス隊である。MSのどこか(基本的に胸部)に部隊章が描かれているのが特徴。 A~Gの7小隊から成り、各小隊で戦果を競争させ、より大きな戦果を上げさせたようというサバイバル部隊である。 ブリティッシュ作戦で落下するコロニー「アイランド・イフィッシュ」が部隊の初陣であるが、特殊競合部隊の認可と「マルコシアス」の部隊名は地球降下作戦からである(部隊章は初陣から使用)。オデッサ防衛戦ではA・D小隊が全滅。統廃合によりB・F・Gの3小隊となるが、撤退戦でF小隊が全滅し2小隊となる。その後ユーコン級潜水艦「ウンディーネ」に救出されマッド・アングラー隊と合流。同隊隊長のシャア・アズナブル大佐とは会わずに終わるが、彼の計らいにより補給物資と補充兵を得る。しかしジャブロー攻略戦で次々と戦死し、生き残った隊員は6名となり、もはや「競合部隊」の体はなしていない。しかし、すでに数々の戦果によりマルコシアス隊自体が「エース部隊」と認知されており、訓練生の間でも有名になっていた。グラナダへの引き上げ申請の許可が降り、再び宇宙へ上がる頃には他のエース・パイロットにも名前が知れ渡るまでになっている。 漫画版では3小隊に減っており、アルファベットの区別はない。ア・バオア・クー防衛戦には多数の学徒兵の増員を得て臨む。 ヴィンセント・グライスナー 声:櫻井孝宏 18歳、曹長(のちに少尉)。G小隊所属。 少年らしい生真面目を持つが、頭の良さがいい方向に働き、バランスのとれた人格を持つ。 当初はエースになる事を夢見るが、戦場で戦ううちに現実と戦う強さを得る。ガルマ・ザビ大佐の国葬がおこなわれた直後の時期に新型の陸戦高機動型ザクを専任されており、ダグからの評価は高い。以降、青をパーソナル・カラーとする。「レムリア」では高機動型ザクII(R-1A型)を受領し、ソロモン防衛戦に参加。ア・バオア・クー防衛戦では「キマイラ」隊隊長のジョニー・ライデンの計らいで配備されたゲルググ高機動型 R型に搭乗する。 ア・バオア・クーではこれまで苦汁をなめさせられてきたペイルライダーと遭遇し、ギーとリベリオの助けを借り行動不能にするが二人は戦死。ペイルライダーのパイロットであるクロエが年端もいかない少女であったこと、彼女が戦争の犠牲者の一人でしかなかった事実を知り、彼女を保護する。その後、反地球連邦組織やネオ・ジオン軍でともに戦い続けるが、ときには仲間を殺された恨みを思い出し、戦場でクロエの機体を後ろから撃とうと考えた事もある。しかし実行に移すことはなく、彼女への哀れみの感情から優しく接している。宇宙世紀0090年に新生ネオ・ジオンと合流したあとは、実用試験を兼ねて新型のギラ・ドーガを受領している。 母はサイド3で食堂を営んでいる。父親に対しては、母と自分を捨てたものだと思い込み良い感情を抱いていないが、敵兵として砲火を交え、時に共闘した気さくで話の分かる男・トラヴィスが自分の父親であると知って拍子抜けしてしまう。ラストカットでは父のもとに身を寄せたあと、「ビストロ・グライスナー」を営業し、クロエとの間に子供をもうけていることが確認できる。 漫画版では小隊長であり、「ヴィンス」の愛称で呼ばれる。ジャブローでのペイルライダーとの交戦の際にはトラヴィスとの一時的な共闘で追い返すことに成功する。しかし、戦場で自爆したスレイヴ・レイスのコックピットハッチから自分と母が写った家族写真を見つけ、トラヴィスが父親という確信を抱く。その後、戦場で出会った際もすぐに共闘しており、ゲーム版と違って悪く思っている様子はない。宇宙に上がり、グラナダでノーマルのゲルググ(ブレード・アンテナ装備)を受領する(ソロモン防衛戦には参加しない)が、ア・バオア・クー防衛戦ではBR型に搭乗している。ペイルライダーを抑え込み、ギーに自機もろとも攻撃するよう頼むが、間一髪でペイルライダーが逃走、機体は破壊されるが脱出に成功し、図らずもマルコシアス隊唯一の生存者となる。一年戦争終結後はトラヴィスの依頼と自分が関わったブリティッシュ作戦の罪悪感から、その被害者であるクロエを保護し、彼女の治療のために地球のHADES研究施設を目指す。その過程でペイルライダーを狙うHADES計画の被験者フィル・デールの追撃を受けるが、最終的にペイルライダーのスラスターエンジンを自爆させて彼と共倒れになろうと企む。しかし、HADESが自動的にバックパックを切り離したことで死を免れ、救助に駆け付けたクロエと抱擁を交わす。 ダグ・シュナイド 声:安元洋貴 39歳、大尉。 マルコシアス隊の総隊長兼部隊の教導試験官。率いる若者達の生還を望みつつも、戦争での勝利と常に板ばさみとなる。それでも心が折れない強さを持つ、隊の父親的存在でもある。 G小隊の隊長も兼任し、初陣からザクIIS型に搭乗。ホワイトベースへの新型MS輸送阻止の任務からパーソナル・カラーの紫で塗装されたイフリートに搭乗している。 HLV打ち上げの際には、ヴィンセントをマルコシアス隊隊長に戦場任官し、スレイヴ・レイスのフレッドとともに地上に残り、追っ手を退ける。撤退戦の際には己の身体の限界を悟り、フレッドと機体を交換しピクシーに搭乗、1機で追撃隊に立ち向かうが、その後の動向は不明(ピクシー自体はのちにダイバーの乗機として再登場する)。 漫画版では当初は小隊長を兼任していないが、ジャブロー攻略戦直前の再編の際に兼任する。小型シャトル防衛の際にジムにコックピット・ハッチを破壊され重症を負うが、構わずフレッドとともに追っ手を退ける。撤退の途中で死亡し、フレッドに埋葬される。 リベリオ・リンケ 声:木村良平 18歳、伍長。G小隊所属。 ヴィンセントの友人。軽妙な性格で、なにも考えていない様に見えるムードメーカーだが、その実、心の底には冷めた部分をもつ。 射撃が得意で、隊では主に援護担当。ザクIIF型から地上ではJ型に乗り換え、再び宇宙に上がるとFZ型(Bタイプ)を受領する。 ア・バオア・クー防衛戦でのペイルライダーとの決戦にて、ギーと共にペイルライダーを抑え込んでヴィンセントをサポートし戦死。 漫画版では小隊長であるが、再編の際にヴィンセントの部下となる。ア・バオア・クー防衛戦ではリック・ドムに搭乗し、ヴィンセントが抑え込んだペイルライダーを攻撃しようとするが、逆に返り討ちにあい戦死。 ギー・ヘルムート 声:豊永利行 20歳、軍曹(のちに少尉)。F小隊隊長。 手柄を独占しようとする利己主義者だが、戦いの中で仲間と隊に誇りを持つようになる。 MSの格闘戦ではシュナイドに匹敵する評価を受けているが、独断専行がたたり、オデッサ防衛戦では部下を失う。その後B小隊へ編入される。 パイロットスーツを黒い三連星と同じ(レプリカ)にするなど、エースマニアでもある。再び宇宙に上がった際にはリック・ドムIIを受領し、ドム・グロウスバイルの大型ヒート・サーベルを携行する。 すでに家族は両親ともに他界していることをヴィンセントに語っている。 ア・バオア・クー防衛戦でのペイルライダーとの決戦にて、リベリオと共にペイルライダーを抑え込んでヴィンセントをサポートし戦死。 漫画版では、頭部にブレード・アンテナと小さなスパイクを6本装備したザクIIに搭乗する。ジャブローでペイルライダーに撃破されるが無事で、アルバートに救出される。キャリフォルニアベースではザクIを借り、ザンジバルの護衛につく。ア・バオア・クーではゲーム版と同様にリック・ドムIIに搭乗。ヴィンセントに自分もろとも攻撃するよう命令され、苦悩しながらもそれを実行しかけるが直前にペイルライダーが脱出し失敗する。その直後、ビームサーベルで乗機を斬り裂かれて戦死。 セベロ・オズワルド 声:興津和幸 23歳、曹長。A小隊隊長。 エリートぞろいのマルコシアス隊の中で最も訓練成績が優秀である。誇りを重んじ、ジオンの理想に殉じる覚悟を決めているが、そのせいで視野が狭まっている。中央アジアで初めて「人型」のMS(陸戦型ジム)と遭遇した際に功をあせって突出し、返り討ちにあい部下2名を失う。しかし彼らを弔うよりも、人員が補充され減点を挽回したい気持ちが先に立ってしまっている。オデッサ防衛戦で再びA小隊は突出するが、同じく突出したギーのF小隊の援護に回ろうとするところを撃破され戦死、A小隊は全滅する。 漫画版では登場しない。 アルバート・ベル 声:宮田幸季 15歳、伍長。 マルコシアス隊がマッド・アングラー隊と合流した際に新たに加わる、2次選抜を通過した補充兵の一人。愛称は「アル」。 気弱で臆病な性格だが、戦場でヴィンセントに助けられてからは彼を自分の目標として尊敬し慕うようになる。 ア・バオア・クー防衛戦にて、前に出すぎたアンネローゼを助けるために突出し、アムロ・レイのガンダムに撃破され戦死。 漫画版ではダグの小隊に配属される。ア・バオア・クー戦でペイルライダーと遭遇した際、ヴィンセントの命令で初陣の学徒兵たちを連れて撤退するが、その後の安否は語られていない(ヴィンセントからは戦死したと認識されている)。 アンネローゼ・ローゼンハイン 声:竹達彩奈 16歳、軍曹。 アルバートと同じく、2次選抜を通過した補充兵の一人。愛称は「ローゼ」。 開戦時は学生であったが、パイロットの適性が高いため軍学校に移り訓練を受ける。 同期のアルバートを幸運の象徴と信じている。勘が鋭く、ニュータイプ(NT)の素養をもち、サイコミュ試験用ザク「ビショップ」に搭乗する。ア・バオア・クー防衛戦にて、アムロ・レイのガンダムを討とうと前に出るが、そのNT能力ゆえか自分がガンダムに勝てない事をすぐに悟ってしまう。アルバートが身代わりに討たれることで彼女は一命を取り留めるが、アルバートを失ったことで心に深い傷を負ってしまう。 続くペイルライダーとの決戦にて、激闘の末に吹き飛ばされて生死不明となるが、宇宙世紀0090年にはネオ・ジオンのグレミー派残党の一員としてクィン・マンサに搭乗し、ヴィンセント、クロエ、トラヴィスと対峙する。これまでアルバートを始めとする仲間を殺された恨みを抱きながら生きてきた彼女は、その仇であるクロエと隊長であったヴィンセントが一緒にいることで激昂する。交戦しながらトラヴィスが説得に当たるも聞き入れないが、クィン・マンサが撃破され、脱出ポッドがトラヴィスに確保された際には受け入れる。ラストカットでは「ビストロ・グライスナー」でトラヴィスと食事をしながら談笑している姿が確認できる。 漫画版ではヴィンセントの小隊に配属される。ア・バオア・クーでペイルライダーと交戦し、機体が中破させられたところまでは描かれているものの、彼女の安否は不明のまま物語が完結している(ヴィンセントからは戦死したと認識されている)。 クレイ、リトナー 漫画版に登場。マルコシアス隊のヴィンセントの小隊に所属。再編の際にギーの小隊に転属し、ジャブローでのペイルライダーとの交戦で戦死。 パーカー 漫画版に登場。マルコシアス隊のリベリオの小隊に所属。再編の際にダグの小隊に転属し、ジャブローでのペイルライダーとの交戦で戦死。 フロイド 漫画版に登場。マルコシアス隊のリベリオの小隊に所属。中央アジアでガンタンクの砲撃を受け戦死。 ロン、ハワード 漫画版に登場。マルコシアス隊のギーの小隊に所属。中央アジアでの陸戦型ジム小隊との交戦で戦死。
※この「マルコシアス隊」の解説は、「機動戦士ガンダム サイドストーリーズ」の解説の一部です。
「マルコシアス隊」を含む「機動戦士ガンダム サイドストーリーズ」の記事については、「機動戦士ガンダム サイドストーリーズ」の概要を参照ください。
- マルコシアス隊のページへのリンク