知的障害 知的障害とその他の発達障害の関連

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知的障害

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/18 15:32 UTC 版)

知的障害とその他の発達障害の関連

知的障害と自閉症

自閉症とアスペルガー症候群との比較[14]

自閉症」という障害は、知的障害があるもの(古典的自閉症)と、知的障害がないもの(高機能自閉症アスペルガー症候群;いわゆる高機能PDDと称される)に便宜的に分類されているが、その他の関連した障害を含めて自閉症スペクトラム障害という連続した障害と分類されている[14]。現在の精神障害の診断と統計マニュアル第5版では、(古典的)自閉症、アスペルガー症候群、高機能自閉症、特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)の4つを包括し、自閉症スペクトラムと規定された。

広汎性発達障害(厳密には、知的障害のないものについては、高機能広汎性発達障害(いわゆる高機能PDD)となる)という用語がほぼ同義語として機能している。知的障害は、知能面(IQ)の全体的な障害であり、自閉症の本質であるコミュニケーション障害は、対人関係面を主とした障害である。昔から知られている種類の自閉症は狭義の自閉症のことであるが、これはコミュニケーション障害と知的障害が合わさったものである。近年知られてきた種類の自閉症である高機能自閉症は、コミュニケーション障害のみであり、知能指数の全体平均は知的障害の域に達しない。しかし、知能指数を要素別に計測すると、各要素間に大きな差が見られる。

軽度発達障害に使われる「軽度」、およびその一つにカテゴライズされる高機能広汎性発達障害(高機能PDDのことで高機能自閉症も含む)に使われる「高機能」とは、いずれも、本稿で説明されている「知的障害」がないながらも障害が発生している、というニュアンスで用いられており[14]決して、障害の度合いや複雑さなどを表す接頭辞として使われていない点に十分注意する必要がある。このため、近年では、「軽度」という用語では誤解を招く恐れがあることから、単に「発達障害」とのみいう場合や、「(軽度)発達障害」と表現するケースが多い。

「重度重複障害」などに使われる「重度」は、上述の「軽度」の対義語として使用されており、すなわち、「知的障害の度合いが重い重複障害」ということを意味する(ただし、主たる障害は知的障害以外にある点に注意)。

IQが35未満では、半数以上が自閉症を併発すると報告されている。

学習障害と知的障害の違い

学習障害は読み・書き・計算など学習面の障害があるが、会話能力・判断力などの知能の面では障害が認められない。知的障害は、学習面に加えて知能面にも障害を持つ。


注釈

  1. ^ ただし非常に稀ではあるが、ダウン症の青年(女性)が大学(国文学科)に進学し、卒業した事例もある。
  2. ^ 自閉症が情緒障害に分類されることもあるが、自閉症は先天性の脳機能障害である。
  3. ^ 広義的に発達障害者と支援が準じているため、精神保健福祉法など適用される場合がある。

出典

  1. ^ 小島道生「知的機能に関する制約と支援」橋本創一ら〔編〕『障害児者の理解と教育・支援』金子書房、2008年。[要ページ番号]
  2. ^ a b c d e “Identification and evaluation of mental retardation”. American Family Physician 61 (4): 1059–67, 1070. (February 2000). PMID 10706158. https://www.aafp.org/afp/2000/0215/p1059.html. 
  3. ^ a b c "Definition of mentally retarded". Gale Encyclopedia of Medicine.
  4. ^ “Global, regional, and national incidence, prevalence, and years lived with disability for 301 acute and chronic diseases and injuries in 188 countries, 1990-2013: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2013”. Lancet 386 (9995): 743–800. (August 2015). doi:10.1016/S0140-6736(15)60692-4. PMC 4561509. PMID 26063472. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4561509/. 
  5. ^ a b 土田耕司「「障害者雇用促進法」改正の背景に関する考察」『川崎医療短期大学紀要』第37号、川崎医療短期大学、2017年、 15-18頁、 doi:10.18928/00000980ISSN 0287-30282020年12月17日閲覧。
  6. ^ Myers SM, Johnson CP (2007). “Management of children with autism spectrum disorders”. Pediatrics 120 (5): 1162–82. doi:10.1542/peds.2007-2362. PMID 17967921. 
  7. ^ "LevineMarks1928p131"
  8. ^ "KamphausWinsoretalpp57–58"
  9. ^ 障害評価の最近の話題 -知能指数と遷延性意識障害- - waybackのキャッシュ
  10. ^ [Levine, Albert J.; Marks, Louis (1928). Testing Intelligence and Achievement. Macmillan. OCLC 1437258. Retrieved 23 April 2014. Lay summary (23 April 2014)]
  11. ^ 小島道生「知的障害に関する制約と支援」橋本創一ら〔編〕『障害児者の理解と教育・支援』金子書房、2008年。[要ページ番号]
  12. ^ 加藤昭和「重症心身障害者への地域支援」橋本創一ら〔編〕『障害児者の理解と教育・支援』金子書房、2008年
  13. ^ 障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則(昭和51年労働省令第38号) 第1条の2
  14. ^ a b c サイモン・バロン=コーエン 『自閉症スペクトラム入門 脳・心理から教育・治療までの最新知識』、2011年8月、21-22頁。ISBN 978-4805835234 
  15. ^ 日本医家列伝 鈴木昶 大修館書店、2013年、ISBN 9784469267457 p94-p95
  16. ^ 精神障害者をどう裁くか 岩波明 光文社、2009年、ISBN 9784334035013
  17. ^ a b c 黒木美佳, 大和明日香, 中坪晃一, 田村光子、「知的障害者の雇用の状況と課題 : 大学における就労事例を通して」 『植草学園短期大学紀要』 2012年 13巻 p.39-45, doi:10.24683/uekusat.13.0_39, 植草学園
  18. ^ 矢野川祥典, 是永かな子、「知的障害者の一般就労における環境設定の実態と課題 : 卒業生への合理的配慮の提供を目指して」『高知大学教育学部研究報告』 2016年 76巻 p.77-83, 高知大学教育学部
  19. ^ 米澤旦、「福井県における障害者への就労支援を通じた社会的包摂の試み : コミュニティネットワークふくいを事例として」『社會科學研究』 2014年 65巻 p.117-134, 東京大学社会科学研究所。
  20. ^ 森口弘美, 久保真人、「障害のある人の就労の現状と障害者自立支援法の問題点 ― 社会参加の機会平等の観点から」『同志社政策研究』 2007年 1号 p.42-52, doi:10.14988/pa.2017.0000011086, 同志社大学政策学会
  21. ^ a b 鈴木紀理子・阿部崇・小曾根和子・柘植雅義・鈴木紀理子・阿部崇・小曾根和子・柘植 雅義 (2018). “意思の推察と本人・保護者との対話を含む意思決定支援を基盤とした合理的配慮の提供 : 重度知的障害児への合理的配慮が本人主体であるために”. 筑波大学特別支援教育研究 12: 51-64. 


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