車体と主要機器
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「M62形ディーゼル機関車」の記事における「車体と主要機器」の解説
M62形機関車は3軸ボギーの台車2基を有している。台枠と台車枠は箱型部材で作られている。2ストロークのディーゼルエンジンと主直流発電機は鋼鉄製の台枠に弾性支持体で固定されている。主電動機は台車枠に搭載されている。M62形は総括制御装置を装備しており、1箇所の運転室で連結された2両の機関車を操縦できる。この機関車は平坦線で1000tの貨車を最高速度80km/hで牽引可能で、2両連結の場合は3600tまでの列車を牽引でき、この場合の最高速度は60km/hである。ハンガリーでは、米国の企業のライセンス供与を受けて作られたスウェーデンのNOHAB社製M61機関車が、M62に比べて10t軽く、出力はやや小さいものの、ソビエト製のエンジンを持つM62の50~60%の燃料消費量で、25%多く牽引することができた。M62はブダペストとニーレジハーザとの間を再給油することなく走破することはできなかった。 M62のディーゼルエンジンは、過去の設計経験無し (1950年代のソビエト国内で用いられていたディーゼル機関車は、1524mmの広軌と、高いトンネルに基づく車両限界のもとに、直立対向エンジンを採用していた) に短期間で開発されたため、信頼性は標準以下であった。この機関車のエンジンは第二次世界大戦中のドイツの沿岸防衛用潜水艦のものの設計を基礎にしており、東側の衛星諸国の標準軌向きの最大幅員と厳しいトンネル高さに対しては過大であった。 ソビエト体制の崩壊以後、ハンガリー国鉄の31両のM62形が、1990年代にエンジンをキャタピラー製のものに換装して改造されたが、資金不足によりそれ以上の改造は中断された。多くのソビエトの衛星国家の需要家は、貨物と旅客と双方に汎用できる機関車を求めていたにもかかわらず、M62形はいかなる客車向けの暖房供給機構をも搭載していなかったために、貨物牽引専用とされていた (ソビエトのこの時代の客車は、1両ごとに独立した暖炉で暖房されていた) 。 寒い季節には、1960年代から1970年代のハンガリーのM62形牽引の旅客列車は、専用の石油燃焼式のボイラーを搭載した暖房車を連結しなければならなかった。また、1980年代には、電熱器による暖房用に、電源車を連結していた。これと対照的にNOHAB製のM61形機関車は、内蔵する水タンクとエンジンの廃熱を用い、1時間に750kgの蒸気を発生することができ、燃料消費を低減化できることを実証した。 運転台(2M62-1124) 機器室(M62形)
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車体と主要機器
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「東ドイツ国鉄243形電気機関車」の記事における「車体と主要機器」の解説
機関車には二つの二軸ボギー台車が装着されている。軌道上の小さな異物を除去する為に両前部に排障器 (Schienenräumer) が固定されている。車軸ユニットは連珠形リンク (Lemniskate Link) を介して台車枠に取り付けられ、軸の両端を支える軸受けにはコイルばね各二本が付き、一次ばねを構成する。軸受けはローラーベアリングである。機関車構体 (Lokkasten) は台車ごとにフレクシコイルばね・ダンパユニット六本により支持されて、ピボットピンは縦方向と横方向に軸受けで弾性的に連結されている。機関車は車体フレームと屋根フードで構成され、両端に運転台を持つ。機関車構体は溶接によるモノコック構造で、外観の特徴は両側壁に盛り上がった水平リブ (Längssicken) である。駆動モーター、制動抵抗器 (Bremswiderstand) 、サイリスタ、主変圧器など冷却が必要な機器は、屋根に設けられた専用の取り入れ口から導入される外気によって冷却される。 全ての軸には固有の駆動モーターが付いている。動力伝達は東ドイツ国鉄では普遍的なクイル式駆動方式を通じて両側で起きる。143形と112・114形は歯車比及びフレームと台車の間に追加されたシュリンガー緩衝器の有無で区分される。モーターは155形機関車のモーターを改良したもので、アダプター (Adapter) を用いれば互換性があったが、結局モーターの共用は実現していない。主変圧器は電気機関車で普遍的な、油冷却方式の三鉄心変圧器 (Dreischenkel-Trafo) である。駆動モーター (単相整流子電動機) は高電圧側の電圧調整により、30段のシフトレーバーで制御される。サイリサタを通じた速度切換によって、無段階のノッチ変更 (Überschalten) 及び出力の設定 (Leistungsstellung) が可能になる。機関士の制御設定と機器の状態情報は複合的な制御盤の中で、高しきい値制御 (low-speed-logic) 回路で実行され、互いに動作する。 機関士が走行速度と最大牽引力を指定することで、実際の運転制御は半自動的に行われることを標準とする。電子制御によって制御器への指令と電気ブレーキが調整されて設定速度が得られ、電動機電圧・電流、架線電圧、過剰電流、回転軸の加速偏差 (Schleuderneigung) に起因する主軸回転数の差異が常に自動監視される。複雑な線形の路線を運行している際に、設定速度に達した後で、加速と制動を頻繁に繰り返してマスター・コントローラーを磨耗させることを防ぐ為に、機関士は四つの特別プログラムをトグルスイッチとプッシュボタン (Kipp-/Drucktaster) で選択できる。そのプログラムは「力行のみ (Nur Fahren、設定速度に達した後も電気ブレーキを切ったままとする) 」、「制動のみ (Nur Bremsen、設定速度を上回ると電気ブレーキで自動減速) 」、「自由空走(Freier Auslauf、制御器を中立とする) 」、「条件付き空走 (Bedingter Auslauf、設定速度に達すると制御器を中立とする) 」である。これらの特別プログラムは「特別プログラム消去」のトグルスイッチを操作するか、新しい速度を設定すると無効化される。非常時には通常の制御器以外に、力行・中立・制動だけを切り換える制御器(補助制御器)を使うことができる。プッシュプル運行の際には、通常の制御器に加えて、しばしばこの補助制御器が用いられる。766系の制御客車はプッシュプル運行の為に、定められた最大牽引力を得るための設定を制御するが、速度自体は制御されない。760系の二階建て制御客車をプッシュプル運行する場合にのみ、完全な速度制御が有効である。 制動システムは間接的な空気ブレーキ、直接的な補助ブレーキ (Druckluftergänzungsbremse) 及び自動電気抵抗ブレーキで構成する。操車場での入り換えや停車の際に使うために、直動式の補助ブレーキ (Zusatzbremse) が装備されている。機関車がブレーキレバーを操作して減速する時には、通常用の間接的な空気ブレーキが動作する。ブレーキ系統の空気圧が設定値に達すると、電気ブレーキに切り替えるように制御され、空気ブレーキの機械的な摩耗を抑制する。もし電気ブレーキの効果が不充分だと検知されたら、設定値との差を補うように空気ブレーキが作動する。制動時、4機の駆動モーターすべてから発生する電気エネルギーは熱に転換され、排気口から放出される。その制御はサイリスタ・セミブリッジ回路 (Thyristor-Halfbrückensschaltung) を通じて行われる。電気ブレーキは架線の状態に応じて動作するため、主制御器 (Hauptschaltung) が低電圧のため停止したような場合には、電気ブレーキは動作しない。 屋根にはZ字形のシングルアーム集電装置、屋根絶縁体 (Dachtrenner) 、主配電器、列車無線用アンテナが設置されている。 人間工学的に構成され、機械室から独立した運転台には、当時の東ドイツとしては画期的であったエアコンが利用可能であった。
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車体と主要機器
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「西ドイツ国鉄111形電気機関車」の記事における「車体と主要機器」の解説
機関車の構造は基本的に110形と似ているが、部分的に改善または拡充されたところがある。機械構造では、車輪が連珠形リンク (Lemniskatelink) で支持される新型台車が特徴的で、台車と車体の間には防振ゴムとコイルばねを組み合わせた「フレキシコイルばね」が設けられた。電気的では、110形や140形と同じWB372形主電動機および変圧器が採用されている。111形の駆動方式には当初103形と同じカルダン軸リンク式が計画されたが、これは160km以上の高速走行に最適化されているため、110形と同じ半吊り掛け式となった。 屋根にはワンアーム形パンタグラフSBS65形が設置される予定だったが、1次車から3次車の一部に採用されたものの、すぐ菱形パンタのDBS54形に交換された。147号機以降は全てSBS65形が搭載され、5次車からは新型のSBS81形が搭載されている。1980年の初め、4両に新しいパンタグラフのWBL79形を、試験目的で搭載した記録が残っている。なお、SBS65形は103形の交換用としても搭載されたため、初期に製造された111形には、103形に付いていたDBS54a形を転用した車輌があり、現在でも交換されていない。 変圧器は機械室の中間に位置しており、機械室の部屋割りは変圧器の前後に中央機械室通路がある形になっている。主電動機は (Schaltung) はサイリスタ制御加速28段となっている。主電動機は加速用とは異なる固有のブレーキ抵抗器の作用により、発電ブレーキが使えるようになっている。発電ブレーキ時に発生する熱は、屋根の送風機を経て放出される。ブレーキ回路は110形のラストグループに設置されたホール素子を通じて同じように制御される。111形には電気ブレーキ以外に圧縮空気ブレーキ・補助ブレーキ・紡錘形非常用ブレーキ (Spindelhandbremse) 台車当たり一機が設置されている。常用制動 (Betriebsbremsung) の場合、機関士のブレーキ弁とブレーキ調整装置 (Bremssteller) を通じて電気ブレーキのみが作用し、空気ブレーキは動作しない。非常制動 (Schnellbremsung) の場合は、空気ブレーキも発電ブレーキも作動する。発電ブレーキが失効した場合は、空気ブレーキがすぐに立ち上がるようになっている。現在では、圧縮空気ブレーキにだけではなく電気ブレーキにも作動する電気的な空転・滑走防止装置 (Gleitschutz) が改良されて搭載されている。 主電動機の制御回路及び主回路は、110形のものとほとんど変わらなかったが、新たに追加された過電流検出器は111形の運転を楽なものにした。機関車は過電流調整レバーまたは牽引力調整装置を通じて選択的に制御される。牽引力の制御 (Z-Steurung) は、指定された牽引力を機関士の追加操作なしでほぼ一定に保ち続ける。過電流検出器は回路に挿入され、電動機電流、パンタグラフからの受電電流,、主電動機端子電圧が許容最大値を超えないようにする。自動式車輪空転・滑走防止装置 (Schleuderschutz) は、その検出器からレールとの摩擦係数低下や車輪空転傾向を検出した場合、自動的にノッチを落とし、または空転予防ブレーキ装置を作動させる。本機とのプッシュプル列車は、36本の制御線を持つジャンパーケーブルを引き通すことによって制御される。当初Sバーン用として指定された、111号機から188号機までには、一部は工場出場時から、または工場出場後に多重時間プッシュプル制御装置 (Zeitmultiplexe Wendezugsteuerung, ZWS) 及び付加的な多重周波数列車制御装置 (Frequenzmultiplexe Zugsteuerung) が設置された。1990年代中期に、いくつかの旧Sバーン用機関車に多重時間重連運転制御装置 (Zeitmultiplexe Doppeltraktionsteuerung, ZDS) が装着され、現在までにほぼ全ての111形に搭載された多重時間及び多重周波数制御装置は改良されたものである。 I60型点型列車制御装置は本機の工場出場時に装着された。リレー論理回路を基にした制御装置は、速度を時間関係だけで検出するため、本機が140 km/h以上で走行する場合に、機関助士を必要とした。人力を減らしつつ、安全性を高める為に、点型列車制御装置はコンピュータ技術の応用でのI60Rに改良・開発された。I60Rは機関車の運転方式を経路に従って認識し、信号冒進 (Signalüberfahrung) にもっと早く反応できる。フランクフルト車両基地では、さらに新技術の列車制御装置が160キロ走行する111形に設置された。
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