環東軍・汎亜細亜共栄圏
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「機動旅団八福神」の記事における「環東軍・汎亜細亜共栄圏」の解説
名取不二雄(なとりふじお) 福神隊隊長。2号機に搭乗する。 黒縁眼鏡をかけた穏やかな容貌だが表情が厳しくなるときがある。当初は四方田に叱咤されて本性を隠そうとするが、次第に自分の考えを貫こうという気概を持つようになって表情が厳しくなると周囲からは豹変したと評された。また考え事をする時に口元に手をやる癖がある。 人が死なない戦争を理想としており、人を救いたいという想いから軍に入隊。人を傷つけず、また決して傷つかない福神を絶対防御による人を助ける兵器と考え、四方田からも福神隊隊長を任された。 また「考える軍人」を自称して何事も深く考える思慮深さと信念を貫こうとする強情さを併せ持つ。このため自分で考えずに命令に従うことに嫌悪感があり、上官の命令に反抗するのもこのためである。学生時代は友人がおらず、パシリにされるも教室で暴れ出し、頑として従わなかった。父親は缶詰工場の社長で精神病患者などを雇って人助けをしたいと考えていたようだが戦争が始まると自殺した。周囲から立派な社長と評価されていた父親を当人は「父には友達がいなかった。」と父親を批判している。 最後は誰も死なない戦争と称して福神を相手に疑似戦争を体験する組織を立ち上げ、戦争について考えること、戦争を体験させる活動を続けている。 半井亜矢(なからいあや) 福神隊隊員。1号機に搭乗する。 真っ白な髪を持つ少女で無気力な言動が目立ち、命令が無ければ何もしない。当初から福神乗りとして選ばれた存在。その戦闘能力は突出しており、戦闘時には普段と違って生き生きとした表情になる。 その正体は命令に忠実なデザインヒューマンであり、命令に従うことに喜びを感じ、どのような思考を経ても戦闘を肯定するように作られた人間である。隊長になった名取に対して自分には命令だけして欲しいと頼んだのもこのため。また沖縄でゲリラの老婆に精神的に影響され、生きることへの渇望を抱き、自主的に行動するようになったが、同時に敵を強く意識するようになりアメリカに激しい憎しみを抱く。 最後は名取に強く拒絶されて戦闘するために生まれた人間、デザインヒューマンであることを変えて欲しいと中国軍に要望して普通の人間になったが、自分で考えて仲間を守るために戦うという選択肢を選んだ。 王玲花(ウォンレイファ) 福神隊隊員。3号機に搭乗する。 “中国”本国から派遣された留学生で、いわゆるマゾである。自尊心を傷つけられること、苦しい思いをすることを快楽としている。クールに振る舞い、不愛想だが仲間に思いやりを示したり、周囲から共感されないことに苛立ったり、戦いに恐怖したりと一人前に人間らしい部分がある。やがて中国本営軍の新型福神部隊の指揮官になったが、名取に対する信頼を見せていて、ハワイ作戦では独断で名取に指揮を執らせた。 半井同様に福神隊の主要戦力として活躍、半井に対抗心を燃やしていたが失態を犯して本国に送還されデザインヒューマンとしてより完全な改造を受ける。それ以降は半井への対抗心など人間らしい部分は失せたようだ。 最後はデザインヒューマンであることを否定した半井に対し、共感できないという意見を出しながらも仲間として最大限協力した。 布施幹夫(ふせみきお) 福神隊隊員。7号機に搭乗する。 四方田から名取に「優秀な男」と紹介されるほどの能力を持つが、どんな人間でも顔を見れば本性が分かると話し、突拍子も無い言動が目立つ変人。実際、類稀な観察眼を持ち、周囲の人間を評価し、名取を「考える軍人」だと見抜いて興味を持つ。なお当人の事を周囲はあまりにタフなので「ロボット」、四方田は「死んでも寂しいなどとは口にしない男だ。」と評している。趣味はクラシック音楽。 名取たちにアメリカの情報を話すなどしてアメリカのスパイだと思われていた布施だが、アメリカに亡命しようとする張六明の造反に際して「本営諜報部特殊情報員七号」という本来の身分を明らかにし、彼を解任逮捕する。それ以降は福神乗りではなく情報員として働くことがメインとなった。 最後は中国の情報部で活躍している。半井に本来の身分を欺いていたことを指摘され、国家という得体のないもののために働いてきた自分が始めて出来た仲間を守るために必死だったと答えている。 向田兆治(むこうだちょうじ) 福神隊隊員。4号機に搭乗する。 陸上自衛隊第一空挺団出身の屈強な兵士。格闘技や銃剣術、サバイバル術などに精通した最強の歩兵であるが、一方で喧嘩っ早い性格であり、自衛隊内で自らを持て余していたところに福神隊隊員の募集ポスターを見て志願した。当初は能力の高さから横暴な振る舞いや攻撃的な言動が目立ったが、精神的にもろい部分があり、逆に周囲から支えられることの方が多くなる。特に名取に対して信頼が厚いことが描写される。 京都の戦闘でかつての仲間だった自衛隊員たちが大勢、殺される場面に立ち会って以降は戦うことが出来なくなる。 最後は中道と同居し、彼女のお腹に子供がいるようである。 夏目宇宙(なつめこすも) 福神隊隊員。5号機に搭乗する。 整った顔立ちを持ち、かつ話し上手なので、当初は隊内のムードメーカー的存在だった。布施は時折見せる陰のある表情を理由に「復讐者」と評した。 かつて自分が住んでいた街(横田基地周辺と思われる)が極東の粛清によって焼き払われ、そこを生き延びたことから何も出来なかった自分への不満、ぶつけようの無い復讐心を抱いており、名取の正義感などに対して斜に構えて反目することが増えてくる。京都の戦闘でまたも何も出来なかったことで自信を喪失するがハワイ作戦を生き残ってジュリエッタに再会している。 最後は紛争地帯で活動しているらしい。 弓削豪(ゆげごう) 福神隊隊員。6号機に搭乗する。 地方出身の軍事マニアで、「銃が撃ちたいから軍隊に入った。」と話している。 小銃分解以外に取り立てて目立った面が無い。感情のコントロールもできない。この2点から布施には「弱者」と評され、訓練期間中に発狂寸前までに追い詰められるが、名取と触れ合うことで回復、無事念願の福神隊に配属される。しかしそれ以降も目立った活躍はなく足を引っ張るばかりで「試練」と称して自分を納得させ続けていた。 最後は取り柄もなく情けない自分でも戦争をやり切ったことで自信が持てたと語り、社会に不満を持ち、仲間も作れない若者のために支援団体を主宰している。 中道晶(なかみちあきら) 福神隊隊員。唯一の救護兵で、白地に赤十字の入った福神に搭乗する。 凛々しい顔立ちに違わず熱血な性格で、隊員によくハッパをかける。 祖父は福神スーツの開発者、父は第一機動旅団衛生班班長。戦争が嫌いで、亡き祖父が開発した技術が戦争に利用されることを嫌う。当初は福神と距離を置いていたが、アレルギーのある福神ジェルに適応できると四方田に知られ、福神乗りにさせられる。また四方田は「彼女こそ福神が人を傷つけない兵器である象徴だ。」としている。 祖父の知り合いだったと話す武器商人・千歳屋にからまれることが多く困惑していたが、中道を狙う狙撃から千歳屋が身を挺して庇い、彼からマスクマンという集団の情報、マスクを託された。 最後は向田と同居し、お腹に彼の子供がいるらしく、これを暗喩して自身を「希望だ。」と半井に話した。 四方田(よもだ) 福神隊の生みの親である妙齢の女性将校。階級は軍曹だが、福神隊の運用の全てを握るかなりの権力者。合理的かつ冷酷非情な考えの持ち主で、整った顔立ちに常に険しい表情を浮かべている。 当初は「考える軍人は不要だ。」といって名取に様々なアプローチを仕掛けてきたが、全ては福神隊を彼女の理想とする部隊にするためだったことが分かる。しかしその途中で中国本国からの命令により福神隊の顧問から外されることが決まり、逆に名取に「自分で考えろ。」と告げて姿を消した。その後、カンボジアで福神隊の前に再び姿を現した時には軍を辞め、大手NGOのプロトコールのメンバーになっており、後に名取、夏目も同じ組織に所属する。中国のハワイ作戦では名取、夏目をハワイに送り込み、自身は国連でスピーチを行っている。 最後まで名取と連絡を取り続けているらしい描写がある。 張六明(チャオリゥミン) 5巻より登場。四方田の後任の福神隊顧問。階級は准尉。自尊心が強く、福神隊隊員の全員の首に爆弾付きペンダントを着用させるなど、自らへの絶対的服従を強いる。移動手段に自転車を愛用している。 経緯は不明だが、王を軍に入れた人物であるらしい描写があり、予め彼女を良く知っていた。当初から名取を敵視しており、敵対的な態度を見せる。マラッカ海峡での戦闘時に宝船をリカオンに襲撃され、顔や体の左半分に大火傷を負うと名取が自分の失態を「嘲笑っている。」と難癖をつけ、軍上層部に意見する名取に激しく苛立つほどになる。その後、出世の道を絶たれたと思い込んで自暴自棄になりアメリカに亡命しアンチ・ニュートン社に再就職しようと画策するが布施によって阻止された。 白金(パイジン) 6巻より登場。双子の中国人の少女。白い髪をボブカットにしている。捕虜となった半井の代わりに1号機に登場する。 理知的な行動を心掛けていて聞き分けが良い。そのため「目付け役」を任されることが多い。ハワイ作戦でも一人だけ旧福神隊に回されて不満そうにしていた。 白紅(パイホン) 6巻より登場。双子の中国人の少女。白い髪をショートカットにしている。白紅は本国に送還された王の代わりに3号機に搭乗する。 軽口が多く、作戦を無視したり周囲の言うことをきかず勝手な行動が目立つ。王からは「金はお前のように私語はしない。」と評された。金同様、王を尊敬しているが、金と違って半井にも関心があり、最初は福神隊のメンバーから「半井と王の劣化コピー。」と言われて反感を抱き、王にも半井とはどんな人間だったのか質問している。 最後は半井が普通の人間になりたがったのは名取の影響と軽口を叩いている。 長官 第一機動旅団の責任者。頼りなさげな小男で常にプルプル震えている。しかしいざ戦闘が始まると震えはぴたりと止み、冷静沈着に指揮を執る生粋の将校と化す。 雀健民(シャオケンミン) 第一機動旅団の中国軍人。スキンヘッドに顎髭と言う厳つい容貌。長官に対して軍上層部の意向を述べるという、いわば目付け役。日本人通訳を常に従えているが、片言の日本語なら喋れるらしい。 最期は京都の戦闘の後、環東軍が解体されることに決まるとこれに反発する日本人の自爆テロに巻き込まれて死亡。 千年屋晴香(ちとせやはるか) 軍需産業のよつば重工業社長。福神や宝船など開発を担当している企業の代表者で、軍事機密に当たることにも触れる事が出来る。 風変わりな髪型、ガラの着いたシャツ、蝶ネクタイを愛用するなど奇抜な言動が目立つ。これを本人は人間は見た目で相手を判断するので奇抜な格好をすれば人間は自然と委縮するからだと印象操作のつもりだと述べている。 物語の核心に迫るような発言やアメリカしか持ち得ない反重力装置などの技術を持っているのは、実はアンチ・ニュートン社らが中心となる謎の組織「マスクマン」のメンバーであったからである。 最期は中道を庇って狙撃されて死亡。 元・自衛隊の男 スキンヘッドでがっしりした体型。 環東軍、福神隊を「麗しの第9条の外で好き勝手する輩」と自衛隊予備隊の仲間を集めて難癖をつけて来た。福神隊と喧嘩になり、問題になる前に千歳屋が踏み込んで来てこの場は、解散させられる。しかし原子爆弾を入手すると京都で行動を起こし、観光客などを人質にして金閣寺に立て籠もる。京都に展開した福神隊を攻撃しようと強襲するリカオンと名取が戦う様子を見ても名取を「ハリボテの英雄」で自分こそ「真の英雄」だと主張する。 最期は原子爆弾を起爆されないように布施が弓削に両腕を狙撃させるも心臓の停止に連動させた起爆を試みて恐らく薬物による心停止状態になる。
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