広範な術式・大魔術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 18:48 UTC 版)
「とある魔術の禁書目録の用語」の記事における「広範な術式・大魔術」の解説
人払い 結界の一種で、無関係な第三者を一定の範囲内から遠ざける術式。一般人の目に触れないよう密かに戦闘を行う魔術師が多いため、作中でよく使用されている。 人間の感覚や認識に影響を及ぼし、対象となる第三者に「何故かその場所に近づかない」と思わせる効果を有する。様々な宗派・学派で同様の術式が使われ、作中では主に「Opila(土地)」のルーンを刻む術式が登場している。 グレゴリオの聖歌隊 ローマ正教の切札的な大魔術。聖堂に3333人の修道士を配し、その祈りを集める事で目標を狙い撃ち、破壊する「聖呪爆撃」を行う事ができる。作中ではアウレオルス=イザードの立てこもる三沢塾を爆撃したが、アウレオルスが「黄金練成」で爆撃を無効化したために失敗に終わる。 なお、アウレオルスも三沢塾の塾生達を利用し、擬似的なグレゴリオの聖歌隊を発動させていた。こちらはオリジナルとは異なり、術式の詠唱者の額から出現した球体が目標へ襲いかかるものとなっている。 御使堕し(エンゼルフォール) 上条刀夜が息子の不幸体質を改善すべく購入した呪術的な「おみやげ」を自宅に無作為に配置した結果、偶然に魔法陣が組まれて世界規模(異世界も含む)で発動した大魔術。人間の内面を維持したまま、その外見だけを入れ替え、同時に、天使を人間の地位へ落とした代わりに人間を神の領域へ格上げする。その違和感に気付けるのは、「幻想殺し」を持つ上条や強力な結界の中にいた人間、人間に落とされた天使など、術式の影響を受けなかったごく一部のみ。テレビアニメ版では、一部の人物の入れ替わりが異なっている。 土御門曰く「おみやげを1つでもヘタに動かしていたら、『御使堕し』以上の被害をもたらす他の魔術が発動していた」そうである(「御使墜し」はまだ安全な魔術で、中には風水のスペシャリストである土御門ですら分からなかった魔法陣さえ存在していたという)。土御門が儀式場になっていた上条宅を破壊したことで解除される。 20巻にて、四大属性の歪みが原因でこの術式が発動したことがフィアンマより明かされた。また、この件で「神の力」がサーシャの身体に宿ったことが、フィアンマがミーシャを召喚する手掛かりとなる。 縮図巡礼(しゅくずじゅんれい) 日本中に47ヶ所ある、空間を瞬時に移動するための出入り口「渦」の間を自由に行き来する「地図の魔術」。だが、特殊移動法を使うには地図に染み付いた特性「星の動き」が大きく影響し、決まった時間でなければ使えない。 江戸時代に日本で初めて実測で作った日本地図・大日本沿海輿地全図に、作者の伊能忠敬は、「ミニチュア」としての黄金比を少しも歪めず明らかに狂った出入り口を書き込むという驚異的な技術により、「偶像の逆流」を利用して日本列島には存在しないはずの「渦」を作り出した。ただ、大日本沿海輿地全図そのものからは23ヶ所しか「渦」は発見されていない。伊能忠敬の一派は諸外国に強い興味を持っていたため、学術的な興味から非公式に接触があった天草式は全ての「渦」を把握している。 聖人崩し(せいじんくずし) 天草式十字凄教が完成させた対聖人用専用特殊攻撃術式。神の子の処刑の象徴に乗っ取り、聖人の体内の力のバランスを強制的に崩すことで、その力を一時的に奪う術式。そのため、通常の魔術師には何の効果もない。逆に、二重聖人のアックアにはそのまま自壊するため、致命的な攻撃となりえる。術式の中心になるのは「槍を持つ者(ロンギヌス)」(作中では五和)で、雷光と化した槍を目標の聖人に突き刺し、攻撃を食らった対象の背中からは莫大な光の十字架が上下左右に広がる。雷撃から手を保護するため、五和はおしぼりを槍に巻いて管槍の形で使った。 撃墜術式 魔術によって飛行している者を撃墜する術式。十二使徒の一人であるペテロが空飛ぶ魔術師シモン=マグスを撃墜した逸話を由来としており、「十字教で解釈できる範囲の異端・異教の飛行術式」を用いる人間に対し、呪文の詠唱だけで墜落させ、さらに一定のダメージを与える効果を有する。 簡便で強力な上、元の伝承が有名なこともあり極めて広く普及している。このため現代の魔術師には、飛行自体は容易にも拘わらず、直ぐに撃墜されるので迂闊に飛行できないという制約が課せられているため、「撃墜術式を防ぎ切るだけの大型防御」を搭載するための積載量を持つ巨大霊装を除き、個人では10メートル以上には上らないことが定石となっている。 なお、「魔女の薬」を道具に塗って飛行する魔女たちは、「地上を移動している」とごまかすことで低空における高速飛行を可能としている。また、アレイスターやオリアナが使用したイシス=デメーテルは例外的に術式を防いで飛行が可能だった。 連合の意義(ユニオンジャック) 女王魔術ともいうべきイギリス王室専用の国家レベルの大魔術。カーテナが得る莫大な「天使の力」を国民全員に等しく再分配させる大規模術式。表に現在のイギリスの国旗、裏にかつてのウェールズの国旗が描かれたイギリス四文化を象徴する一枚の旗の霊装を使って発動させる。霊装自体は大英博物館の一般展示品に紛れさせているため、旗が霊装であることに気づいている者は少ない。 演説に使った通信用術式を応用して、9000万人もの人間を同時に誘導し、全ての「天使の力」そのものに手を加え、使用者の思念に応じて性質を変え、なおかつ使用者を暴走に巻き込まれない安定性を付加された「都合の良い形」に調節された「天使の力」を受け取る事で、初めて民間人は「自分が手に入れた力を使って、自分の考えた通りのアクションを起こす」事が可能になる。その上で、「魔道書の知識で民間人の脳を汚染する」という最悪のリスクを除外するために魔術の「匂い」を徹底的に隠し、不可思議な現象を目の当たりにし、自在に扱わせつつも、決して本質に近づけさせないように配慮されている。また、禁書目録が作り出された理由のひとつが、この術式の制御を補助するためではないかとする説もある。 プロジェクト=ベツレヘム 右方のフィアンマが第三次世界大戦で行った魔術儀式。世界全体の属性の布陣の「歪み」を正し、「聖なる右」の正しい力を得るための大きな力の流れを規定し、4つの属性を再設定するためのもので、夜空に「とある星」が出現した事によって、預言者が「神の子」の誕生を確信したという神話的事実を応用した大規模術式。 サーシャを使って呼び出した「神の力」を利用し、天使の術式「天体制御」で一度空から全ての星を消した上で、「天使の力」で満たされた不完全な天空へ「ベツレヘムの星」を浮かべ、同時に世界各地の教会や聖堂を適度に破壊する事で「地上」の力の流れにも手を加え、さらに、「神聖なる右手が自然と備えてしまった浄化作用」と推測される「幻想殺し」が宿る上条の右腕を切断して奪い、その血肉を分解して「第三の腕」へと組み込む。これによって惑星そのものが天使のいる世界へと変貌を遂げ、莫大な「天使の力」そのものが空を引き裂いて降臨し、天空を黄金の光で染め、地上浄化のために清浄なる「天使の力」を散布し基礎構造から変質させ、その後の「復興」に使う資源として、腕や天使の輪、肋骨など多様な形状の「天使の力」が実体化した巨大構造物を地面から生み出し、各属性と派生的な現象による大規模な破壊が生じた。最後に地の底を組み替える事で全ての歯車の再調整と円滑のための機構の設置が終わり、世界が「そうであるように」再び正しく回り始めるはずだったが、上条が「幻想殺し」を取り戻した事で取り込んだ「右腕」そのものが急速に劣化、各地に出現した「天使の力」は魔術師達が処理し、天から降る莫大な「天使の力」も一方通行が吹き飛ばし、フィアンマが上条に敗れた事で失敗に終わった。 妖精化 オッレルスが絵本や童話を参考に作り上げた対「魔神」術式。十字教巨大勢力が昔から行ってきた「異教の神の矮小化」、つまり神々を妖精として扱うという魔術。光の杭を手のひらから出現させて相手を貫くことで、「魔神」を強制的に人間へと戻すことができる。 後に右方のフィアンマは、207万回連続で術式を叩きこむ長さ500メートルの光の杭「変異型妖精化」を開発しているが、完成した「魔神」の僧正には通用しなかった。 晩餐の魚 ローマ正教が保有する大規模術式。世界中の20億人もの信徒の魔力と演算機能を統合する術式で、通常の術式の威力を20億倍にするもの。さらに遮蔽物を貫通して目標だけを狙撃することができ、攻撃対象の周囲にいる全ての聖職者が並列して存在する複数の「耳目」と「主砲」の役割を同時に果たす。術式の使用にはローマ教皇からの解除命令と20億人共通の憎悪が必要で、他のローマ正教の術式同様ブレーカー役が要であり弱点ともなっている。 七つの罪 ロシア成教が構築した対魔神術式。異教の神々を十字教に当てはめたうえで再構築し、七つの大罪にこじつけて1つの罪につき対象の力の7分の1を奪って弱体化するという術式。効果範囲はロシア成教の総大主教、ロシア成教徒、総大主教が五感のどれかで敵として認識した相手の3つ。 方式としては「妖精化」と似ているが、権威は貶められるものの、恐怖の対象である事はあまり変わらず、場合によっては「より大きく」描かれて「悪魔」の方に寄る危険性もあり、「力はそのままに性格がさらに残忍に変化する」といった事にも繋がりかねず、敵の反論によって術式を発動している側にもフィードバックが起こりうるという弱点が存在する。
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