定義と概要
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/01/10 05:18 UTC 版)
A を台集合として、代数的構造 R をもつ代数系を (A, R) と記す。R は演算と呼ばれる写像 α : A × ⋯ × A → A {\displaystyle \alpha \colon A\times \cdots \times A\to A} の集まりである。同類である二つの代数系 (A, R), (B, S) (R = {αλ}λ∈Λ, S = {βλ}λ∈Λ) に対し、(A, R) から (B, S) への準同型写像 (f, F): (A, R) → (B, S) (F = {fλ}λ∈Λ) とは、台集合の間の写像 f: A → B であって、R, S の各々対応する演算 αλ, βλ を可換にする(あるいは両立させる)写像 fλ を引き起こすものをいう。つまり f ∘ α λ = β λ ∘ f λ , ( f λ ( ( x i ) i ∈ I λ ) := ( f ( x i ) ) i ∈ I λ ) {\displaystyle f\circ \alpha _{\lambda }=\beta _{\lambda }\circ f_{\lambda },\quad {\Bigg (}f_{\lambda }((x_{i})_{i\in I_{\lambda }}):=(f(x_{i}))_{i\in I_{\lambda }}{\Bigg )}} となる写像の組 (f, F) を準同型写像と呼ぶのである。ここで、αλ, βλ は |Iλ| 項演算であるものとする。通常は (f, F): (A, R) → (B, S) を単に準同型 f: A → B と略記する。 重要なことは、A の演算と B の演算とが台集合上の写像 f のみで一対一に対応させることができるということである。これを、f は構造を保存 (structure preserving) する、構造と両立 (compatible with structure) する、構造と可換 (commute with structure) であるなどといい表す。これにより、A における演算が f で B に移されると考えることができる。特に、準同型写像 f: A → B が与えられたとき、その像 f(A) は B の部分代数系となる。このとき一般には、像 f(A) はもとの代数系 A からある程度 "つぶれている" ため、像 f(A) から直接にもとの代数系 A の様子を知ることは完全にはできないのであるが、この潰れ具合は準同型の核と呼ばれる同値関係によって推し量ることができ、それによってもとの代数系 A を復元することができる。一方、準同型 f が単射であれば A は B にその構造まで込めて埋め込まれる。ゆえに、単射な準同型をしばしば埋め込み(うめこみ、embedding)と呼ぶ。なお、単射な準同型、全射な準同型はそれぞれ単準同型(たんじゅんどうけい、injective homomorphism, monomorphism)、全準同型(ぜんじゅんどうけい、surjective homomorphism, epimorphism)とも言われる。 準同型写像 f が逆写像 f−1 を持ち、なおかつ f−1 もまた準同型であるとき、f は同型写像あるいは単に同型であるという。f が同型ならば f−1 も同型である。ある数学的構造を持つ二つの集合 A, B の間に準同型写像が存在するとき、A と B とは準同型であるといい、さらに同型写像が存在するとき同型であるという。互いに同型な集合はその構造に関しては同じものとみなすことができる。 体の準同型(単位元を持つ環としての準同型)は常に単射であり、かつ零射でないのでその像と元の体は同型になる。ゆえに体の場合は準同型といわず中への同型 (isomorphic into) とよび、さらに全射ならば上への同型 (isomorphic onto) であるという。また、群や環の準同型、ベクトル空間の線型写像(環上の加群としての準同型)は全単射ならば同型である。 まったく同じ写像でも、ある構造に注目したときは準同型を与えるけれども、始域・終域にさらに構造をいれたり、他の構造を持つ集合と見たりしたときには準同型でないことがありうる。したがって、同時にいくつもの構造を併せ持つ集合たちの間の準同型を扱う時には、それがどの構造と可換であるかをはっきりさせる必要が生じる。
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定義と概要
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 09:10 UTC 版)
この仮説は、宇宙のダークエネルギーのタイプに決定的に依っている。重要な因子は、状態方程式パラメータ w {\displaystyle w} で、この値は、ダークエネルギーの圧力とエネルギー密度の比である。 w {\displaystyle w} <-1の時、宇宙は引き離される。このようなエネルギーはファントムエネルギーと呼ばれ、クインテッセンスの極端な形態である。 宇宙でファントムエネルギーが優勢な場合は、宇宙は速度を増しながら(=加速しながら)膨張する。しかし、これは、観測可能な宇宙の大きさが縮み続けることを意味し、あらゆる点から光速で遠ざかる観測可能な宇宙の端までの距離は、より近くなるはずである。観測可能な宇宙の大きさがどの特定構造よりも小さくなると、全ての基礎的な相互作用(重力、電磁力、弱い力、強い力)が光速を超えてしまうためゲージ粒子が交換できずに力が働かない状態になるはずである。こうなると、構造は「バラバラになる」。このモデルでは、ある有限時間の後、「ビッグリップ」と呼ばれる、全ての距離が発散して無限となった最終的な単一状態が現れることを示唆している。 この説の提唱者であるダートマス大学のロバート・コールドウェルは、現在知られているエネルギーの形態で、現在から宇宙の終焉に至るまでの時間を計算した。 t r i p − t 0 ≈ 2 3 | 1 + w | H 0 1 − Ω m {\displaystyle t_{rip}-t_{0}\approx {\frac {2}{3|1+w|H_{0}{\sqrt {1-\Omega _{m}}}}}} ここで、 w {\displaystyle w} は、上で定義した値、H0はハッブル定数、Ωmは現在の宇宙の全ての物質の密度(密度パラメータ)である。 この論文では、著者は、 w {\displaystyle w} =-1.5、H0=70 km/s/Mpc、Ωm=0.3として計算し、宇宙の終焉は現在から220億年後という結果を得ている。著者は、現在の研究によると、この宇宙の w {\displaystyle w} の値は-1に非常に近く、 Ω {\displaystyle \Omega } が式において優占的な因子になると記している。(1+ w {\displaystyle w} )の値が0に近づくほど、分母は0に近づき、ビッグリップはより未来の出来事になる。もし w {\displaystyle w} がちょうど-1に等しければ、H0とΩmの値に関わらず、ビッグリップは起こらない。 w {\displaystyle w} =-1.5という著者のシナリオでは、銀河は最初は互いに遠ざかり、宇宙の終焉の約6000万年前に、重力は銀河系やその他の銀河を支えることができなくなるほどにまで希薄となる。宇宙の終焉の約3ヵ月前には、現在の太陽系のような星系は、重力で結びつけなくなる。最後の数分で、あらゆる星とそれを構成する目に見える物質は形状を保てなくなり、宇宙の終焉までの1秒間では分子や原子までが破壊される。 現在の最新の宇宙論でも、 w {\displaystyle w} の値が-1より大きいか小さいかを決定するのに十分なデータは得られていない。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 05:06 UTC 版)
任意の正の数 x に対し、x = 10a により定められる実数 a を、10 を底 (base) とする x の常用対数 (common logarithm) といい、記号 log10 x で表す。つまり、 x = 10a ⇔ a = log10 x となる。このとき、x を真数 (antilogarithm) という(用語などの詳細は、おおもとの対数の項を参照されたい)。 数学者ヘンリー・ブリッグスが、ネイピアの対数を発案したジョン・ネイピアと議論をして、この定義のような改良を提案し常用対数表を作成したことによりブリッグスの対数とも呼ばれる。 例えば、log10 100 = 2, log10 1000 = 3, log10 2 ≒ 0.3010, log10 3 ≒ 0.4771 である。ある常用対数(例えば log10 200 ≒ 2.3010)の整数部分 (2) をその常用対数の指標または標数 (characteristic)、小数部分 (0.301) を仮数 (mantissa) と言う。 マグニチュード、水素イオン指数、デシベルのように、科学的な調査における測定値の対数的な性質を調べる場合に用いられている事が多い。 ほとんどの場合に常用対数しか使わず、誤解の無い分野や文献では、底である 10 はしばしば省略を受け、単に log x と書かれる。ISO 80000-2はlg xという記法を推奨している(その他の底に関する略記に関しては、対数の項を参照)。 常用対数の値は、その真数の十進法表示の桁数の目安になる。実際、x が自然数のとき、x の桁数は、log x の整数部分 ⌊log x⌋ に 1 を足した数に等しい(⌊ ⌋ は床関数)。すなわち、n − 1 ≦ log x < n(n は自然数)の時、x は n 桁の自然数であると断定できる。また、0 < x < 1 の実数のとき、x の小数首位(小数点以下に最初に現れる、0 でない桁)は、−⌊log x⌋ で与えられる。 底の変換公式 loga x logb a = logb x を用いれば、常用対数の値は同じ真数に対する自然対数の log10 e ≒ 0.43 倍となることがわかる。 常用対数のもっとも身近な例のひとつが、化学で使われる水素イオン指数である。これは次のように定義されている。 p H = − log 10 [ H + ] m o l / L . {\displaystyle \mathrm {pH} =-\log _{10}{\frac {[\mathrm {H} ^{+}]}{\mathrm {mol/L} }}.}
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/07 01:58 UTC 版)
環境DNAとは、個々の生物個体からではなく、土や海水、雪、あるいは大気といった環境サンプルから採取されるDNAのことである。環境中には様々な生物が存在するが、彼らはつねにDNAを周囲に放出しており、環境中にはそれが蓄積していく。 例えば、動物の場合であれば排泄物や粘液、配偶子、剥がれた落ちた皮膚や体毛、そして死体などを通じてDNAが放出される。そうしたDNAサンプルはハイスループットなDNAシーケンシング技術によって網羅的に分析することが可能である。それにより、ある特定の種がその環境に存在するかを調査できるだけでなく、環境中に存在する生物種を網羅的に特定したり(メタバーコーディング)、メタゲノミクス解析を行うなどして、その環境の生物多様性を迅速に把握することができる。 サンプル中に含まれるDNAから各種を正確に識別するには、DNAバーコーディングの手法、すなわち、これまでに研究されてきたDNAのデータベースと照らし合わせることで種を同定するという手法が用いられる(例: BLAST)。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/01 00:24 UTC 版)
「災害」と呼ばれるのは、人間に影響を及ぼす事態に限られる。例えば、洪水や土砂崩れが発生しても、そこにだれも住んでいなければ被害や損失を受ける者は出ないため、それは災害とは呼ばない。また「災害」という用語は多くの場合、自然現象に起因する自然災害(天災)を指すが、人為的な原因による事故や事件(人災)も災害に含むことがある。通常は、人間生活が破壊されて何らかの援助を必要とする程の規模のものを指し、それに満たない規模の人災は除かれる。 自然災害の性質として、災害の元となる事象を制御することができないことが挙げられる。地震や大雨という現象自体は止めることができない。人工降雨も研究されているが、干ばつを防ぐほどの技術力には未だ達していない。一方、火事や交通事故はそれ自体人間によるものであり、人間による制御がある程度利く事象である。これが、自然災害と人為的災害の相違点である。 ただし、事件・事故と災害の使い分けは必ずしも明確ではない。政治や行政、社会学的観点からは、自然災害および社会的影響が大きな人的災害を災害と考える。一方、労働安全の場面や安全工学の観点においては、その大小や原因に関わらず人的被害をもたらす事態を災害(労働安全においては労働災害)と考える。 災害の要因は大きく2つある。災害をもたらすきっかけとなる現象、例えば地震や洪水のような外力 (hazard) を誘因と言う。これに対して、社会が持つ災害への脆弱性、例えば都市の人口集積、あるいは、裏を返せば社会の防災力、例えば建物の耐震性や救助能力を素因と言う。災害は、誘因が素因に作用して起こるものであり、防災力(素因)を超える外力(誘因)に見舞われた時に災害が生じる、と考えることができる。この外力は確率的な現象であり、規模の大きなものほど頻度が低くなる。そのため、「絶対安全」は有り得ないことが分かる。そして、誘因をよく理解するとともに、素因である脆弱性を低減させること(防災力を向上させること)ことが被害を低減させる。 例えば、1995年に発生したマグニチュード(M) 7.3の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)では6千人以上の死者が出たが、5年後の2000年に発生したM7.3の鳥取県西部地震では死者が出なかった。これは、阪神間という都市への人口集中が社会の混乱の規模、つまり脆弱性を増大させていたことを示している。単に「外力が大きければ大きな災害になる」と思われがちであるが、実は、外力が同じ規模でも、社会の脆弱性や防災力の高さが災害の様相を大きく変えるのである。またこのことから、「自然災害」に分類される災害においても人為的な要因が大なり小なり存在することが分かる。 災害により被害を受けた地域を被災地(ひさいち)、被害を受けたものを被災者(ひさいしゃ)という。1993年に採択された「ウィーン宣言及び行動計画」では、自然災害と人的災害について言及し、国際連合憲章と国際人道法の原則に従って、被災者に人道支援を行うことの重要性を強調している。 なお、災害の程度に応じて「非常事態」「緊急事態」 (emergency) と言う場合もある。これは、政府や行政が通常時とは異なる特別な法制度に基づいた行動に切り替える非常事態宣言のように、通常時とは異なる社会システムへの切り替えを必要とするような激しい災害を指す。
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