定義と時期
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/28 04:15 UTC 版)
縄文文化は完新世の温暖化にともなう環境の変化に対応して日本列島の旧石器人が生み出した文化であり、その特徴としては、弓矢や土器の使用、磨製石器の発達などが挙げられる。また、各地域の生態系に根ざした採集経済に基礎を置く点で、稲作に特化し生態系の改変をともなう生産経済に基づく弥生文化と区別される。このような縄文文化の時代を縄文時代と呼ぶ。 縄文時代という時代区分は日本史に固有のものであり、世界史の枠組みにおいては新石器時代という区分が一般的に用いられる。他の地域の新石器時代との共通点としては、上記の磨製石器や土器の使用のほか、定住生活なども挙げられる。ただし、食糧生産経済の本格化には至らず狩猟採集経済が継続しており、この点において縄文時代は、他の地域とは異なる珍しい形態の新石器時代として位置づけられる。狩猟採集経済でありながら定住生活を営んでいたという点において類例として知られているのは、北アメリカ北西海岸の先住民のみである。このような特異な形態は、後述するように、豊かな自然環境を大いに活用することによって可能となったものである。 縄文文化は元々、縄文土器を用いる文化として位置づけられたものであり、縄文時代の定義として縄文土器の使用を挙げる場合もある。後述するように、縄文土器(Cord Marked Pottery)の語はエドワード・S・モースの1877年(明治10年)の報告に見られるが、縄文時代という名称の時代区分が定着したのは第二次世界大戦後である。縄文土器の多様性は時代差や地域差を識別する基準として有効であり、時期区分についても草創期・早期・前期・中期・後期・晩期の6期に分ける土器型式上の区分が慣用化している。各時期の境界年代については炭素14年代法およびその年輪補正などに関連し諸説があるが、たとえば佐々木 (2020, p. 19) は、 草創期: 1万7000年前 - 1万1500年前 早期: 1万1500年前 - 7000年前 前期: 7000年前 - 5500年前 中期: 5500年前 - 4400年前 後期: 4400年前 - 3200年前 晩期: 3200年前 - 2400年前(東北・関東地方) としており、中期が縄文時代の中頃というわけではない。 縄文時代・文化の時間・空間的な範囲や定義・内容については、研究者によって複数の説が唱えられており、2015年現在においても議論が続けられている。時期区分や年代推定の研究史上の変遷や、上記以外の文化史的区分については後述する。
※この「定義と時期」の解説は、「縄文時代」の解説の一部です。
「定義と時期」を含む「縄文時代」の記事については、「縄文時代」の概要を参照ください。
- 定義と時期のページへのリンク