定義と慣習
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/03 00:13 UTC 版)
何れの引数に関して線型とするかの慣習には異なる流儀が存在するが、本項では第一引数は反線型(つまり共軛線型)で、第二引数に関して線型であるものとする。これは物理学(の、本質的にはどこでもだが、もとは量子力学におけるポール・ディラックのブラケット記法)で用いられる規約である。これと反対にするほうが数学ではふつう[要出典]。 具体的に、写像 φ: V × V → C が半双線型であるとは、 ϕ ( x + y , z + w ) = ϕ ( x , z ) + ϕ ( x , w ) + ϕ ( y , z ) + ϕ ( y , w ) ϕ ( a x , b y ) = a ¯ b ϕ ( x , y ) {\displaystyle {\begin{aligned}&\phi (x+y,z+w)=\phi (x,z)+\phi (x,w)+\phi (y,z)+\phi (y,w)\\&\phi (ax,by)={\bar {a}}b\,\phi (x,y)\end{aligned}}} が任意の x, y, z, w ∈ V および a, b ∈ C に関して成立するときに言う。 複素ベクトル空間 V の複素共軛ベクトル空間(英語版) V を考えれば、半双線型写像を複素双線型写像 V × V → C と見ることもできる。ここでテンソル積の普遍性を用いれば、これらは複素線型写像 V ⊗ V → C との間に一対一対応を持つ。 また、z ∈ V を固定して考えるとき、半双線型形式 φ に対して写像 w ↦ φ(z,w) は V 上の線型汎函数(つまり双対空間 V∗ の元)であり、同様に写像 w ↦ φ(w,z) は V 上の共軛線型汎函数(英語版)になる。 V 上の任意の半双線型形式 φ が与えられたとき、その共軛転置 ψ ( w , z ) = φ ( z , w ) ¯ {\displaystyle \psi (w,z)={\overline {\varphi (z,w)}}} を考えることにより、新たな半双線型形式を得ることができる。一般には、ψ と φ は異なるが、両者が一致するとき φ はエルミート的 (Hermitian) であると言う。あるいは一方が他方の符号を変えたものとなるならばφ は歪エルミート的 (skew-Hermitian) であると言う。任意の半双線型形式はエルミート形式と歪エルミート形式との和に書くことができる。
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