定義と様態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/25 16:38 UTC 版)
この言葉はもともと、ヘイトクライムという用語とともに、有色人種やLGBT等に対する差別に基づく暴力行為が頻発した1980年代後半の米国で使用され、後に一般化した言葉である 。憎悪表現が”地域の平穏を乱すことをもって規制されるべき”と議論する場合には「憎悪を煽る表現」とも呼ばれる。「喧嘩言葉」と同様に相手方の内部に憎悪を生み出すような言論(表現)類型と考えられており、話者(表現者)の側の憎悪感情が問題とされる。また、「憎悪と敵意に満ちた言論」、「憎悪にもとづく発言」とも解説される。 『知恵蔵mini』(朝日新聞出版)の2013年2月21日の版では「匿名化され、インターネットなどの世界で発信されることが多い。定義は固まっていないが、主に人種、国籍、思想、性別、障害、職業、外見など、個人や集団が抱える欠点と思われるものを誹謗・中傷、貶す、差別するなどし、さらには他人をそのように扇動する発言(書き込み)のこと」を指すとされ、インターネットにおける書き込みも「スピーチ」に含むと解説している。また、それに続けて「ヘイトスピーチを行う目的は自分の表現を挑発的に押し付けること」にあり、あらゆる手法を用いて他者を低めようとし、表現に対する批判に「まともに耳を貸すことはない。」「憎悪、無力感、不信などを被害者に引き起こし、相互理解を深めようとする努力を無にする、不毛かつ有害な行為」と解説し、ヘイトスピーチ規制は全世界的に広がっているとした上で、規制の少ない国としてアメリカと日本を挙げている。さらに、同辞典2013年5月13日更新では「憎悪に基づく差別的な言動」であり、「人種や宗教、性別、性的指向など自ら能動的に変えることが不可能な、あるいは困難な特質を理由に、特定の個人や集団をおとしめ、暴力や差別をあおるような主張をすることが特徴」と解説され、思想は除外された。また、朝日新聞2013年10月7日夕刊では「特定の人種や民族への憎しみをあおるような差別的表現」と定義され、在日韓国・朝鮮人への街頭活動が例とされた。また 社会学者のましこ・ひでのりはこの概念に「ヘイト」とか「憎悪」と言った表現を使うべきではないとして(心理的打撃を目的とする)「言語的リンチ」という用語を提案している。 上記のように確固たる客観的な定義が確立されているわけではないので、例えばヘイトスピーチの取締が成立してるスペインでは、カタルーニャ独立運動での各種発言がスペインに対するヘイトスピーチだとして、市民が取締りを受けている状況がある。 主体的に変えることができる「思想信条」へのそれらの言動もヘイトスピーチに含まれると「新明解国語辞典」第八版では定義している。
※この「定義と様態」の解説は、「ヘイトスピーチ」の解説の一部です。
「定義と様態」を含む「ヘイトスピーチ」の記事については、「ヘイトスピーチ」の概要を参照ください。
- 定義と様態のページへのリンク