【こんごう】(こんごう)
JMSDF Kongo(DDG-173).
海上自衛隊のミサイル護衛艦。
はたかぜ型の後継となる第4世代ミサイル護衛艦にして、日本初のイージス艦である。
その設計はアメリカ海軍のアーレイ・バーク級(フライト1)を基にしており、同艦に似た外見と能力を持つが、同級と比較していくつかの点が異なる。
- 速射砲が米Mk.45から伊OTOメララ社製(日本製鋼所のライセンス生産品)に変更されており、速射能力が向上。一方で重量が増加したため、艦首部分が延長された。
- 艦腹部に、ロールを抑制するためのフィンスタビライザーが追加された。
- 軽量化のため1本にされた錨を、通常の艦と同じく2本とした。
- 群司令の座乗を意識して艦隊指揮能力を強化したため、艦橋が大型化した。
- マストが四角柱型ではなく、従来からあるトラス構造のラティスマスト。このためレーダー反射面積がやや大きい。
また煙突の側面が垂直に近くなっており、レーダー反射面積が増加しているとされる。
(ただしレーダー反射面積は小型漁船と同程度であり、問題ないとする意見もある) - 後部飛行甲板が延長され、上甲板と同じ高さになっている。
- 最大速力が32ktから30ktに低下。
- 専守防衛の立場から、巡航ミサイル・トマホーク(BGM-109)の運用能力が実装されていない。
このため基準排水量は7,250トン、満載排水量に至ってはタイコンデロガ級に匹敵する9,485トンに達しており、本艦の発展型であるあたご型が就役するまでは海上自衛隊の中でも最大級の戦闘艦であった。
1番艦「こんごう」はソ連軍の脅威と日本の対米貿易黒字が懸念された冷戦時代の1988年に発注され、1992年に就役した。冷戦の終わった後はミサイル防衛用途への使用も検討されるようになった。
テポドン事件においては「みょうこう」が出動して監視にあたり、以降もテポドン発射の兆候が見られた際は同型が監視にあたった。
順次弾道ミサイル迎撃能力が付加されることになっており、最初に改修を受けた「こんごう」は、2007年12月には米軍以外で初めてSM-3による弾道ミサイル迎撃実験に成功した。
テロ対策特別措置法に基づき、インド洋へ派遣された補給艦を交代で警護していた護衛艦の中に「きりしま」や「こんごう」が含まれていた。
これは、探知能力の高いイージス艦が護衛任務に適する、指揮能力の高いこんごう型が艦隊の統率に優れ交代での任務に適すること、他の艦よりも居住性に優れており酷暑のインド洋における活動に適する、などの理由による。
だがこれに対し、「探知能力の優れるイージス艦をアメリカ軍とデータリンクする可能性があり、集団的自衛権の行使にあたる」等の批判もあったが、その他の艦船でもデータリンクは可能であり、批判ではなく単なる当て付けに過ぎない。
性能諸元
全長 | 161m |
全幅 | 21m |
吃水 | 6.2m |
深さ | 12m |
排水量 (基準/満載) | 7,250t/9,485t |
機関 | COGAG方式 2軸推進 IHI LM2500ガスタービンエンジン(機関出力100,000ps)×4基 |
発電機 | ガスタービン発電機(出力2500kW)×3基 |
最大速力 | 30ノット以上 |
航続距離 | 4,500海里(巡航速度:20ノット) |
乗員 | 300人 |
兵装 | オート・メラーラ社製 54口径127mm単装速射砲×1門 Mk.41 Mod2 VLS×2基29+61 計90セル(RIM-66・RIM-161・RUM-139を装備) 4連装艦対艦ミサイル用キャニスター×2組(RGM-84を装備) HOS-302 3連装324mm短魚雷(対潜魚雷)発射管×2組 高性能20mm機関砲(CIWS)×2門 |
艦載機 | なし(着艦スペースのみ) |
C4Iシステム | 自衛艦隊指揮支援システム(SFシステム)(後にMOFシステムに変更) AWS Mk.7+OYQ-102 対潜情報処理装置+リンク11/14/16 |
FCS | Mk.99/SPG-62 ミサイルFCS×3基 FCS-2-21 砲FCS |
レーダー | AN/SPY-1D多機能レーダー×4面1基 OPS-28D対水上捜索・低空警戒レーダー×1基 AN/SPG-62 ミサイルFCレーダー×3基(SM-2用) |
ソナー | OQS-102艦首ソナー OQR-2 戦術曳航ソナー |
電子戦・ 対抗手段 | NOLQ-2 統合電子戦システム Mk.36 SRBOC 対抗手段展開システム(Mk.137 チャフ・フレア発射機×4基) |
同型艦
- ベースライン4
艦番号 艦名 主造船所 起工 進水 竣工 所属 DDG-173 こんごう
(JDS Kongō)三菱重工業・長崎 1990.5.8 1991.8.26 1993.3.25 第1護衛隊群第5護衛隊
(佐世保基地)DDG-174 きりしま
(JDS Kirishima)三菱重工業・長崎 1992.4.7 1993.8.19 1995.3.16 第4護衛隊群第8護衛隊
(横須賀基地)DDG-175 みょうこう
(JDS Myōkō)三菱重工業・長崎 1993.4.8 1994.10.5 1996.3.14 第3護衛隊群第7護衛隊
(舞鶴基地) - ベースライン5
【金剛】(こんごう)
明治末期~大正初期(1910年代前半)に日本海軍が導入した超ド級巡洋戦艦。
姉妹艦に「比叡」「榛名」「霧島」がある。
この当時、海軍の主力戦闘艦艇である戦艦は「ドレッドノート」の登場以後、大型化・主砲の大口径化が加速度的に進んでいた。
工業技術で欧米諸国に遅れをとっていた日本は、この時期になってようやく主力艦(戦艦・巡洋艦)の国産化に成功したものの、加速度的に進化する世界の建艦技術には対応しきれない面が出ていた。
そこで、海軍先進国であった英国から大型艦船の建艦技術をもう一度学ぶべく、ビッカース社へ発注されたのが本艦である。
本艦の建造に当たっては、当時、英国海軍の最新鋭巡洋戦艦だった「ライオン」級が参考とされたが、以下のような改良が施されている。
- 主砲の口径アップ
- 「ライオン」の13.5インチ(=34.3cm)砲に変えて14インチ(=36cm)砲を搭載。
- 主砲塔レイアウトの改良
- 「ライオン」では艦尾方向に向けられる主砲は2門しかなかったが、本艦ではレイアウトが改良され、艦首・艦尾方向のどちらにも4門の主砲が向けられるようになった。
これらの技術を取り入れて1913年に就役した本艦を元に、日本国内の各造船所で姉妹艦の建造が始められ、1914~1915年までの間に「比叡」「榛名」「霧島」の3隻が相次いで就役した。
本艦と姉妹艦3隻の就役により、日本海軍は世界最強の戦闘力を誇る巡洋戦艦を手にすることになった。
大戦終結後の1930年に締結されたロンドン海軍軍縮条約では、姉妹艦「比叡」が廃棄される予定であったが、兵装・機関・装甲の一部を削減して「練習艦」となることで解体を免れている。
やがて軍縮条約が失効すると、(現役に戻された「比叡」も含めて)4隻とも機関出力の増強や主砲の改良、対空火器の増強などの改装を受け、「高速戦艦」として再デビューした。
大東亜戦争では、(艦齢30年にも達する、連合艦隊最古参の戦艦でありながらも)最大30ノットという高速力を生かし、3隻の姉妹艦と共に空母機動部隊の護衛をはじめ、さまざまな戦場で活躍したが、1942年~1943年の第三次ソロモン海戦で「比叡」「霧島」が失われ、本艦も1944年11月、台湾海峡で米バラオ級潜水艦「シーライオン(USS Sealion,SS-315)」の魚雷攻撃により基隆北方で撃沈。
また、姉妹艦のうち最後まで生き残っていた「榛名」も1945年7月、呉軍港で米艦載機の空襲により大破着底、行動不能となって終戦を迎えた。
性能諸元
常備排水量 | 金剛:27,500t(新造時) 比叡:27,500t(新造時) 榛名:27,384t(新造時)/31,785t(一次改装後),35,600t(二次改装後) 霧島:27,500t(新造時),30,660t(一次改装後) |
基準排水量 | 金剛:29,330t(一次改装後)/32,200t(二次改装後) 比叡:27,500t(練習戦艦時)/32,165t(二次改装後) 榛名:29,330t(一次改装後)/32,156t(二次改装後) 霧島:29,320t(一次改装後)/31,980t(二次改装後) |
満載排水量 | 榛名:32,306t(新造時) 霧島:39,141t(二次改装後) |
公試排水量 | 金剛:36,314t(二次改装後) 比叡:37,000t(二次改装後) 霧島:36,668t(二次改装後) |
全長 | 214.6m(新造時) 222m(二次改装後) |
全幅 | 28.04m(新造時) 31.02m(二次改装後) 30.9m(霧島,一次改装後)/31.01m(霧島,二次改装後) |
喫水 | 金剛:8.38m(新造時)/8.65m(一次改装後)/9.6m(二次改装後) 比叡:8.38m(常備,新造時)/9.37m(二次改装後) 榛名:8.218m/9.419m(常備/満載,新造時)/8.65m(一次改装後)/9.18m(二次改装後) 霧島:8.38m(常備,新造時)/8.41m(常備,一次改装後)/9.72m(常備,二次改装後) |
主缶 | 金剛:ヤーロー式混焼缶36基(新造時)/ロ号艦本式(専焼缶4基+混焼缶6基、一次改装後)/ ロ号艦本式缶8基(二次改装後) 比叡:イ号艦本式混焼缶36基(新造時)/ロ号艦本式(大型2基+小型3基+混焼缶6基、一次改装後)/ ロ号艦本式缶8基 榛名:ヤーロー式混焼缶36基(新造時)/ロ号艦本式(専焼缶4基+混焼缶10基、一次改装後)/ ロ号艦本式(大型3基+中型6基+小型2基、二次改装後) 霧島:ヤーロー式混焼缶36基(新造時)/ロ号艦本式専焼缶(大型6基+小型4基、一次改装後)/ ロ号艦本式缶8基(二次改装後) |
主機 | 金剛:パーソンズ式直結タービン2基4軸(新造時)/艦本式タービン4基4軸(二次改装後) 比叡:パーソンズ式直結タービン2基4軸(新造時)/艦本式タービン4基4軸(二次改装後) 榛名:ブラウン・カーチス式直結タービン2基4軸(新造時)/艦本式タービン4基4軸(二次改装後) 霧島:パーソンズ式直結タービン2基4軸(新造時)/艦本式タービン4基4軸(二次改装後) |
軸馬力 | 金剛:64,000shp(新造時)/136,000shp(二次改装後) 比叡:64,000shp(新造時)/16,000shp(一次改装後)/136,000shp(二次改装後) 榛名:64,000shp(新造時)/75,600shp(一次改装後)/136,000shp(二次改装後) 霧島:64,000shp(新造時)/75,600shp(一次改装後)/136,000shp(二次改装後) |
速力 | 金剛:27.5kt(新造時)/26kt(一次改装後)/30.3kt(二次改装後) 比叡:27.5kt(新造時)/18kt(一次改装後)/29.7kt(二次改装後) 榛名:27.5kt(新造時)/25kt(一次改装後)/30kt(二次改装後) 霧島:27.5kt(新造時)/25kt(一次改装後)/ 29.8kt(二次改装後) |
航続距離 | 金剛:8,000海里(14kt)(新造時)/9,500海里(14kt)(一次改装後)/10,000海里/(18kt)(二次改装後) 比叡:8,000海里(14kt)(新造時)/9,800海里(18kt)(二次改装後) 榛名:8,000海里(14kt)(新造時)/9,500海里(14kt)(一次改装後)/10,000海里(18kt)(二次改装後) 霧島:8,000海里(14kt)(新造時)/9,500海里(14kt)(一次改装後)/9,850海里(18kt)(二次改装後) |
乗員 | 金剛:1,201名 比叡:1,221名(新造時)/1,222名(二次改装後) 榛名:1,221名(新造時)/1,315名(二次改装後) 霧島:1,221名(新造時)/1,065名(一次改装後)/1,303名(二次改装後) |
主砲 | 金剛:毘式35.6cm連装砲4基 比叡:毘式35.6cm連装砲4基(新造時)/同3基(一次改装後)/同4基(二次改装後) 榛名:四一式35.6cm連装砲4基 霧島:四一式35.6cm連装砲4基 |
副砲 | 金剛:毘式15.2cm単装砲16門(新造時)/同14門(二次改装後)/同8門(最終時) 比叡:四一式15.2cm単装砲16門(新造時)/同14門(二次改装後) 榛名:四一式15.2cm単装砲16門(新造時)/同16門(のちに14門)(二次改装後)/同8門(最終時) 霧島:四一式15.2cm単装砲16門(新造時)/同14門(二次改装後) |
高角砲 | 金剛:短8cm砲7門(一次改装後)/12.7cm連装砲4基(二次改装後)/同6基(最終時) 比叡:八九式12.7cm連装4基(練習戦艦時,後日装備)/12.7cm連装4基(二次改装後) 榛名:8cm単装砲4門(一次改装後)/12.7cm連装砲4基(二次改装後)/同6基(レイテ沖海戦時) 霧島:8cm砲4門(一次改装後)/12.7cm連装砲4基(二次改装後) |
機銃 | 金剛:25mm機銃連装10基(二次改装時) /25mm機銃(3連装18基+連装8基+単装30挺、最終時) 比叡:40mm連装2基,九二式7.7mm機銃3挺(練習戦艦時)/九六式25mm連装10基,13mm4連装2基(二次改装後) 榛名:25mm連装10基(二次改装後,後日装備)/25mm機銃(3連装24基 連装2基 単装23挺、レイテ沖海戦時) 霧島:7.7mm機銃3挺(一次改装後)/25mm連装10基(二次改装後) |
魚雷 | 金剛:53cm水中発射管8本(新造時)/同4本(一次改装後) 比叡:53cm水中発射管8本(新造時,練習戦艦時に撤去) 榛名:53cm水中発射管8本(新造時)/同4本(一次改装後) 霧島:53cm水中発射管8本(新造時)/同4本(一次改装後) |
その他 | 金剛:短8cm砲12門(新造時)/21号電探1基,22号2基,13号2基(最終時) 比叡:8cm砲4門 榛名:短8cm砲4門,朱式6.5mm機銃3挺(新造時)/21号電探1基,22号2基,13号2基(レイテ沖海戦時) 霧島:短8cm砲4門,朱式6.5mm機銃3挺(新造時) |
装甲 | 水線203mm、甲板19mm、主砲:天蓋75mm・前盾250mm、副砲廓152mm |
搭載機 | 金剛:3機(一次改装後) 比叡:水上機3機(二次改装後) 榛名:1機(一次改装後)/3機(二次改装後) 霧島:1機(一次改装後)/水上偵察機3機(二次改装後) |
装備 | 射出機1基(4艦とも二次改装後) |
同型艦
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