地下 地下の構造と探査

地下

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/11 01:24 UTC 版)

地下の構造と探査

浅い部分は地表から連続した岩石やそれが風化したなどである。その下は地球中心部に向かって上から地殻マントルの順番で構成されている。人類がこれまでに掘った最も深い穴であるロシアのコラ半島超深度掘削坑は1万mを超えたが、これでも地殻の上部でしかなく、地球の地下構造は地震波の伝わり方などからの推測である。なお日本の探査船「ちきゅう」が、海底からの掘削によりマントル到達を目指している。

地下にある構造物

地下が利用されてきた理由や特徴には以下のようなものがある。

ひとつは、居住空間としてである。地下は季節、昼夜を問わず室温が一定に保たれやすく、風雨をしのげるため、原始人類人類は洞窟に住むことが多かったとみられる。人類が家屋を作る技術を得た後も、屋根や壁からの地下水漏出や湿気が籠る心配が少ない砂漠・乾燥地帯では、内装を整えた洞窟や崖などに掘った横穴を住居としている例がある。中国・黄土高原の窰洞(ヤオトン)などである。また屋根を支える構造物として地面を利用することができる。

他には、外敵からの攻撃を防ぐ手段として有用なことである。その例として、古くはキリスト教徒が隠れ住んだアナトリア半島カッパドキアを挙げることができる。また、近代以降も爆撃に耐えるために、軍事関連施設を地下に構築することがある。最近では、偵察機偵察衛星に発見されにくくするために地下を利用することがある。一般家庭のレベルにおいても、竜巻などの自然災害や核攻撃などの兵器から身を守るための保護室(シェルター)として建造されることがままある。

また、地上の開発の制限された地域において建築物を建設する必要に応えられる点である。具体的には、大都市の限られた面積で空間を確保する、交通を立体交差させ容量を増大させる、景観保護・防音効果などを目的として、地下が積極的に利用される。いずれの構造物も、地上で建てるより費用がかなり高くなる。

代表的な例

最も深い穴

人類が掘った最も深い穴は、ロシアムルマンスク州にあるコラ半島で行った学術調査目的のボーリングによるコラ半島超深度掘削坑であり、深さ12,262m。人が入れる穴では、南アフリカにある金鉱山タウトナ鉱山で深さ3,777m以上である。

日本の三大都市圏における地下利用

日本東京大阪名古屋の三大都市圏においては「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」(2000年5月成立、2001年4月施行)によって、地下室に通常は利用されない深さ(地表40m以下の深さ)または建物の基礎設置に通常は利用されない深さ(基礎杭の支持地盤上面からの深さ10m以降)の、いわゆる大深度地下の利用が図られている。

同法の策定に当たって、高層建築物による地下利用深度が調査されている。2000年6月発表の大深度地下利用技術指針・同解説[1]の参考資料によれば抽出された基礎底深さ25m以深の高層建築物は東京区部と横浜市(調査対象は三大都市圏)の26件で、うち12件の地下には地域熱供給施設が備わっている。杭基礎による地下利用としては24件が抽出され、うち大阪府が14件、そのうち杭先端が最深で地下60m以深となっているものが4件挙げられている。中京圏の事例は名古屋市内の2件である。

大都市は地下空間も過密になっている。そのため、後から作られる構造物は、より深い場所に作られる。また、地下鉄みなとみらい駅横浜市西区)がクイーンズスクエアの地下階に建設されるなど、インフラストラクチャー建築物が一体となるケースが出てきている。

また、地下階数では国立国会図書館が地下8階、都営地下鉄大江戸線六本木駅新宿駅ホームが地下7階、民間の建築物では地下6階の建築物が複数知られている。

東京都心の地下鉄は他の路線や道路トンネル上下水道共同溝などと離隔距離を置きながら上下に交差または並行して走っており駅の深さはホーム面で最大で地下42.3mに達している(六本木駅)。


  1. ^ 大深度地下利用技術指針・同解説
  2. ^ 「地下深く 微生物の大帝国/不毛の地適応、他の星にも存在?」日本経済新聞』朝刊2019年3月3日(サイエンス面)2019年3月7日閲覧。
  3. ^ 「地下ライブ」から生まれた芸人たち アルコ&ピースが見つけた境地”. withnews (2021年5月13日). 2023年8月6日閲覧。
  4. ^ 関東のお笑いの聖地「中野Studio twl」”. まるっと中野. 中野区文化振興・多文化共生推進課 (2021年12月20日). 2023年8月11日閲覧。






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