プロテスタント 教義

プロテスタント

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/26 20:48 UTC 版)

教義

多くの教派で共有できる基本信条として、ニカイア信条ニカイア・コンスタンティノポリス信条カルケドン信条使徒信条などがあげられる。

福音派とエキュメニカル派の相違

プロテスタントは福音派エキュメニカル派に二分しているとされている[19][20][21][22][23]

福音派の聖書観は、十全霊感である。

エキュメニカル派のプロテスタントの聖書観は二つに大別される。

  • 新正統主義は部分霊感である。
  • リベラル派は否定霊感である。

異端はいないとする教派

自由主義神学に立つ教派・グループなど、リベラル派においては、何かを異端とみなすこと自身が不寛容であり、キリスト教に異端はいないとする思想もある。

プロテスタント諸派の異端規定

「異端」を定義する基準は、多くの教派で共有できる、ニカイア信条、ニカイア・コンスタンティノポリス信条、カルケドン信条、使徒信条など基本信条からの逸脱である。

他教派との相違

「プロテスタント」は諸教派の総体であって、プロテスタント全体の代表者や指導者のような存在(カトリック教会における教皇正教会における総主教)や、プロテスタント全体を統括するような教団連合組織はない[注釈 6]。また、各教派の成立自体も初代統一プロテスタントからの分離・離脱から生じ、複数に別れたといったものではなく、最初期のプロテスタントであるアナバプテストルター派カルヴァン派ツヴィングリ派などは互いの影響は受けつつも、それぞれ全く別個に成立したもので、最初から統一されたプロテスタントは存在しなかった。それ故、前出の聖公会などをはじめ、「プロテスタントなのか、そうでないのか」が曖昧で線引きの難しい教派・教団が生まれる結果にもなっている。それぞれの成立については本項の系統の節を参照。

対して、カトリック教会はそれに属するすべての教会が中央であるローマ教皇庁バチカン)に結び付いている。正教会は基本的には国や地域ごとに教団は複数に分かれているものの、同じ教義・奉神礼を共有し、相互にフル・コミュニオン関係を維持する連合体として存在しており、イスタンブールコンスタンディヌーポリ総主教庁を全地総主教庁と呼ぶなど、名誉的にではあるが全正教会の筆頭・総本山的扱いとしている[注釈 7]。そういった意味では、カトリックや正教会と同じような意味・用法での「プロテスタント」という名の教派は存在しないのである。

「プロテスタント」の語は66巻の聖書を共有するキリスト教について使われており、同じ正典を用いる人々の分派を教派(ディノミネーション)とし、違う正典[注釈 8]を用いる分派は宗派[注釈 9](セクト)として区別されることがある[24]

プロテスタントは同じ教派でも宗教法人としての教団は更に分かれていることも多い。例えば、同じルーテル教会としての教派と自己規定していても、「○○ルーテル教団」「△△ルーテル〜教会」「○○ルター派××教団」といった法人が分かれているケースもあり、さらに法人が別なだけでなく交流すらないケースもある。これは移民や宣教によって成立母体が異なる場合や、教義の解釈によって分裂が起こることに起因する。逆のパターンとしては日本基督教団などのように、異なる教派同士が一つの超教派教団[注釈 10] に所属している場合もある。

また、ルーテル教会には修道院制度が僅かながら存在するが、他のプロテスタント諸派には修道院制度が存在しないなど、プロテスタント諸派の間には小さくない差異がある。


  1. ^ ただしカトリック教会自身は「旧教」を自称したことはなく、カトリック教会ではまったく使われない呼称である。
  2. ^ こうした分派発足のいきさつがあるため、ナザレのイエスの説いた普遍的な教条の表明と、抗争や戦争の指針とを共存しうる教派も生まれた。
  3. ^ 神の前で義とされるのは行為祭礼ではなく「信仰のみ」、聖書は神の言葉であり、信仰生活は聖書の啓示をよりどころとする「聖書のみ」、洗礼を受けた信者はすべて祭司であるとする「万人祭司」がある。(岩波キリスト教辞典P994 プロテスタンティズムの項目 川中子義勝)
  4. ^ のち、1648年のヴェストファーレン条約及びこれに伴うミュンスター条約英語版により、南ネーデルラント以外の北部7州はネーデルラント連邦共和国として成立し、またスイスも独立した。
  5. ^ 「ルーテル」はルターの舞台ドイツ語読み
  6. ^ 各教派、教団ごとの代表者、代表理事などの経営・運営上のトップは殆どの場合存在する
  7. ^ ローマ教皇庁のような、全教会政治の最高権限を有しているわけではない。
  8. ^ この場合の違いは、旧約聖書に関して、カトリック側が七十人訳聖書に準拠したラテン語訳聖書に依るのに対して、プロテスタント側がユダヤ戦争後に正典化されたヘブライ語聖書を底本とするだけの違いで、前者に含まれる一部の文書が正典化されたヘブライ語聖書から外された第二正典を旧約聖書に含むか含まないかの違いである。
  9. ^ ただし、日本語宗派の語は元来仏教用語であって、キリスト教系で使用する機会は滅多にない。
  10. ^ 日本基督教団は日本の政治的事情により結成された超教派ではあるが、戦後の再編で福音派とされる系統の教会は所属していないメインライン・プロテスタントの教団であると認識されている。
  11. ^ これ以降ピューリタンと先住民は全面的に対立するようになる。岩波キリスト教辞典P1035
  1. ^ 「キリスト教」『宗教学辞典』東京大学出版会、1973年、146頁。
  2. ^ a b 「キリスト教」『大辞泉』増補・新装版、小学館、1998年、第一版、714頁。「キリスト教」デジタル大辞泉、小学館、コトバンク
  3. ^ 「御父」(おんちち〈新共同訳聖書ヨハネによる福音書』3:35〉)。
  4. ^ 「御子」(みこ〈新共同訳聖書『ヨハネによる福音書』3:35〉)、「子なる神」。
  5. ^ protestant (Dictionary.com)
  6. ^ 岩波キリスト教辞典P90 異端の項目 木塚隆志
  7. ^ 井門富二夫『カルトの諸相 キリスト教の場合』岩波書店1997年
  8. ^ 『異端の歴史』教文館1997年
  9. ^ J.G.メルトン (1992). Encyclopedic Handbook of Cults in America. Garland 
  10. ^ 宇田進『現代福音主義神学』いのちのことば社
  11. ^ マクグラス『キリスト教の将来』教文館
  12. ^ 古屋安雄『激動するアメリカ教会』ヨルダン社
  13. ^ 詳しくはキリスト教#信徒数を参照
  14. ^ a b WVS Database”. www.worldvaluessurvey.org. 2022年3月19日閲覧。
  15. ^ WVS Database”. www.worldvaluessurvey.org. 2022年3月19日閲覧。
  16. ^ WVS Database” (英語). www.worldvaluessurvey.org. 2022年3月19日閲覧。
  17. ^ [WVS wave 7 (2017-2020): Haerpfer, C., Inglehart, R., Moreno, A., Welzel, C., Kizilova, K., Diez-Medrano J., M. Lagos, P. Norris, E. Ponarin & B. Puranen et al. (eds.). 2020. World Values Survey: Round Seven – Country-Pooled Datafile. Madrid, Spain & Vienna, Austria: JD Systems Institute & WVSA Secretariat.] doi:10.14281/18241.1
  18. ^ a b ピュー研究所『世界のキリスト教徒』(英語版)。2011年。
  19. ^ 宇田進『福音主義キリスト教と福音派』
  20. ^ 尾山令仁『クリスチャンの和解と一致』地引網出版
  21. ^ 共立基督教研究所『宣教ハンドブック』
  22. ^ 日本福音同盟『日本の福音派』
  23. ^ ピーター・バイヤーハウス 『宣教のめざす道-エキュメニカルと福音派の間-』いのちのことば社
  24. ^ 尾山令仁『聖書の教理』羊群社
  25. ^ 渡辺信夫『アジア伝道史』いのちのことば社
  26. ^ 日本伝道会議『日本開国とプロテスタント宣教150年』2009年
  27. ^ トマス・ブラウン『スコットランドにおける教会と国家』すぐ書房
  28. ^ ケアンズ『基督教全史』聖書図書刊行会
  29. ^ カナダ合同教会に歓迎!
  30. ^ 合同教会について (英語)
  31. ^ 日本聖公会大阪教区
  32. ^ 折原浩『ヴェーバー学のすすめ』未来社、2003年
  33. ^ POSITIVE PEACE REPORT Analysing the factors that build, predict and sustain peace.”. 2022年1月31日閲覧。
  34. ^ ルイ・デュモン (1993)





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「プロテスタント」の関連用語

プロテスタントのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



プロテスタントのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのプロテスタント (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS