独立行政法人
どくりつ‐ぎょうせいほうじん〔‐ギヤウセイハフジン〕【独立行政法人】
読み方:どくりつぎょうせいほうじん
政府の行政活動から一定の事務・事業を分離し、担当する機関に独立の法人格を与えて、実務の効率化等を図る制度。国民生活・社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務・事業ではあるが、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体に委ねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの、または独占的に行うことが必要であるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的として設立される。業務の特性に応じて、中期目標管理法人・国立研究開発法人・行政執行法人に分類される。独法。
[補説] 独立行政法人の一覧(令和4年4月1日現在。*印は行政執行法人)
内閣府所管
国立公文書館*
北方領土問題対策協会
日本医療研究開発機構
消費者庁所管
国民生活センター
総務省所管
情報通信研究機構
統計センター*
郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構
外務省所管
国際協力機構
国際交流基金
財務省所管
酒類総合研究所
造幣局*
印刷局*
文部科学省所管
国立特別支援教育総合研究所
大学入試センター
国立青少年教育振興機構
国立女性教育会館
国立科学博物館
物質・材料研究機構
防災科学技術研究所
量子科学技術研究開発機構
国立美術館
国立文化財機構
教職員支援機構
科学技術振興機構
日本学術振興会
理化学研究所
宇宙航空研究開発機構
日本スポーツ振興センター
日本芸術文化振興会
日本学生支援機構
海洋研究開発機構
国立高等専門学校機構
大学改革支援・学位授与機構
日本原子力研究開発機構
厚生労働省所管
勤労者退職金共済機構
高齢・障害・求職者雇用支援機構
福祉医療機構
国立重度知的障害者総合施設のぞみの園
労働政策研究・研修機構
労働者健康安全機構
国立病院機構
医薬品医療機器総合機構
医薬基盤・健康・栄養研究所
地域医療機能推進機構
年金積立金管理運用独立行政法人
国立がん研究センター
国立循環器病研究センター
国立精神・神経医療研究センター
国立国際医療研究センター
国立成育医療研究センター
国立長寿医療研究センター
農林水産省所管
農林水産消費安全技術センター*
家畜改良センター
農業・食品産業技術総合研究機構
国際農林水産業研究センター
森林研究・整備機構
水産研究・教育機構
農畜産業振興機構
農業者年金基金
農林漁業信用基金
経済産業省所管
経済産業研究所
工業所有権情報・研修館
産業技術総合研究所
製品評価技術基盤機構*
新エネルギー・産業技術総合開発機構
日本貿易振興機構
情報処理推進機構
石油天然ガス・金属鉱物資源機構
中小企業基盤整備機構
国土交通省所管
土木研究所
建築研究所
海上・港湾・航空技術研究所
海技教育機構
航空大学校
自動車技術総合機構
鉄道建設・運輸施設整備支援機構
国際観光振興機構
水資源機構
自動車事故対策機構
空港周辺整備機構
都市再生機構
奄美群島振興開発基金
日本高速道路保有・債務返済機構
住宅金融支援機構
環境省所管
国立環境研究所
環境再生保全機構
防衛省所管
駐留軍等労働者労務管理機構*
独立行政法人
独立行政法人
独立行政法人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/20 15:27 UTC 版)
独立行政法人(どくりつぎょうせいほうじん)は独立行政法人通則法に基づいて、国民生活や社会・経済安定などの公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務・事業のうち、国が自ら主体となって直接実施する必要はないが民間に委託することは不適切であるものを効率的かつ効果的に実施させることを目的として設立される法人。 独立行政法人には、中期目標管理法人、国立研究開発法人および行政執行法人の三つの類型があり、国立大学法人も広義の独立行政法人とみなされる。
概説
日本の独立行政法人通則法第2条第1項には、「国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの又は一の主体に独占して行わせることが必要であるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的として、この法律及び個別法の定めるところにより設立される法人」と規定されている。 中央省庁から独立した法人組織であって、かつ行政の一端を担い公共の見地から事務や国家の事業を実施し、国民の生活の安定と社会および経済の健全な発展に役立つもの[1]。省庁から独立していると言っても、主務官庁が独立行政法人の中長期計画策定や業務運営チェックに携わる。
1990年代後半の橋本龍太郎内閣の行政改革の一環で設立された。イギリスのサッチャリズムで考案されたエグゼクティブ・エージェンシーが手本となった[2]。
特殊法人との違い
1990年代後半の橋本龍太郎内閣における行政改革の一環として中央省庁から現業・サービス部門を切り離す目的でこの制度を規定したが、2001年(平成13年)頃からの行政改革では主に特殊法人をこの形態に改組する例が多くなってきている。
特殊法人と異なる点は、資金調達に国の保証が得られないこと(民間企業と同じ)、法人所得税や固定資産税など公租公課の納税義務が生じることなどであるが、全ての独立行政法人が納税しているわけでもない。
行政監視委員会調査室によれば、制度の設置が開始された1998年度から2004年度までの6年間に設立された108法人について、2004年度の行政サービス実施コスト(法人の業務運営に関して納税者たる国民の負担に帰せられるコスト)の合計は2兆950億円であった[3]。
== 関係機関 ==

- 独立行政法人評価制度委員会(通則法12条)
- 総務省に置かれ、主務大臣が行う独立行政法人の目標策定や業績評価をチェックする。
- 独立行政法人の組織、業務の見直しに関して意見を述べる。
- 総務省行政管理局(総務省組織令5条)
- 独法制度の企画立案や、独立行政法人評価制度委員会の事務局機能を担う。
分類
独立行政法人は、「中期目標管理法人」、「国立研究開発法人」、「行政執行法人」の3つに分類される。
中期目標管理法人
中期目標管理法人は、「公共上の事務等のうち、その特性に照らし、一定の自主性及び自律性を発揮しつつ、中期的な視点に立って執行することが求められるものを国が中期的な期間について定める業務運営に関する目標を達成するための計画に基づき行うことにより、国民の需要に的確に対応した多様で良質なサービスの提供を通じた公共の利益の増進を推進すること」(法第2条第2項)を目的としている。
中期目標管理法人については、主務大臣が3 - 5年ごとに中期目標を策定し(法第29条)、それに基づく中期計画を法人が作成し主務大臣の認可を受け(法第30条)、中期計画に基づく年度計画を定めて主務大臣に届け出る(法第31条)こととされている。
国立研究開発法人
国立研究開発法人は、「公共上の事務等のうち、その特性に照らし、一定の自主性及び自律性を発揮しつつ、中長期的な視点に立って執行することが求められる科学技術に関する試験、研究又は開発に係るものを主要な業務として国が中長期的な期間について定める業務運営に関する目標を達成するための計画に基づき行うことにより、我が国における科学技術の水準の向上を通じた国民経済の健全な発展その他の公益に資するため研究開発の最大限の成果を確保すること」(法第2条第3項)を目的としている。
国立研究開発法人については、主務大臣が5 - 7年ごとに中長期目標を策定し(法第35条の4)、それに基づく中長期計画を法人が作成し主務大臣の認可を受け(法第35条の5)、中長期計画に基づく年度計画を定めて主務大臣に届け出る(法第35条の8)こととされている。
なお、国立研究開発法人の名称中には、「独立行政法人」ではなく「国立研究開発法人」の文字を使用することとされている(法第4条第2項)。
行政執行法人
行政執行法人は、「公共上の事務等のうち、その特性に照らし、国の行政事務と密接に関連して行われる国の指示その他の国の相当な関与の下に確実に執行することが求められるものを国が事業年度ごとに定める業務運営に関する目標を達成するための計画に基づき行うことにより、その公共上の事務等を正確かつ確実に執行すること」(法第2条第4項)を目的としている。
行政執行法人については、主務大臣が年度ごとに年度目標を策定し(法第35条の9)、それに基づく事業計画を法人が作成し主務大臣の認可を受ける(法第35条の10)こととされている。
なお、行政執行法人の役職員は、国家公務員とされている(法第51条)。
2020年(令和2年)4月1日現在、行政執行法人は次の7法人である[4]。
- 国立公文書館 - 内閣府所管
- 統計センター - 総務省所管
- 国立印刷局 - 財務省所管
- 造幣局 - 財務省所管
- 農林水産消費安全技術センター - 農林水産省所管
- 製品評価技術基盤機構 - 経済産業省所管
- 駐留軍等労働者労務管理機構 - 防衛省所管
事業仕分け
- 詳細は事業仕分け、行政刷新会議および公益法人を参照のこと。
- 2010年(平成22年)2月26日 - 鳩山由紀夫内閣の枝野幸男行政刷新担当大臣は独立行政法人と公益法人に関してそれぞれの事業内容を精査する事業仕分けを2010年(平成22年)4月から行い国からの支出が適正であるかを議論すると記者会見で述べた[5][6]。
略称
そのまま表記すると6文字となるため、短縮する必要がある場合は「独法」、「独行法人」等と表記する。また、各独立行政法人を短縮表記する場合には「独法」、「独行法」のように表記することが多い。株式会社の(株)や財団法人の(財)に倣って、「(独)」という表記も用いられる。口語では「独法(どっぽう)」などということがある。銀行の振込先や電報・テレックスなどでのカナ表記は「ドク)」(「ド」だと合同会社になる)となる。
2015年(平成27年)3月までの旧・制度
2015年(平成27年)4月1日に「独立行政法人通則法の一部を改正する法律」が施行され、2001年(平成13年)4月の創設以来の制度が大きく変更された。以下に、2015年(平成27年)3月までの旧・制度について記載する。
分類
独立行政法人は「特定独立行政法人」と「特定独立行政法人以外の独立行政法人(非特定独法)」の2つに分類されていた。
特定独立行政法人
特定独立行政法人(国家公務員型独法ともいう)は、「業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められるもの」(法第2条第2項)であり、当該独立行政法人の役職員は、国家公務員の身分が付与されていた。なお、新・制度の導入により、国立病院機構を除いた7法人が行政執行法人へと引き継がれた[7][8]。
2015年(平成27年)当時、特定独立行政法人は次の8法人であった。
- 国立公文書館 - 内閣府所管
- 統計センター - 総務省所管
- 国立印刷局 - 財務省所管
- 造幣局 - 財務省所管
- 国立病院機構 - 厚生労働省所管
- 農林水産消費安全技術センター - 農林水産省所管
- 製品評価技術基盤機構(NITE) - 経済産業省所管
- 駐留軍等労働者労務管理機構 - 防衛省所管
非特定独立行政法人
非特定独法(非公務員型独法ともいう)については、役員及び職員の身分の扱いが異なる。雇用保険が掛かるなど民間と同じ扱いになり、国家公務員が出向する際には退職扱いとなった。ただし、元の府省への復帰が前提の出向の場合には、国家公務員退職手当法第7条の2第4項本文に基づき退職手当は支給されず、復帰時点で出向期間もその後の退職手当の計算で通算された。
目標・評価の仕組み
全ての独立行政法人について、主務大臣が、3 - 5年ごとに中期目標を策定することが義務付けられていた。
脚注
出典
- ^ 独立行政法人通則法、第一条(要約)
- ^ 森田朗、「行政改革」. 法社会学 2001年(平成13年) 2001巻 55号 p.71 - 85,248, doi:10.11387/jsl1951.2001.55_71
- ^ 西澤利夫『独立行政法人制度の現状と課題~制度発足から6年を振り返る~ (PDF, 50.8 KB) 』、2007年(平成19年)4月20日。行政監視委員会調査室、参議院。2020年(令和2年)10月12日閲覧。
- ^ “独立行政法人一覧(令和2年4月1日現在)” (PDF). 総務省. 2020年10月12日閲覧。(サイズ:200KB)
- ^ “大臣等記者会見、枝野大臣記者会見要旨”. 内閣府・行政刷新会議 (2010年2月26日). 2010年3月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月12日閲覧。
- ^ 読売新聞、2010年(平成22年)2月26日夕刊3版1面
- ^ デジタル大辞泉. “特定独立行政法人とは”. コトバンク. 2022年8月1日閲覧。
- ^ 日本大百科全書(ニッポニカ),デジタル大辞泉. “行政執行法人とは”. コトバンク. 2022年8月1日閲覧。
関連項目
外部リンク
独立行政法人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 09:13 UTC 版)
「障害者雇用水増し問題」の記事における「独立行政法人」の解説
宇宙航空研究開発機構、国立精神・神経医療研究センター、産業技術総合研究所、日本原子力研究開発機構、国立病院機構、造幣局、地域医療機能推進機構、日本学生支援機構、東北大学、茨城大学、筑波大学、群馬大学、東京工業大学、新潟大学、金沢大学、信州大学、鳥取大学、高知大学、鹿屋体育大学、高エネルギー加速器研究機構、日本司法支援センターの21独立行政法人。 独立行政法人及び地方独立行政法人の障害者実雇用は実雇用率2.40%から2.38%、雇用障害者数10,276.5人から10,224.0人と変化した。
※この「独立行政法人」の解説は、「障害者雇用水増し問題」の解説の一部です。
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