個別法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 03:40 UTC 版)
個別法(Specific identification method)では、棚卸資産の原価を個別に評価する。販売目的で購入した商品が期末に売れ残った場合に、あらかじめ記録しておいた1つ1つ個別商品の購入単価によって売上原価(Cost of Goods Sold)と期末棚卸資産(Ending Inventory)を評価する。いわば単品管理である。 欠点として、計算が過度に煩雑になるため高価な商品が少数ある場合にしか事実上使用できないことがあげられる。加えて、個別法は利益操作が簡単に行なえてしまう。利益操作とは、会社が意図的に利益額を変動させることである。例えば、実際より仕入単価の小さな商品を売ったことにすれば、売上原価が小さくなり利益を大きくすることができる。逆に、実際より仕入単価の大きな商品を売ったことにすれば、売上原価が大きくなり利益を小さくすることができる。こういった操作により各期の納税額を意図的に変更して不正に税金を逃れる可能性があり、それを外部から見抜くには困難または不可能な場合が予想されるからである。以上2つの欠点がある。 計算例 期首棚卸資産(Beginning Inventory)が個数200個で5,000,000円分あった。当期仕入(Purchases)は6/20に20,000円の物を200個、10/18に29,000円の物を250個を購入しており、合計で11,250,000円分であった。(20,000×200+29,000×250=11,250,000)売上は400個であり、販売されたそれらの購入時の記録を調べれば、仕入れたのは6/20に20,000円の物が200個、10/18に29,000円の物が200個であった。 売上原価 20,000×200+29,000×200=9,800,000 期末棚卸資産 =期首棚卸資産+仕入れ-売上原価 =5,000,000+11,250,000-9,800,000 =6,450,000 数量期首棚卸資産 200 400 売上原価 仕入 450 250 期末棚卸資産 金額期首棚卸資産 5,000 9,800 売上原価 仕入 11,250 6,450 期末棚卸資産 単位:個 単位:1000円
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