貴族・騎士団・宮廷
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「デルフィニア戦記」の記事における「貴族・騎士団・宮廷」の解説
イヴン(イヴ) 声 - 子安武人→鳥海浩輔 ウォルのスーシャ時代の幼なじみで、タウ山脈の自由民。後にデルフィニア国王親衛隊隊長兼、独立騎兵隊長となる。シェラが少年であることを知る1人。浅黒い肌と粉砂糖をまぶしたような輝きの金髪が特徴。馬が合わないバルロとはよく口げんかをし、“麦わら頭”と呼ばれているが、ルウに“蜂蜜色のお兄さん”と呼ばれる。スーシャの森に住むゲオルグの息子として育ってきたが、実はジルの息子。母親が南方の生まれだったため、顔立ちと肌の色は母譲りらしい。花街の女達の受けも良い色男である。即位以前からウォルを知っているため、バルロやナシアスなど内戦時からの仲間の前では、国王であるウォルを「あの馬鹿」呼ばわりしたりもする。 シャーミアンがシェラの本性を知ってしまった際に止めようとして斬られ、死に掛けるほどの重傷を負うが、リィの「奥の手」に命と左腕を救われる。その後シャーミアンが『押しかけ女房』としてプロポーズした際に、ウォルの陰謀により彼女と婚約する。当初、貴族の名を嫌う彼としてはそれは不本意なことでしかなかったが、スケニアの先住民族との戦いの中で人質として敵陣に赴くと言い張ったシャーミアンに求婚し、結婚。リィが元の世界に帰った後に長男エミールを授かる。『紅蓮の夢』において次男サイラス、長女イヴリンも誕生している。 バルロ(ノラ・バルロ・デル・サヴォア) 声 - 安元洋貴 2歳年下のウォルの従弟で、王座の空白時代には次期国王の最有力候補と見なされていたが、父を通して国王や王子たちを見ているうちに独特の価値観を持っていたため、王冠を固辞し続けていた頑固者でかなりの皮肉屋。突如現れ、王位を継いだウォルを「従兄上(あにうえ)」と呼んで真っ先に忠誠を誓う(ウォルからは「従弟どの」と呼ばれる)。そのため、クーデター中はペールゼン一味によって自分の屋敷に軟禁されていた。 ウォル同様、堂々たる体格の持ち主で、国内随一の力をもつサヴォア公爵にしてティレドン騎士団団長。15歳という異例の若さで叙勲された少年期から騎士団で武勇を見せ、その名は隣国にも知れ渡り、騎士団の用兵は炎に喩えられる(ちなみに、団旗には鷲が描かれている)。 非常に派手な女性関係をもっているが、その火を消すことも上手く後腐れは残さない。中盤でロザモンドとの間に男女の双子を授かる(出産後に挙式)。 ファーストネームであるノラは、サヴォア家の慣習に則って付けられた女性の名前であるため、親しい相手からは常にバルロと呼ばれている。 王冠を望める血筋と立場でありながら固辞し続け、それでいて王冠を使う者の様子を窺っているところから、ルウから“狸寝入りの虎さん”と呼ばれる。 リィが元の世界に帰った後に、過去に性の手ほどきを受けたレヴィン男爵夫人との間にできた庶子のブライスが、母親に連れられてバルロの前に現れる。ナシアスに彼そっくりな息子が生まれてからは、自分がかつてナシアスに鍛えられたように彼を鍛えてやりたくてしょうがないらしい。 ナシアス・ジャンペール 声 - 西田雅一 ラモナ騎士団団長であり、バルロの親友でもあると同時に剣の師匠でもある。バルロやウォルより若干年長で、ボーンズ・ビィという土地の地主一家の出身(父親は一応、卿の称号を許されている)。リィも腕前を認める、"美技"とまで謳われる鮮やかな剣術を誇る。親友のバルロとは異なり、とある事情から女性には奥手である。穏やかな物腰で騙されがちだが、バルロも唸る鋼鉄の意志と守るべき目的の為ならば騎士の面子をも厭わない覚悟を持つ。 叙勲されたのは18歳の時。その前年に出場した騎士団の親善試合で当時12歳のバルロと出会い、ある理由から彼に気に入られて個人的な剣の指導を引き受けることになった。 そのため、コーラル一の郭にあるサヴォア公爵の屋敷に度々出入りすることとなり、サヴォア家の執事・カーサとも面識を持つ。また、バルロの母・アエラに興味をもたれ、一夜の相手にされかかるも、それを察したバルロによって何も知らないまま阻止されたことがある(後日、レヴィン男爵夫人から事実を知らされている)。 肩にかかる金髪と薄い水色の瞳という端麗な容姿の持ち主で、ルウからは“戦うお花さん”と言われる(ちなみに、ラモナ騎士団の団旗は白い百合が描かれている)。直感の鋭いところがあるアランナという妹(フリーセアの商家に嫁ぎ2児の母になっている)がいて、彼女には頭が上がらない(他にも弟妹がいる)。 中盤でラティーナと恋仲になり、紆余曲折の末に結婚した。リィが元の世界に帰った後に、長男エルウィンを授かる。『紅蓮の夢』ではその後、長女ジェラルディンも誕生している。 ガレンス 声 - 藤沼建人 ラモナ騎士団の副団長で巨漢。リィと出会った当初はリィを軽く見ていたが、リィとの立ち合いに敗れた後は、リィの信奉者になる。 大柄で頑丈、かつ騎士団随一の怪力の持ち主で、農民の生まれであるため、元々は先代団長ロビンスの従者の一人だったが、槍一本で多数の敵を蹴散らすことができるほどの力を持っていたことで、20代前半で異例の叙勲を受け、騎士となった(叙勲時期はナシアスより後)。「自分は頭になって判断を下すより、誰かの腕となって行動する方が性に合う」と言って、冷静なナシアスの判断を重視する傾向にある。また、戦場ではナシアスを狙う攻撃を自らの体で受けて庇うことも多い。 ドラ将軍(エミール・ドラ) 声 - 高岡瓶々→白熊寛嗣 正式には伯爵の位を持つが、その実績と自らの性質より将軍と称されるロアの領主。ウォルの義父フェルナン伯爵の親友であり、その歴戦の経歴は前国王であるドゥルーワでさえ目線を同じくして話したと言われるほどである。デルフィニア一の頑固者で、ウォルやリィはその振る舞いからよく雷を落とされる。一人娘のシャーミアンには少々甘い様子。 イヴンのことは、最初は「山賊風情の男」だと思っていたが、中盤で見直し、娘と結婚して伯爵家を継ぐことを望む。リィが元の世界に帰った後に、初孫として男の子を授かる。 『紅蓮の夢』では当初原因不明の病により床に付いていたが、リィが激痛を鎮めたことで回復し、戦に参加する。 アヌア侯爵 デルフィニア近衛兵団司令官。ペールゼン侯爵によるクーデターと、その後の経緯の中で一時的に大隊長だったサングに司令官の座を奪われたが、司令官としての人望は非常に厚く、その後ヘンドリック伯爵が就いたのちに再び司令官となる。 『紅蓮の夢』では病に臥せっていたが、リィの「おまじない」を受けたことで、ドラ将軍ほどの急激な速度ではないものの回復に向かっている。 ヘンドリック伯爵 デルフィニアの有力貴族。槍を取らせての騎馬戦は天下一品の腕前で、内乱当時で既に齢50を越えているにもかかわらずその名声は衰えを知らない。騎馬戦ならリィとも張り合えるほど。アヌア侯爵とは親交が深く、一時的に近衛兵団の司令官も務める。『紅蓮の夢』では既に戦死しており、爵位は息子に受け継がれた。 ルカナン 近衛兵団第一軍第二連隊大隊長だったが、ペールゼンの内乱後は連隊長に出世した。若い頃に北の塔に勤務したことがあり、それが原因でリィとシャーミアンと共に北の塔に囚われたフェルナン伯爵の救出に参加することとなった。それなりに強いらしい。 ブルクス ドゥルーワ先王の代からその地位にあるデルフィニアの外交官。風采はぱっとしないが、デルフィニア屈指の名外交官である。ペールゼンのクーデターで侍従長に追いやられるが、内乱終息後宰相となる。宰相としての手腕もさることながら、リィやジルのような正体の知れない人物でも、その人格を認めて接する好人物である。かつては旅人などを装って近隣国へ赴き、直接交渉したこともあるということで、リィがタンガに囚われた際は、同盟を促すため自らサンセベリアに赴いた。 めったに態度を崩さないが、リィが「真の魔法街」の出入りを自由にできるようになったと聞かされたとき、腰を抜かした。 カリン デルフィニア王室の女官長。ブルクスとともにドゥルーワ先王の時代から奥の間を仕切ってきた。ある意味ではウォルよりも城内での発言力は強い。ウォル誕生時は王女付きの女官で、ある事情から里下がりしていた。ウォルの実母・ポーラとは友人関係にあり、たびたび相談に乗っていた。かなり気丈な婦人である。料理の腕もかなりの物。 ラティーナ・ペス(エンドーヴァー子爵夫人。後にジャンペール姓に変わる) 声 - 百々麻子 ウォルの元愛妾。ウォルがスーシャにいた頃に知り合い、婚約していたこともあったが、ウォルの女心の鈍さもあって破綻となる。今は二人とも“昔の事”と割り切っており、親しい友人同士でもある。気取ったところがなく、植物を育てるのが得意で、自分で育てた葡萄で葡萄酒を作ったりもする。 ある事情から未亡人として王宮を訪れ、愛妾となるが、事件終息後愛妾を辞す。2度夫に先立たれている(1度は脳炎で、2度目は馬車にはねられた時の怪我が元で)。それを指して「死神憑き」と自嘲したこともあるが、後にナシアスと結婚し、彼の子どもを産む。頭がよく、本質をきちんと見抜く目は年齢を重ねても健在。 ロザモンド・シリル・ベルミンスター "西のサヴォア、東のベルミンスター"と並び称される、サヴォア公爵家と並ぶ国内屈指の大貴族であるベルミンスター家公爵(家庭の事情により、甥が成人するまでの間、一時的に爵位を預かるという誓約をしている)。ミドルネームのシリルは英雄の名前であり、父親である先々代の公爵が、第一子として生まれた彼女を当初後継者として見ていたために(後に異母弟が生まれ、爵位はその弟が継いだ。甥はその異母弟の子供である)、武術も叩き込まれて育った男装の麗人であり、女性からの人気をバルロと二分している。中盤ではバルロの子供を妊娠していることが判明。男女の双子を出産した後、バルロと結婚する。 双子の名前は男の子がユーリー・ウルディス、女の子がセーラ・グウィネスという。長男ユーリーはサヴォア公爵家の跡継ぎとして扱われ、長女セーラは甥である次期ベルミンスター公爵の婚約者となる。なお、ウルディスはサヴォア家の慣習に則って付けられた美姫の名前であり、グウィネスは自身を先例としてロザモンドが主張したため付けられた英雄の名前である。 リュミエント卿 ロザモンドの甥にして次期ベルミンスター公爵の少年。『紅蓮の夢』では襲爵して初陣に出ることを願っていたが、彼に一門をまとめる力がまだないというロザモンドの判断により見送られている。なお、彼が襲爵を望んだのは、ロザモンドをベルミンスター家から解放することで、双子が両親を失う可能性を潰せると判断していたためである。 シャーミアン・ドラ 声 - 遠藤綾→伊藤静 ドラ伯爵家の一人娘。はしばみ色の瞳やこぼれるような笑顔の眩しい麗しい少女。動きやすさから男装していることが多い。外見に似合わず、幼い頃より父であるドラ将軍に稽古をつけられており、その辺の一般兵などよりも腕前は勝るほど。ロアの者らしく乗馬にも優れ、小隊を率いて騎士として戦場にも赴き、時としてかなりの無茶もする。 後にイヴンと恋仲となるも相手が貴族になる事を嫌う為、「爵位は私が継ぎます」と宣言し紆余曲折を経て結婚。将来ドラ伯爵となる予定で、リィが元の世界に帰った後に息子を授かる。『紅蓮の夢』では当初病で動けぬ父の代わりにロア衆を率いて参戦していた。 キャリガン・ダルシニ ポーラ・ダルシニの弟で、ティレドン騎士団の騎士見習い。団長であるバルロを尊敬している。直情的な性格で、いつも何かに飛び込んでは良くも悪くも失敗する。バルロの庶子であり後輩に当たるブレイスとは、境遇が似ていることもあり何かとよく面倒をみる。リィが元の世界に帰った後無事に叙勲され、姉夫婦に子供が生まれた後は「キャリー叔父さま」と懐かれている。 アエラ姫(アエラ・ルシンダ・デル・サヴォア) ドゥルーワ王の妹にして、バルロの母である公爵夫人。王妹として人々にかしずかれていた頃の権勢を忘れられず、「庶子の国王は認められない」「自分の子の方が王位にふさわしい」と、度々ウォルからの王位簒奪を目論み、顔をあわせる度に彼を慕うバルロを罵る。そのため、バルロとはほぼ絶縁状態にある。中盤でパラストとの密約が発覚したため、密かに終身蟄居を命じられ、サヴォア家の領地にある屋敷に事実上幽閉されることになった。その後もウォルに対し恨みを持ったままで、ある日突然倒れて帰らぬ人となった。その時の状況を聞いたリィは「頭の血管でも切れたかな」と推測している。
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