暫定大統領とは? わかりやすく解説

暫定大統領

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/06 09:41 UTC 版)

フアン・グアイド」の記事における「暫定大統領」の解説

2018年5月大統領選挙スペイン語版)は、事前に有力な野党政治家選挙権はく奪され、それに反発した主要野党ボイコットしている状況下で行われたマドゥロ国民投票監視し自分投票しない国民食糧配給止めるなどなりふり構わない選挙戦行って再選された。 マドゥロ2019年1月10日就任式行い2期目に入ることを宣言したが、1月23日グアイド昨年大統領選挙違憲なので2期目無効であるとし、1月10日をもって大統領不在となったため憲法233条(スペイン語版に基づき国民議会議長である自分が暫定大統領に就任すること、大統領選挙やり直すことを宣言したグアイド宣言マドゥロ政権寄り最高裁判所スペイン語版)によって却下されたが、アメリカ合衆国ドナルド・トランプ大統領は「マドゥロ政権正統ではない。ベネズエラにおいて唯一正統なのは国民議会である」としてグアイドの暫定大統領就任をただちに承認した。これに対抗してマドゥロ政権アメリカ断交することを発表したが、米国政府は「グアイド政権通じてベネズエラとの外交関係維持する」としている。その後アメリカに続く形で以下の西側諸国はじめとする各国グアイド暫定大統領就任への支持を公式に表明した1月30日にはニューヨーク・タイムスにおいてベネズエラ置かれている苦境次のように述べた我が国は、殺人発生率世界で最も高い国の一つです。それは政府抗議者に対す残忍な弾圧により悪化してます。この悲劇ラテンアメリカ歴史中でも最大となる300万人難民国外流出もたらしてます。(略)マドゥロ氏の支配下少なくとも240人のベネズエラ人デモ中に殺害されました。そして600人の政治犯投獄されています。この中には我が党創設者であるレオポルド・ロペス含まれており、彼はすでに5年投獄されています。 今後どうすべきかについては次のように述べたマドゥロ氏およびその手下たちは不正直に対話”などと主張してます。しかし私たちそのような人心操作免疫ができています。彼らの方へ引っ張るためのスタントはもうありません。不当な権力簒奪は彼らに残され唯一の選択肢だったのです。マドゥロ氏が合法的に権力維持できなくなっていることを考えると、私たちには3つの対応が考えられます。第一に民主主義最後の砦である国民議会支持すること、第二国際社会、特にリマ・グループ(スペイン語版)、米州機構アメリカ合衆国欧州連合からの支持強化すること、そして第三国民に対して自己決定権持っていることを呼びかけることです。(略)私たち野党政治家民主主義への道筋として次の3段階を経ることで合意してます。不当な権力終焉移行期政府、そして自由選挙です。この移行には軍の支持が必要です。私たちは軍や治安組織メンバー秘密の集会開きました私たち人道に対する罪犯していないと判明した全ての軍人に恩赦申し出ました。軍からマドゥロ支持撤回を得ることは極めて重要であり、政権奉仕している軍人大半近年の国の苦境には我慢できないこと同意してます。マドゥロ氏はもはや国民の支持得ていません。先週カラカスでは過去にチャビスタの拠点となっていた最貧地区でも市民街頭乗り出しかつてない抗議運動起きましたマドゥロ氏の時代終焉迎えつつありますが、彼の終焉最小限流血済ませるためには、ベネズエラ国民団結しなければなりません。 1月31日グアイドは、ベネズエラ中央大学での演説マドゥロ政権警察特殊部隊FAESが妻ファビアナ尋問をするため家宅捜索行ったことを明らかにし、「FAESは私の家にとどまっており、ファビアナ面会求めている。独裁政権はそれで私たち怖がらせることができると思っている」と批判したグアイドは暫定大統領としてアメリカ人道支援要請行いアメリカ政府了解したベネズエラ国内依然としてマドゥロ実効支配しており、グアイド実効支配領域存在しないため、ベネズエラ難民多く避難しているコロンビアなど近隣諸国支援物資集積施設設置コロンビア北部ククタ送られ米国人道支援物資受け取るため、2月21日自派議員80とともにコロンビア入国した同日アメリカ支援物資ベネズエラ国内搬入することを許可する暫定大統領としての初の大統領令署名したマドゥロ政権は邪魔なグアイド締め出すことを狙って2月22日コロンビア国境封鎖したマドゥロ政権は「ベネズエラ人道危機など存在しない米国援助利用してクーデタを起こさせようとしている」と主張し支援物資受け取り拒絶2月23日支援物資積んだトラックコロンビアからベネズエラ入ろうとしたが、マドゥロ支配下ベネズエラ治安部隊衝突して多数死傷者出した2月25日グアイドコロンビア首都ボゴタにおいて中南米諸国カナダ作るリマ・グループ(スペイン語版)の会合出席した会合グアイドは「マドゥロ甘やかすことは米州全体脅威となる」と訴えた会合には米国副大統領マイク・ペンス出席しており、ペンスは「我々は平和的な民主主義への移行望んでいるが、トランプ大統領は『あらゆる選択肢俎上乗っている』と明言してきた」と発言したが、会合軍事力行使拒否し代わりにマドゥロ政権による市民への暴力支援物資阻止を「人道に対する罪」に認定するよう国際刑事裁判所(ICC)に働きかけることを決議した。またアメリカから5600ドルベネズエラ難民支援取り付けた2月28日にはブラジル訪問しジャイール・ボルソナーロ大統領会談マドゥロ政権へ圧力強化要請しボルソナーロは「ベネズエラ民主主義取り戻すための努力惜しまない」と応じた同日3月4日までにベネズエラ帰国することを宣言した2月22日出国出国禁止命令反する形で行われているため、帰国後に拘束される恐れがあり、グアイド本人記者団に「私や家族マドゥロ政権から脅迫受けている。投獄脅しもある」と語っている。これについて米政府は「マドゥロ政権グアイド危害加えた場合相応処置をとる」と警告している。 3月4日首都カラカス近郊空港到着しベネズエラ帰国したマドゥロ帰国次第グアイド出国禁止命令違反処罰することをちらつかせていたが、この日に身柄拘束されることはなかった。グアイド身柄拘束を防ぐためフランスドイツスペインなど各国大使出迎え空港訪れており、国際社会反発を買うことを恐れて即時身柄拘束見送った見られている。アメリカマイク・ポンペオ国務長官グアイドの無事の帰国歓迎する一方国際社会凶悪なマドゥロ政権倒してベネズエラ民主主義平和的に回復させるため、一致して圧力をかける必要がある」という見解表明した3月6日マドゥロ政権は、グアイド出迎えたドイツ大使ダニエル・クライナー(ドイツ語版)を「野党過激主義者と共謀した」として「ペルソナ・ノン・グラータ」に指名しベネズエラから追放する宣言した。この決定についてグアイド国民議会で「(マドゥロ政権は)自由な世界対す脅威だ」と述べて批判したドイツ政府も「理解できない決定だ」「欧州グアイド支持ゆるぎない」として「マドゥロ氏を標的とした制裁賛成する」と表明した米国政府マドゥロ政権高官家族ビザ取り消すとともに外国金融機関マドゥロ政権利益与えるような取引関与した者は制裁直面するとの見解表明した3月28日ベネズエラ会計検査院アモロソ院長は、グアイド海外渡航費の支払いについての説明不十分だったとし、15年わたってグアイド公職から追放する宣言した。これに対してグアイドは「合法的な国民議会から指名されていないアモロソ氏の発表無効だ」と主張しており、米政府もこの処分一蹴している。公職追放処分象徴的意味合い強く実際影響軽微見られている。 4月1日最高裁グアイド不逮捕特権(Fuero parlamentario)のはく奪マドゥロ派のみで構成される制憲議会要求。これに対してグアイド政権拉致される可能性懸念表明した4月2日制憲議会グアイド不逮捕特権はく奪し、暫定大統領就任宣言したことを理由グアイド刑事訴追する権限最高裁与えると宣言した。これによりグアイド出国禁止命令違反容疑逮捕される恐れ出ている。憲法不逮捕特権はく奪国民議会議決を経なければならないことになっているが、国民議会制憲議会によって事実上権限奪われた状態になっている。ただアメリカグアイドの身の安全を求めてマドゥロ政権圧力をかけており、マドゥロ政権逮捕踏み切るかどうか不透明4月30日離反兵士らに自宅軟禁から救出されレオポルド・ロペスとともにビデオメッセージを出し、軍に決起呼び掛けた。これにより反マドゥロ派の軍人たち催涙ガスなどで鎮圧にあたるマドゥロ政権側と衝突したその後ベネズエラ各地衝突発生したマドゥロ政権側はこれを「クーデター」と非難し、「クーデター失敗終わった」と主張している。一方アメリカ政府は「アメリカグアイド氏を暫定大統領だと考えており、明らかにクーデターではない。グアイド氏側による勇敢な行動だ」と述べグアイド行動支持表明した2019年ベネズエラ蜂起未遂英語版))。 2020年1月5日マドゥロ指示受けた軍が主要な野党議員国会議場への入場妨害したその間マドゥロ支持派議員一部議員のみで議長が行われ、ルイス・パラ(英語版)を議長選出した。これに反発した野党議員無効訴え別の場所で独自に議長選を実施しグアイド議長再選した1月7日グアイド国会議場において暫定大統領の再就任宣誓した一方マドゥロ派の最高裁判所5月26日にルイス・パラを議長として承認した2020年5月2日反体制派支援していた民間軍事会社「シルバーコープUSA」と志願者によるマドゥロ政権打倒計画実行されるが、事前から計画認知していたベネズエラ当局によって短時間鎮圧され最終的に8人の死者多数逮捕者出して失敗したギデオン作戦 (2020年)(英語版))。後にグアイドとシルバーコープ社の契約書公開されたが、グアイドはこれを偽造とし関与否定している。本作戦は杜撰な計画、敵に情報漏れていたなど共通点が多いピッグス湾事件比較される2020年5月後半Meganálisisが実施した世論調査によると、グアイド大統領として信頼していないと回答した人が88パーセントにのぼり、マドゥロ政権打倒計画については85パーセントの人が「非常に悪い」と評価した。なお同調査ではマドゥロ政権について、71.5パーセントの人が不満をもっていると回答している。 2020年12月6日野党ボイコット宣言する中で国会選挙英語版)が実施されマドゥロ率いベネズエラ統一社会党勝利。ルイス・パラに代わる議長としてホルヘ・ロドリゲス(英語版)が選出され2021年1月5日就任したアメリカ政府欧州連合選挙結果認めてはいないが、アメリカ引き続きグアイドを暫定大統領として承認する一方欧州連合グアイドを「特権を持つ対話相手」としつつも、議長職を失ったことを理由に暫定大統領の承認取り下げた

※この「暫定大統領」の解説は、「フアン・グアイド」の解説の一部です。
「暫定大統領」を含む「フアン・グアイド」の記事については、「フアン・グアイド」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「暫定大統領」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「暫定大統領」の関連用語

暫定大統領のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



暫定大統領のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのフアン・グアイド (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS